SCHEDULE
かぶー1グランプリ
  • 配信あり
歌舞伎町のフランクフルト学派

かぶー1グランプリ

OPEN 12:30 - START 13:00

出演
伏見瞬
西村紗知

 

歌舞伎町のフランクフルト学派、年末の恒例行事「かぶー1グランプリ」です!

 西村紗知と伏見瞬、二人の批評家が勝手にその年のベスト批評を決める年末企画。書籍化されてない、歴史から消えそうな雑誌掲載の記事、ウェブの記事、あるいは個人メディアのブログや同人誌のなかで、最高の文章を10個選んで、そこからベストを決めていく企画。気づけば、今年で4回目を迎えました。

 例年ながら、皆さんからの推薦も募ります。自薦・他薦は問いません。これを読んでくれ!という厚い信頼の気持ちを我々に送って下さい。

 

 年々、批評文という形式へのインセンティブは減っているようです。

 経済状況が安定しないまま、ソーシャルメディアと生成AIが一般化した。そんな社会において、求められるのは安定して勝つための経済・投資・能力向上の情報、消費されやすい情報から逃れるための個人的な形式(エッセイ・日記・短歌)、あるいはあらゆる情念をぶつけるための芸能ニュースに限られていく。勝ち抜くために役立ちそうにない、個人的な日常に寄りそうでもない、ゴシップに寄与もしない。そんな批評は、どこにも居場所がないような世界になりました。

 そもそも「批評」という言葉自体の評判が悪い。というか、一部の物好きのネットワーク以外では、ほとんど流通していない単語です。小説家やエッセイストならなんとなく多くの人がイメージしてくれる。しかし、批評家という言葉でその職能と役目を認知してくれるのは、出版や大学の関係者と文系学生の一部、くわえてごく少数の読書好きに限られるでしょう。そして、文化や社会へ興味のある多くの若い人は批評という言葉も使わず、面倒な長文も書かず、Podcastをはじめるようになってきました。

 

 こうした状況を、批評家とわざわざ名乗っている我々は特段ビハインドだと思っていません。そもそも、批評として文章を書くことは、長期投資に類するものだからです。バズってインフルエンサーになるアカウントも、ネットで活躍する論客も、noteやPodcastで名を挙げて収入を得る人も、短期投資をしています。それ自体はなんら悪いことではない。現状のメディア状況を観察して自ら行動を起こして収入を得ている人は、古くからの慣習に頼って沈んでいく人より遙かに優れています。それに、日々の収入を得ていくための短期投資は、どうしても必要でしょう。我々も、会社員やYouTuberとして、毎月の収入を得ている身です。

 ただ我々は、長い時間をかけて読者の心理に作用を及ぼし、さらに長い時間をかけて社会を変形させていく、長期投資としての人文学を愛しているのです。その「長期投資の人文学」を我々の先人が「批評」と呼んでいたので、そのまま使っているに過ぎません。長い時間がかけられた言語使用の蓄積を、信じているに過ぎません。

 長期投資には、信じることと耐えることが必要です。信じるためには、文章を書くかどうかの逡巡にも時間をかけなければいけない。自分の人生の貴重な時間を割いて書くに値するかを存分に考えなければ、文章を信じることはできません。そして、書いている最中にも時間がかかり、書き終えて発表するためにも時間がかかる。さらに、発表した後のエフェクトを測る際にも、大変に時間がかかる。すべてにおいて、批評には時間がかかります。それに耐えられるかどうかが、批評家の力量を左右します。

 そこでのバックは、いわゆる金銭ではないかもしれない。書物として出版したとしても、現状の業界では収入はたかがしれているでしょう。ただ、体重をかけて世界に沈み込んでいったその充実が、人生の何事にも変えられぬものであること。作品や作家や状況に深くめり込んでいく営為が、なによりの生の糧になること。そこでの長期投資の価値は、時代の状況に左右されません。ただ、信じて耐える。感じて読んで、調べて書く。呼び名は批評でも人文でも文学でも構いませんが、そうした営為の価値は、人々が言葉に頼って生きる限り、変わることはありません。そして、金融投資がそうであるように、長期投資を全うする人は短期投資に右往左往する人より、多くの価値を得るでしょう。

 こうして我々が毎年批評的な文章のベストを選ぶことも、長期投資の一つです。ひとりひとり耐えて、信じて、今年も良き年末を迎えましょう。

 それではみなさん、ご来場、ご視聴お待ちしております!推薦もよろしくお願いします!

 

推薦はこちらから!→https://docs.google.com/forms/d/1isCyKXoudCD2cdkWZmIPC3tFctSy2YQkWQTqmrHsJBM/edit

 

※状況に応じて出演者の変更、キャンセルになる可能性もございます。ご了承ください。

TICKET
《配信チケット》
¥1,500(税込)


《来場チケット》
前売り¥2,000(要1オーダー)/当日¥2,500(要1オーダー)
予約はPeatixにて12/6、22時から発売!
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