2020年5月

30(土)

不謹慎ゲームとは何か? ~不謹慎ゲームから、逸脱を許さない時代の人々へ~


配信時間20:00〜22:00
配信チケット¥1500
購入はこちら⏬
https://twitcasting.tv/asagaya_lofta/shopcart/6191

 

【出演】
高井ホアン(ライター、『戦前不敬発言大全』『戦前反戦発言大全』著者)
【ゲスト】
めりぴょん(ライター)
【進行】山崎尚哉(阿佐ヶ谷ロフトA)

コロナウイルスにより、世間がめっきり静かに、しかしネットがにぎやかになった今日この頃。国から半ば押し付けられた「自粛」は、ある面で人々の健康や衛生の為に役立っているだろうが、しかし反面、相互監視や理不尽な叩き、ちょっとしたことを「不謹慎」だ何だと言う同調圧力も方々で暴き出している。

しかし一昔や二昔前のインターネット(含むパソコン通信)では、そもそも相互監視だとか何が不謹慎だとか全く意に介さない人々も多かった。今は大部サーバーごと消えてしまったテキストサイトや様々なアングラ文化も思い起こされるが、その様な中で甚だしくは、時事ネタをゲームに仕立てる人々も存在した。オウム真理教、毒カレー、バスジャック、9.11……混沌とする世相や自由を失っていく世間と伴走した、そんなゲームの大半につけられたレッテルは「不謹慎ゲーム」。悪意が丸出しで、あるいはネタ本位で、どこかで努力が空回りし、内容もスカスカかも知れず、または単にクソゲー。世間の善男善女から顰蹙を買い、ネットワークの闇扱い。しかしどことなく本質を突いていたりする場合もなくはないし、今となってはそれらの存在自体が貴重な歴史でもある。「不謹慎ゲーム」も、人々が顔を背ける事件に向き合った一つの形とも言えるかも知れない。あるいは、単に「不謹慎の範囲とは?」とも言えるだろう。不謹慎ゲームの大半はフリーソフトだが、市販のゲームはどうか。例えばコーエーの歴史ゲームだって戦争を扱ってるし、出てくる武将人物の子孫からすれば「なんでウチの先祖は弱いんだ」と言いたくなる時もあるだろう。スウェーデン発・Paradox社の第二次世界大戦シミュレーション「Hearts of Iron」シリーズでは日本ローカライズの際に天皇の扱いが問題になった事もある。アメリカでも、ジョン・F・ケネディの暗殺を再現するゲームが「不謹慎ゲーム」扱いされているが、世界で数千万本売れてる有名なFPSゲーム「Call of Duty」ではキューバのフィデル・カストロ(の影武者)を殺す場面だってある。真面目なゲームでも、時と場によって扱いが揺らぐこともある。それもまた、自粛や「不謹慎」という言葉の扱いを良く示してそうではないか。

相互監視に自粛だ規制だとうるさい昨今、これら自由で全然統制されていない「不謹慎ゲーム」から学べることもあるかも知れない。過去約30年に渡る様々な事件とそれに寄り添ったゲームを、当時子どもとして過ごした20代の視点から改めて振り返りつつ、一緒に今後の世界について考えてみたい。