OLD JOE
ひと夏のワンマン・バカンスを満喫するバンドの柔軟な姿勢、メンバー4人の関係性
2026.08.14
“絶賛解散中”でも4人で集まるのはなぜなのか
“OLD JOE、全国ワンマンツアーへ”というニュースを耳にして驚喜した方も多かろう。バンド史上初・全7公演のツアーは7月31日にスタート、ソールドアウトで迎えた初日。“今日で解散から11年ですって”の文字と共に夏空の下で海と山を背景に、メンバー4人がツアーに向かう道中の写真がSNSにアップされた。楽しいのが想像できる1枚の写真を見ながら、でも解散しているバンドでは? という不思議が生まれる。しかしそれはただの固定観念に過ぎず、バンドにもさまざまな形があるべきで……ツアー直前にインタビューに応じた河西洋介(Vo)と大内岳(Dr)の会話を通して、OLD JOEというバンドの在り方や柔軟で多様な考え方、メンバー4人の関係性、すべてがうらやましくなった。ステージで音を鳴らす姿は結成時の少年のままに映るが、歳を重ねつつ、いろいろな変化も経験しながら。今また音を鳴らし続けている彼らの“生き様”が見えるインタビューを通して、今ツアーへの楽しみはさらに増すことだろう。(Interview:高橋ちえ)
バンドの事務的なところまで、すべて自分たちでやる
──今年のワールドカップはもちろんご覧になってましたよね?
河西洋介 かなりしっかりと見てました。
大内岳 僕はサッカーは詳しくないですけど、ちょうどワールドカップ期間中にHedigan’sがレコーディングでスタジオに寝泊まりしてまして。夜中にのそのそ起きていって(スタジオの)ロビーに熱気を感じたんだよね、僕は睡眠を選んでしまいましたけど(一同笑)。Hedigan’sの中でも睡眠組とワールドカップ組がいて。朝起きたら河西からまず一言、「メッシだよ!」と。アルゼンチンが超感動的な勝利を収めた日(エジプト戦)の、あの姿は忘れられないですね。
河西 僕はもう通年で深夜にサッカーを見てるんで、全然慣れたもんでしたけどね。今回のワールドカップはエンタメ色の濃い大会だったのは間違いないですね。
大内 トランプ大統領の件もあったり、良くも悪くもね。僕は、昔見た『少林サッカー』っていう映画を思い出しました(一同笑)。
──という質問から入ったのも、かつてのインタビューで「OLD JOEはコパ・アメリカ(※南米サッカー連盟主催の選手権大会)開催時に復活するのが良いかも」とも言っていたので(笑)。
河西 しましたね!(笑) 僕は昔からサッカー中継を見てますし、真田(徹/Gt)は中学までサッカー部で今もしょっちゅうサッカーの話をするんですけど、ワールドカップは日本代表ももちろん見て応援した中で今回はやっぱりアルゼンチンの姿に感動させてもらいましたね。近・現代の欧州を中心とする大変ロジカルなサッカーというものが権勢を振るう昨今、南米・アルゼンチンがそういう理屈を超えた情熱で決勝までたどり着いて、ボロボロになりながら(決勝で)スペインに立ち向かった。そんなアルゼンチンの選手みんなの姿に勇気づけられましたし、彼らと似たようなマインドで音楽と対峙していきたいなと思いました。
──では、OLD JOEが今回のツアーとどう対峙していくのかというお話を。ツアー発表の報を聞いた時、まさかツアーをやるとは! と嬉しい驚きでした。
大内 全国ツアーは初めてだし、これまでは一番多くても京都と大阪を回ったくらいなので。それもいつのことやら(笑)という感じで。
河西 そうだね。初めてツアーをやるにあたって真面目に書いてもあれだから、ちょっとチョケたいところで(笑)文言を考えて。精力的に解散中でもツアーはできるんだという心意気で。
──確かに「精力的に解散中のOLD JOEは、今年の夏にバンド史上初の全国ワンマンツアーを開催します」と。そもそもツアーをやろうという話になったのは?
河西 一昨年は新宿LOFTで2回・大阪で1回ライブをやって、去年は友達の結婚式であったり、こっそりと。今年の春にMassage Attackとのツーマンにお誘いいただいたんですけど(@渋谷WWW)、「1本(ライブが)できるし、今年はOLD JOEをやる年にしてみようか」っていう話を、みんなで集まった昨年末にしたんですよね。
大内 そうだった。それで例えば、レコーディングをして作品を作るのか、ツアーをやるのか。何か一つ頑張ろうかみたいな話をして結果、これまでやったことがないし、全国ツアーでもやってみるか、っていう。そんな今年です。
──このインタビューが公開される頃にはツアーがスタートしていますが、初の全国ツアーはファイナルの新宿LOFTまで全7公演。リハーサル等も順調です?
河西 あんまりやり過ぎない、ここ最近のOLD JOEのいつも通りと言えばいつも通りな感じで。今回に至っては7公演ありますし、ツアー中に変わることのほうが多いかも分からないですしね。
大内 うん、ありそうだね。
河西 それこそツアーにあたって物販とか、新しいのを用意してて今ちょうど到着を待っているところなので、ある意味ツアーがもう始まってますね(笑)。解散もしてるし、所属してるレーベルや事務所があるわけではないので、物販とかいわゆるバンドの事務的なところもすべて自分たちでやってまして。デザインに関しては手伝ってもらってる方もいますけど、発注自体から自分らでやってるので久しぶりのデータ入稿のメールなり、意外とてんやわんやです。今回は大内と真田が会場さんとのやり取りとかに関しては結構メインでやってくれて。僕は途中までハンドル握ってた部分があったんですけど無理になってきちゃって、頼むって言って。
大内 河西シフトが多すぎたよね、しかもSuchmosがツアー中だったのに。俺たちが鬼だった可能性がある(笑)。
河西 ちょっとバタバタしちゃったけど、そこも結果的に皆で助け合ってうまいこと行ったので。
大内 グッズに関しては、メンバーが絵を描いたグッズもあったりするし、今回も可愛いですよ。OLD JOEが解散後、初のライブ(@下北沢GARAGE/2019)をやった時に自分のイラストを使わせてもらって。それ以降はちょくちょく自分が作ることがあるんですけど、今回はトートバッグで自分のコラージュを使わせてもらっております。
河西 トートバッグが布だと(一般的に)被るなと思って、ナイロン素材で畳める素材にしてね。カバンに入れて旅行先でも使えるバカンスなバッグということで。ツアーも『one-man vacance』というタイトルだし、旅行気分でということで。
──ちょうどツアータイトルが出ましたが、メンバーの皆さんにとってもバカンス的なところもあるのでは?
河西 メンバー皆の予定をいろいろうまいこと考えた結果ではありますけど、ツアータイトルを考えてる時にちょうど夏休みシーズンだね、みたいな話をしてて。「そういえばSMAPの『BANG! BANG! バカンス!』(2005)って曲、あったよね?」みたいなところで。ツアーもワンマンでやるし、じゃあワンマン・バカンスか、みたいな(一同笑)おやじギャグ中のおやじギャグみたいな感じで決めたのでもう恥ずかしいと言うか、今も笑っちゃうんですよね。
全国ツアーはバンドワゴン。ライブ設営から片付けまですべて自らの手で
──では、どうしてもこの質問を。ツアーもする中で“精力的に解散中”という言い方などしなくてもいいのでは? と(一同笑)。
大内 それはこの前ツーマンをした時もMassage Attackにステージ上で怒られました(笑)、友達だから愛のあるイジリとして。でもまぁ、今のところは意地でも再結成はしないということで(笑)やらせてもらってはいますね。
河西 なんでしょう、アクティブ・パッシブの間(あわい)みたいなところな気はしてて、その境目をどこまでぐちゃぐちゃにできるのかみたいなところがちょっとあって。活動してる、じゃあそれって手伝ってくれる大人がいますとか、大きいメーカーからデビューしてプロモーションにお金かかってますとか、それが活動ってことかと言われると必ずしもそうじゃない。と言うか手厳しいことを言うと、ルーティンワーク化してしまっているメジャーのバンドがいっぱいいて。ある意味では会社員としてバンドやってます、みたいな。それはいろんな事情を踏まえてのことでしょうし、批判的なことを言いたいわけじゃないですけど。
大内 うん。いるね。やっぱ、未来のことを決めるのは大変ですからね。(例えば)このライブをやるためにこの1年に何をやるとか、そのためにやるべきことが生じてくる。活動っていうのはもう少し未来のことも皆で考えて決めないといけないと言うか。(OLD JOEは)それをちょっと、ほったらかしにしたいところもあったりするしね。
河西 ね。それで言うとOLD JOEってメチャメチャ逆で(笑)、決めたくないっていう。
大内 僕はOLD JOEで言えば、ただ(活動)できることにかなり意義があると言うか。会場がどこだとか規模がどうとかは現時点では気にしてなくて、もしそういうこともちゃんと思い浮かぶなら再結成して活動しようみたいな話が出るのかもしれないけど、今はなるがままに任せてる感じですかね。あと、僕にとって初めての(バンド)解散で、ちょっと大事な解散なので。この解散をちょっと、特別な解散として持ってたいというのがあって。解散記念日には集まったりしてたもんね。
河西 そうだね、2015年に解散してから毎年集まってたかもしんない。
大内 今回のツアー初日も解散した日でね、せっかくだしこの日に合わせた感じで。『Switch』(vol.42 特集 YONCE/2024)のインタビューで、OLD JOEのことを僕は“お盆”って表現したんですけど、今もその感覚があります(笑)。
河西 今回のツアーはまさにお盆(時期)にやるけどね(笑)。
──“絶賛解散中”でも、やっぱり4人で集まっている。
大内 そうですね。集まると相変わらず楽しいし、この関係は基本なくなってない、みたいなこともちゃんと確認できるというか。やっぱり会わないと分かんないこともあるし、なんだろう……バンドとしては今、ちょっと特殊な活動の仕方というか。変な言い方をすれば、ちょっと良いとこどりみたいな活動をしてるような気がするんですけど(笑)。
河西 そうだよね、ずるだよね。
大内 でももしかしたら、それが仲良しの秘訣なんじゃないかな、みたいなことは。僕と河西はHedigan’sも一緒にやってて、河西はSuchmosの活動もあったり音楽活動が各々ある中で。無理なく音楽の楽しいところだけをやると言ったらちょっとわがままかもしれないけど、今のOLD JOEのモチベーションって結構そういうところにあるような気がしてて(頷く河西)。最も自分本意的というか、(未来は)どうしようみたいなこととはちょっと遠くのところにいるバンドと言うか。だからこそ、こんな形でもバンドってできるぜみたいなことを伝えたいとは思ってて。
河西 うんうん、マジでそうだね。俺と大内は頻繁に会ってるけど、亀山(拳四朗/Ba)、真田としょっちゅう会ってるかというとそうじゃない。昨年末にOLD JOEが作ったCDやグッズをEC販売してたんですけど、発送作業はすべて亀山の家でやってて。本当にしょーもない話をしながらの時間って結成した高校時代から変わってなくて、やっぱりいい時間ですね。自分たちで“いい時間”なんて言うのもあれだけど(笑)、今回のツアーの話もそこで生まれた話ですし。
──大内さんが“大事な解散”とおっしゃるのも分かる気がしてきました。言葉尻をかっちり考えすぎてるのはわたしのほうなんでしょうね。
河西 でもある意味、雑な作文で俺らにしか分からないような表現ですよね。俺と大内は特にそういう遊びが好きなタイプなんで(笑)、敢えての。
大内 まぁ大喜利みたいなもんですよね(笑)。それでちょっと楽しんでもらえたりもするのかなとも思ったり、もう少しこじつけて言うと、身の周りで解散してるバンドもだいぶ多くなってきて。解散してもうやらなくなったり、もう少ししたら再びやりそうみたいなバンドも出てる感じもある中で。このぐらいでやってるバンドがいると、またできやすいんじゃね?(笑) とは思ったりします。
河西 我々は我々がやってる音楽のことしか分かんないけど、みんな違うし、みんなすげぇなって思ってるんですよね。Hedigan’sとして4月に、踊ってばかりの国と対バンしたんですけど、オリジナルメンバーはもうボーカルの下津(光史)くんしかいなくて。ゆうに15年以上活動してる中で多分、休止とか解散みたいな表現で動きが止まったことって一度もなくて。そういうバンドもいれば、それこそa flood of circleがそうだと思いますけど、わりとメンバーが流動的な時期があっても止まらずにやってて。かたや俺らは別にメンバーが欠けるとかではないけど解散っていうのを選んだバンドで。みんな違うなっていうだけの話ではあるんですけど、それってすごく良いことだなと思うんですね。あんまり決まりがない感じというか。
──河西さんが今おっしゃった言葉の通りで、受け手側がバンドに対して持っている勝手な考えに過ぎないのだと。そういう意味では前回のインタビューでOLD JOEはバンドの精算も自分たちでやってギャラも手渡しといった話を伺いましたけど、そのスタンスは変わらず?
河西 変わらずですね。今ツアーでもそれを踏襲する形で取っ払いみたいな感じになると思います。しかし、令和8年に“取っ払い”なんて言葉は使わないですよね(一同笑)。でも粋な言葉だなとも思いますよ。
大内 自分らでお金を触ってると、よく分からないところにお金を持っていかれないというのは本当に気持ちがいいことです(一同笑)。なぜこれが抜かれているんだろう? みたいなことは多かったりするからね。
河西 確かにね。それは自分たちが楽できるっていう意味でもある、でもメッチャ言い方が悪いけど、やっぱり搾取構造の中にはいるんだなっていうのを思うしね。
──令和のこの時代、音楽のみならずバンドマンとしての姿もカッコいいなと思ってます。では最後に、今回のワンマンツアーに向けた思いを伺いましょう。
河西 今回は全公演、車で移動するんですよ。地元の友達がデカい車を持ってるから車を出してもらって、メンバー4人とその友達と5人で移動しながらの旅になるんで、古式ゆかしきバンドワゴンでの旅を満喫できたらなと思いますね。ライブは全部ご褒美のようなものと思って、ステージに立てたらいいなと思ってます。
大内 ツアー行程はちょっとゆとりを持って組んでいるので、ちょっと観光でもしながら帰ったりできるかもな、とか思ってて。ツアータイトルにも込めたんですけど“バカンス”だし、いろんな土地を移動して旅をして、設営をしてライブをやって片付けして帰る、ということすべてを楽しんで覚えておこうと思います。自分らの思うがままに音楽をやるということも贅沢な行ないなので、優雅に全力で過ごさせていただきたいと思います。
──ではリクエストとして、あまり更新されないSNSもバンドワゴンから更新してくれたら嬉しいです!(笑)
大内 あ、すみません!
河西 そうですね、ツアー中はそういったところも頑張ろうと思います。
──もう一つリクエストとして、ツアーをやったら音源も作ったらいいじゃん! と欲張りにも思っちゃいました。
河西 まだぼんやりとですけど、「次に録るとしたら」みたいな話とかはしてまして。来年以降の話になるかも分かんないですけど、もしかしたら制作物を作ることもやりたいなとは思ってますね。
大内 今年、リリースを伴わなかったの一つは単純に、スケジュールが限界を迎えていたからで、(ツアーかリリースの)どちらかだねっていう感じだっただけなので。
河西 この先はどちらもある、そんな年もあるかもしれないですね。
SHINJUKU LOFT 50th ANNIVERSARY『OLD JOE tour 2026 “one-man vacance”』
【出演】OLD JOE
【日程】2026年8月18日(火)
【時間】開場18:00 / 開演19:00
【チケット】前売¥5,000(ドリンク代別¥600)
THANK YOU SOLD OUT!!
※当日券の販売はございません
【会場・問い合わせ】新宿LOFT 03-5272-0382
東京都新宿区歌舞伎町1-12-9 タテハナビルB2F
▼OLD JOE オフィシャルInstagramアカウント
https://www.instagram.com/old_joe2008/
▼OLD JOE オフィシャルXアカウント
https://x.com/OLD_JOE_Info
▼OLD JOE オフィシャルSNSリンク
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