Monthly Free Magazine for Youth Culture
ROOFTOP 2006年5月号
puli

“偶然に出会った仲間達”と共に作り上げた音の宝石箱のような会心作

群を抜いて良質なメロディとタイトで躍動感溢れるリズム、研ぎ澄まされた緻密な作りの巧妙なアレンジ。単独作としては1年8ヵ月振りとなるpuliの10曲入り2ndアルバム『fellows met by chance』はそのいずれもが一段とスケール・アップした豊饒な作品である。絡み合うツイン・ギターのアンサンブルの妙、甘美で清々しいコーラス・ワークはより洗練され、徹底して作品の細部にまでこだわり抜こうとするバンドの強い意志を感じる。いたずらな偶然がpuliのもとへたぐり寄せた至高の楽曲、コーラスにも参加している愛すべき盟友達、彼らを支えるスタッフ、そして何より彼らの音楽を愛してやまないファンの存在。puliを取り巻く“fellows”の手厚いバックアップのもと、彼らは音楽への揺るぎない信念を貫くべく歩を進めるのだ。(interview:椎名宗之)

バンドをやることの責任感が増してきた

──前作『repaint our dwelling』から1年8ヵ月振りのリリースなんですが、不思議とそれほど間が空いてない気がしますね。

青島亜良(vo, g):そうですよね、そんなに空いてる感じがしないですね。でも実際は空いてますよね。

──1stアルバムは凄く聴き応えがあって、個人的に未だに日常的に聴いているせいもあるのかなと思ったんですけど。今度の2ndアルバムは、前作に比べてバンドの一体感とライヴを想起させる生々しさがより際立っていますね。

青島:多分、1stとの違いはそこだけじゃないですかね? 端的に言えば。1stを出してから1年8ヵ月バンドをやってきた継続の中で出てきたものがライヴ感や一体感だったんじゃないですかね。続けてきて良かったって言うか、そういうのは継続の賜物なんでしょうね。続けていればバンドはどんどん巧くなるだろうし。

──ライヴの向き合い方も、この1年8ヵ月で変わってきましたか?

奥脇雄一郎(ds, cho):基本的にはそんなに変わってないと思いますけど、前よりもちょっとずつ責任感が増してきた気はしてますね。バンドってやっぱり趣味の延長線上にあるじゃなですか? やりたい時にやって、やりたくない時にはやらない。でもお客さんからお金を頂いてやってる部分もあるわけで、そういう意識がみんなの中で大きくなってきた気はしますよ。だからって演奏を完璧にできるかと言えば、決してできてないんですけどね(笑)。

藤本 篤(b, cho):単純に今はいい曲が出来てきてると思うんで、それをより良く聴かせるためにはしっかり演奏しなきゃな、と。強迫観念じゃないけど、それはライヴをやればやるほど感じますよね。

──リリースのタイミングとしては、“ぼちぼち次のアルバムを出したいな”っていうところから?

青島:そうですね。危機感はずっとあったと思うんですけど。このままノンビリやってたらいつまで経っても出せないんじゃないかな? と思ったのは、録り始める直前ですね。そこからは結構詰めて、みんなで「早くやろう」って作業を進めて。

──じゃあ、出すと決めてからレコーディング期間もそれほどなかったですか?

青島:それ相応にはあったけど、自分達的にはなかったですね。切羽詰まって追い込まれてやるのは自分にはできないと判ってますから、ある程度余裕を持って。サボってる時間もなく、ずっと集中してやってましたよ。何回も何回も考え直したりもしたし、1枚アルバムを作るには相変わらず相当な時間と労力は掛けてます。

奥脇:録りだけで2週間、そこからミックスとマスタリングで全部で1ヵ月くらい掛かったのかな。

青島:曲は去年のうちに全部作り終えて、1月中はそれを固めるために練習をし続けて、2月頭からレコーディング。それくらいやらないとイヤなんですよ。スタジオで最後の最後まで曲を作り続ける人もいるけど、それだと味が出てこない気がするんです。演奏をやり込んで作ったものと、出来たものをただ演奏するのとは全然違うと思うんで。歌だって唄い込めば間違いなくそれだけ良くなるし、後で後悔したくないなと思ったんですよ。

──それは1stを作った後の反省点として?

奥脇:少しありますね。ライヴのほうがいい曲も中にはありますから。

──ツイン・ギターの調和が前作よりもさらに洗練されているのも、今作の大きな特徴のひとつですね。

奥脇:ギターに関しては、亜良が家で必死こいて作業を煮詰めてましたからねぇ。

藤本:大変だと思いますよ。レコーディングの時は見る見る痩せますからね。ホントにちっちゃくなっていくんですよ(笑)。

奥脇:まぁ、俺達から見ても凄く緻密な作りに感じるくらいですからね。

青島:ゆったりとした、大きいスケールが余り好きじゃないんですよね。UKモノとか聴くのは好きなんだけど、自分でやるならもっと詰めてやりたいんですよ。そうやってアレンジをやっていくと楽しくなっちゃって、どんどんどんどん詰めたくなっちゃうんですよね。そこは1stの時にやりすぎってくらいやっちゃったので、手は込んでるけどスッキリしてるものを今回は目指したんです。

──情報量の多さばかりでなく、適度なのりしろの部分があるからこそサラッとしていて何度でも聴ける作りになっているんでしょうね。

青島:コンセプトみたいなものは全くないんですよ。どういうものにしようかって形は何も見えてないし、そこまで器用じゃないんですよね。どういう曲を書きたいかっていうのはあるかもしれないですけど、それだって偶然の産物だろうし。それがすべて集まった時にこうして1枚のアルバムになったっていう感じなんです。

藤本:そういう基本は何も変わってないんですよね。亜良君が前にやってたバンド(papillon)からの延長でもあると思うし、メロにクセのある感じは根本的に変わってないし。ギターのアレンジは表現力が以前よりも増-?したと思いますけど。

──それと、青島さんのヴォーカリストとしての表現力も格段に増した気がするんですけれども。

奥脇:それは単純に録り方とか、今度のアルバムではギターの本数をそんなに入れてないとか、そういうのが関係してるんじゃないですかね?

青島:俺の歌が巧くなったっていう選択肢はないのかよ?(笑)

奥脇:ああ、それは全然考えてなかった(笑)。

青島:今回、ヴォーカルはかなりこだわって取り組んだつもりなんですけどね。決してテクニックとか小手先に走らない、それこそ“魂の叫び”みたいな。

奥脇:ウソつけよ、オマエ。今初めて聞いたよ(笑)。


今度のアルバムは張本勲なんです

──曲やアルバムのタイトルに敢えて大きな意味を持たせないのがpuliの流儀ですから、今回の『fellows met by chance』も“偶然に出会った仲間達”という言葉以上の意味は希薄なんでしょうか?

青島:いや、今回は割と意味がありますよ、申し訳ないですけど(笑)。音楽をやっていく上で必要なもの、生きていく上で必要な事柄と言うか。アルバムだったら曲ですね。今回、何とか10曲出来たけどホント作る時は大変だったし、何が何だか訳が判らなくなったりもしたんですよね。それが偶然にも形になって。“fellows”って人を指すけど、曲にも言えることだし。バンドやるんだったらメンバーが必要だし、音源を出すならレーベルの仲間が必要だしね。今はたまたまそういう環境に身を置けているけど、それが当たり前のことと思わないで、ちゃんと有り難いと思いながら生きていける人間になりたいと思ったんですよね、もういい加減に(笑)。

──そんなにちゃんとした意味合いがあったんですね、失礼しました(笑)。

青島:まぁ、7割方は後付けですけどね(笑)。実は、セルフタイトルにしようかギリギリまで迷ったんですよ。自分達にとってもアルバムの中身に相当な手応えがあったからこそ、セルフタイトルで行こうって最初にみんなで決めてたんですけど、最後の最後になって、誰にも相談しないで俺が勝手に変えたんですよね(笑)。今回のアルバムをセルフタイトルにしたら、じゃあ1stは何だったの!? って話になるじゃないですか? それは違うんですよね。1stだって今回のと同じくらい気に入ってるし、どっちが好きっていうのはないんですよ。だからこの先もセルフタイトルの作品っていうのはないでしょうね。

──本作にはASPARAGUSの渡邊忍さん、SHORT CIRCUITの原直央さん、polyABCのコバヤシノリコさんをコーラスに迎えて、コーラス・ワークの美しさにも更に磨きが掛かっていますね。

青島:そうですね。僕の尊敬するヴォーカリスト達に参加してもらって、みんな当社比170%の力を発揮してくれましたよ(笑)。忍君が「70%くらいの力でやってあげるよ」って言ってくれて、“70%も出してくれるの!?”って喜んでたんですけど(笑)、結果的には170%の力を出してくれたから良かったですよ。

──忍さんも、原さんも、コバヤシさんも、さっき話に出た“fellows”ですし。

青島:そういうことですよね。かなりフェロってますよ。って、もはや英語でも何でもないですけど(笑)。まぁでも、彼らには何らかの形で参加してほしかったんですよね。音楽をやり始めた頃からの付き合いだし、あの人達がずっと頑張ってなかったら自分は今も音楽をやれてないと思うんですよ。そういう意味では凄く影響を受けてるし、今回一緒にやれてホントに良かったと思ってます。

──puliの音楽は、1曲の中にトラップが幾つも張り巡らされていると思うんですよ。中毒になるツボが実は随所に隠されていると言うか、そんな巧妙さが今度のアルバムでまた一段とスキルアップしている印象を受けたんですよね。

青島:そう言ってもらえると凄く嬉しいですね。時間を掛けて丹念に作った甲斐がありますよ。曲作りの時も、ライヴで演奏する時も、相当神経を擦り減らしますからね。演奏の中で気の休まるところが全くないですから。

奥脇:ないね。ちょっとしくじっただけですぐにバレて置いてかれちゃうんですよ。曲の完成度が高いぶん、自分の演奏力の高さもそれ相応に求められるんです。まぁ、それほどのバカテクを持ったヤツはいないですけどね。

青島:バカなヤツは単純に多いけどね(笑)。ライヴは音源と全く同じことをやるんじゃなくて、音源に対して違う形でここまで表現するっていうのをこだわってやってるつもりなんです。だからやっぱり気が休まらない(笑)。

──まだまだ精進の身である、と。

青島:もちろん。このスタイルはこれからもずっと変わらないですよ。向上心がある限りは終わりがないですからね。

──アルバム完成と同時にギターの堀川(晃一)さんが脱退されたのは残念でしたけど、今回のリリースを機に新たに宮本(雄樹)さんが正式加入されて。

青島:宮本はまだ19歳-?で、俺の地元の八王子にあるライヴハウスによく出てたんです。ちょっと俺達とは畑の違うバンドをやってたんですけど、いいギターを弾くなと前から思ってたので声を掛けて。俺のギターとの絡み具合も結構いいんですよ。是非一度ライヴを観てほしいですね。

──1st以上に曲の粒が揃った2ndの曲が、新生puliのライヴでどう披露されるか楽しみですね。

青島:自分の中の勝手なイメージなんですけど、今回のアルバムは完全に張本(勲)なんですよ。

──え?(笑) では1stは?

青島:(ランディ・)バース。

奥脇:判んねぇなぁ……(笑)。

青島:今度のアルバムは、車で言うとフィット(5人乗りスモールカー)かな。利口で何でもできるじゃないですか? 外観はちっちゃいけど中は大きいし。ミニバンですよ、ミニバン。1stはダッチとかのアメ車ですね。何か特大ホームランみたいなイメージがあって、だからバースなんですよ。それに比べて今回は絶対に滑らないって言うか……。

奥脇:イチローだ。

青島:だから張本だって言ってるじゃん(笑)。

fellows met by chance

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Live info.

fellows met by chance TOUR
6月17日(土)八王子RIPS
7月15日(土)甲府KAZOO HALL
7月16日(日)熊谷HEAVEN'S ROCK KUMAGAYA VJ-1
7月22日(土)横浜F.A.D
7月23日(日)千葉LOOK
8月26日(土)仙台PARK SQUARE
8月27日(日)水戸CLUB SONIC
9月8日(金)名古屋HUCK FINN
9月9日(土)大阪FANDANGO
9月10日(日)神戸BLUEPORT
9月16日(土)下北沢SHELTER

LAST ALLIANCE "DAZE&HOPE TOUR 2006"【w/ LAST ALLIANCE and more...】
6月8日(木)宇都宮HEAVEN'S ROCK UTSUNOMIYA VJ-2
6月10日(土)仙台RED HOUSE
6月11日(日)盛岡club change
6月21日(水)新潟 CLUB JUNK BOX mini
6月22日(木)富山SOUL POWER
6月24日(土)福井 CHOP
6月25日(日)名古屋HUCK FINN

「3P3B MEETING CAPRICE FINAL」SHINJUKU LOFT 30TH ANNIVERSARY ROCK OF AGES 2006
7月5日(水)新宿LOFT
w/ SHORT CIRCUIT / ASPARAGUS

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