URCHIN FARM / I.D.[Illustrators' Decoration]
EFCN-91005 2,800yen (tax in) / IN STORES NOW

 先行シングル「MONOchrome」に続きプロデューサーに佐久間正英(ex.四人囃子、PLASTICS)を迎え制作された1stフル・アルバム。「メロディが良くなかったら僕らの曲じゃない」(MORO:g, cho)と断言するだけあって、一撃必殺の虹色メロディは前作『RainbowL』に比べて格段に研ぎ澄まされポップ度三割増、佐久間氏とのコラボレートにより整合性も増して音像がよりくっきりと前へ出た印象がある。「WINKER」や「PlayBoy's Imagination」のような従来のアーチン節と呼べる力強く勢いのある疾走ナンバーばかりでなく、「ARKANOID」「C」「Knight」など繊細に作り込んだタッチの意欲作はこれまでに見られなかったものであり、バンドの急激な進化/深化が感じられる。
 タイトルにある“Illustrators' Decoration”は「絵描き達の装飾」という意。人はみな絵描きであり、自分自身の人生を彩る行為自体こそがその人の“I.D.”(身分証明)なんだという想いが込められている。自分らしく楽しんで生きていく上で、URCHIN FARMの音楽があなたの人生に確かな彩りを与えることは間違いない。眩しく緩急の効いた珠玉の12曲が放つ“irodori”(“Illustrators' Decoration”という文字の中に隠されている)はモノクロームから虹色まで変幻自在の総天然色、一度聴いたら病み付きになる常習性があるのでご注意を。(Rooftop:椎名宗之)
asphalt frustration / asphalt frustration
POSCD-001 1,995yen (tax in) / IN STORES NOW
 DOMINO88主宰のレーベル〈P.O.S MUSIC〉からasphalt frustrationという、今を感じる旬でピチピチなバンドが1stアルバムをリリースします。ハイエッジなギター・サウンド、夏を感じる爽やかな心地、ヒップな曲からポップな曲、そこから一転大人なムード、ボッサな雰囲気、ムーディーな曲調への変調、あり得ないツボを突いた裏打ち、ピコピコサウンド。まさに今の若者の心地よいところのイイトコどりのアルバムです。
 最近の若者は…なんて言ってる場合じゃない。最近の若者だって、それぞれが自分なりに苦しみ、楽しみ、出来る限り一生懸命生きている! そんな気持ちを抱かせる楽曲達です。(新宿LOFT:大塚智昭)
Criteria / When We Break
VSO-0022 1,659yen (tax in) / IN STORES NOW
 Cursiveの2ndアルバムまでギターを弾いていたSteve Pedersenが、WHITE OCTAVEを経て、新たに始めたプロジェクト“Criteria”のセカンド・アルバム。
 Cursiveは、Steveが脱退してから2年後に発売されたアルバム『domestica』(これも先日、日本盤が発売されたが傑作!)まで活動を休止していて、そのことからも彼がCursiveに於いて重要な役割を担っていたことが想像できます。
 その初期2枚のアルバムのサウンドで印象的だった、反復しながら昇り詰めるようなギター・リフのリズミカルな感じと、そこからガーッと広がる展開が今作にも受け継がれていて、そこへもっとスケールの大きなロックへ向かう感じが加えられていて、気持ちが良いです。(LOFT RECORDS/TIGER HOLE:オオサワシンタロウ)
6〈six〉 / COSA NOSTRA
BRCD-8002 3,150yen (tax in) / 9.10 IN STORES
 待ちに待った6〈six〉の2ndアルバムがリリースされる! ヴォーカル藤崎氏自身がネーミングした『COSA NOSTRA』というアルバム名は、イタリア語の直訳で“オレタチのモノ”という意味。そして今作についてこう語っている。「全体を通して、愛してるという言葉が多く出てくる。前向きでいいかな、なんて思っている」  1stアルバムから1年、勢いはそのままに、バンドとしての熟練度に加えて、シンプルで且つダイナミック、気持ち良いノリの良いサウンドからは新鮮ささえ感じられる。全てが生き生きとしているのだ。アルバム名通り「これがオレ達だ」と言わんばかりに等身大で聴かせてくれる。そこには偽りなど何もない。“6〈six〉”というロック・バンドがそこに居る。それはライヴでも勿論健在だ。9月11日を皮切りにアルバム発売記念ツアーが行われる。是非等身大の彼らを体感してほしい。(新宿LOFT:どうきょうみゆき)
60/40
100=60/40 THE COMPLETE RECORDINGS OF 60/40

COCP-50862〜63 3,675yen (tax in) / IN STORES NOW
 元ROOSTERSメンバー達によるROOSTERS以降の作品を次々とリイシューする企画、その名も「THE ROOSTERS→Z of After Math」の第2弾として、いよいよ60/40の音源がデジタル・リマスタリングされて再発された。60/40は、1990年に下山淳を中心に元DEAD ENDの湊雅史、実弟の下山章、へたくそのSunekichi-guy、Sun-Chirikoの5人で結成され、92年に1stアルバム『60/40』でデビューした。オリジナル・アルバムはたった2枚しか残されてないが、その2枚に詰め込まれた音楽的アイデアは今聴いてもその斬新さに驚くだろう。シド・バレットを始めとする60'sサイケデリックから70'sプログレ〜80'sニュー・ウェイヴというロック史のエッジの部分をさらに発展させた90'sオルタナティヴ・ロックは、間違いなくROOSTERZ最後の名盤『Four Pieces』の先に置かれるべきサウンドだ。今作は1st、2ndはもちろんライヴ音源などを含む2枚組でコンパイルされ、60/40の全貌を体験できるお得盤となっている。(LOFT/PLUS ONE:加藤梅造)
SCUM BANDiTZ / GREATEST SCUM BANDiTZ RIP OFF
BLKSTA-003 1,890yen (tax in) / 9.01 IN STORES
 アルバム全編トバしまくり! イサギヨイね。でもこの音は一朝一夕でできたものではない。また家でシコシコCD聴いて、ギター弾いてできたものでもない。この音は現場(ライヴハウス・ストリート)にいなければ出せない音だ。生でたくさんのバンドのライヴを観て、そしてたくさんの酒を飲むことによってしか出し得ない音。まさに本物。  実際、ギターのHAYATOくんはLOFTでもよく見かける。また地上波で流れているような音楽に媚びを売らず、自分達の出したい音を出している。この姿勢もまた本物。だからこそカッコイイ。そんなSCUM BANDiTZの音はハードコア・ファストコア・パンクの融合。これが80・90年代のSKATE PUNKへの返答、21世紀型のSK8 PUNK!! Listen or Die!! 今月より今回のアルバム発売ツアーが始まる。ファイナルは10月10日、下北沢SHELTER。ツアーを通して更にグレード・アップした彼らを観に行くべし!(新宿LOFT:眞)
つばき / スタイル
YRCN-10104 1,050yen (tax in) / 9.14 IN STORES
 突然ですが私は、曲を初めて聴く時に歌詞を見ながらウォークマンをして聴くのが好きなのですが、今回発売される“つばき”の曲は3曲共に、最近の私の日常にあてはまる歌詞がところどころにあり、そんな共感の持てる歌詞に、当たり前かもしれませんが「他の人も日常にこんな思いを抱いているんだ」とリアルに感じられ、何だかホッとしてしまいました。最近、自分に自信のない人!! ちょっと『スタイル』を手に取ってみてはいかがでしょう? 私のようになんだか気持ちが楽になれるかもしれませんよ??
 そんなつばきは11月から「つばき全国ツアー2005 〜夢見る街まで〜」が決定しています。会場によってはワンマン・ライヴのところも! CDを聴いて気になった方は是非ライヴに足を運んでみましょう!! しかし、一つ残念なのはそのツアーの中にLOFTの名前がないことです…。また是非出演して頂きたいものです。(新宿LOFT:サカイ リエ)
椿屋四重奏 / 薔薇とダイヤモンド
UKDZ-0045 2,205yen (tax in) / 9.14 IN STORES
 6月には『ミュージック・ステーション』に出演、その翌日は東京・九段会館にて椿屋四重奏ワンマンショーを開催。さらに10月からは『椿屋四重奏コンサートツアー2005“ROCK ON GENTLEMEN”』も控えており、10月8日には日比谷野外大音楽堂にて「愛と幻のメリーゴーランド」と題されたライヴが行われる。こうやって見るとホントにすごいバンドだとつくづく思います。
 その彼らから届いたのは9月14日にリリースされる2ndフル・アルバム『薔薇とダイヤモンド』。魅惑的なタイトルですね。元々田中さんの歌声は色っぽくて艶っぽいんだけど、今回はさらに色気を増したんじゃないかと思わせる歌声と歌詞にドキドキしながら、大好きな「紫陽花」をリピートしつつ、1枚を聴き終えたわけです。メロディ・ラインは力強くダイナミックさがあり、聴けば聴くほど好きになるという感じ。そして日本語で歌うからこその生々しさを感じ、一言一言に重みを感じます。
“陰と陽”の2つが共存するアルバム『薔薇とダイヤモンド』。オススメします。(Rooftop:やまだともこ)
DJ YAS / SMOKING GUN
ZEHB-2001 2,940yen (tax in) / IN STORES NOW

 DJ YAS、熱いメッセージを込められた2ndアルバム!
 日本のヒップホップ・シーンの黎明期から活動し、トミー・ゲレロとのコラボレーションやYOU THE ROCK擁する雷家族などで知られるDJ YAS。'00年にリリースされた前作『ライト』より約5年、待望の2ndアルバム『SMOKING GUN』をリリースした! インスト作品であった前作とは打って変わって、この作品には豪華な客演陣が参加している。THA BLUE HERBのILL-BOSSTINO、盟友LAMP EYEからRINO LATINA II&ヨシピィ・ダ・ガマ。さらにTWIGY&MUROのMICROPHONE PAGERなどなど、DJ YASが心から信頼を寄せるアーティスト達が集まった。このアルバム・タイトル『SMOKING GUN』とは“動かぬ証拠”という意味のスラング。この“動かぬ証拠”とは、矛盾を孕んだ大国アメリカに対して、そしてそれを取り巻く日本人としてあなたに対して送る、“好きなのに大嫌い! 大国アメリカに異議あり”というDJ YASからのメッセージです。これはヒップホップを体現してきた彼からの愛情表現である。そんな熱いメッセージが、最高にドープなビートに乗り、豪華ゲスト達によって語られる。思わず身体が揺すられてしまう、時にスモーキーで、時に強烈なグルーヴ感でシーンに再び強烈なインパクトを与えるであろう。(新宿LOFT店長:東田慎二)

Discharming Man / 3 Songs [1st DEMO]
5B-01 (CD-R) 500yen (tax in) / IN STORES NOW
 元kiwirollの蛯名啓太による新ユニット、Discharming Manの初音源(3曲入りCD-R)が彼の個人レーベル〈5B records〉からリリースされた。去年の秋、バンドが解散することが決まり悲嘆に明け暮れていた僕に、故郷・札幌に帰る直前の彼は「見ていて下さい。この解散が“こういうことだったのか”ときっと理解できる音源を必ず作りますから」と新宿LOFTのバーラウンジで言って微笑んだ。
 今年の春先に蛯名君が遂に動き出したと人づてに聞いた時、轟音の渦に身を任せてステージ上で激しくのたうち回り、喉を振り絞って絶叫するkiwiroll時代のヴォーカル・スタイルを勝手に想像していたが、このDischarming Manは意外にも蛯名君の歌と元セロニアスの小野寺氏による打ち込み(microKORGの他にもMACやカオスパッドなども使っている模様)というごくシンプルな構成で、この1stデモに収録された「因果結合666」「君は君のもの」「little regret bear」の3曲はいずれも他の誰にも真似できない彼独自の“歌”をしっかりと真ん中に置いた楽曲ばかりである。kiwirollのような滾る激情と泣きのメロディを求める人には喰い足りないかもしれないが、僕は蛯名啓太の表現者としての確かなポテンシャルをこの3曲から感じ取ることができた。これらの収録曲は、本人曰く「温めていた曲というより、今年に入ってから作った最新に近い曲ばかり」だというが、光がたゆやかに降り注ぐような浮遊感に満ちた「little regret bear」は特に秀逸で、Discharming Manがこれからもっと面白いものになるだろうという強い確信を得た。ちなみに、ライヴではCOWPERSの「錆色ノ月」をカヴァーしていたりするらしいので、これは早いところライヴに足を運ばなければ。(Rooftop:椎名宗之)
spam_life / 線香花火
HISC-30302 1,500yen (tax in) / IN STORES NOW
 昭和歌謡の再評価で最も大切な作業である選曲。昭和歌謡ブームの中から多くの優れたDJや選曲家が登場し、玉石混淆の歌謡曲アーカイブスの中から、今なお廃れない名曲を発掘し紹介してくれている。そういう意味で渚ようこは優れた選曲家の一人だが、同時に彼女は優れた歌手でもあり、それを自ら歌うことで昔の曲に新たな息吹を吹き込んでいく。例えばそれは、CKBの横山剣をプロデューサーに迎えた『Yoko Elegance』だったり、ザ・ハプニングス・フォーのメンバーとラウンジ・ロックを展開する『ギーナサドンバ・リサイタル』、あるいはネオGSバンド、ザ・ヤングと組んで激しいロック・ナンバーを演奏する『LIVE』といった具合に。そして今作では、高橋ピエールの生ギター1本を伴奏に、「どうぞこのまま」(丸山圭子)、「夜へ…」(山口百恵)、「逃避行」(麻生よう子)などを情感豊かに歌い上げ、またもや私たちを古くて新しい歌の世界に誘ってくれる。特に、映画『天使の恍惚』主題歌「ここは静かな最前線」は聴いていて思わず戦慄する程だ。とにかく凄いの一言につきる。(LOFT/PLUS ONE:加藤梅造)
BEAUTY MANIACS / 共存
SCLB-001 1,680yen (tax in) / IN STORES NOW
 2004年9月、HUSH活動休止。同年12月31日、Vo.橋都章人はソロとして活動していくことを発表した。そしてソロとして再スタートを切るにあたり、ALL I NEED時代からこだわって使っていた「BEAUTY MANIACS」という大切なこの言葉をソロ・ユニット名として使うことにする。そのBEAUTY MANIACSとしての初の音源が届いた。“全身全霊で「次の世代」の胸の隙間を埋めにいく”という橋都章人の曲は、ただカッコイイだけでなく、迫力ある感情のこもった歌声、1曲1曲に想いが込められていることが感じられるメッセージ性のある歌は、聴く人を強くも優しくも切なくもさせてくれる。8月から行われている全国ツアー。そのファイナルは9月30日の新宿LOFT。渇ききったこの時代、是非一人でも多くの人にBEAUTY MANIACSの歌を聴いてほしいと心から思う。(新宿LOFT:どうきょうみゆき)
FUGAZI / 9-4-93 PONTIAC, MI. PLAZA AMPHITHEATER
www.fugaziliveseries.comにて通販のみ販売
 '93年3月『In on the kill Taker』が発売されてからのおそらくアルバム発売ツアー中。このアルバムにはFUGAZIの中でもかなりアグレッシヴな楽曲「PUBLIC WITNESS PROGRAM」が2曲目に収録されている。このライヴでは3曲目(1曲目がイントロなので正確には4曲目)。前回レビューにも書いてあるが、このライヴCDを聴き始めてからこの曲がいかに凄いか判ってきた。明らかな不協和音で進む曲進行。重さがありながらテンポが速く、確実に“emo”を体現している曲だ。しかし今回でのライヴのハイライトは、初期名曲である「MARGIN WALKER」(13曲目)と「WAITING ROOM」(14曲目)のつなぎであろう。「WAITING ROOM」曲始まりのギターを軽くミュートしたリフ、最高にcoolnessだと思う。(下北沢SHELTER店長:西村 等)
フジファブリック / 茜色の夕日
TOCT-4911 1,050yen (tax in) / 9.07 IN STORES
『茜色の夕日』を私は今まで何回聴いてきたことだろう…。CDで聴いたり、ライヴで聴いたりと、聴く場面はそれぞれだった。私がフジファブリックを知ったきっかけも、初めてライヴを観た時も、『茜色の夕日』はすーっと心に染みてきた。上京経験のない私、田舎のない私、そんな私でもこの歌詞に出てくる素朴なメロディと、人間味溢れるドラマチックな歌詞に共感を覚え、いつの日からかインディーズ時代から今に至るまでこの曲をずっとずっと愛聴してきた。  また、『茜色の夕日』を聴くと何故かいつも彼らのライヴが頭に浮かぶ。彼らの持ち前であるロックを基盤としたカラフルな楽曲に、ドラマチックな展開、ノリの良いグルーヴで魅了するライヴの中で、この曲はある意味異色かもしれない。だけど、私は『茜色の夕日』が全てを物語っているように思え、一番要じゃないのかなぁと思えてならない。『茜色の夕日』で鳴る日本人特有の郷愁感、日本語だからこそ響く言葉の数々がそう思わせるのでしょうか。原点をふと思い起こすような歌だからでしょうか。それにしても、メロディと歌詞がここまで共存している楽曲も珍しいのではないのでしょうか?
 カップリング『蜃気楼』は秋公開予定の映画『スクラップヘブン』のエンディング・テーマに起用されるなど、さらなる飛躍を求め前進中。これからも人々の心にひっかき傷を残すような、良い意味でショッキングな楽曲を期待して、行く末を見守って行きたいですね。(SONG-CRUX/PINK MOON:樋口寛子)
Flat7 / Lost In Blue
FYCT-7 2,100yen (tax in) / IN STORE NOW
 オレ達30代後半くらいでニューウェイヴを聴いてた連中は『コクトーツインズ』と聞くと「おっ」と反応すると思うが、『そのコクトーツインズの日本人メンバーのソロ』って聞くと「えっ!?」って思うんじゃないだろうか? という訳で勉強不足で知りませんでした、コクトーツインズの日本人メンバーのタテ・ミツヲというギタリストの方のソロ・ユニットの1stアルバムで、ゲストVo.に元LUSHのミキ・バーニーやNAKED LOFTにもよく出て頂いてる山田タマルさんを迎えたりしているのだが、これがとても素晴らしい。オレ達ニューウェイヴ・リアルタイム・リスナーが聴いたら最初のギターの音が鳴った瞬間にあの4ADやUKニューウェイヴの独特の触感、空気感がフラッシュバックしてきて、ノスタルジックだが何とも言えない幸福な気分に包み込んでくれるだろうし、若い世代の人達にはこの耽美で重いけど実は非常にPOPなその独特の音世界が新鮮に伝わるんではないだろうか。オレはインストの曲とかに勝手にモリッシーとかロバート・スミスの唄真似してメロディを口ずさんで入れたりしたが(笑)、そんな新旧のUKロック・ファンはきっと気に入るだろうと思える1枚。(LOFT/PLUS ONE:シンスケ横山)
POTSHOT / -BEST & RARITIES- POTSHOT FOREVER
TV-088〜089 2,940yen (tax in) / IN STORES NOW
 正直に白状します。私、本日5年ぶりにSKAPUNKBAND、POTSHOTを聴きます。何故か、ある時から「POTSHOT好きです」と言えなくなっていました。いつの頃か、直感で感じた素直な気持ちを、素直に言葉にすることができなくなっていました。みんなが好きって言っているものを好きと言えなくなっていました。それは格好悪いことだと、考えてしまっていたのかもしれません。  それが今、CDデッキに入れて久々にこのPOTSHOTの『-BEST & RARITIES- POTSHOT FOREVER』というベストとレアトラックのアルバムの1曲目「CLEAR」を聴いた時、何故かとてつもない感情が溢れてきました。なんと表現して良いのか判らないこの気持ち。もしかしたらその5年前を懐かしみ、その時の思い出がドッと押し寄せ感情が思わず揺り動かされたのかもしれません。  忘れていた心の何かを、突かれました。この5年なんで素直に生きられなかったのか、深く後悔しました。(新宿LOFT:大塚智昭)
Polaris / Union
MTCA-5018 2,800yen (tax in) / IN STORES NOW
 日々に疲れると気付いたら私はPolarisを聴いている。移動中、部屋の中、会社にて…。場所を問わず、聴く人を至福な時間へ誘ってくれる1枚。
 ドラム坂田学の脱退を経て、新たに新編成のドラマーとしてあらきゆうこ(Cornelius、くるり、スガシカオ等のレコーディング&ライヴに参加。自らも“migu”としてアーティスト活動を実施)さんが参加しての新作『Union』。また盟友クラムボンの原田郁子さんのコーラス・ワークスが見事にヴォーカル・オオヤさんと調和し、更に気持ち良くなって聴けてしまう。
 Polarisを聴くといつもゆったりした気持ちになれる。たくさんの優しい気持ちと幸せな空気が詰まったこの1枚は、私にとってはなくてはならない音楽です。(SONG-CRUX/PINK MOON:樋口寛子))
milk / 36℃
品番なし 1,500yen (tax in) / ライヴ会場限定販売中
 ギターTokujiとヴォーカルMatsushitaからなる男女ユニットmilkのニュー・ミニ・アルバム『36℃』。不思議な旋律を奏でるTokujiのギターと、そこに重なるやさしくて柔らかで力強さを感じさせるMatsushitaのヴォーカル。
 誰かを好きになった時の言葉に出せない程に切ない気持ち、誰かに伝えたくて高揚した気持ち、ずっと心にしまっておきたい大切な思い出、大切な人。そんな恋愛した時になる思いをふわりと包み込んでくれるような暖かいぬくもりを持っています。聴いていると、ゆるやかな時間が流れていくと共にやさしい気持ちになれる、そんなアルバム。
 milkは、ネイキッドのイヴェントで出会って以来、ぐいぐいと吸い込まれて、今では自分のイヴェントにも出演をお願いしています。ライヴで魅せる、あの空気とか雰囲気とか大好きです。人柄もすごく好きだし、ライヴ後は「今日もmilkの曲が聴けてよかったな」って思います。
 このアルバム、現在はライヴ会場のみで販売中。もし聴きたいという方はライヴに足を運んで購入して下さい。きっととても素敵な時間を過ごさせてくれます。(Rooftop:やまだともこ)
吉田拓郎 かぐや姫 / コンサート イン つま恋 1975
FLBF-8072 5,040yen (tax in) / IN STORES NOW
 DVDのリイシューとしては間違いなく今年最高峰に位置する作品である。  1975年8月2〜3日に静岡県掛川市・つま恋多目的広場に5万人の観客を集めて行われた、当時日本最大規模のオールナイト・コンサート「吉田拓郎・かぐや姫 コンサート イン つま恋」の映像化が30年の歳月を経て実現した。2日午後5時すぎに拓郎の「あゝ青春」で始まり、3日午前4時35分に108曲目「人間なんて」で終了したこの真夏の祭典、映像の一部はこれまでにフィルム・コンサートという形で発表されたこともあったが、完全な映像はこれが初出である(ただし全曲収録ではなく、代表曲のダイジェスト)。これを歴史的事件と呼ばずして何と呼ぶのだろうか。
 当時、拓郎は29歳。この3年前にシングル「結婚しようよ」「旅の宿」、アルバム『元気です』と矢継ぎ早に大ヒットを飛ばし、“フォーク界のプリンス”と呼ばれ時代の寵児となっていた頃だ。まさに脂が乗り切っていたとはこのことで、そんな時期の拓郎の演奏が悪いわけがない。全編が見所なのは言うまでもないが、特に冒頭の「あゝ青春」「春だったね」の流れにはやはり熱いものがこみ上げてくる。30分超のドキュメント・パートからは当時このイヴェントが如何に大掛かりなものだったかが窺え、銀座街頭でのチケット売り場、会場を訪れる観客のインタビューなど、'75年当時の世相・若者文化を知る史料としても興味深い。特にフォーライフレコード設立(75年6月)直後の拓郎・小室 等・井上陽水・泉谷しげるの4人が揃った珍しいプライヴェート・シーンは貴重だ。封入特典の『拓郎・かぐや姫 5万人 炎の12時間』('75年に八曜社から刊行された写真集)の完全復刻本も嬉しい。ただただ感涙。
 そして、2006年夏──この30年前の伝説が同じ顔触れ・同じ場所で再現することに相成った。来年、吉田拓郎は還暦を迎える。(Rooftop:椎名宗之)
LATIN JAZZ ORCHESTRA / HAVANA BLUES
PM-2034 OPEN PRICE / IN STORES NOW
 近頃、暑さのせいではなく、なんとなく寝付けない夜が多いのですが、そんな時はよく、このアルバムを聴いています。これを聴くと、ハバナのさわやかな風が心の中に吹き込み、モヤモヤしたものを吹き飛ばしてくれるような、そんな気がします。そして眠りにおちると、夢の中では『ゴッドファーザー PART2』のハバナのオープン・カフェで、マイケルとフレド、そして自分の3人でお酒を飲むという、夢のような夢を見たりもします。(下北沢SHELTER:下村祐市)
LAUGHIN' NOSE / VAP COMPLETE TRACKS
AA-024 2,600yen (tax in) / IN STORES NOW
 現在も、ジャパニーズ・パンク・シーンのトップを走り続ける“ラフィン・ノーズ”!  AAレコード時代の音源『LAUGHIN' COMPLETE AA TRACKS』、オムニバス提供音源(アルバム未収録)をまとめた『LAUGHIN' VA TRACKS』に続くVAP時代の発掘音源集が登場! 彼らがVAP在籍時代に残した、アルバム『LAUGHIN' NOSE』『LAUGHIN' ROLL』を始め、シングル「BROKEN GENERATION」「LAUGHIN' ROLL」のB面、1986年10月25日&26日に日比谷野音で配布されたバラマキソノシート、そして未発表音源の数々を収録した2枚組CD『LAUGHIN' COMPLETE VAP TRACKS』!、「GET THE GLORY」「聖者が街にやってくる」「TEENAGER」「LAUGHIN' ROLL」などの名曲と「PARADISE」のNON SEヴァージョンとSE ONLYヴァージョンも収録されていてマニアには嬉しい全34曲。
 当時、VAPレコードと云えばパンクス的には“DISCHARGE”等の日本盤をリリースしているレーベルだったが、世間では菊池桃子や杉山清貴のレーベルと思われていた。1〜10曲目のプロデュースは杉山清貴らを手掛けていた笹路正徳が担当して、ほぼ全曲にシンセが入りサウンドはクリアーでメジャーな仕上がりになっていて、パンク・バンドと意識せずに聴いていた人もいた。この時代の楽曲は、キャッチーで聴きやすく、ノリノリで最高です! 今でもライヴでガンガン盛り上がる曲です。ラフィンノーズを知らない方には入門編としても最適です。値段も安いので即買いしましょう。中には解説、スクラップ、秘蔵写真、チャーミー、ポン、ナオキ、マルへのインタヴュー掲載の32Pの豪華ブックレットが付いて、盛り沢山の内容になっています。  9月4日(日)渋谷クアトロにて、今作の発売記念ワンマン・ライヴが行われます。震えてお待ち下さい。(新宿LOFT店長:東田慎二)
LO-LITE / a suicidal act
asg-004 2,300yen (tax in) / 9.07 IN STORES NOW
 asian gothicレーベルから、またも心が揺さぶられるようなメロディが届いた! LO-LITE4枚目となる今作は、以前から親交を深めていたthe band apartのレーベルよりリリースとなり、さらにはプロデューサーにbloodthirsty butchers 吉村秀樹氏を迎えた非常に興味深い作品となっている。重厚なブッチャーズ・サウンドとLO-LITEの持ち味である軽妙なバンド・サウンドが融合し、心地よくも何か一筋縄ではいかないような…まさに良いとこ取り! という言葉が相応しい。捻くれた曲展開に、切ないギターの音が重ねられ、ふわふわとした歌声から突き刺さるような歌詞がのる。これだけでもう、秋の夜長はセンチメンタル倍増である。
 リリース後の10月には東名阪3箇所でのツアーが決定している。ファイナルの10月7日下北沢SHELTERでのライヴは必見! 心臓鷲掴みにされること間違いなし!! (LOFT PROJECT:アカセ ユキ)
V.A. / Dahl presents compilation "class-plan B"
MTCD-1059/felicity cap-53 2,500yen (tax in) / 9.07 IN STORES
 Dahl / downyの中心メンバーである青木ロビン氏。downy以前のバンドからSHELTERで活動をしており、縁の深い人物でもある。そんなロビン氏がSHELTERへ酔っぱらってきて「Dahlってのをやり始めたよ」と言われたのも数年前。聴かせてもらった音はいかにもロビン氏が好きそうな深いミニマムさがある印象深い音であった。Dahlがコンピレーションを作った。いかにも、いやおそらく、いやいや絶対に酒と音楽しかのめり込めないであろうアーティスト達。重く、音でぶん殴られるような楽曲からミニマムで温かいエレクトロニカまで。我らがSLOTH LOVE CHUNKSも収録(四角いVISION)。自分が言えることは、このコンピをとりまとめた人物・仁八嬢はアイスを食べ過ぎだということだ。(下北沢SHELTER店長:西村 等)
V.A. / RESPECTABLE ROOSTERS→Z a-GOGO
COCA-50871 3,150yen (tax in) / 9.28 IN STORES
 ルースターズ関連のリリースが相次ぐ中、またもや強力な音源がリリースされる。それは、1999年に発売されベストセラーとなったトリビュート・アルバム『RESPECTABLE ROOSTERS』の第2弾、その名もズバリ『RESPECTABLE ROOSTERS→Z a-GOGO』。“ROOSTERS→Z”となっている所がポイントで、第1弾の選曲が前期ルースターズに集中していたのに比べ、今作は中後期の曲を含め幅広く選曲されている。といってもやはり1stからが一番多く(4曲)、次に多いのは『DIS』(3曲)。やっぱり『DIS』好きのミュージシャンは多いんですね。収録曲と参加ミュージシャンについては今月号の中扉の特集を参照して欲しいが、やはりルースターズの曲だけに、演奏の意気込みがビシビシと伝わってくる。もちろん捨て曲なしなので、聴く人それぞれにとってのお気に入りを見つけるのも楽しいだろう。個人的にはbutchersの「VENUS」があまりにも美しすぎて泣けた。(LOFT/PLUS ONE:加藤梅造)