<メッセージシャトル主旨>
 今回、私たちロフトプロジェクトが企画するイベント「Message Shuttle」(メッセージ・シャトル)についてご説明させていただきたいと思います。
 2001年、私達人類は、かつて「輝かしい未来」と信じられていた21世紀を迎えました。なるほど確かにテクノロジー等の文明は我々の想像を越えるほど発達しましたが、それ以上に解決困難な問題を山のように抱えてしまったのも事実です。南北問題による貧困層は拡大し、文明の衝突が至るところで起きています。環境破壊はますます深刻さを増し、種の生存を危うくするほど事態は進んでいます。日本国内に目を転じると、出口のない不況が続き、いじめ、自殺、少年犯罪、学校崩壊等、問題は山積みです。はたして、これが私たちの望んだ21世紀の姿なのでしょうか? 小説家・村上龍は小説の主人公の少年に「この国には何でもある。しかし希望だけがない。」と言わせていますが、今や子供に限らず多くの大人達の間にも、漠然とした行き詰まり感が暗い影を落としています。それに追い打ちをかけるように2001.9.11米同時多発テロが起こり、世界は今大きな曲がり角に立たされています。今、私達人類がどのような道を選択するのかは、後の世代に対して大きな責任を持っているということを自覚しなければなりません。 このような時代、音楽のはたす役割とは一体何なのでしょう?

9.11テロ事件以降、早々に戦争宣言をしたアメリカでは、議員全員で『ゴッド・ブレス・アメリカ』を合唱し、その一方で、全米のラジオ局では、ジョン・レノンの『イマジン』を始め多くの曲が放送自粛となりました。戦前の日本を例に出すまでもなく、有事になると自由な表現は必ず規制を受けますが、それは世界一の自由を標榜するアメリカでも同様でした。しかし、ニール・ヤングは、全米で生放送されたチャリティライブで、この『イマジン』を熱唱し、多くの人々を感動させました。
 希望のない時代だからこそ「希望」を歌う。音楽という表現が持つ力とは、私たちに生きる喜びを与える力なのではないでしょうか。

 地球上のあらゆる深刻な問題に対し、現在多くの人達が希望を持った運動をしています。戦争反対、環境保護、差別 撤廃、非暴力、難民救済、子供の保護など、もしかしたら永遠に解決できないかもしれないような問題に対して、決して希望を失わずに戦い続けることこそ、私たち人類が地球上に生存を許される唯一の道なのかもしれません。そして今回私たちは、この終わりなき戦いを続けるためのささやかな手段の一つとして、『Message Shuttle』というイベントを始めようと思い立ちました。
 Message Shuttleでは、イベント毎のテーマを毎回設定し、音楽という場において、さまざまな運動を行う人達と一緒にメッセージを発信していきたいと考えています。テーマに共感するすべての人達が、音楽のジャンルはもちろん、あらゆるジャンルを越えて協力していくことが、私たちの元に希望を取り戻すための大きな力となるはずです。また、このイベントがより広範囲に広がるため、音楽というメディアだけでなく、音楽以外の様々なメディア(一般 紙、テレビ、Web、etc.)を巻き込んだ形で進めていきたいと思います。イベントはベネフィット・ライブを基本とし、実経費を除いた収益は、毎回のテーマに一番ふさわしいと思われる団体に寄付する形をとりたいと思います。

 "Shuttle"という言葉には"往復する"という意味があり、「Message Shuttle」では「音楽によってより多くの人達とメッセージを自由に取り交わしたい」という意味を込めています。ここから発信されたメッセージが一人でも多くの人の元に届き、それが反響していくことを願ってやみません。是非ともご協力よろしくお願いします。

 

 Message Shuttleでは、これまでに以下のイベントを開催してきました。

VOL.1「LOVE&COMPROMISE」- NO TERRORISM, NO WAR -('02/3/9開催)
 【出演】佐藤タイジ/坂本サトル/浜崎貴司/In the Soup/中原明彦/ ナナオサカキ(ポエトリーリーディング)/CHANCE!(平和を創る人々のネットワーク)

VOL.2「WAR? or PEACE?」('02/9/11開催)  
【出演】喜納昌吉&チャンプルーズ/坂本サトル/Tom LaBlanc(ポエトリーリーディング/アメリカンインディアン)