村八分  BOOK+CD
山口冨士夫  (K&Bパブリッシャーズ)2900円+税

今のロッカー達は村八分を越えられるか?

  「時代を突き破ったバンドの軌跡! 70年代初めのカウンターカルチャーシーンを疾走した日本のロック、パンク、ブルースのパイオニア『村八分』。急激に熟成していくバンド、極限までにストイックに音楽のオリジナリティを追求するメンバー間の軋轢、ドラッグ、葛藤。山口冨士夫が全ての真実を赤裸々に吐き出した衝撃のインサイドストーリー」(同書帯文より)  私はこの帯に書かれている以上の事を書くことが出来そうもない。まさに「ぴったしカンカン」なのだ。今私は「さて、この面 白い本をどうやって今の若いロッカーやロックファンに伝えようか」と迷いに迷っているのだ。
 なんとこの本には伝説の「村八分」の未発表ライブ音源が8曲も入ったCDもついている(同時期発売の限定受注生産『村八分ボックス』からの抜粋)。これは凄い! 確かに定価が2900円というのはちょっと高い感じがするが、このCDを聴けば、この本は高いか?安いか?なんていう疑問や迷いはぶっ飛んでしまう。すなわちこの種々のライブ音源は「昔の貴重名作品」ということを飛び越して今でも充分ロックとして楽しめるのだ。いや、充分通 用すると思った。今のどんなロッカーも、このチャー坊のボーカルと山口冨士夫のギターを凌駕出来るはずがないと思ってしまうからだ。日本最大の伝説のバンド「村八分」の名を聞いた事のあるロックファンは沢山いると思うが、実は私ですら村八分の生演奏を一度も見たことがない。村八分の絶頂期は私がロックに関わる前のシーンなのだから。村八分は、元ダイナマイツの山口冨士夫(G)を中心にボーカルのチャー坊を迎え1969年に結成された。そして学生運動華やかなりし時代である73年5月、京都大学西部講堂であの伝説のライブを行い唯一の公式音源『ライヴ』を発表するが、その後メンバー間のゴタゴタで解散してしまう。
 本書は山口冨士夫の音楽活動を通して、酒・女・ドラッグ・ケンカ・ロケンロールの話が基調になっている。今のロッカーが山口冨士夫をリスペクトするのは当然としても、やはり若い音楽家連中には「偉大なる先人を越える」という事を意識しながらこの本を読んで欲しいと思う。きっとあなたの創作活動にとって少なからず影響を与えてくれるはずだ。 (平野 悠)

スパムメール大賞  BOOK
サエキけんぞう (辰巳出版)1200円+税

迷惑なスパムメールも視点を変えれば粋でクール?

 PCや携帯に時間かまわず送られてくる「詠み人知らず」な迷惑極まりないスパムメール。本書は、2005年に著者のサエキけんぞう氏の元に届いたそのスパムメールをコメントつきで紹介しつつ、「粋」で「クール」なスパムメールに勝手に大賞を寄与しちゃおうって本。そもそも、オレも含めてほとんどの人はスパムメールなんて受け取った瞬間に削除すると思うんだけど、敢えてその内容を深く掘り下げることで世の中(エロ業界)の動向を探ってしまおう、というサエキ氏ならではの企画がバカバカしくて面 白い。メールの紹介のほかにも、弁護士先生や官能小説作家との対談やスパムメールについての雑学的なページもあって、読み物としても興味をそそられる本になっている。
 話はちょっと逸れるが、オレ自身数年前に「出会い系のサクラ」のバイトをやっていた事があって、その時に会員に一斉に送るメールの担当になった事が何度かあった。そのメールは会員にだけ送るものなので、正確に言うと所謂「スパムメール」ではないんだけど、内容はほとんど同じようなもの。いかにして相手の心を動かし返信をしてもらうか、という点で文章や設定などを考えていた。今思い出すと全然ありえないものばっかりだったけど…。んでも、やっぱりエロパワーは絶大で、ありえない文章や設定でも結構返事きてたもんなー。てことは、そんなヤツがいる限り、スパムメールもなくならないんだろうな、と。
 本の中にも出てくるけど、そんなくだらないスパムメールにいちいちイライラしてないで、サクッと読んで笑い飛ばすくらいじゃないとダメってことかな…。こんな狂った世の中だからこそ。ただし、コレも本の中に書いてあるけど、絶対に「返信」と「URLをクリック」だけはしないこと! 仮に間違えてクリックして督促のメールや電話がきても、基本的には無視すべし。架空請求やって逮捕された友達もそう言ってたし。
 そうそう、肝心の「大賞受賞作品」は……ここで書いちゃうとネタバレになっちゃうんで書かないけど、なかなか味のある作品。むしろ、勝手に送ってきてんだから、その受賞作くらいのクオリティを全スパムメールに求めたいところだ。てことで、この本を読むべき人は…やっぱりスパムメールを送ってる業者、になるのかな……。 (東 JOHNNY 健太郎)

あるきかたがただしくない  BOOK
枡野浩一 (朝日新聞社)1500円+税

枡野浩一、最大の問題作!?

 生きている男性歌人の中では世界一売れている枡野浩一の最新刊が届いた。しかも歌集ではなくエッセイ集だ。コラムニストとしては世界一有名とはいかないまでも、枡野はそっち方面 でも随分活躍しており、多くの新聞、雑誌でコラム連載をこなしている。単行本も、映画についての短歌とエッセイを収録した『もう頬づえをついてもいいですか?』や、20代の頃の出来事を綴った青春エッセイ集『淋しいのはお前だけじゃな』など、マスターピースと呼べるものが多い。しかし、今回の『あるきかたがただしくない』は、これまで枡野が出したどの本とも異なる種類の本であり、ある意味、問題作とも言えるものだ。
 「あるきかたがただしくない」というタイトルだけ見ると内容はよくわからないが、帯には「男が離婚を語ってはいけませんか?」「『週刊朝日』連載中から賛否両論の嵐……」とある。つまり本書は(なぜか一般 的には離婚についてグチグチと語らないものとされている)男性が、毎週毎週「私と息子を月1回会わせるという裁判所での約束を守らず、元妻が行方不明に」という話を書き続け、それが多くの読者から批判、同情、励まし、罵倒を受けた、世にもめずらしい内容になっているのだ。しかし実際には離婚のことだけが書いてあるわけではなく、基本的に毎回テーマは様々。例えば松尾スズキのことだとか、銀色夏生のことだとか、鷺沢萠、角田光代、阿部和重、井口昇、パチンコ、ニート、ババロアなどについて、様々なエピソードや雑感が枡野流のユニークな視点で綴られている。それでも毎回文中のどこかに離婚、子供、元妻への言及がされているため、結果 的には「離婚」がクローズアップされることになったのだろう。おそらく枡野自身も、こういうものにしようとは思ってなかったはずだ。そして連載の最終回の原稿で枡野はこう書いている。「連載をしている最中、多くの方からメールや手紙をいただきました。離婚後ずっと子供に会えていない父親ってものすごく多いんですね。その苦しみを表立って表現しないことが『男らしさ』だというなら、私は男をおりてもいいと思っています。」  本書について作家の長嶋有が「10年後とかには女性側の意識も男性側の意識も変わってて、なんでこの枡野浩一のコラムに目くじらを立てたり、過剰に共感してたりしてたんだろうっていうくらい、普通 にこういうことを言う男性は増えているかもしれない」と述べているが、期せずしてジェンダー問題までもえぐり出した本書は、やはり時代の問題作と言える面 白い本になっていると思う。
 それにしても枡野さんって本当に目が離せない人だなあ。 (加藤梅造)

またまた へんないきもの  BOOK
早川いくを (バジリコ)1575円(税込)
やっぱり怖いもの見たさで読んでしまう

 ベストセラーに輝いた前作『へんないきもの』からはや1年5カ月。待望の第二弾がついに登場した。第二弾ともなれば、紹介されるいきものの妙ちくりんさもトーンダウンしているのではないかと心配してしまうが、大丈夫! 地球上にはまだまだ、我々のちっぽけな想像力など吹き飛ばすへんなやつが存在しているのだ。
 著者の早川節も期待どおり炸裂。ベストセラーの夢再び、と帳簿を繰っているに違いない出版社の意気込みやいかに、と帯に目をやれば、「あの『へんないきもの』が更なる進化を遂げ、お茶の間を急襲する!」の衝撃的なコピーを発見!! なんと、平和ボケを続ける日本の家庭は、この書物の到来により危機にさらされるかもしれないのだ。「なんだか面 白そうな生物の本を見つけたから買ってきたよ、母さん。勉強にもなりそうだし、倅に読ませよう」と我が子に、無邪気に本書を与える父。だが父よ、面 白いとへんは違うのだ。見開きごとに繰り出される、あり得ない輩たち。教科書では教えてくれない生物のオンパレード。どう考えてもNHKの「ふしぎ大自然」の主役は無理。脇役でも衝撃映像だ。本で、イラストでまだよかった。
 だいたい教科書で習う生物といえば、「自然に適応するために、進化の過程でこんなに素晴らしい能力を身につけた! なんて素晴らしい! 神前の神秘って!」というメッセージに耐えるものではないだろうか。だが本書に登場するのは、「中途半端に進化にトライして訳のわからない形になって、自然界の笑いものになって子孫に迷惑をかけている」とか、「生き延びたり子孫を増やすのに工夫した、その気持ちはわかるが、やり方があまりにへんすぎるとは考えなかったのか」と、思わず目を覆いたくなるやつらばかりなのだ。鼻先の疑似餌を自在に操る、といえば聞こえはいいが、そのじつ、何の役にも立たない疑似餌をたまーに意味もなくぴろりと出しては魚類たちに完全に無視されるバットフィッシュ。はたまた、個体同士がつながり体長40メートルもの巨大クラゲに成長するクダクラゲ。このクダクラゲの個体たちは、各々が消化係り、浮力調整係りなどの機能別 に変身を遂げ、おのれの役割をはたしながら集団で1匹の生物として振る舞うという。そしてこのへんないいきものたちに、ブラックユーモアを滲ませ、容赦ないツッコミを入れていく著者。「楽しいいきもの図鑑」だと勘違いして本書を買ってしまったさわやか系家族の場合、読み進めるにつれ茶の間は凍りつき、平穏な日常にヒビが入る可能性があるのでご注意を。(保田明恵)
All About Niagara(増補改訂版)  BOOK
大瀧詠一 (白夜書房)4700円+税

Niagaraファン必携の書が再登場!!

 高校1年生のころに買った、スライ&ザ・ファミリーストーンの「暴動」というCDには、そのタイトルトラックである「暴動」が収録されていなかった。付属のライナーノーツにはその「暴動」というトラックに対する感想が述べられているのにもかかわらず、CDを買ったぼくはそのトラックを聴くことができない。なんだかどうやらそのトラック、レコードで発売されたものには収録されていたのに、CD化された際にはなぜだか収録されなかったようである。
 一体全体どういうことか。当時のぼくは、もの凄く混乱した。インターネットが普及していない時代、収録されていない理由を探す手段がどうにもこうにもみつからず、結局、発売元であるエピック・ソニーに直接電話して尋ねたのだけれども、「ただいま担当者が席をはずしておりますので、折り返しお電話いたします」との対応を受け、その後、折り返しの電話が未だかかってきていません。
 で、そんなときにこの「All About Niagara」みたいなデータ本が、スライ&ザ・ファミリーストーンにもあればよかったのに!と、つくづく思っています。
 兎にも角にもこの本、ナイアガラレーベルに関するデータが、最初から最後まで延々と収録されています。ナイアガラのCDを1枚も、1曲も聴いたこと無い人でも、この本に目を通 しておけば、それなりにいっちょまえの口をきけるくらいのデータ量 。本当に、ナイアガラに関するデータのみです。以前出版されたものに、最近までのデータを付け足したので、「増補改訂版」。
 このデータ量、見てるだけで楽しいです。面白いです。 (宮城 剛)

枕曼陀羅  COMIC
智代次 (マガジン・ファイブ)1500円+税

恐怖心までもを呼び起こすアンダーグラウンドな匂いプンプンなエロ劇画

 中学生の頃、通学路の途中の河原に大量のエロ本が捨てられているスポットがあり、ボクの仲間内では「エロ本養老の滝」と呼ばれていた。今、考えてみればその河原に住み着いているホームレスたちのエロ本隠し場所だったのだろうが、万年エロ不足に悩まされていたグツグツ童貞中学生のボクらは「宝じゃ、宝じゃ」とばかりに、ちょいとしたトレジャーハンター気分でエロ本を失敬して帰り、チンポがすり切れるほどオナニーをしまくっていたもんだ。  そこにあるエロ本はホームレスの好みなのか、普通の写真系エロ本よりも圧倒的に「漫画エロトピア」「漫画大悦楽」「劇画アリス」といった、いわゆるエロ劇画雑誌の割合が多く、必然的にボクらも子供のくせにやったらとエロ劇画を読みまくっていた。心はA-BOYなボクが、最近流行の(?)ロリ顔巨乳の妹出しときゃいいだろう的な、アニメ絵のユルーイエロ漫画とかを全然読む気にならないのは、この頃の刷り込みのせいだろう。  この本の作者もその当時に活躍してたエロ劇画家らしい。イヤー、久々にエロ劇画読んだけどやっぱスゴイわ。おそらく、一コマだけ抜き出して見たらオナニーどころか、チンポもピクリとも来ないド迫力&エグーい絵。子供に見せたら泣くね、多分。そんな絵であながら、ストーリーを踏まえながら読んでいくとグイグイ引き込まれて、恥ずかしながら愚息はピンピン!  レイプ、通り魔、不倫、監禁、痴漢……と、あまりにもモテない上に性欲だけは日々グングン盛り上がりまくってしまい「オレはいつか性犯罪を起こして捕まるんじゃないか……」と思い悩みつつも、とりあえずオナニーしまくっているグッツグツ童貞男子の脳みそに直接ペンを持たせて描いたかのような濃厚なエロ妄想ストーリーの数々には、ドピュッと発射して「あー気持ちよかった」チャンチャン……なんてユルイ終わり方をしている物は一個もない。というか、まともに射精してる話すらほとんどないからね。「セックス→射精」という、安易なエロ話なんか超越しまくった、読んでるとエローい気持ちと同時にどこかイヤーな感じ、恐怖心までもを呼び起こすアンダーグラウンドな匂いプンプンなエロ劇画。つまんねーエロ同人に飽きた貴兄も一度読んでみては? お子ちゃまにはワッカンネーかもしんないけどね。 (特攻エロ野郎Aボーイ・北村ヂン)


いよいよ新春一月二一日より公開
男の墓場プロダクション映画 1月21日から 二本立て公開(シネマアートン下北沢にて)

『任侠秘録人間狩り』
 新宿を舞台にして、女性を誘拐、拉致して男性に斡旋する犯罪組織があった。そこにある日、客として現れた謎の男、飯島はまったく素性がわからない。堅気とは思えないその雰囲気。暴力団関係者? それとも警察? 疑念を抱きながらも、組織は飯島を女性の監禁場所である熱海へと連れていくことに。熱海へ向かう車中で徐々に明らかになる飯島の素性。そして目的! 折しも、新宿では関東と関西の巨大暴力団体どうしの話し合いが持たれていた。飯島の目的が明らかになったとき、物語は一気にラストへ突入。男たちの熱いバイブレーションが炸裂する!

『怪奇!幽霊スナック殴り込み!』
 浅草でスナックを営むユキの亭主は刑務所に服役中である。新宿の巨大暴力組織の人間を殺傷してしまったのだ。刑務所内で巨大暴力組織からの報復を回避するため、ユキは司法当局と取引を交わした。内偵活動の協力である。時には女の武器を使いながら…。司法当局の手先の男とも肉体関係ができてしまっているユキ。ユキは毎日を悩み苦しみながら生きていた。が、ある暴力団組織に近づいたことでユキは窮地に陥る。そこへ夫と刑務所で同房だった渡世人が現れる。ユキを窮地から救うために立ち上がる渡世人。さらに、ひょんなことからスナックに居つくことになった幽霊3人も合流し、壮絶な超常バトルが開始される。

シネマアートン下北沢●電話(03)5452-1400 ※下北沢駅徒歩3分、鈴なり横丁

キング・コング MOVIE
(UIP映画 配給)全国で上映中

スクリーン上を暴れる土人と恐竜、 そして巨猿の愛に涙が止まりません

 映像化不可能、と思われた『指輪物語』の完全映画化。どう考えても損な喧嘩(発表時には「気が狂った」と思った)に見事打ち勝ったP・ジャクソンが次に選んだのはこれまた名作、特撮映画の金字塔『キングコング』リメイク、格闘技にたとえればヒクソンと闘った一週間後、土俵で朝青龍に挑んでいるようなものであろうか。キングコングは今までも何度もリメイクされているが、それは皆新しさを出そうとして大失敗、という代物ばかり。登るビルを今は無き世界貿易センタービルにしてみたり、メスコングを出してコングラブを演出、しまいにゃ子供が生まれたりと惨澹たる結果 だったと筆者は思っている。
 その先人の失敗の轍を踏むのでは…という不安をよそに観賞。全くの取り越し苦労であった。全てのリメイク物の至上命題である「オリジナルの再現=規定演技:新要素=自由演技」のバランスが取れている。ヘタな小細工をせず、オリジナルと同じ1930年代にし、きっちりクライマックスのNYでの大暴れなどを押さえておきつつ、その分コングの生まれ故郷であるスカル島ではやりたい放題! 土人が白人をガンガン殺し恐竜が暴走! 世界最先端の技術を用いたコング&美女コンビvs恐竜3体のワイヤーアクションカンフー(本当)は死ぬ 前に是非1度御覧になっておく事をお薦めする。
 当然この作品はコングと美女の関係が肝なのだが、オリジナル版の美女は絶叫→失神→蘇生後再絶叫…であったが今回は現代
的に確固たる意思を持つ女性である。そしてコングも今風に…そう、コングが喪男化しているのだ! 破壊と暴力しか知らなかった彼の運命を変える出会い。自分を捕らえ、あざ笑う都会の中でも彼女の姿を求めさまよう…2人のシーンはどこであれ号泣ものである。ハンカチの携行を推奨する。
 …しかし日本は残念な事にあんまり猿モノ好き国家では無い(猿惑は人型だから別 )。「好きな怪獣『キンゴジ』のコング!」などという御人はそうはいないであろう。だからこそ、宣伝ももう少し考えて恐竜が出る事等をアピールするべきではないだろうか? ジュラパなんて足下にも及ばぬ 歴史的名作だというのに…。
 ちなみにP・ジャクソンは「ちゃんとした」サンダーバードのリメイクを企画中との事。ヲタの夢天井知らず。 (多田遠志)

※1/15にロフトプラスワンでキング・コング・イベントやります。世界のコングもの大集合の予定

プライドと偏見 MOVIE
(UIP映画 配給)1月14日(土)より有楽座ほか全国一斉ロードショー

岩波文庫の定番・ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」を美しく映画化

 18世紀末、女性に財産相続権がなかったこの時代、“結婚”は女性にとって人生のすべてだった。物語は、イギリスの田舎町が舞台。娘ばかり5人のベネット家の隣に、大金持ちの貴公子ビングリーが引っ越してくる。美しく慎み深い長女ジェーンと読書が好きで才気溢れる次女のエリザベス。そして、快活なビングリーとその親友で気位 の高いダーシー。ジェーンとビングリーがたちまち恋の芽生えを感じる一方、エリザベスはダーシーのプライドの高さに反発を抱く。そこに現れた青年将校ウィッカムの話から、エリザベスはますますダーシーに嫌悪感を募らせる。しかし、嫌ってはいても、なぜかダーシーの存在が気になってしかたがない。その理由が自分の偏見にあったとエリザベス自身が悟る頃、ベネット家の一番下の娘の身にとんでもないことが起こっていた……。  原作はイギリス女流文学の頂点をなすジェーン・オースティンの代表作「高慢と偏見」。この200年前に書かれた名作を現代に蘇らせたのは、『ブリジット・ジョーンズの日記』や『ラブ・アクチュアリー』などラブ・ストーリーに定評のある制作スタジオ、ワーキング・タイトルである。
 素直に「愛している」と告白すれば心の扉が開くと知りながら、“プライドと偏見”によってすれ違っていくエリザベスとダーシーを中心に、人生のあらゆる幸せを〈愛〉に凝縮、“恋と結婚”という永遠のテーマを描き、今を生きる女性たちにも共感できる人物描写 とストーリーが新鮮な作品となっている。(U)

チキン・リトル MOVIE
(ブエナ ビスタ インターナショナル ジャパン 配給)全国で上映中

ふつうのキッズ映画なんて思って、ごめんよ!

 何をやっても失敗ばかりの小さな子供が奮闘する「チキン・リトル」。正直、キッズな頑張って感動映画?と思っていた……。
 チキン・リトルはある事件をきっかけに、町中の蔑み者になってしまう。しかしリトルが一番辛かったのは、その時に自分を父親が信じてくれなかったこと、そして父親から認めてもらえないこと。リトルは期待されない子供だった。それでも彼はいつか認めてくれるはずだ、と様々な努力をするがことごとく裏目に出る。その時に父親は言う「おまえには無理だ」と。父親は決してひどい父親ではない。息子を愛してもいる。しかし驚くような失態を演じる息子との暮らし。できれば平穏に暮らしたいと願う、市井の父親だ。その父親が言う「おまえには無理だ」。心中おさっしします、であるが、その言葉は子供にとって最高の呪いの言葉ではないだろうか。また父の言葉ではないけれど「おまえならできるはず」「ぼくならできるはず」等「できるはず」という単語も随所に出てきた。この二つの単語が観後、リフレインした。
 自分が子供の時、繰り返しは聞きたくない二大フレーズがあった。「おまえには無理だ」「おまえならできるはず」。前者は否定で後者は励ましだ。生意気であった私は、「んなこと言われんでもやりたいことはやるわい」と思っていた。無理は無理でやった時に自分が感じて本当に無理とわかる。そうではない可能性を自分で残すのは嫌だった。痛みを知らないまま過ごしてしまえば未練は募るし、そうなった時に何か自分の内に歪みを持ってしまうのではないかと。やってみた本人しかわからない体験をジャッジするその先に不満を感じていたと思う。また「できるはず」というのも繰り返し言われると心がしぼんだ。過剰な期待はごめんだ、という気持ちがそうさせたのかもしれない(ああなんて子供なんでしょう…懺悔…)。  この映画の中には随所にその単語が登場する。チキン・リトルでの視点、父であるバック・クラックである視点、周囲の友達、近所の人、その毎視点で繰り返されるそのワード。その度に子供の時の自分を思い出した。同時に、もし自分に子供がいたらこの単語を言ってしまう自分がいるんじゃないか。いや言いたくない、でもオトナは言ってしまいがちなんじゃないか。可能性を剥奪すること、可能性を保護すること、その過剰さの危険、そんなことを考えさせられてしまった。
 もしかしたらキッズ映画じゃないか、というイメージは強いかもしれない。でも私はこれは人を育てるということを本気で考えた映画ではないか。もちろん子供にみせたい映画だけれど、子供だけにみせるにはもったいない映画だと思った。 (斉藤友里子)

『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』  『ドキュメント・オブ・ザ・デッド』  DVD
『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』はデックスエンタテインメントより3990円(コレクターズBOXは7140円)/『ドキュメント・オブ・ザ・デッド』はカプコンセルピュータレーベル2940円(たのみこむ限定販売)
 

年末年始におこたで生ける屍三昧

 何かいっつもこの欄では何かしらゾンビ物を紹介してる気がしますが。…私事ですが小生、正月は必ず何かシリーズ物を続けてみる、という習慣があります。元旦から『エイリアン1〜4』ブッ続けとか、去年は『仁義なき戦い』一挙上映でした。今年は恐らく年末大量 リリースのゾンビ作品を消化、という事になりそうな予感がします。そもそも終末感に満ち満ちたゾンビ物って妙に正月気分にぴったりな気がします。是非一度お試し下さい。でも昨今全力疾走するようになったハードコアゾンビよりは、ゆっくり集団で近付いてくるロメロゾンビ系がよりお薦めかと。今回紹介する2作品が、まさにピッタリかと存じます。
 『ナイト〜』は言わずと知れたモダンゾンビの金字塔、人種問題等の世相も絡めた、ホラーというジャンルを越えた名作です。今回リリースされるDVDには、後年作られたカラー彩 色版も収録、特典も充実の決定版のようです。
 『ドキュメント〜』の方は、続編『ゾンビ』のメイキングドキュメンタリーで、再販懇願サイト『たのみこむ』での限定発売。ゾンビメイクの秘密や実際のショッピングモールの空き時間を利用して撮っているにも関わらず、和気あいあいとしたロメロ組の撮影風景が収められています。この2作にロメロ御大の最新作『ランド・オブ・ザ・デッド』を加えれば年末年始のゾンビライフは完璧です! 
 最近のDVDは監督や俳優たちが映画本編を観ながら制作秘話を語る「オーディオコメンタリー」がついています。どちらの作品にも、日本オリジナルとしてゾンビ物の熱狂的ファンとも言うべき著名人たちのコメンタリーが収録されているのですが、そのどちらにも参加している中原昌也氏って一体…今までも『痴漢ドワーフ』などの作品でコメンタリーを収録している彼ですが、ダジャレを連発したり監督を説教したり無言でmixiやってたり…しかもこの2作品のコメンタリー収録は日時が連続していたらしいので、「もうゾンビについて話す事なんか無いよ…」とぼやきながらも繰り出される唯一無二のコメンタリ−芸は健在ですので、未聴の方は聴いておいた方がいいですよ。 (多田遠志)