復活34回目

20世紀日本労働運動最後の 「アラモ砦」の戦いに行って来た!

 8月24日午後11時、電脳突破党独裁者・宮崎学氏(グリコ森永事件犯人?、作家)から突然の電話直接指令が伝えられた。「平野元気か? 渡世の義理から国鉄労組臨時大会を実力で阻止粉砕する事になった。お前も動員かけて参加するように」「えっ国鉄労組ですか? まだそんなのあるんですか? JR労組の間違いではないんですか?」「まあ、そんな事はどうでも良い。久しぶりに機動隊や右翼的労組と実力で闘う事になりそうだ。血を見る喧嘩になりそうだ、どうだうれしいだろう?! とにかく俺のホームページを読め」とそんな内容だった気がする。早速宮崎さんのホームページを読むとこんなメッセージが書かれてあった。
20世紀日本労働運動最後の「アラモ砦」への招待
宮崎学である。
戦いに巡り会えないでゲーセンでゲームやっとる若い諸君、人生に飽きた元学生運動参加者だったり、ベトナム戦争反対となえとった中高年諸君、親をバットで殴り殺そうかとおもとる少年諸君、20世紀最後の「国家権力」と楽しく戦う労働運動の記念すべき日に、わしと反リストラ野武士の 設楽が諸君を「20世紀労働運動最後の戦い」現場に無料招待する。
あさって、26日。国労臨時大会がある。
くわしくはハチ五郎のレポート読んだらわかるが、これはある意味で20世紀最後の、労働運動のアラモ砦である。決戦場である。
この間、ずっとわしはこのいきさつと背景を調べていた。なんと野中広務の自民党、公明党、保守党はもとより、どさくさにまぎれて「同意」した村山社民党、JR会社、労働省、運輸省、そして連合までみなつるんで、「旧国労の落としだね」の争議団を抹殺するために合意をしておるのだ。つまり都合の悪いことは切り捨てて21世紀になだれこもうとする「世紀末の大政翼賛怪」がでけとった。
ここで、進化に取り残された国労は闘争団(国鉄が民営化するときに約1100人の労働運動活動家が首を切られたー注平野)という尻尾を切り捨て、そのまま労資協調路線の「連合」に、という 権力にだけ都合のええ絵図ができとる。それに、「サヨク」とかいわれておる革新政党組織の官僚連中も、表面 はうやむや、内心は賛成しとる、というのが実状だ。 社怪党のなれの果ての、土井社民党はむろん賛成の立場である。個々にはちゃんとした議員もおるが「党」としてはあいかわらず、労働貴族の残りカスがこの方面 は牛耳っとる。労働者の膏血を啜る生き物たちであるな。
わしは、古代トカゲの尻尾みたいな「争議団」が特にすきなわけやない。しかし、この大政翼賛怪というのは、なんも変革志向ではなく、「20世紀の50年前の利権構造をそのまま21世紀に持ち込もう」という「談合組織」や。こんなもんをひきずってどないするねん。それにくらべると、草むしりやって一家でアルバイトしてがんばってきた闘争団とその家族のほうがまっとうなニンゲンである。しやから、わしは後者の味方になって戦うことにした。
と言うわけで私はこの最後の「アラモ砦」に半ば強引に招待されてしまったのだ。しかし、いくら組長の命令とはいえ、国鉄紛争の事をほとんど知らない私がこの戦いの動員体制なんか取れる訳でもない。ましてや、機動隊や臨時大会を防衛するためにやって来る、各地の右派労働組合戦闘要員が何百名と来るわけだ。それと喧嘩になる事が確実と思われた時に、気楽に「おい!一緒に行かないか?」なんて声をかけられるはずはない。私は一人で行く決心を固めていた。
支援集会に行くと電脳突破党のゲバルト班の中にうめぞ〜(プラスワン店長)の姿があるではないか?
「お前、なんで来たの? オーナーと店長が一緒にパクられたらやばいんではないの?」と聞いてみた。
「だって、宮崎さんから声をかけられて、プラスワンって口では戦闘的なこと言っているだけで、こういうときには誰も来やしね〜じゃねえかって言われるの悔しいじゃないですか。」と言い出す。
「うめぞ〜、今日の戦闘は半端じゃなさそうだぜ! お前なんか東京ガガガのデモぐらいしか経験ないではないの? 俺、知らないから、、、」と言いながら突破党の機動部隊とともに明日開かれる国労臨時大会会場、社会文化会館をいち早く占拠するために、三宅坂に出発した。
深夜12時、社会文化会館の前で、状況説明があった。
「今、国労本部では闘争団が執行委員会と交渉している。その周りを何百もの闘争団支援の労働者が取り巻いて抗議している。当然奴らはここでの我々の「任侠団体・電脳突破党」の存在にビビっていて、各地の国労大会防衛派戦闘員の動員を取りやめ出している。機動隊は2車両3百メートル先にいる。国労執行部が大会を防衛するには機動隊の要請しかない。戦いは朝6時頃から始まる。それまで路上で仮眠をとっておいてくれ!」と宮崎総裁。
私も明日やばいかも知れない!?って思って次の日の決戦まで何度か仮眠をとった修羅場の経験があるが、こんな時間が一番嫌だ。身体も気も弱い私はすぐ帰りたくなってしまう。うめぞ〜はレポ班に任命されて、敵や機動隊の動きを探りにバイクで行っている。武器は道路工事現場の石しかない。
まさか今日はそんなことありっこないと思う日が一番やばい。おまけに社会文化会館前は真っ暗だ。そんな事をつらつら考えていると宮崎さんがやって来て「平野、こんな決戦の前って本当にセックスしたくなるだろう!? 俺ちょっと一発ヤって来るわ、、」とゲラゲラ笑いながら消えて行った。ふっと隣に連合赤軍事件で27年獄に入っていた植垣さんが居た。その隣にはクリスマスツリー爆弾犯の人や、、、もう大変。みんな私と同じで事情がよく解っていないで宮崎学に渡世の義理で動員させられた連中がたくさんいた。
「まあ! 先に若い者が突っ込んで行って、それでダメなら俺達年寄りがやっても勝てるわけはない、だから俺達は気楽に、、、」なんて喋っている。その横から若い突破党員が「植垣さん、銀行強盗3回やったんですか? その時のこと話してください」なんて言っている。
若い党員が私のところにやって来て、「やはりみんな眠れなくって、トランプ買ってきたんですけど、ブラックジャックでもしませんか?」と誘われ懐中電灯の中で賭場を開いていた。
明け方、4時近くだったろうか、薄くあけていく真夏の重い空の下、突然の責任者会議が招集された。決戦か? 撤退か? 今日の方針説明が闘争団側からだされた。
我々突破党は闘争団の方針に従わなければならない。我々が当事者ではないのである。
そして闘争団は臨時大会を開く事を認めてしまった。(註1)
もう、我々はする事がない!
帰りのうめぞ〜が運転するバイクの後ろに乗って、早朝の甲州街道を疾走しながら、「でも、結構スリルあったよね!」ってうめぞ〜に話かけている私がいた。
(註1)闘争団は、執行部に対し「4党合意は今臨時大会では採決しない」「執行部 は総辞職する」ことを条件に、臨時大会を阻止しない方針をとった。この時点で、執 行部側と闘争団側の武力衝突は回避された。
詳しくは、宮崎学ホームページhttp://www.zorrome.com/miyazaki/ を参照されたし。
        ロフトプラスワン席亭・平野 悠

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