pix by 三浦麻旅子
 

夢が現実になった夜
 最初のキッカケは元ルースターズ・マネージャー、現スマッシュの石飛さんからの電話だった。“ルースターズがフジでラスト・ライヴをやることになった。シンスケも何か手伝え”。そう言われてオレは即答で“何でもやります、何でも言って下さい”と答え、まずロフトプラスワンでファンのトーク・イヴェントを組み、それからこのルースターズ・リスペクト・アーティストを集めた前夜祭的なライヴをやろうとロフトを押さえた。当然ラスト・ライヴなのでライヴはフジのみと聞いていたからロフトにルースターズが出るなんてことはハナっから考えもせず、ラスト・ライヴを盛り上げる手助けがちょっとでも出来たらイイなと思ってただけだったが、心のどこかではやはりこれでルースターズは本当に終わってしまうので、最後に一度だけ昔のホーム・グラウンドである新宿ロフトのステージを踏んでくれたら……、なんていう全くあてのない夢だけはオレのアタマの中だけで膨らんでいた。
 ルースターズは東京で活動していた8年あまりの間、新宿ロフトに約80回出演している。中には新宿ロフト7デイズなんていうとんでもないこともやっていて、文字通 り新宿ロフトはルースターズのホーム・グラウンドだったのだ。でもその頃まだ田舎から上京もしていなかったオレは“本当に凄かった”と今も伝説に残るロフトでのルースターズのライヴを観ることは出来なかった。そうなのだ、ルースターズがキッカケでロフトに入ったオレはまだ新宿ロフトでルースターズのライヴを観たことがないのだ。
 そしたら直前になってスマイリー原島さんから“ルースターズがフジ前にウォーミング・アップでロフトに飛び入りで出てもイイって言ってる”と連絡をもらった。オレは冗談抜きで両手を胸の前に組んで空を見上げて“神様ありがとう!!”と叫んでしまった。人は夢を見ることを諦めてはいけないのだ。
 そしてこの夜。ルースターズは本当に新宿ロフトのステージに現れた。
 全く何にも聞かされていなかった超満員のお客さん達はみんな超騒然となっていた。見てみるとロフトのサブ・ステージのほうには誰もいなくなっていた。そして楽屋も誰もいなくなっていて、出演者達も全員ホールに出てきて全員少年のような眼差しで目の前で現実となった伝説を一瞬でも見逃すものかと食い入るように見つめていた。そしてルースターズはこの4人で演奏するのは21年振りというあまりにも長いブランクをすべて吹き飛ばしてしまうかのように、あの頃と何ら変わらない信じられないほどムチャクチャ凄いライヴ・パフォーマンスを見事にブチかました。ルースターズはやっぱり凄かった。ルースターズはやはり本当に凄かったのだ。
 ライヴ終了後、汗だくで震える足で地上に出たオレは、また空を見上げて真面 目に“神様ありがとう!!”と呟いた。
 人はやはり夢を見ることを諦めてはいけないのだ。祈り続ければその夢はいつかきっと叶うのだ。
 ああ…生きててよかった……。(LOFT/PLUS ONE店長:シンスケ“CMC”横山)

THE ROOSTERS in shinjuku LOFT, MON 26 JULY SET LIST
1. ROSIE
2. ONE MORE KISS
3. GIRL FRIEND
4. WE WANNA GET EVERYTHING
5. 気をつけろ
6. LEATHER BOOTS
7. LITTLE RED ROOSTER
encore
8. CASE OF INSANITY
9. ニュールンベルグでささやいて

井上富雄
花田裕之
大江慎也
池畑潤二