Highball Night With Single Malt supported by suntory ROOFTOP -ROCK OF AGES-
はる(The ピーズ)

このままでいいよ。みんな生きてれば。
もう十分だもんね、40までやってるんだから。何もねだりません

2005年11月にアルバム「赤羽39」をリリース。ファットにしてしなやかなグルーヴをたたえたロックンロールにさらに磨きをかけたThe ピーズのベース&ボーカル、大木温之。LOFTにも数多く出演している彼から深い話を聞きだすべくインタビュー場所に向かってみると、なんと(やはり?)はるさんは深い深い二日酔いに苦しんでいたのだった。うーんと唸りながらポツリポツリと語られる言葉には、来年、バンド生活20年を迎える彼の奥深い経験が込められている……と思いたい。(interview:森朋之)


ずっと走り続けてきたわけじゃないぜ!

はる:あれ、どこかで会ってますよねえ?

──はい。「The ピーズ」(2003年リリース)のときに…。

はる:やっぱり。元気そうで

──はるさんも。

はる:なーにが。ぜんぜんですよ。今日、二日酔い。でも今日、練習だから。がんばろう

──休肝日とかないんですか?

はる:昨日は休肝日のはずだったんですけどね。ロードワークしてるうちに、体だけじゃなくて心も鍛えてみようかと思って飲みはじめたら、帰れなくなっちゃって。記憶がないんだよね。もう懲りた

──記憶がないのは危ないですよね…。寒いし。

はる:危ないね。でも、月がきれいだったから。今年はたぶん、関東でもずいぶん死んでるんじゃねえかなあ、この寒さで。俺も死ぬとこだった。危ない危ない

──…なんで走ってたんですか?

はる:走るのはいいですよ。ツアーの前とかワンマンの前はちょっと走っておくと、なんかいいんだよね、肺とか

──ツアーの調子はどうですか?

はる:うん、それなりにがんばってるほうじゃないかなあ

──(笑)。えーと、ロフトにはじめて出演したときのことって覚えてます?

はる:バンドはじめて2年目くらいじゃないかなあ。88年。ライブハウスっていったら、渋谷の屋根裏か新宿のロフトかって感じだったからねえ、当時は。うれしかったよ

──18年前ですね

はる:18年か19年か…。もうすぐ20年だからね、バンドをやりはじめて。まあ、休み休みやってるからな。…ずっと走り続けてきたわけじゃないぜ!

──そこだけはきっぱりと。

はる:おう! 二日酔いでべろんべろんだしな。休んで休んで…まあ、好きにやってますよ

──その頃、バンドに対する夢とかってありました?

はる:夢? バンドで? そうだなあ、覚えてないけど、どうせ好きなことやってるんだから……それ以上は何も考えてなかったな。大きい音を出せればいいなっていう。それくらいじゃないかな

──いまは?

はる:うん? うーん、わかんない。昔はもうちょっと、サービス精神とかあったかもしれないけど、いまはないかもね。しゃべることも考えてないし。盛り上げようとは思ってたけどね、結局、曲が暗いからねえ。盛り上げようとしても無理があるんだな。だから、勝手にやるだけ。なんかしゃべっても、下ネタくらいしか出てこないんだもん。でも、下ネタをしゃべっても、すごく引くんだよなあ。シーンと聞き入ってるからね、メンバーすら

──(笑)。

はる:でも、ロフトは音デカイからいいよね。いまはどこも音が小さくなちゃったから。ロフトはいまもデカめでいいんじゃないんかなあ。やっぱ、やかましいくらいじゃないとね。うるせえ!って耳をふさぐくらいじゃないと、気持ちよくねえよ、見るほうも

──活動休止してるとき、ロフトに行ったことは?

はる:いや、余裕なかったよ、そんな。仕事も忙しかったし。恥ずかしいしね、バンドやめちゃってるから。いつ復活するんですか? とか聞かれるのもめんどくさかったし。復活運動とかね、ありがたかったけど、恥ずかしかった

──ほっといてくれって?

はる:うん。人のことはほっときゃいいのに。……俺が悪いんだよ。うーむ

──(笑)。バンドを再開した後もロフトは何回も出演されてますよね。

はる:引っ越したあとのロフトは……ちょと、見づらいよねえ。横幅がひろくて。でも、音は同じようにデカイからいいんじゃないの。あ、照明は暑いなあ。なんか最近、電気が明るいよね。特に白い電気が。あんなに照らされてもねえ。年寄りだから、見られたくないんだよね。暑いのやだなあ

──ライト減らしてもらったらどうですか?

はる:それは言ってる、自分を守るために。あとさあ、イベントとかだと出番が後のほうだから、さらに酸素がなかったりして。だからロードワークで鍛えないと…

──話が戻りましたね。

はる:だって、いまがいちばんつらいもん。というか、今日がいちばんつらい

──人生のなかでいちばんつらい日?

はる:二日酔いってそうだよね。内臓ぜんぶ取り替えたい…。ライブもきついよね。2時間だからねえ、ワンマンだと。歌うたいながら(演奏する)、ってきついな。ドラムもきついんだろうな。みんな、がんばっとるのう

──(笑)。

はる:曲を減らせばいいんだけどね、なんか最近、たくさんやるようになっちゃって。いろんなことやりたくなるんだよね、あれもこれもって。よくばりだな。まあ、活動が長いからね、昔の曲とかもやりたくなっちゃうんだよ。いまさあ、友達のライブハウスで、昔の曲を少しずつやっていくシリーズがあって。まだ2枚目だから、先は長いね

──昔の曲って、どうですか?

はる:前は音をずいぶん重ねてたね。時間もかけてた。いろいろと凝ってたんじゃないかな、前のほうが。いまは早いもん。演奏はすぐ録り終っちゃう。歌入れには時間かかるようになってきたけどね。一行ずつ、必死で歌ってるよ

──シンイチロウさんはいつも涼しい顔して叩いてるように見えますよね。

はる:や、パクパクしてるよ。苦しいときはパクパクしてる(笑)。あと、キックがでかくなっていくね、つかれてくると。力んでるのかなあ

──ロードワークはやってなさそうですね。

はる:スロットだよね。リズム感が鍛えられるんじゃない? あとは動体視力も。それはドラムに関係ないか。でも、シンちゃんは早いよ、レコーディング。ウガンダの頃は大変だったもんなあ。緊張しちゃってたからね。大変だったよ、いろいろと

──でも、バンドは楽しいんでしょ?

はる:……楽しいですよぉ

──酒より?

はる:いちばん楽しいのは競馬の予想してるときかなぁ。ほんとはマージャンやりたいんだけど、みんな忙しいからね。昔みたいに朝までやってる体力もねえし


天国のおばあちゃん、僕を応援してね

──えっと、バンドの楽しさって何ですかね?  ライブとか曲づくりとか、いろいろあると思うんですけど。

はる:だいたい、曲が出来たときがいちばん気持ちいいって答えてるんだけど。いいライブがやれたときも気持ちいいけど、ライブはやってみるまでどうなるかわかんないからね。怖いよ、ホント。ドキドキする

──ドキドキしますか。

はる:恥ずかしいからねえ。やっぱ人前に出るのって。天国のおばあちゃん、僕を応援してね、って感じですかね。大晦日とかだったら少し飲んでるから楽しくできるんだけど。普段は緊張してしまいますね。音が気持ちよく出ればいいけど、やってみないとわかんないんだよ。体調とかもあるし。行き当たりばったりだからなあ、ほんと。しょうがない。あぁ

──何年やっても、そこは変わらない。

はる:うん。でも、ライブはがんばれば誰でもできるような気もするな。力技で持っていけるっていうか。でも、曲はそういうわけにはいかないからね。だから、できたときは気持ちいいんだよね。曲つくらないと、ただの飲んだくれだからな。しっかりしなきゃ。この半年、曲ぜんぜん作ってないから。前のアルバムですっきりしちゃって。いまはただの飲んだくれです

──出し切った感じですか。

はる:というか、疲れ切った感じだな。そうとうがんばったから。努力賞で休んでます、いまは。ライブやってりゃいいやって……何かしゃべることねえかなあ

──じゃあ、今後のことを教えてくださいよ。

はる:先のこと、何も考えてないよ。このままでいいよ。みんな生きてれば。もう十分だもんね、40までやってるんだから。何もねだりません

──でも、バンドは続いていくわけで…。

はる:どうせ死ぬまでやるからね。わかんないけどね、明日死ぬかもしれないし。でも、もうやめられないでしょ、どうせ。他に何もしたくないもん。お勤めとかできねえもん。やめんのって、めんどくさいよね。バンドやめて、何をやっていいかわかんねえし。…ヒモ?

──ハハハハハ。まあ、憧れますよね。

はる:うん。でも、もっといい曲つくんないと食ってけないな…。曲はたくさんあるんだけどね、それで楽しくなるかどうかは…。ちゃんと持っていければいいけどね、自分のテンションを。曲作りは大変だよ。ゆるーいテンションじゃダメだろうな。もっと、とんがってないと。明後日はライブでドキドキしてるんだろうけど。福岡、広島。ひさしぶりだなー広島。お客さんくるのかなー。こわいなー。あとは(5月の)野音が気持ちよければいいな。そうだ、苦情が来るくらい、家でギターでも弾こう。静かに暮らすのやめよう

──(笑)。バンドでやり残したことって、ないですか?

はる:いくらでもあるんだけど、新しいことはできないな。時間かかっちゃうよ。譜面とか読めねえし。ラッパとか入れたいけどねえ。めんどくさいな。3人で、できるだけのことをやるだけで精一杯だな。わかりやすくていいや、3人が

──えーと、2月12日にはロフト30周年のイベントライブに登場。対バンは大槻ケンヂさんのバンドですけど、意気込みとかあります?

はる:意気込みとかないけど、感謝だよね。ありがたいよね。ロフトつぶれないでよかったなって思うから

──ピーズも結成20周年にむけて盛り上がっていきましょうよ。

はる:そうだなあ。何かおもしろいアイデアないですか?

──ボックスセットとか、どうですか?

はる:あー。でも、これ以上、お客さんにお金を出させるのは悪いよ。物販でこわれる栓抜き売りつけたりしてんだし(笑)。お客様は神様ですよ。まあ、まだまだですよ。(仲野)茂さんとか見てると…。永ちゃんだって、やってるし。ロティカとかね

──そうですね。まずは次のアルバムを楽しみにしてます。

はる:うん、楽しみだなあ。……酒やめよう

──うわ、断酒宣言だ(笑)。

はる:うーん、今日、これから練習かよ…

──どれくらいやるんですか?

はる:4時間取ってるけど、3時間ちょいで撤収だな。アビさん、たくさんアンプ持ってくるから、片づけが大変なんだよ。俺は持ってないけどね、アンプ。やめちゃったときに売っちゃったから。あー、でも、きついなあ…

──とりあえず今日は酒を抜いたほうがいいのでは。

はる:だいたい、1時間か2時間くらいやると、シンちゃんが“おい、ビール買いに行くぞ”って言うんだよね。そこで葛藤が…。ああ…


Live info.

2006.02.12(sun)新宿LOFT SHINJUKU LOFT 30TH ANNIVERSARY“ROCK OF AGES 2006”
open 18:00 start 19:00 / adv 3500 door 3800
Theピーズ / 大槻ケンヂ&ヤングス

2006.02.14(tue)下北沢 CLUB QUE バカロックナイト発 下北沢 vol.1342?
open 18:30 start 19:00 / adv 2500 door 2800
Theピーズ / マモル&THE DAViES / ギターパンダ / すごくいいズ [もりくん(vo.g) のりを(g) マサル(b) マモル(dr)]

2006.02.18(sat)代官山 UNIT BEYONDS 『遅れてきた青年』 2DAYS
open 17:00 start 18:00 / adv 2500 door 3000
BEYONDS
GUEST LIVE:Theピーズ / toddle / toe

2006.03.16(thu)川崎 CLUB CITTA' SET YOU FREE & 銀杏BOYZ PRESENTS 2006
open 17:00 start 18:00 / adv 3500
Theピーズ / 銀杏BOYZ / KING BROTHERS / ダブルオー・テレサ ...and more

2006.5.27(sat)日比谷野外大音楽堂

詳しくは、たまぶくロカビリー倶楽部http://www.thepees.com/


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