2018年12月

10(月)

OPEN 18:30 / START 19:30

会場費:前売¥1,500 / 当日¥1,800(税込・要1オーダー500円以上)
当日券アリ!! 開場後、店頭にて販売いたします!!

【出演】
神戸金史(RKB毎日放送 報道制作局次長 兼 東京報道部長)
松崎まこと(映画活動家・放送作家)
【ゲスト】
安田菜津紀(フォトジャーナリスト)

客観性が求められる報道の世界で、取材者が自分の立場を明らかにして1人称で語る物語は少ない。やもすれば、「内輪からできること」と軽視され、「突っ込みが甘い」と批判されかねない。

福岡市にある民放・RKB毎日放送の神戸金史(かんべ・かねぶみ)記者が制作したドキュメンタリーは、取材対象が家族であったり、親友であったりと、非常に近しい存在を題材にしたものが多い。身近な「半径1m」を描いたドキュメンタリーを上映し、表現の問題点を語り合う勉強会を開催いたします。

【上映作品】
★Youtube『障害を持つ息子へ』(9分/2017年)
日本医学ジャーナリスト協会賞 大賞(メディアミックス部門)2018年

◆津久井やまゆり園事件で、インターネット展開した表現

≪日本医学ジャーナリスト協会賞受賞理由より≫
46人が殺傷された津久井やまゆり園事件。「障害者がいなくなればいいと思った」という供述がくりかえし報じられた。耐えられなくなった作者は、Facebookに書き込んだ。

「私は思うのです/長男がもし、障害をもっていなければ/私たちはもっと楽に暮らしていけたかもしれないと」に始まり、「あなたが生まれてきてくれてよかった」と結ばれた1000文字は急激に拡散し、これを採り上げたニュースの動画は1万3000回以上シェアされた。他にも数多くのラジオや新聞が紹介し、英語と中国語にも訳された。

父・母・弟が初めて合作した本『障害を持つ息子へ 息子よ。そのままで、いい』(ブックマン社)を出版。さらに、詩に曲が付いたのを契機に、障害のある家族の写真を募集、「わが子たちには名も顔もある」というメッセージの動画を制作、YouTubeで公開した。

拘置所の植松聖被告と4回面会し、テレビやラジオ、雑誌などで伝えている。また、以前に自分の家族を撮った番組『うちの子 自閉症という障害を持って』をニュースサイト上で無料公開したことで、植松被告や多くの人々が知的障害や自閉症に抱いている先入観が壊されている。これまでにないメディア横断的な活動に、協会賞に新たな部門が設けられることになった。

★『シャッター 報道カメラマン 空白の10年』(75分/2014年リメーク)
「地方の時代」映像祭2013 選奨

◆震災後のメディアのあり方を考える長編ドキュメンタリー

2003年のイラク戦争に、日本の新聞社から特派された36歳のカメラマンがいた。戦争取材を終え、日本に帰ろうとした時、持っていた金属片が空港で突然爆発、6人が死傷した。道端で拾った金属片を、男はバッグに入れて取材を続けていた。金属片は、クラスター爆弾だった。前代未聞の不祥事は、世界中に伝えられた。新聞社を解雇された男は、その後、海外をさまよう。

番組ディレクターの私は、元は新聞記者。男とは同期入社だ。「あいつの写真には心を打つ何かがある」と、以前から思っていた。被写体の心に近寄りすぎるほど近寄り撮影する彼が、なぜ大事件を引き起こしたのか? 当時の上司が、重い口を開いた。

男は、罪の意識から捨てたカメラを、今少しずつ手に取るようになってきた。「写真をなぜ、何のために撮るのか?」。友へ向ける質問は、必然的に「私は、なぜ友の過去の罪を撮るのか」という自問へとつながった。
「人に伝える」こと、「報道する」こととは、本来どういう行為なのだろう。

【登壇者プロフィール】
★神戸金史(かんべ・かねぶみ)
RKB毎日放送 報道制作局次長 兼 東京報道部長

1967年、群馬県下仁田町生まれ。高崎高校、早稲田大学第一文学部卒業。91年に毎日新聞に入社。長崎支局への配属直後に雲仙・普賢岳災害に遭遇。翌92年から3年間、島原市の前線本部に住み込んで、被災地取材に当たった。95年に福岡総局に異動。99年から2年間、記者交換制度でRKB毎日放送(本社・福岡市)に出向し、放送記者を体験する。初のドキュメンタリー『攻防 蜂の巣城 巨大公共事業との闘い4660日』(2000年)で、放送文化基金賞 テレビドキュメンタリー番組賞を受賞。東京社会部在籍中の2004年、自閉症児の父親の立場からコラム「記者の目」を執筆、『うちの子 自閉症とその家族』を連載した。2005年、RKBに転職、福岡に戻る。ドキュメンタリー『うちの子 自閉症という障害を持って』、『シャッター 報道カメラマン 空白の10年』(2013~14年)などを制作。編集長、報道部長、テレビ制作部長などを経て、2016年から東京報道部長。

安田菜津紀 やすだ・なつき
フォトジャーナリスト = Dialogue for People所属

1987年、神奈川県生まれ。上智大学卒。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとして、カンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。「HIVと共に生まれる ウガンダのエイズ孤児たち」で、第8回名取洋之助写真賞受賞。著書に『写真で伝える仕事 世界の子どもたちと向き合って』(日本写真企画)など。TBSテレビ『サンデーモーニング』に、コメンテーターとして出演中。

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