2021年10月

23(土)

第32回東京学生映画祭

夢の初共演!最年少活弁士×学生映画in東学祭

--会場開催のみ--


トーキー映画の誕生以降、並外れた技術を持ちながらもその出番が減ってしまった活動写真弁士。気鋭の最年少活動写真弁士、山内菜々子さんが、曾祖父が活弁士だったという千阪拓也監督の昨年度東学祭準グランプリ作品『こちら放送室よりトム少佐へ』とタッグを組む当企画では、そうした技術のみならずその魅力を深掘りしていきます!さらに、内田吐夢監督の『漕艇王』、溝口健二監督の『東京行進曲』も活弁していただきます!上映後のトークもお見逃しなく!

OPEN 14:10 / START 14:40(END 16:30予定)
会場チケット ¥1,000(+drink)
チケットはPassMarketにて販売中!! → ご購入コチラ

【上映作品】
『漕艇王』
23分 / 日本 / 1927年
監督:内田吐夢

ボート競技(エイト)で覇を競うA大学とL大学。両大学の関係者が目をつけたのが、高校の漕艇部で整調手(ストローク。最も船尾寄りの漕ぎ手)として活躍する望月だった。彼は両大学から誘いを受けたが、親友の林とともにA大学漕艇部に入った。銀座の紳士AとBは、大学対抗の試合があると聞くと、練習の模様などを相手側に売って金をせしめていた。ところがA大学の練習の様子を探っているところを見つかって望月たちに懲らしめられる。彼らは偽の手紙で望月を誘い出して大事な練習を欠席させたうえ、告発文を学長宛に送りつけ、ついに望月を漕艇部から除名させる。いよいよ大学対抗戦当日。望月の抜けた穴は林が埋めることになった。望月はひとり失意の底にいたのだが……。

<キャスト>A大学学生 望月:廣瀬恒美 / A大学学生 林:神戸光 / A大学 コーチャー:南部章三 / A大学 学長:三桝豊 / 学長の姪・美津子:夏川静江 / 銀座の紳士A:伊藤隆世 / 銀座の紳士B:菅井一郎
<スタッフ> 原作・脚色:矢崎義明 / 監督:内田吐夢 / 撮影:気賀靖吾 / 装置:永野芳光
画像提供:マツダ映画社

『東京行進曲』
24分 / 日本 / 1929年
監督:溝口健二

東京の大富豪藤本は壮年の頃より花柳界を荒らしまわっていたが、偶々己の欲望の虜にと画策した芸妓折枝は、計らずも彼が昔、悔痕もなく捨てた女の忘れ形見であった。藤本はさすがに自らを恥じ、過去の過ちを償い折枝の幸福を蔭ながら見守ろうとするのだが、運命とは皮肉なもので、彼の息子良樹が腹違いの妹とも知らず、折枝に恋してしまったのである。さらに良樹の親友佐久間も折枝に心惹かれた。藤本の魔手が去ってホットする間もなく、折枝は二人からの求婚に悩まねばならなかった。そして佐久間に恋したのが良樹の妹、社交かいの花形早百合子だった。ここにブルジョア娘と崖下のプロレタリア娘の激しい対立が展開される。果たしてー。大都会東京の片隅はめまぐるしい人間模様に蠢き、彼らの運命の葛藤が回転し続けるのである。

<キャスト>道代(後に折枝):夏川静江 / 藤本良樹:一木礼二 / 良樹の父:高木永二 / 佐久間雄吉:小杉勇 / 早百合子:入江たか子 / その妹 なつ子:佐久間妙子 / 澄江(後にるり子):滝花久子 / ピアニスト 山野:神田俊二 / 劇作家 島津健:南部章三 / 洋画家 松並信男:谷幹一 / その弟 敏男:見明凡太郎 / 子爵 工藤三郎:金平軍之助 / 外交官 安田:伊藤隆世
<スタッフ>原作:菊池寛 / 脚色:木村千疋男 / 監督:溝口健二 / 撮影:松沢又男 / 仝:横田達之
画像提供:マツダ映画社

『こちら放送室よりトム少佐へ』
日本大学芸術学部 / 2019 / 10分
監督:千阪拓也(Chisaka Takuya)

1989年夏。放送部員の少年・星 英助が放送室で新作のラジオドラマを作り始める。しかし、夜間学校の女子生徒が勝手に出演し、顔も名前も知らない相手とのリレーラジオドラマが始まる。昼と夜、交わることのない二人が、カセットテープを通して物語を紡ぎ合う。作品詳細へ
予告編コチラ

【ゲスト紹介】
活動写真弁士:山内菜々子(YAMAUCHI Nanako)
プロフィール
栃木県那須塩原市出身。日本大学芸術学部映画学科卒業。2010年澤登翠一門に入門。2013年6月「第659回無声映画鑑賞会」で弁士デビュー。以降、無声映画鑑賞会に定期的に出演するほか2017年には地元栃木県「那須温泉映画祭」にも出演。2021年4月8日より集英社少女漫画アプリ「マンガMee」にてスタートした『RAY-麗-大正キネマ物語』(作:ナスノマユカ)の監修協力を務める。
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東京学生映画祭へのコメント
今回、このような上映の機会をいただき大変嬉しいです。学生の皆さんが無声映画や活弁というものをどのように感じるのか、とても興味があります。「活動写真(映画)」が日本にやってきた時、映画を使って自分たちの思いを表現しよう!と動き出したのは若者たちでした。エネルギーに溢れた若者たちは独自の表現を模索しながら様々な作品を生み出しました。今映画を作っている皆さんと通じるものも、きっとあるかと思います。今回の活弁上映が皆さんにとって、作品を作っていく上で何かエッセンスになれば幸いです。
大学時代の思い出
私の学生時代の思い出は何と言っても「活弁と出会った」ことです。私は大学二年生の時に日本映画史の授業で澤登翠師匠の活弁と出会いました。「なんか面白そう」と軽い気持ちで特別授業に出席したのでした。活弁に魅了された私は、それから様々な上映会に行ったり、ありがたいことに先生から弁士の説明が入ったMDをいただいたり…。自分が大学生だった時分はもう遠い昔のように感じますが、そこで出会った「活動写真弁士」は、今は私の仕事となり、これからもずっと続いてゆきます。

監督:千阪拓也 (CHISAKA Takuya)
プロフィール
1997年生まれ、兵庫県出身。日本大学藝術学部映画学科卒業。高校生の頃より映像制作を始める。現在はフリーランスで映像・映画の制作を行なっている。監督作『こちら放送室よりトム少佐へ』(2019)が、PFFアワード2020 エンタテインメント賞、第31回東京学生映画祭 短編コンペティション部門 準グランプリ受賞。その他、多数の国内外の映画祭で上映。
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メッセージ
僕が大学生だった時、祖母から曽祖父が神戸の活動弁士であったことを聞きました。先祖に映画に携わっていた人がいることに驚いた僕は、会ったことのない曽祖父について調べ始めましたが、祖母の家や神戸の映画資料館にも、記録は残っておらず、それ以上、彼のことを知ることができませんでした。今では、活動弁士だった曽祖父は、幼かった祖母の記憶の中に、朧げにしか残ってないのです。それがずっと心残りだったのですが、今回、僕が監督した映画が現役の活動写真弁士・山内菜々子さんによって、新たに上映されるという機会をいただき、何か運命的なものを感じました。一体、どのような上映になるのか、胸躍ることはもちろん、曽祖父に少しでも触れられたらと願ってやみません。

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