【出演】
高田公太(文豪)
「文豪の夜 高田公太単独公演」
とある「燃えるゴミの日」のことである。
その日は朝から強風注意報が出ており、確かに自室の窓から見える木々は目に見えない複数の屈強な男に蹂躙されているかのごとく激しく揺れていた。
朝から実家に用事があった私は、妻と娘が寝ている間に静かにコーヒーを飲み、タバコを数本吸ってから外に出た。
緩やかな下り坂を進み、寺町に入る角を曲がると、馴染みの商店のゴミ箱が二つ並んで倒れている様が目に入った。
いくらかの生ゴミが路上に散らばっていた。ここまでの強風は久しぶりのことだったので、店主もこうなるとは予見できなかったのであろう。ゴミ収集車がこの辺りを通るまでにあと二時間はかかる。となれば、時間制限付きとはいえ、カラスにとって格好の餌がここにあることになり、つまりは今以上にゴミが散らばる可能性があるというわけだ。
カラスの貪欲さで路上がさらに汚れることを危惧した私は通りを渡ってゴミ箱に近づき、それらを起こし、辺りを回復することにした。さっと二つを起こしたのち、恐る恐る指先のみでゴミ箱を拾い、ゴミ箱の中の袋にうまいこと出来ていた隙間に詰めた。そうして、風が直撃しなそうな地点へ改めてゴミ箱を配置しさえした。
が、ここで「あっ」と声が出た。
一つのゴミ箱の蓋が見当たらないのだ。
これでは、折角ゴミ箱を起こしたのに、またカラスに狙われてしまう。
参ったな、と独りごちながら周囲を見回した。
歩行者は自分のほか誰もおらず、たまに車が静かに横を通り過ぎていく、典型的な風のある五月初めの津軽の風景がそこにあった。目当てのゴミ箱の蓋はそのどこにもない。蓋がないと、カラスが路上を散らかしてしまうというのに。
どうしたらいいだろう。
私は、どうしたらいいのだろう。
この問いの答えを、当イベントに詰めるつもりです。
高田公太
■高田公太(たかだ・こうた)
青森県弘前市出身、在住。実話怪談「恐怖箱」シリーズの執筆メンバーで、元・新聞記者。主な著作に『恐怖箱 青森乃怪』『恐怖箱 怪談恐山』、編著者として自身が企画立案した『実話奇彩 怪談散華』などがある。近著は呪物コレクター田中俊行との共著『呪念魂』。https://note.com/kotatakada1978/
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