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![]() ![]() 祝『オーケンのほほん学校』発売!新宿ロフト&プラスワンを語り尽くす!オープン以来30年、多くの伝説を生んで来た新宿ロフト。大槻ケンヂもまた、客として、出演者としてロフトに関わってきた重要人物の一人だ。若き日のロフト初体験記、今だから話せるライヴ秘話など話は尽きない。また、11月1日には、プラスワンでの超人気イベント『オーケンのほほん学校』が待望の書籍化。珍エピソードからプラスワンへの提言、今後の展望についてまで一挙に語ってもらった。(interview:シンスケ横山/構成:臼井友里絵) オーケンの新宿ロフト初体験&初出演──オーケンさんが初めて新宿ロフトに行ったのは何のライヴでしたか? 大槻:うーんと……カルメンマキ's 5Xかなぁ。当時高校生でチケットの買い方とかわかんなくて、ライヴ7時からなのに、意味もなく昼の2時くらいからロフトの前をうろうろしてたの。で、ロフトの前にいたらふらふら歩いて来た女の子がいきなり目の前でバターン! って倒れて。こえーロフト! って(笑)。 ──それ、ロフトと全然関係ないですけど(笑)。 大槻:そうなんだけど、怖いイメージあったね。で、初出演は多分空手バカボンで何かの前座で出たような気がしますね。筋肉少女帯を始めた頃は19歳くらいで、有頂天がすごい人気出てて。で、その余波なのか350人くらい入ってぱんぱんでね。あれは驚いたなぁ。 ──19でロフト満員は凄いですよね。対バンとかの思い出はありますか。 大槻:うーん、あぶらだことやりましたね。あ! あと人生ともやったね。 ──結構他のミュージシャンの方に聞くと、ロフトの思い出って打ち上げなんですけど……。 大槻:いや! 僕は打ち上げやんなかったですよ。なんかアナーキーな感じの人がいっぱいいたしね。当時、渋谷屋根裏のビルの隙間に、殺されたパンクスの白骨死体が埋まってるっていう噂があって、それ僕信じてたんだから(笑)。そんな人たちに関わったらヤバい! って。 コワくて行けなかったよ。 ──(爆笑) 大槻:打ち上げなんて、みんなで吉野家の牛丼に卵つけてわーい♪ っていうくらいでしたよ(笑)。でもロフトでは色んなことあったよ。20周年記念で武道館出たりとかね。 ──筋少が一番盛り上がったっていう。 大槻:スピッツより盛り上がったって言われるんですけど。タイプ違いすぎですから(笑)。あの時ギターの橘高が何か落ち込んでて、白い衣装が薄汚れてるの指摘したら、「……俺と一緒だよ」とかぼそっと言われてね。それなんだか覚えてるなあ(苦笑)。 ──変なこと覚えてますね(笑)。 大槻:ね。あとロフトで、ライヴ前にユンケル飲んだらすごい具合悪くなっちゃって、「神様! 今日のライヴだけはー!」って祈ったりしましたね。それもちょうど19くらいの時だったなー。 ──一言でロフトの印象を言って頂くとどんな感じですか。 大槻:最近のロフトは社員教育がしっかりしてるね! バンドやってる人が居心地の良い環境を作ってくれてるんじゃないでしょうかね。 ──ありがとうございます。 『のほほん』よりちゃんとやってるイベントを僕は見たことがない!──『オーケンのほほん学校』は'98年からやってるんですよね。 大槻:プラスワンが新宿厚生年金会館のほう(新宿富久町)にあった時からだね。プラスワンに出演したのは町田康さんとやったのが最初かな。 ──それを足がかりに『のほほん』が始まったわけですよね。 大槻:そうだね。最初僕は、ほんとにサブカルスクールみたいなのをやりたかったんだよ。だから蔵前仁一さんをお呼びしたりとか、放送禁止の曲ばっか唄ってみたりとか。でもお客さんのアンケート見てみたら、「文化的なゲストもいいけどオーケンのバカ話を聞きたい」って。 ──ははは、そこから崩れていったと。 大槻:そう。なんだ、お楽しみ会みたいのがいいのかと思って文化系でいくのはやめたの。あれ? って思ったけどね。そっちのほうが楽だし(笑)。でも『のほほん』の準備はどんなライヴよりやっぱり一番大変! ──でしょうね~。 大槻:企画、司会進行、ブッキングとか、全部自分でやるからテンテコ舞いだよ! ──イベンターまでやってたりね(笑)。 大槻:うん。で、なかでも一番面倒なのがバカビデオの頭出し。 ──ははははは! 大槻:なんでこんなバカらしいビデオのために俺こんな時間かけてんだ! って思いますよ~。2時間映画で面白いシーンを探し出すの大変なんだよね。……苦労してんですよ(苦笑)。 ──でも最近はバカビデオのイベントもできたりして、プラスワンでもひとつのジャンルになりましたよ。他に印象深かった回とかあります? 大槻:そういえば10回目の市川(哲史)さんを呼んだ時、プラスワンが水道の事故で水没してたってこともあったなぁ。しょうがないからお客さんと一緒に新宿ロフトの第2ステージに移動して、ハードコアメタルとかやってる壁一枚横で『のほほん』やって。 ──あれ、すごく覚えてますね。 大槻:そう。あ、ところで、プラスワンで『のほほん学校』より進行ダンドリをきちんとやってるイベントを僕は見たことがない! これを僕は歌舞伎町の中心で叫びたいね。 ──あ! そうですか。 大槻:特撮のナッキーが司会するゾンビ映画イベントっていうの、僕出たんですよ。「ナッキー大丈夫かなぁ~??」と思ってたら全然大丈夫じゃなかった(笑)。ゾンビビデオの頭出しとかね、そこじゃないだろ! って、仕切りたくて仕方なかった。僕、ギャラ次第で他のイベントの舞台監督やりますよ。 ──はははははは! 大槻:ダラダラさせないコツは、ゲストを早く呼ぶこと、前説は短かめ。で、どかーんって盛り上がったら、オチがなくても次の話題に行くってことかな。あとビデオの頭出し! そしてネタせっかく用意してても、受けなそうと思ったらすぐやめる、とかね。臨機応変にやらないと。 ──他に何か覚えてることはありますか? 大槻:うーん、そういえばクリスマスイブにウッチーとプレステでゲーム対決とかしてたよね。何やってんだ俺たち! みたいなしょーもない企画。 ──ありましたね(笑)。 大槻:あと焼きそばは失敗だったね! 縁日みたいにしてお客さんみんなに配ろうとしたら、全然行き渡んなくてね。そりゃ200人いたのに、家庭用ホットプレートで作ってたからねぇ。あとすごく覚えてるのはエンケンさん。唄ってもらってる時に、なんか僕一瞬だけ腕時計を見たんですよ。舞台監督もやってるわけだから。そしたら後日、僕のファンの人から「時計を見るとは何事だ!」って怒られてしまった。 ──エンケンさん出てもらっただけでも奇跡ですからね~。 大槻:本当にうれしかったです。あ、男限定でやった時、イメクラの女の子、可愛ほのかちゃんが出た時もよかったなぁ。最後「レット・イット・ビー」を「エロビー」って替え歌にして、ライター持ちながら男だらけで、「♪エロビ~、エロビ~」って、感動のエンディング。ちょうどイラク戦争が始まった時なのに(笑)。何をやってんだ俺たちは、って。でも、後日お客で来てた童貞の子がほのかちゃんのお店にたくさん行ったんだって。 ──いいイベントでしたよね。 大槻:12月24日の『さみしい人のクリスマス』、これはもう5、6年やってるね。最初やった時お客さんがわんさか来て、「イブに行くとこないのか!」って思ったらなんか可哀想に思えてね(笑)。オーケンファンの間では「さみクリ」とか呼ばれてるらしくて、「今年はさみクリ、行く~?」とかいう会話がなされてるとか(笑)。 ──でも童貞男子を救い、イブに行き場のない女性たちを救い……。オーケンさんすごいですよ。 大槻:前科者も何人かお呼びしたね(笑)。(中島)らもさん、田代まさしさん……。あとおかしかったのが気功師の川上(たけし)さんが出た時。客席に気を送ったらお客さんが次々と具合悪くなっちゃってね。「あんなに催眠術にかかりやすい客もいない」って(笑)。 ──本当色々ありましたね。63回ですからね。 大槻:お酒飲み過ぎちゃったりもしたね。蛭子さんが来てくれた時はもうやばい! っていうくらい酔っぱらってましたね~。気を使うゲストが来て、一段落すると気が抜けてスコーン! って酔っぱらっちゃう。あと2年連続で誕生日に大風邪ひいてね。誕生日も恒例になってきたよね。 ──今回の書籍化ですけど、それを想定してやってたわけじゃないのにいざ活字になってみると、それはそれで面白いんですよね。らもさんのなんて絶対無理だと思ってたんですけど。でもすごく面白いですよね。 大槻:らもさんは『らもはだ』とかでトークのコツを知ってたんですよ、きっと。 ──そうかもしれないですね。ではずばり、今後も『のほほん』はライフワークになっていきますかね。 大槻:そうですね。まぁ、そろそろ新しいことも色々やっていきたいですね。 今自分の中で進行のマニュアルが出来ちゃってるから、一度それを壊したいとは思ってます。『のほほん学校マニアックス』みたいなのをやりたい。プログレについて語るだけの会とか。ゾンビ映画についてだけの夜とか。 ──なるほど。 大槻:オーケンファンじゃない人も楽しめるような……最初はそうだったんだから。リピーターじゃない人も呼び込みたいですね。若いヴィジュアル系バンドを呼んでみるとか。でもそういうのに来るお客さんって、目当てが終わると帰っちゃったりするんだけど(笑)。 書籍版『オーケンのほほん学校』は、過去63回のベスト版的内容。とにかく全編にわたって爆笑、苦笑、失笑必至。『のほほん学校』参加経験者は、会場の熱気を思い出しつつ楽しむべし。『のほほん』未体験の人はこれを読んで、次回のプラスワンに足を運ぼう! Live info.特撮 LIVE
11月4日(金)CLUB CITTA' 川崎 オーケンのほほん学校64時間目
11月6日(日)ロフトプラスワン RECOMMEND BOOK![]()
Talking Loftシリーズvol.1 PROFILE1966年東京生まれ。ミュージシャン、作家、エッセイスト。'82年、ヴォーカリストとして内田雄一郎(b)らと筋肉少女帯を結成、'88年『仏陀L』でメジャー・デビュー。00年以降は、特撮のヴォーカリストやアンプラグド・バンドなどで活動中。作家としては、'94年、小説『くるぐる使い』(角川文庫)で星雲賞受賞。小説作品はほかに、『グミ・チョコレート・パイン』シリーズ(角川書店)、『リンダリンダラバーソール』『ロッキン・ホース・バレリーナ』(以上メディアファクトリー)など。『オーケンの私は変な映画を観た!!』(キネマ旬報社)、『綿いっぱいの愛を!』(ぴあ)などエッセイも多数。『ぴあ』『ダ・ヴィンチ』『キネマ旬報』『ゴシックロリータバイブル』など、多方面の雑誌連載も持つ。
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