クボケンジ(メレンゲ)×兼丸(the shes gone)

“きらめく”というワードとポップな音楽性が共通する両バンドが50周年を迎える新宿LOFTで“夢の対決”

LOFTの50周年公演でもあるし、自分たちのやってきたことをちゃんとやりたい(クボ)/the shes goneというバンドはこういうのが好きなんだと音楽で分かってもらえる日にしたい(兼丸)

これまで何度も素晴らしい顔合わせが実現してきた『DREAM MATCH』。8月27日(木)はthe shes goneとメレンゲが出演し、新宿LOFT50周年アニバーサリーの冠も付く形で『DREAM MATCH』が開催される。両バンドのフロントマン・クボケンジ(メレンゲ/Vo, Gt, Syn)と兼丸(the shes gone/Vo, Gt)は7月に『DREAM MATCH 2026 SIDE STORY』と題し、バンドでのツーマンの前哨戦として弾き語りでのツーマンに挑んだが(@LOFT HEAVEN)、その際に行なった2人の対談を通してクロスポイントがいくつも存在していることがわかった。スタート時こそ言葉少なめで進んでいたものの、『DREAM MATCH』の仕掛け人・樋口寛子(新宿LOFT・ブッキング担当)が加わり進むうちに……双方のファンがどちらの音楽も楽しめる日になるのは間違いない今回の『DREAM MATCH』、夏休み最後は新宿LOFTに集合!(Interview:高橋ちえ)

新宿LOFTはやっぱり人の繋がりが大きい場所(クボケンジ)

──今回の『DREAM MATCH』が決まった経緯から伺っていきましょうか。


兼丸 the shes goneが今年でバンド結成10周年なんですけど、「LOFTも50周年のアニバーサリーだし、一緒にやってみたい人はいない?」といったお話が樋口さんからあったんですよ。


樋口 the shes goneとは本当に久々に再会したんだよね、それで会話も盛り上がってね!


兼丸 LOFTは名だたる先輩たちがいるし、僕らがやってみたい先輩方とできたりするのかなと思って「メレンゲとかは……?」って名前を挙げたら、ぜひぜひと言ってくださって。


クボ 嬉しいですね。そうだね、新宿LOFTは50周年だし、もともと(メレンゲは)LOFTからCDを出してたんでね。


樋口 2000年代初期にLOFTで「SONG-CRUX」というインディーレーベルをやっていた時に私がレーベルの担当者で、ご縁があったバンドの一つがメレンゲで。あとはフジファブリック、音速ラインの作品をインディーズとして取り扱っててね。だから新宿LOFTのいち出演者と言うよりは、レーベルアーティストとしてのお付き合いが長くて。


兼丸 そうか、そうなんですね。


クボ それで樋口さんとも繋がってたし、LOFTはアマチュアの時から一番よくやらせてもらえてた場所で。2000年代の初期って、おいくつぐらいでした?


兼丸 僕が5〜6歳の頃ですね。


クボ よくこの音楽にたどり着いてくれたね!(一同笑)


兼丸 お邪魔します!(笑) 僕のターニングポイントの一つに、『ゲゲゲの鬼太郎』が大好きでアニメ(第5期)を見てた時のオープニングで「スターフルーツ」(2008)が流れてきまして。


クボ はいはいはい、そうなんですよ。


兼丸 その時はメレンゲ(の音楽)っていう意識もないし、「スターフルーツ」もテレビ尺でしか知らなかったんですけど、僕が中学生ぐらいの時に新垣結衣さんが曲を出されて。“好きな人がカラオケで歌ってる声”じゃないですけど(笑)、新垣結衣さんが歌っている声が好きになって。「heavenly days」(2007)とか、その後のシングルで「うつし絵」(2009)とか、アルバムも聴いてて。高校生ぐらいから音楽をやるようになってCDのクレジットというものを見るようになるんですよね、そしたら“クボケンジ”って書いてあって。でもクボさんとメレンゲがまだ繋がってなかったんですけど、メレンゲの「スターフルーツ」が入ったアルバム(『シンメトリー』/2009  ※「heavenly days」クボケンジ・セルフカバーを収録)を聴いた時に“あれ?”って(笑)、どうりで好きなわけだって繋がっちゃって。


クボ 音楽を好きになる時ってそういう奇跡の連続なんでね、僕も大体そうですし。でもやっぱり、そういう話を聴くと嬉しいですね。


──音楽ってやっぱり世代を超えるのですね。クボさんとLOFTの繋がりが深いのはご存知な方も多いとして、兼丸さんは?


兼丸 バンドを始めたての時、さっきも話が出たメレンゲやフジファブリック、スピッツとかハードロックやパンクじゃなくちょっとポップな要素も入ってるバンドの登竜門として新宿LOFTがあったので、頑張って出たいなと思って。樋口さん経由でオーディションやイベントに出させていただいたことが(現在所属する)UK.PROJECT所属前にありまして。『TEEN’S MUSIC CAMP』とかでデモ盤を置いたり物販もまだCDのみ、みたいな感じでLOFTに出てました。


クボ ギリギリCDとかも置いてる世代だったんだね。僕が初めてLOFTに出たのは23〜24歳ぐらいだったのかな。LOFTとはそれこそCDを作るところから一緒にやってたし、亡くなってしまったけど前のLOFTの社長・小林(茂明)さんもいろいろと気にかけてくれたりして。LOFTに関して言うとやっぱり人との繋がりが大きい場所ですね、それこそ志村(正彦/フジファブリック)と仲良くなったのもLOFTでしたし。


樋口 メレンゲとフジファブリックは同期だし、ライバルでもあったし仲間とも言うか。なかなかに青い時代でしたよね。


兼丸 “人との繋がり”というクボさんのお話で言うと、あの当時は(打ち上げで)終電を逃したり、みんなガラガラ(=機材を乗せたキャスター付き台車やスーツケース等)を引いてJR新宿駅まで行くっていうミッションが絶妙で(笑)。まだ飲んでみんなと仲良くなりたいし、ってお酒も教えてもらったような気もしますし、あそこで初めて酒を介してバンド仲間ができたなと思ったりしますね。


クボ 僕はお酒は飲まないけど、ライブが終わったら仲の良いバンドとLOFTに残ってね、喋ったり。

──兼丸さんがメレンゲの音楽に触れてきたのが分かったところで、クボさんから見た兼丸さんの印象も伺いたいですね。


クボ 声がね、もう本当に羨ましい声質だなという感じですね。透明感のある声で、自分もそういうのを目指してるし、うん。やっぱり声がね、素晴らしいんじゃないかな。


兼丸 (謙遜しながら)でも逆に、僕のような声質の人間からしたらクボさんの声質には“救い”と言うか……何て言うんでしょう、もともと自分は姉の影響もあってバンドというものはL’Arc〜en〜Cielから入ったんですよね。でも(自分が歌う声が)合わないな、とか思ってる中で、クボさんであったりフジファブリック、SEKAI NO OWARIとか。そういうポップス・ポップな要素を持った声の人たちがバンドでちゃんとやってて、それで「バンドをやってもいいんだ、歌ってもいいんだ」みたいに思って。自分の声に合う方法であったりバンドサウンドというものに出会わせてくれまして。


クボ でもそれは一緒かも、そういう感じで自分の声に合う音楽性の居場所はやっぱり考えないとね。それこそ僕が高校の時も例えばBOØWYとか、やっぱりものすごい声質の強い人がいて。こんなふうにはもう到底なれない、っていうところでその抜け道みたいなものを探してましたよね。自分の声ってさ、もともと好きじゃないよね?


兼丸 はい、まず喋り声があまり好きではなくて。


クボ ね。好きじゃなくて、(自分の声を)録音した時に「なんじゃこれ?」ってやっぱ、思うんですよね。それで「自分の声に合うもんは何なんだろう?」みたいな感じで。そう思ってるボーカリストは多いと思いますけどね。自分の声を聞くとやっぱ、最初は落ち込みますよね(笑)。


兼丸 確かにそうですね、こんな声してるんだみたいな(笑)。ラルクの(コピーをしている)時はもう、ただの真似でしかなかったと言うか。


クボ 僕からしたらあれだけすごい声量があったりする人が羨ましいしね。歌が好きでも、どうやったらいい感じに聴こえるんだろう、って。ジャンルとかサウンドとか、やっぱりいろいろと考えましたけどね(頷く兼丸)。


兼丸 他者の歌やカバーになると自分の歌声ってやっぱりあんま好きじゃなくて。コピバンをしてた時も、人の歌詞だから覚えられないし本人よりも気持ちも込められない。だったらオリジナルをやってみようかな、って僕はなりましたね。自分の曲だから聴けたり、こう歌いたいなっていう気持ちが出てきて。


クボ 僕はコピーは(バンドとしては)ちゃんとやってないですね、オリジナルからなんですよね。


兼丸 そうなんですか!


クボ 高校の時に友達とカラオケに行ったりした時に歌うのとかは好きでしたけど、じゃあカバーバンドでやる、っていうのはそんなに長く続かなかったですね。


──ボーカリストならではのお話、面白いですね。ちなみに、お2人がカラオケに行ったら歌う曲とは?


クボ 僕が中学の時に亡くなってるし、(世代的に)ちょっと上ですけど、尾崎豊が好きですね。


兼丸 僕は(声質が)合わないと言いつつも、カラオケに行ったらやっぱりラルクの「HONEY」(1998)です。歌うこと自体は好きだし、一人カラオケで(笑)。

音楽のバックボーンをちゃんと知ってもらえる日に(兼丸)

──この対談は、弾き語りツーマン直前の楽屋で行なっております。


クボ 僕は今、緊張してますよ。弾き語りがあんまり好きじゃないから(笑)。


兼丸 そうなんですか?


クボ と言うより、バンドのほうが楽じゃん。


兼丸 そういうことですね、同じ心境で良かったです(一同笑)。でもそれでクボさんの音楽を好きになった理由がちょっとずつ紐解けてきたと言うか、クボさんってソロじゃなくて“バンドが好き”っていうのが先行なのかなと。僕も最初っから弾き語りでソロでシンガーソングライターでやりたいって思ったことがないですし、バンドがやりたくて、みたいなところがあったので勝手に通じました(笑)。僕はやっぱりバンドというものが先にあって、バンドに頼ってる自分であったり、バンドで歌っている自分が好きっていうのがあるので。


クボ うん、バンドが好きで続けてるのはやっぱりありますね。でも本当は僕は、CDを聴くのが好きな人で。そもそも打ち込みからスタートしてるし、もともとはライブを想定して曲を作ってなかったんですよね。


兼丸 そうなんですか!


クボ 人前に立つのはまた別の話で、曲は作りたいからっていうので音楽を始めて。でも音楽をやるとやっぱりライブをしなきゃいけないと言うか、今の世の中は逆にライブをやらないとダメじゃないですか。確かにバンドは好きなんですけど、もともとはCDが売れさえすればライブなんてほとんどしない、っていうぐらいの気持ちで(笑)スタートしたんですよ。


兼丸 いや確かにそれはあるんですよ、曲を作るのと実技は別なんで。僕もコンポが家にあってCDを聴いて、それでもう感動してましたし。だから10代の頃はライブハウスにバンドをバンバン見に行くこともなかったし、音楽は家で聴いて感動してましたね。


クボ あぁ、そう! へぇー! 僕は兵庫で、まぁ(大阪)梅田まで出ればライブハウスとかもありましたけども、10代はなかなかライブにあんまり行ってなかったですね。バンドをやってる人間にしては珍しいほうだと思いますね(笑)。


兼丸 僕もちゃんとバンドをやる直前ぐらいに初めてライブハウスに行きました。金欠だから小遣いの中でいっぱい試聴して、4枚まとめて1000円とかで安く借りられるCDの中からインディーズバンドを探したり、っていうインドアな人間で(笑)。


クボ でもライブってね、やったらやっぱり楽しいですし、うまくいったら楽しいんでね。でもそもそも何て言うんだろう、学生時代にみんなの人気者みたいなポジションじゃなかったし、教室でみんなを率いてよく喋ったタイプとかじゃないし。やっぱり苦手は苦手ですよね、人前とか人が多いところとか。人が多いところに今もそんなに行かないですしね。


──ちなみにミュージシャンがよく「モテたくて音楽を始めた」と言ったりしますけど、お2人は?


クボ それは、もちろんあります(一同笑)。


兼丸 ライブとかでは言わないですけど、みんなありますよね。モテたいかモテたくないかで言ったらやっぱモテたいですよ、バンドマンなので(笑)。僕は学生時代にモテた記憶というのはゼロだし、the shes goneというバンドの名を借りてですが、ハッとされたりすることがあるとバンドをやってて良かったなって思いますよ(一同笑)。ここぞとばかりの恩恵で。


クボ もちろんね、そういうのはあるでしょうね。バンドの名を借りてね。

──バンドマンとして共通することも見えてきたところで。8月27日の『DREAM MATCH』ではバンドでのツーマンです。「特別な空気感と感情の往来をぜひ体感してください」と紹介されているこの日、どんな1日にしたいでしょうか。


兼丸 メレンゲのお客さんに“はじめまして”をお伝えする場で持って行きたい楽曲は頭の中では決まってるんですけど、バンドだからこそ(言葉で)言わなくともメレンゲのこの曲が好きなのかなっていうのを感じてもらえることを一番のミッションに。メレンゲが好きな人にもちゃんと、the shes goneというバンドはこういうのが好きなんだ、って音楽で分かってもらえる日にしたいというのがありますね。


クボ バンドの編成って4ピースで、キーボードとかは入らない?


兼丸 入らなくて、何曲かだけシーケンス(=同期)で。ステージ上では4ピースでやってますね。


クボ 基本的には僕らはツーマンとかイベントでは鍵盤までは入れないんですけど、この日はキーボードも入れて、5人(編成)でちゃんとやろうと思ってます。その日はそういうふうに一緒にやれるのもあるし、LOFTの50周年(アニバーサリー公演)でもあるし。自分らのやってきたことをやっぱりちゃんとやりたいな、って。


兼丸 うわー、豪華! 嬉しいですね、あの……せっかくのLOFTでのライブの前に話したいことがありまして。メレンゲバージョンの「うつし絵」ですけど、ギターロックでスライドバー奏法とかも入ったりして、僕がバラードを作る上でこの曲が絶対に指標の中に入ってくる1曲で。そういうサウンドを取り入れたいと思って作った楽曲もあるんですよ。


クボ そうなんだ、嬉しいな。


兼丸 あと、メレンゲの「きらめく世界」(2004)っていう曲。これは僕の中でいちばん好きな夏の曲のイメージなんですよね、僕のイメージなので夏なのかは分からないですけど、音としては。


クボ おぉ〜、いいね!


兼丸 僕らが書いた曲で「きらめくきもち」(2023)っていう曲があるんですけど、僕の中で“きらめく”って、メレンゲの「きらめく世界」の“きらめき”だったんですよね。だから楽曲の中身はもちろん違うんですけど、タイトルはその影響を受けて平仮名で。なのでそういう部分もthe shes goneのお客さんにも見て聴いてほしいなと思ってて。僕は本来、自分のバックボーンとかを出すのが好きじゃないんですけど、誰しも自分の親であったり周りから影響を受けてるはずだし、こと今回に関しては自分のバックボーンを知ってもらいたいっていう気持ちがすごいあって。だから僕らのその曲はちゃんと持っていきたいですし、言わせていただけるとすれば、僕は2バンドの中に“きらめく”っていうワードがあると思うんですよ。


クボ うん、あるね。


兼丸 ロックの鳴り方やギターのキラキラしてる鳴り方みたいな、そういう何かを……(照れながら)お客さんには体感してほしい、っていうのがすっごいあります。弾き語りで「きらめくきもち」はできないですし、「きらめく世界」にしてもサウンド的にバンドならではのキラキラが入ってると思うので。


クボ 確かにサウンド的に「きらめく世界」は(弾き語りで)できないからね。この曲も今、ぜひやりたいなと思いましたね。うん、やろうやろう! 「うつし絵」のほうもどうしようかな、当日までに考えておきます。


兼丸 ありがとうございます! LOFTでのライブ、楽しみです。よろしくお願いします!


クボ こちらこそ!

SHINJUKU LOFT 50th ANNIVERSARY『DREAM MATCH 2026』

【出演】
the shes gone
メレンゲ

【日程】
2026年8月27日(木)
【時間】
開場18:15 / 開演19:00

【料金】
《前売》
一般¥4,500 / 学割(20歳以下)¥2,000
※いずれもドリンク代別¥600
※学割はLive Pocketのみ
《当日》
¥5,000
※ドリンク代別¥600

ぴあローソンイープラスにてチケット発売中
※お一人様2枚まで
※入場順:①e+(プレ)②学割同時 ③各プレイガイド並列入場 ④当日券、ゲスト
※Live Pocketにて学割割、限定販売有り(公演日当日20歳以下が対象になります)。当日、LOFT受付にて年齢が分かる学生証、保険証、マイナンバー等、年齢証明ができるものをご掲示の方のみ対象に入場可能

【会場・問い合わせ】
新宿LOFT 03-5272-0382
東京都新宿区歌舞伎町1-12-9 タテハナビルB2F

▼the shes gone オフィシャルサイト
https://theshesgone.com/
▼メレンゲ オフィシャルサイト
https://merengue.info/
▼SHINJUKU LOFT 50th ANNIVERSARY オフィシャルサイト
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft/50th

INTERVIEW LIST
LOFT
TADANORI YOKOO