非国民のすすめ   BOOK
斎藤貴男 (筑摩書房)1700円

非国民になる勇気はあるか?
 1月13日池袋のジュンク堂で塩見孝也氏の「監獄記」の出版記念トークがあって、わたしゃ渡世の義理でちょいと覗いて見た。まあ、塩見さんの話は今まで散々聞いてきたのでここでは触れないが斉藤貴男さんの発言があまりにも私にとっては切実で危機感に迫っていたので、ちょっと興味を持って「非国民のすすめ」を買ってみた。
 斉藤さんとは一昨年まで「個人情報保護法」や「住基ネット」反対運動で一緒に闘った同志でもあったし、また個人的には斉藤さんのサインが欲しくなってジュンク堂でこのハードカバーのこの読みにくそうな本を買った。そうしたらこの本は出版されてからまだ半年ちょっとなのにもう3刷まで行っていて若干驚いた。なんと売れているのだ。これは素晴らしいことだと思った。
 この本はまさに斉藤貴男と言うジャーナリストとしての原体験を「今怒らなければならないこと」の集大成なのだと思った。「このままでは権力に近い者だけが世の主人公になる」(帯より)の世は近い。さてキミはどうする? なんとかして権力の近くに寄ってアメリカ帝國のしもべとなっている小泉首相みたいにニヤニヤして子飼いのように媚びをふうるか? それにゃ〜東大ぐらい出ていないとダメだと思うよ(笑) それでなければ森永卓郎が言う年収300万世帯になって一生奴隷のようにこき使われてゆく運命なのかも知れないな。若者に「人生あきらめが肝心」というのは辛いが、非国民になる勇気がないのなら、キミに与えられた日本国民としての運命に甘んじるしかないのかも? (平野 悠)

中学生以上全ての人々の「よりみちパンセシリーズ」 いのちの食べかた   BOOK
森 達也 (理論社)1050(税込み)
思考停止しないためのよりみち
 今年は何か沢山本を買い込みそうな予感がする。巷ではもう本はますます売れなくなる時代なのだそうだが、わたしや、断固大好きな読書を堪能する1年にしょうと思っているのだ。さてこの本と出会うきっかけは森達也監督の「いのちの食べ方」と言う本が目にとまったからなのだが、森ファンの私は我が高校生の息子の為に買い求めた。「世界は広い。全てを知ることなんて無理だ。でもキミの毎日にとってすごく身近なことを知らないなんてなんとなく落ち着かない? まずはきのうの晩ごはんを思い出しながら、ちょっとだけ、考える冒険をしてみよう」という帯のうんちくに魅了されたからだが、なんとも子供より先に私が一気に読んでしまった。うん、この本は森達也の基本的な「哲学」を日常私たちがコンビニやスーパーで買う「食物」を通 しての素直なわかりやすい森達也の真摯なメッセージ本だと思った。 「こういう本が今若い連中に必要とされているのだな」と思ったらこのシリーズを企画した理論社の編集者に尊敬の念を持った。この本に出てくる「この思考停止がいくつも重なると戦争が起きる。回避する方法は沢山あったはずなのに誰かが思考しなくなりやがて皆の思考がとまりそして戦争が始まる」なんて言う文章は考えさせられてしまうのだ。そしてなんとも驚いたことにこのシリーズはもう20冊以上出版されていて、重松清「みんなのなやみ」、みうらじゅん「新しい保健体育」、リリーフランキー「言葉の教室」、北尾トロ「気分はもう裁判長」、伏見憲明「さびしさの授業」なんてプラスワンではお馴染みのサブカル作家の名前が並んでいる。まさに学校でも家でも学べないリアルな知恵満載なのだ。 (平野 悠)
愛と性   BOOK
小森和子 (1991年、学研)1223円
「負け犬」? いいえ女は灰になるまで! 奔放に強く、がモアベターよ
 「おばちゃまはね」と言っても今のヤングちゃんには通じないかもしれないわね。鶴ちゃんもセコンド業や詩、絵に忙しくてすっかり真似してくれなくなったしね。80年代位 までおばちゃまTVトークに出るし六本木のお店でママもするし、とてもトシに見えないって皆様に可愛がられてたのよ。いじられてたとも言うかしら? あ、本業を忘れてはいけないわ、おばちゃま映画評論家だったの。魂のアイドル、ディーンちゃんの死に大ショック、1958年、48歳でお墓参りに渡米したの。淀川先生に見出され映画のお仕事はしてたけど、この洋行でシナトラさんに迫られたり壇一雄さんとラブアフェアを楽しんだり、人生観も仕事も大きく変わったわ。
 これに限らず、多くのボーイズと恋やセックスを楽しんだのよ。この本は19歳の処女ソーシツからの経験をガールズちゃんに指南したくて82歳で書いたの。見出しだけでも紹介するわね。「最後に楽しんだのは76歳の時よ」「男を仕込むには、まず双方がまんよ」「菊池先生とのおつきあいもよかった」…ちょっとカゲキかしら? 菊池寛先生は『真珠夫人』でまたブームみたいね。文豪といえば、壇先生は私と交わった後イチモツを握っててあげないと原稿が書けなかったの。ボーイズって幾つになっても可愛いわね。
 バクロ的すぎるって言われても気にしないわ。ガールズが、素晴らしい人生を悔いなく生きられるように…その一心。この本はセックス中心だけど、封建的な明治昭和時代、不良と言われても思うまま生きた職業婦人に興味を持って頂けるなら、『流れるままに、愛』(1986年、集英社文庫、489円)も併せて読むとモアベターよ。
 最近「負け犬」なんて言われてたかだか30過ぎで女の人生が規定されちゃうみたいだけど、おばちゃまが花開いたのは50超え。他人の目で萎縮するなんてバカらしいと判るわ。思い切り生きたお陰で今天国でディーンちゃん達「イケメン」とデートできてとても幸せ。ブックオフやネット古書店にあるからぜひ読んでみて。 (イタコ:尾崎未央)
東京赤ずきん   COMIC
玉置勉強 (幻冬社)620円
メジャーの内側からブッ壊せ、玉置!
 性的なモノが最近はガンガン取り締まられておりますな。風俗関係のガサはもちろん、最近深夜TV番組でも乳首まったく出ないでしょう。ヒドいとボカシかかってたりしますから。どういうことよ。コンビニのエロ本もテープで立ち読み厳禁、ほんにツマラぬ 世の中になったもんであります。そろそろ亡命でも考えようかなぁ。この一連の「自主規制」は多方面 に及んでおりまして、エロマンガ業界はその最たるもんです。いち早くテープ貼られてますし、目を付けられて休刊に追い込まれている雑誌もありますし。作家さんもロリ→人妻もの等の方向転換を強いられていますし、エロを辞めて一般 誌に転向、なんて人もいるくらいですから。漫画家自体を辞めた人もいるんでしょう。
 この本の著者、玉置勉強氏は画力はもちろん、リアリティのある単に抜き用だけでないエロマンガの可能性を示し、タトゥーやボディピアスなどを大流行する前から画中に盛り込んだエッジな存在で、早くから一般 誌での仕事もされております。海外でも高く評価された彼がしばらくの沈黙を破って放ったのがこの作品なのであります。 正直エロで活躍していた人が一般誌で書くのは大変な事だと思うのだ。メジャーからは「エロが…」、エロ業界からは「サブカルに転びやがって」と言われつつ頑張る、並み大抵の事ではあるまい。ただメジャーに食い込み、内側から刺激的な作品を生み出す、山本直樹のような先駆者もいるではないか、とも思うのだが。
 その両面を知っているからこそ、かえってどんどん雑誌や単行本が売れなくなって来ている現在において、これからの活躍が一層期待できるんではないかと思うのですが。他に誰がメジャー誌で「狼に喰い殺される事を夢見、自分を殺してくれる相手を求め、マッドマックスショットガン片手にさすらう連続殺人鬼で色情狂のつるぺたロリロリ美少女の赤ずきん」の話を書けると言うんでしょうか? 頑張って欲しいです、是非。 (多田遠志)
食い意地クン   BOOK
久住昌之 (二見書房)1200円
トレンチコート男は食い意地クンだった!?
 ユルユル、クスクス、爆笑マンガ『中学生日記』の原作者としてもお馴染み、久住昌之さんの新刊が登場。タイトルの『食い意地クン』は久住さん本人のことで、以前は「グルメなんて嫌な野郎だ」と公言していた久住さんが、どうやら本当は「かなり食い意地クン」だったということをカミングアウトして出されたのが本書だ。
 久住さんと食い物と言えば、泉昌之名義のデビュー作で、トレンチコートの男が幕の内弁当のおかずをどの順番で食べるかだけを徹底的にハードボイルドに描写 した傑作マンガ「夜行」(『かっこいいスキヤキ』収録)がすぐに頭に浮かぶが、今作は、あのニヒルなトレンチコート男が、ユーモラスな食い意地クンとなって帰って来た!ともいえる爆笑「食」エッセイとなっている。つまり、美食評論家がどっかのグルメな店を紹介している類のものではなく、焼き肉、ラーメン、カレーライスから、カップヌードル、ねこまんま、立ち食いそばといった平凡なメニューに対し、それを食べる時の取り組み(?)を久住さんがおもしろおかしく書いているのだ。 それがまたどれも傑作。例えば、「ラーメン」の章を読むと、 “ラーメンができるのを、待っている間も楽しいから、テーブル席の店よりカウンター席のほうがイイ。作るところが見えると嬉しい。大好きなラーメンが、できていくのを見てるのは楽しい。「あ、今鍋に入れたの、俺の麺かな」とワクワクしたりして、でもできたらみんな別 の人のところに行っちゃって、「あ、俺のは次のセットだったのか、なーんだなんだ、もう割り箸割っちゃった。勇み足ぃ」なんて、ガッカリしつつも余裕のひとり照れ笑い。”  ああ、その感じわかるな〜っていう絶妙の描写が次々に登場し、読んでるうちに思わず舌がじゅるじゅるしてくる。先日も真夜中に「お茶漬け」の所を読んだら、ついがまんできずにごはんを炊いてお茶漬けさらさらしてしまった。うーん、ダイエットしている人には要注意の食い意地エッセイです。 (加藤梅造)
喜納昌吉と、沖縄と日本   BOOK
松井克明[編] (現代人文社)800円
沖縄から見えてくる日本、アメリカの問題
 昨年の参議院選は、自民党vs民主党の熾烈な選挙戦が記憶に新しいが、その中でも民主党から立候補した喜納昌吉の選挙演説は一つのムーヴメントといえるものだった。喜納氏の街頭演説はどこでも、支援者や見物人が三線、太鼓などの楽器を持ち寄り、沖縄のエイサー隊も登場してストリートライブさながらのお祭りになった。「すべての武器を楽器に。すべての基地を花園に」というメッセージを掲げる喜納氏にとって、その公約の実現に音楽が不可欠のものだということを、これほど雄弁に語る方法が他にあるだろうか。
 喜納昌吉のような言いたいことをはっきり言うタイプの政治家は、日本の料亭政治に慣れた古いタイプの議員にとっては非常にうざったい存在だろう。喜納氏が国会初登院した時に、琉球王朝時代の衣装で三線を持っていたら、衛視に「歌うな」って止められたのはまあ笑い話だが、当選直後に、喜納氏の街頭演説にエイサー隊として参加していた青年を「未成年を選挙運動に使った」という理由で不当逮捕したのはシャレにならない。これは、過去に例のない程盛り上がった喜納氏のボランティア選挙に対する、明らかな嫌がらせ行為だ。目障りな存在は早々に潰そうという中央権力の思惑が働いたと考えられている。
 喜納氏がマークされている理由の一つは、彼が琉球独立の思想を持っているからだろう。沖縄の問題というのは、日本政府がもっとも触れたくない鬼門なのだ。なぜなら日米安保の貢ぎ物として沖縄をアメリカに差し出した日本は、基地移転、日米地位 協定の見直しなどの問題が山積みだからだ。そして、喜納氏当選後の沖縄で起こった、沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事件は、沖縄の本質的な問題を隠蔽するために様々な「癒しの島・沖縄」キャンペーン(そこにはNHKで放映された「ちゅらさん」ブームも一役買っている)をはっていた日本政府にとっては最悪の事件だった。もちろん喜納氏にとって、この事件の追及・解明が議員としての初仕事になったのだが。
 本ブックレットは、喜納昌吉の政治思想を知るのには絶好の書である。8/18にロフトプラスワンで行われた、岡留安則との対談も収録されているので、噂真ファンも是非ご一読いただきたい。 (加藤梅造)
人間・廃業・宣言 BOOK
友成純一 (洋泉社)1600円

ページをめくるたびに脳みそカッポじられる
 私の生活の仕方に問題あると思うのだけど、じっくりと何かに傾倒する時間がもてないでいる。  深夜帰ってなにげなくつけたテレビのある部分を面白く思ったりケナしてみたり、雑誌やネットをぱらぱらみて気になったり、CDを何曲か聞いて酒を呑んでみたり、何度も読んだことのある本や漫画を寝る前に何ページか読んでいつの間にか寝ていたり。

 唯一映画館で映画を観る時は違うかもしれないと思っていたけど、それも一ヶ月もすると忘れていたりする。なんだかこま切れの楽しみばかりで日常が過ぎていく。
 この『人間・廃業・宣言』を読んで、久々に本で燃えた。  ポール・バーホーベン、デヴィット・フィンチャー、リドリー・スコット、『エイリアン』、スピルバーグ、ティム・バートン、バーチャルSF、金子修介、庵野秀明、サム・ライミ&ピーター・ジャクソン、カーペンター、ロバート・ロドリゲス。これらが章ごとに登場するこの本は「こま切れのコラムを載せるには困らない。でも、ああ、長い文章が書きたい」と悶々とし遂にキレて書いた本の中で三部作目であり完結編だという。  映画の状況や自分の気持ちを考察しながら語られるその口調は淡々としているけれど、そのエネルギーはこま切れの何かを蹴散らしてゆき、私の中に足跡を残していく。つき進む著者を追いかけることが楽しくなってしまい、一度ページを開けば、一章終わるまで読むことが止められない。  とびらには「<人間廃業宣言>とは、映画が安っぽいヒューマニズムを越え、作り手さえも意図しなかった表現領域(世界)にまで手を伸ばす瞬間を捉えようとする試みである」とあり、まえがきには「私が好きな監督には、肉体と精神の相克を、肉体がいかに縛ってきたかを追及するタイプの人が多い。肉体が人間に欲望を生じさせ、社会を作ることを強い、人間関係を強い、道徳とルールで縛って不幸に陥れていく。肉体を超越すること、人間であることを超えようとする試みは、すなわち人間をやめてしまうことでもある……それが良いことか悪いことかは置いておいて、それについて考えるのは楽しい。色々な作品をとっかかりに、新たな楽しみと悦びを見出したいと思う」とある。他の文章中、どこを読んでもそのテーマがあり、未だに私は何かをこま切れに楽しむしかできないでいるのかもしれないけれど、この本のページをめくるたびに脳みそカッポじられる。この本は、本棚の指定席にずっといれておきたい。 (斉藤友里子)

 
 
WWE DVDシリーズ (ユークス)
各3,990円 2/25発売
祝!WWE来日!
 家族喧嘩・不倫・仲間割れ・確執など複雑な人間模様に劇的な展開。時にクレーン・車・重機類も(時にバキュームカーを突っ込ませ糞を噴射したり)率いてぶつかり合うスケールのデカさは笑うしかない。極Lサイズでありながら充実した出し物を見せてくれるWWE。そのホームビデオシリーズの今月の新作は3本。いずれも発売日は2月25日。(Y)
■『タブー・チューズデイ2004』GNBW-7073
 ファンがネットで試合カードを選ぶという投票式バトルマッチPPV。大統領選近くに行われたというこので選手たちは!? リックフレアーとオートンのケージ戦/HHHとHBKの世界ヘビー級王座戦/ケインとスニッキーのウェポンオブチョイス戦/ディーバのコスプレ・バトルロイヤル/エッジとベノワのタッグ戦などが収録予定。気まぐれに一人にされても戦い抜く男・ベノワが泣けます。
■『サバイバーシリーズ2004』GNBW-7074
 アンダーテイカーとヘイマンの刺客・ハイデンライク/RAW対スマックダウン軍団の生き残り戦/負けない王者(やな奴)JBLとブッカーTのWWE王座戦/などが収録。
■『ジョン・シナ ワードライフ』GNBW-7082
 怒濤のラップで相手を押し倒す“ワル学の博士”ジョン・シナ名場面 集。ブロックレスナー/アンダーテイカー/カートアングル/ビッグ・ショー/マクマホン一家などと繰り広げたラップバトル、イラク・バグダッド遠征のスピーチなどが収録される、ジョン・シナ特集。
◎そしてこの3本を各1名様にプレゼント。応募の方はハガキで1.お名前 2.ご住所 3.ROOF TOPの感想をご記入の上、〒169-0073 新宿区百人町1-5-1百人町ビル3F ROOFTOP編集部「WWE DVDプレゼント係」まで。
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「仁義なき戦い」DVD BOX (海外版)
$99.95 amazon.com等で発売中
深作は日本の宝、これくらい日本本国でもきちんと出したれや、のぅ…。
 知らぬ者なき東映実録路線の金字塔、『仁義なき戦い』シリーズであります。海外でも評価は高く、このような豪華すぎるBOXで発売されているんですアメリカでは。しかもこのジャケはメタルパッケージですよカックイー。
 かつては義理人情の世界が主だったヤクザ映画というジャンルを根本的に変えてしまった 名作である事は間違いない作品です。ギターウルフの入りの曲に使用されたりと他のジャンルに未だに影響を与え続けているくらいですから。今自分が成長してから見直してみると、上の命令によってコキ使われ、ゴミのように使い捨てられ死んでいくチンピラ達…。とったはったの抗争を前に体を張って死に行くもの、怖じ気付くもの、寝返るもの…。様々なタイプの人間の博覧会で、「自分は果 たしてどのタイプなのだろう?」と考えさせられてしまいます。つーわけでこれ、落ち込んだ時や迷ったりした時のカンフル剤としてもお薦めしますよ。 さておき、この米版DVD、何より安いんだよね。全作揃って1万円足らず。日本版で揃えたら軽く2万円超えるんですよね。安いよなぁ。向こうはDVD、CD並みの値段で買えてしまうんですから。こんな事だから、メーカーとかが輸入版規制に立ち上がるんでしょうね…。でもさ、魅力ある特典やコンテンツがあれば、ユーザーはたとえ高くても買う、という発想はないんでしょうかね? アメリカ版には豪華特典も多数付いており、スタッフが語る故深作監督の思い出、深作自身のインタビュー等々、なんでこれ日本でも出さないの?といぶかしむ事しきりです。しかしインタビューで「深作の思想の根幹にはテロリスト幻想と天皇制批判が根付いていて…」。そんな証言を聞いてしまうと、ああ弱腰の日本のメーカーには出せないかも知れないなぁ、と変に納得してしまうのもまた事実なのでした。 (多田遠志)
※発売タイトルは"the Yakuza Papers-Battles Without Honor & Humanity(Complete Box Set)"。日本の普通のDVDデッキでは観られませんが、ネイキッドLOFT脇の韓国広場ソフト館等で1万円以下でデッキ販売中。以上宣伝
この〜!! (もうがまんできない)
JAGATARA (BMG) 3990円 2月9日発売
ロック映像史に残るJAGATARAの奇跡のようなライブ映像がついに発売。
 JAGATARAの江戸アケミが死んでから15年たち、地球はアケミが警告した通 りますますヤバイ状態になっている。日本社会がバブルに踊り、ロック界はバンドブームで湧いていた80年代後半、アケミはまるでカナリヤのように未来の危機を察知していた。当時、JAGATARAの音楽に熱狂していた者でさえ、彼の言葉のすべてを理解してはいなかっただろう。アケミはそんなロックシーンに絶望していたのかもしれない。 「日本じゃロックなんて始まってもいないのさ。お嬢ちゃん、お坊っちゃんのなぐさみもんだろ。だって、テンパッてる奴とか労働者なんかロック聞いてねえぞ。」(〜江戸アケミ『それから』)
 ライブでは圧倒的なグルーヴで観客を踊らせたJAGATARAだが、数あるライブの中でもとりわけ伝説とされているのが横浜寿町でのライブだろう。アケミは労働者の街・寿町を非常に愛していたという。この伝説のJAGATARA寿町ライブを収めたビデオが存在し、ごく少数が流通 しているのは知る人ぞ知る事実だったが(それをダビングした悪質な商品もネットなどで出回っていた)、なんと今回このビデオがDVDになって一般 発売されることになった。
 たとえJAGATARAというバンドを知らなくても、あなたがもしロックという音楽を切実に欲しているなら是非一度このライブ映像を見て欲しいと思う。ここには、寿町の労働者達、ライブ目当ての少年少女、わざわざ寿町まで足を運んだディープなロックファン、日雇い労働者やホームレスを支援する人たち、そしてJAGATARAのメンバー達が混然一体となって音楽に身をゆだね、手に手を取り合って踊り明かしている姿が映っている。どの顔もみなめちゃくちゃに楽しそうだ。大袈裟でもなんでもなく、この場をユートピアと呼んでもいいだろう。なによりアケミが本当に嬉しそうに歌っている姿が印象的だ。生前、アケミが「宗教ではなくリズムに救われたい」と言ったのはこういうことなのかと。
 僕はこれまで数えきれないライブを観てきたが、このJAGATARAの寿町ライブを自分が体験できなかったことを本当に悔しく思う。同時に、この映像がDVDとして半永久的に残されたことを本当に嬉しく思う。
 DVDには寿町ライブの他に、アケミ+ミュートビートのライブと、アケミが死ぬ 3日前の鮎川誠との対談(傑作!)も収録されており、まさしく充実の内容になっている。 (加藤梅造)
女教師痴漢調教 愛より速く
高木千花、他 (ENGEL) 3129円
真面目な女教師が密かに抱く妄想が解放された時・・・眼鏡萌え必見のVシネマ
 AVのジャンル程多肢に渡るものはないだろう。アイドルもの、素人出演もの、マニア、ブルセラ、ロリ、盗撮・・・、人間の性癖の多彩 さに目がくらむほどだ。  しかし、このありとあらゆるジャンルを網羅しているかに見えるAVワールドだが、僕の不満のひとつに、きちんとしたストーリーものが意外と少ないというところがある。例えば、グラビア中心のエロ本の中にあって、ポルノ小説が未だに根強い人気があるのは、やはり物語の魅力が大きいと思うが、映像としてきちんと物語を見せてくれる作品が少ないのは非常に残念だ。
 そんな中、Vシネマというジャンルで、きちんとしたストーリーと映画的演出で、エロ作品を作っているENGELの映像作品は貴重な存在である。「くノ一忍法伝」「女狼」などのシリーズが有名だが、今回紹介する「女教師」シリーズもまた根強い人気を誇っている。
 高校で物理を教える真面目な女教師・悦子(高木千花)は、密かに抱いていた淫らな妄想をある男子生徒・望月に見抜かれ、それを境に悦子が望月の性奴隷と化していく。望月との交わることで、自らの性と妄想を開放する悦子は、かつてない幸福を味わっていた。しかし、次第にエスカレートしていく悦子に対して、望月がとった行動は・・・女のもつ切なくリアルな性愛をリリカルに描いている本作は、女教師/調教/眼鏡に反応する人には絶対お勧め。レンタルもあります。 (星野哲郎)