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GUEST:ボボ(54-71)
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梶原 今回の深入りコーヒーのお客様は54-71のドラムのボボさんです。
ボボ 初めまして、よろしくお願い致します。
梶原 ええと、54-71は随分前からファンだったんですよ。で、ライブに行きたいなって思いながらもタイミングが合わなくて行けていないんですけど。ボボさんのドラムのルーツとしては、どのあたりなのですか?
ボボ 結構ね、後付が多いんですよ。初期衝動よりも、年取る度に音楽って色々聞くようになるじゃないですか。そうすると、その時期その時期で変わって来ちゃうんですよね。昔はあの人だったけど、今はあの人だな〜とか。僕は、、、梶さんよいしょとかじゃないんですけど、初めてドラムセットでやった曲は、「トレイン・トレイン」でしたよ(笑)。
梶原 マジですか〜(笑)。
ボボ ホント、ホント! 中3くらい。ブラジルにいたんですけど。中3まで、サンパウロ日本人学校に通
っていて。
梶原 そこに情報が入ってきていたんですか?!
ボボ 日本人学校だと、日本の文化を渇望しちゃうんですよ。全然ブラジルの音楽とか聞かないで、日本の音楽ばっかりでしたよ。それこそ、ブルーハーツとか、ボウイとか。「凄いのがデビューしたぞ!」って聞いてみたら、バクチクだったとか。そんな中、音楽室のドラムセットを拝借して、「トレイン・トレイン」やっちゃってましたね〜。でも、そのドラムセット、今考えればおかしい話なんですけど、バスドラムのペダルにスプリングがなかったんですよ(笑)。
梶原 そりゃ、困りましたね〜(笑)。踏んでも戻って来ないっていうことでしょ?!
ボボ そうそう。踏むと戻らなくなっちゃうけど、かかとで踏むと戻ってくる(笑)。
梶原 それは力技っすね〜。
ボボ だけど、初めてだったから、そういうもんだ! って思っちゃっていたんです(笑)。ドラムのペダルって、踏んで戻すんだって。その時は、僕と、エレクトーンの奴と歌の奴で、バンドみたいなものをやっていましたよ。
梶原 サンパウロでしょ、サンバ好きな僕からしたら憧れの地みたいなもんなんですけど。
ボボ 今行きたいですよね! ブラジルの音楽とか、当時全然聞いていなかったですから。
梶原 そういうもんなんですかね〜。
ボボ ラジオとかでは流れて来ますよ。だけど、誰が誰とか気にして聞いていないですし。
梶原 カーニヴァルとか普通に盛り上がるでしょ。そこにはあんまり関わらないんですか?
ボボ 行きましたよ、リオとかね。だけど、参加まではしなかったんですよね。打楽器やったりとかね。やっぱり、当時、僕らの世代もバンドブームだったんですよ。
梶原 ブラジルもそうだったということなのかな?
ボボ ブラジルがっていうことでもなくて。日本もそうだと思うんですけど、ブラジルでもやっぱり若い子は自分の国の伝統音楽なんか聞いていないんですよ。いわゆる僕らがイメージするようなブラジルの音楽を聞いていないんです。
梶原 なるほどね〜。
ボボ サンバとかボサノヴァとかは聞いてないですね。僕の仲間で言ったら、例えば、a〜haとかですかね。バンドだったら、アイアンメイデンとか、KISSとかですね〜。
梶原 KISS! いいですね〜。KISSとかQUEENとかのライブビデオ、ブラジル公演もありますよね。
ボボ あります! あります! 何しろ、箱がでかいんですよ。サッカーの国じゃないですか。だからスタジアムが沢山あるんですよ。そこで、コンサートもやっちゃうみたいな。マラカナンっていう一番でかいサッカー場で、フランク・シナトラで20万人ですよ!
梶原 すごーーい!
ボボ それと、"ロック・イン・リオ"っていうフェスティバルがあって、僕が日本に帰って来た夏、確か89年に第一回
ロック・イン・リオがあったんですよ〜。当時ブラジルにいたら、絶対に行きたいでしょ! でも行ってたら人生変わっちゃったかもしれないですよね〜。
梶原 そうでしょうねぇぇ。聞くだけで羨ましいですよ(笑)。
ボボ そんなかんじで、ガンズとか聞いていたんですよ。あとは、ブラジルにいたとき、英語を習っていたんです。女の外人の先生で。僕が「ロックが好きだ」って言ったら、レコードを2枚持ってきてくれたんです。それがツェッペリンの4枚目と、ブラック・サバスの.3枚目だった(笑)。
梶原 オジーですか〜(笑)。
ボボ そうです、そうです! だけど、全然ピンとこなくて(苦笑)。サバスの最初の雨の音が鐘の音みたいに聞こえるなとか。そういう所は楽しんで聞いていたんですけどね。あとは日本のアーティスト。その辺はリアルタイムなんですよ。日本から新しい友達が来る度に、その時に流行っているものを持ってきてくれるんから。もしかしたらバンドをやっている同世代の奴らよりも詳しいかもしれないですね。
梶原 ホント?! それはすごいな〜! まぁ、情報的に飢えているんでしょうね。
ボボ そうですね〜。凄く飢えていましたよ。
梶原 日本に帰ってきて、54-71に加入するいきさつは?
ボボ たまたまですよ。川口君がドラムでベースがコロコロ変わるバンドだったんですよ。僕が入る前に何年かやっていたんで。ギターの高田の友達で、ライブに遊びに行ってて。その度に、川口君が「いいベースいない?」ってよく言ってて。そのうち、急に川口君自身が「ベースをやる」とか言いだして。それでギターが僕を誘ってきたんですよ。
梶原 川口君は元々ギタリストだったって言う話を聞きましたけど。
ボボ 高校の時にギターが好きで弾いてたらしいんですよ。しかも早弾きとか得意ですよ。
梶原 上手いですよね、ベースも上手いなって思いますよ。
ボボ 最初に軽くスタジオに行ったんですよね。「(54-71に)入る入らないは別
にしていいからさ」って言われて。それで行って、、、、今に至るという感じですよ(笑)。一度も僕は入るなんて言ってないんですよね(笑)。
梶原 ドラムのセットですけど、かなりコンパクトじゃない? どんどん減らされていったという話を聞いたけど。
ボボ そうなんですよ〜、どんどん減らされちゃったんですよ(苦笑)。最初の頃は普通
にスプラッシュとかありましたよ。最初はタムも沢山あったんですよ。上に2つ、フロアも2つ。シンバルもスプラッシュ、チャイナ、チャイナ・スプラッシュとかまであってね〜。
梶原 それは豪華フル・セットですね。
ボボ しかもすごく気持ちよ〜く叩いていたんですよ。だけど、川口君に「それって意味あんの?!」って言われちゃって(苦笑)。意味ってね、、意味?! なんか、、、ねぇ、、、、って思うじゃないですか。ばーーーーってやったら「そうじゃなきゃいけないの?!」って(笑)。「こうじゃなきゃいけない訳じゃないけど、、、」って言ったんですよ。「こうじゃなきゃいけないっていう訳じゃないことを、なんでやるの?!
」って言われて、うーーーーーーーーーーん、、、、、確かに。そういわれればそうかもしれないなって思っちゃったんです(笑)。
梶原 そっかそっか(笑)。そんなこと言われても〜っていう気もするんだけど。
ボボ サビの前におかずを結構やってたんですよ。細かい系をやってたりもしたんですよ。手も足も入れて、ハードロック、メタル系のトコロテンットコロテンッみたいな感じで。
梶原 なるほどね〜(爆笑)。 ボボ そしたら「そのおかずじゃないとサビに行けないの?!」って言われて。僕はいろんな人のインタビュー記事を読むのが好きで、良く読んでいたんですよ。日本だろうと世界だろうと。それで、ドラマーが何を思って叩いているのかっていうのに興味があるじゃないですか。
梶原 ドラム・マガジンだ!
ボボ もう、、かなりですよ。当時は部屋に1mくらいドラムマガジンをストックしていたんですよ。そこで「レコーディングの時に、フィルは決めていくんですか?」っていう質問に「いやぁ、フィーリングだよ」みたいな会話が載っていると。そうか、フィーリングだよ! って思っちゃう。だけどその僕のフィーリングでやっていたら「意味あんの?!」って(笑)「お前のおかずって、曲に絶大な影響を与えてんの?!」「いやぁ、、、、フィーリングだよ、、、、」ってね(笑)。「どうなんだよ?」って言われて結局、「そうねぇ、、、絶大な影響は与えていないかもしれない、、、」ってつい答えちゃいまして。「だったら、もうちょっと考えて叩いてもいいんじゃない?!
」って言われてね。色々考えて、サビの前の1小節抜いてみたんです。
梶原 それは1小節ドラム・ブレイクしてみたっていうことですよね?
ボボ そうです。そうやってみたら、川口君は凄く気に入っちゃって。ドラムがブレイクするんだったら、全部がブレイクしちゃおうか! ってなった。曲として、僕がドンタカドンタカやるよりも、アクセント付くよって指摘されて。プレイバックを聞いたら、確かにそうなんですよ。でも、すごくショックでしたよ。本当にショック!
梶原 価値観がある意味崩壊したわけですもんね。
ボボ そこら辺ですかね、変わってきたのは。僕はエゴは一生持って生きていくんだと思いますけど、4、5年前くらいから、そういうことをきっかけにして、エゴの質が変わったかもしれないですね。
梶原 ドラムだけというよりは、全体だったりバンドとしてというエゴに変わったんでしょうね。
ボボ そうなんですよ、そういうことを思ってまた、ドラム・マガジンに書いてあった名ドラマーの発言が蘇ってくるんですよ「独りで演っているんじゃない」とか「周りを聞いて・・・」とか。
梶原 (笑)
ボボ 僕は、都合が良く物事を考えられるたちなんですよ(笑)。
梶原 そうね〜、結構すごいよね(笑)。だけど、いきなり今のセットに至った訳でもないでしょ?
ボボ 序々にです。最初はおかずを減らしたんです。っていっても取り立てておかずなんかあんまりなかったんですけどね(笑)。そしたら、使っていないことに気が付いちゃったんですよ、、(笑)。周りのいろんなものを。いっぱいあったタムのうちの一番大きい奴は一度も叩いていなかったんです!
梶原 なかなか使わないんですよね、大きいのは〜。
ボボ じゃぁ、いらね〜って。でもチャイナはよく叩いていたんですよね。だけど、川口君にうるさいっていわれちゃって(苦笑)。「お前がチャイナを叩いている時に、他の音を消しちゃっているって気が付かないの?!」「うーん、、、そうです、消してます!」って! それでも、他のシンバル類はあったんですけど、決定的だったのは、ブレイク明けにシンバルとキックがドーンッて入っていたんですよ。
梶原 ええ、それは普通ですよね。
ボボ でしょでしょ! それも過去の名ドラマーのインタビューで読んだんですけど「クラッシュ・シンバルとキックを同時に出す音に勝るものは、この音楽界にない!」ってあって。
梶原 わかるよね〜。
ボボ そうだよな〜! って思っていて。だから、毎回ブレイクの後にシンバルとキックが入っていたんですよ。それも川口君には「惰性で叩いてない?! ブレイクして始まれば、それでパンチは出ているんだからさ。何を強調したいの?!」って「うーーーーーん、、、、そういうものだと思っていたからなぁ、、」って。それでシンバルを取っちゃったんですよ。
梶原 えぇ〜?? すごいよね! 何枚もあったわけでしょ、それを全部?
ボボ ええ、全部取っちゃいました(笑)。そしたら、目の前スッキリしちゃってね。
梶原 だけど、チャイナとスプラッシュを無くすのは判るような気がするけど、クラッシュとトップは残りそうなもんでしょう?!
ボボ そうなんですけどね、ブレイク明けにしか使っていないことが判明しちゃいましたからね。逆にAメロとBメロに変わるときとかイントロからAメロに入るときだとかに、ドラマーが舵をとるじゃないですか。だけど、そもそも川口君はそこに疑問を感じていたらしくて(苦笑)。その時期は、バンドとしてバンドの約束事から抜け出したいって強烈に思っていた時期だったんですよ。それで、シンバルを取ってしまったり。アクセントのシンバルを辞めて違うアクセントをバンドで作ってみようとしてみたり。実際にその時期にそういうことを言ってしまったために、今更シンバル付けるのもどうか?! 付けられない状況になってしまったのも事実なんですよ。
梶原 (笑)
ボボ だけど、必要に迫られたらシンバルはいつでも付けようと思います。
梶原 それは54-71としてのレコーディングとかをやる前の出来事なんですよね。
ボボ そうです。全然前の話ですね。
梶原 その時点で、そんなことまで考えていたんだね。
ボボ おかしいんですけど。今でこそ、54-71もCDもリリース出来てるし、そこそこ知られる存在になったと思うんですけど。当時、全く知られていない時期なのに、メタリカバリの変化を遂げてしまったんですよね。最初にもっと出しておけばな〜ってメンバーとも愚痴ったりするんですけど(苦笑)。タンバリンを付けるのはなんか面
白いかなって思って、付けています。
梶原 全てのことを一度見直してから、54-71の表現方法を再構築していったっていうことなんでしょうね。
梶原 54-71はよく言われると思うんですが、言葉にすると<ストイック>が一番当てはまると思うんです。
ボボ そうでもないですよ〜(笑)。
梶原 そうですか?! みんなで突き詰めていっちゃってるように思いますよ。今回の前の前の作品なんかでいうと、本当に余計なものが何にも無いというか、いろんなものをそぎ落として、随分な所までいっちゃったなって思っていたんですよ。
ボボ あの頃は、ヴォーカルの佐藤君は歌が歌えなかったんですよ。もう、いわゆるメロを取れない男だといえばいいのですかね。僕と川口君は歌モノがやりたかったんですよ、だけど出来なかった。そうこうしていて、今回の作品作りに入る前に、佐藤君は歌に目覚めちゃったんですよ! しかもカラオケで目覚めちゃったの! それまで生まれてからカラオケには行ったことがなかったらしいんですけど(笑)。それまで、佐藤君も真面
目なそれこそストイックな男なんで、歌う喜びとか楽しみとかそんなものはすっ飛ばして「俺は歌うんだ! 俺は歌うんだ!」のみだったんですよ。
梶原 修行みたいな感じだろうね。
ボボ 「歌うことによって俺は、、どうにかなるんだ!」って思い詰めていて。全然楽しくない(笑)。一応、メンバーそれぞれそういう時期もあったんですよ。「楽しいなんかいってられん!」みたいな時期が。佐藤君も楽しさに目覚めたみたいだし、最近は全員が楽しくなったんですけど。
梶原 その中で、リズム隊は更にストイックになっていったように聞こえるんだけど。それを安易に広げるんじゃなくて、ギターのポヨ〜ン、ポヨ〜ンっていう音だとかファンファンファンファンファンファンとか。前回よりもボーカルにしてもメロディーの付け方に広がりを感じたんですよね。絶叫しながらもちゃんと歌っているじゃない。単純にメロディーを歌うんじゃなくて、追求した結果
、フリースタイルに辿り着きましたっていう感じがすごく面白いね。
ボボ すごく嬉しいですねぇ。
梶原 だって、あり得ないですよ。追求した結果はWわかるんだけど、おかしい!
ボボ 本当に嬉しいです! ホント、判ってもらえない場合が凄く多いんですよ。ただ「何これ???」で終わっちゃったりして(苦笑)。
梶原 そっか、、、、、。その広げる事に関しては、メロディーがあるものもやりたいと思っていたんだ。
ボボ 思っていました! 梶原 それは例えば、川口君が佐藤君にメロディーにも「そのメロは意味あるの?!」っていう風に作り上げられた訳?
ボボ いや、ボーカルに関してそういうことはないですね。佐藤君は昔、すぐバンドを辞めちゃう男だったんで(笑)。「僕は別
の道を行く、、、辞める」って。まぁすぐに戻ってくるんですけどね。何回もありましたよ(笑)。
梶原 彼はどこの道に行こうとしていたのかな? ボボ よく判らないですけどねぇ。とりあえず自分でやるんだ! っていう気持ちが強かったのかも。
梶原 練習は毎日あるんでしょ。それって凄いよね。どんな風にやっているの?
ボボ 練習するんだけど、僕たちは練習するとスタジオ内が険悪になってしまうんですよ。とりあえず、喋らなくなるんですよ。しかもある曲をひたすらやり続けるんですよ。
梶原 セッションとかにはならないんだ。
ボボ レコーディングの前だけですね。1年間あって、1ヶ月でレコーディングで2ヶ月準備期間があるとしたら、残りの9ヶ月は延々ある曲をやる(笑)。
梶原 何かテーマがあってのことなの? この辺りは怪しいから、重点的にやろうとかさ。
ボボ あの、、そういう話し合いはまず無くて。まずやって。同じ曲をぶっ通
しで4、5回やって。休まず。バーンっておわったら、ハイ最初に戻って、またバーンって終わって、また最初に戻ってをくり返すんですよ。それが5回くらい終わると、ダメだし(笑)。みんながみんな、ずっと喋っていないわけだから、久しぶりに声を発するんですよね。それまで頭の中では自分の声が溢れているんですけど、人に向かって発するのは久しぶりなんで、自分の中では整理されているつもりでも、言われる方にしたらすんごくイヤな言い方になっちゃってたりして。「いつになったら、できるようになるの?!」とか(笑)。
梶原 それは険悪になっていきますね〜(笑)。
ボボ その分、休憩時間に反動がきてね。喋りまくるんですよね〜。キャッキャキャッキャ言っちゃったりして(笑)、これホント!
梶原 こんなに変なバンド聞いたこと無いよ〜! しかも、それが週に5回でしょ?!
ボボ そうなんです。だから、精神衛生上良くないときもあったりしますね(苦笑)。
梶原 不思議だよね〜。その練習を辞めようとか、変えようという話にはならないんだ。
ボボ 多分みんなの中に、悪魔と天使がいて。「毎日やったって上手くならないし、かったるいよ〜」っていう奴と、「毎日やって、ちょっとでも1mmでも良くなるかもしれないじゃない! そうやって頑張れば格好いい存在になれるかもしれないじゃない!」っていう奴。で天使が勝っちゃっているんでしょうね。変にポジティブ。
梶原 本当に凄いよね。その上に個人練習があるんでしょ?
ボボ そうですね。だけど、ドラムっていつまでたっても上手くならないというか。動かない所があるんですよね。
梶原 そうね、得意なフレーズと苦手なフレーズが全く分かれちゃうんですよね。
ボボ いつまでたっても出来ないフレーズね、そういうとき僕は身体的欠陥があるんだ! って思っちゃいますよ。多分このフレーズは出来ない体なんだ、、って(苦笑)。
梶原 僕もそうなんだけど、出来ないフレーズはいつまでたっても出来ない。不思議だよね。
ボボ で、個人練に入ったりすると、「こうやれば良かったんだ!」っていう発見があるときもあるんですよ。だけどまた、少したつとそれが間違いだったんだって気が付いちゃったりして。その繰り返しを何年も何年も(笑)。
梶原 曲作りも不思議だよね。
ボボ 基本的にリーダーがデモ・トラックを作って来て。それが基本ですね。ベースとギターとドラムと歌メロと、、、。でまた、サンプラーで作ってくるから音がいいんですよね〜! キックの音も4つ重ねてみたとか、変なこだわりをもって作ってこられちゃうんですよ(笑)。だから、実はそれを商品として売っても、いいんじゃないのか? というくらいのクオリティーですよ。
梶原 ドラムのパターン一つとっても、すごく面白いじゃないですか。そのデモ・トラックから連想させていくんじゃないんですか?
ボボ そうなんですが、川口君がガッツリ作り込んで込んだときは、ガッツリやりますけど。それから動かないことが多いかもしれないです。それ以上のいいものがあれば、別
ですけど。結構ね、考えてないなっていうときは、こっちがガッツリ考えるとかね。後は、ベースとギターだけ作ってきたりとかもあるので、それは全部考えると。
梶原 ベースのリフを考えてくるのかなって思ったんですが。
ボボ そういうときもあるんですよ。それを聞いて絡んでいくとかね。シンコペーション系の動くリフを持ってきてくれると、併せやすいじゃないですか。逆に、コードで持ってこられたときは、困りますよね。何でも合うから。何でも合うんだけど、何でもじゃダメで。そういうときはドラムのリフを考える必要が出てくる。でも、ドラムのリフって難しいですよね、、、。
梶原 そうね、難しいんだけどちゃんと出来てるから、すごいな〜って思いますよ。面
白い!
ボボ タムとか少ない分、難しいなぁって思いますよ。しかも細かいことやっても「奇天烈にすればいいっていうのは意味がないよ」って言われるだろうし(笑)。
梶原 そうか、前にペレと一緒にやっていたじゃない。ああいうプログレ感のあるペレの方法論とは54-71は違うよということなんでしょうね。
ボボ そうですね。「難しい事をやればいいってもんじゃないよ」ってね。もちろん、ペレはペレでいいんですよ。すごくいいんですけど、僕らは違うんですね。
梶原 54-71は54-71の圧倒的なこだわりがあるんでしょうね。
ボボ そう、リーダーのこだわりはメンバーの中で一番強いですね。
梶原 それにしても、今回のアルバムはいいよ。とにかく広がりがあって。凄いですよ〜。ずっと聞いていたんですけど、ビックリするくらいですよ。
ボボ ありがとうございます(笑)。だけど、ドラムが大きくないですか(苦笑)。
梶原 でかいかな〜?! 全然問題ないですよ。野獣系っていう気がしますけど(笑)。
ボボ 気に入ってもらえましたか?!
梶原 いや〜、いいっすよ〜。54-71は何枚か持っているんですけど、今回のが一番いいですよ。当然最新作が一番の自信作になるとは思いますけど。
ボボ これでドーンとね、ドーンと!
梶原 (笑)ドーンとね。
ボボ 今回のテーマでもあって、今後のコンセプトはドラムとベースで持っていけるようにっていうことなんですよ。いままでのロックの花形はギターだったりしたじゃないですか。だから、花形をドラムとベースにしちゃいましょう! 逆にその方がギターの可能性が広がるんじゃないかなって。だから、今回はドラムとベースを中心に作っていて、ギターの高田君、さあどうぞ! 好きにやって下さい! って。
梶原 その結果が、ポヨ〜ン(笑)。いいね〜! そういう発想は常に思っていたの?
ボボ そうですね、薄々は思い描いていたかもしれないですね。そろそろかな。技術的にもちょっとは良くなったと思うし、その前よりもその前の前よりもね。
梶原 それは、レイジ(・アゲインスト・マシーン )の影響はあった?
ボボ そうでしょうね、レイジはめちゃめちゃ好きだったんですよね。レイジのベースをもっとベース然とした演奏じゃなくて、ベースをもっと自由に、もっとベースで持っていけるようにっていう感じなんですよ。レイジのスタイルは当時は凄かったと思うし、影響も受けましたけど。
梶原 それはヴォーカルの佐藤君も含めてですか?
ボボ どうでしょうね、「これなら歌えなくても、出来る!」とか思ったかもしれないですね(笑)。
梶原 今回のアルバムって、クリックは聞いてやったの?
ボボ クリックは無いですね。歌まで一発ですよ。せーのって。
梶原 えええっ? それ本当?
ボボ そうなんですよ。だから、ギターが間違えるとって、今回のはギターは間違えなのか間違えじゃないのか、判らない位
なんですけど(笑)、ギターが展開を間違えちゃうと、最初からやり直しですよね。
梶原 ギターなんて後被せでいいじゃないですか。
ボボ ダメなんですよね〜。後からやってくれれば楽なのに。
梶原 信じられないよ〜! それは毎日の練習の成果なんでしょうかね。この作品にクリックが使われてないなんて、超人!
ボボ 使ったら楽なのにね〜。まぁ、クリック聞くといびつになる部分もありますよね。
梶原 いやぁ、やっぱりすごいよ。ギターにしても歌にしても、全てが広がったな〜って思ったよ。
ボボ 笑っちゃいますけどね。でも、レコーディングで大爆笑出来るのって大事ですよね。それは今回しみじみ思いましたよ。録り終わってみんなで聞いてみて、大爆笑ですよ。「こんなの出していいの〜(笑)」って。
梶原 そうだよね、そういうメンタル面での変化もあったんだね。
ボボ 今までは、爆笑出来なかったですもん。反省点があまりにもおおくて、「こうしたかった」とか「こうすれば良かった」とか。今回は、笑って終わったんですよ。良かった! しかも、どんな音楽でもいいんですけど、「こいつら本気だな!」っていうのが格好いいじゃないですか。今回大爆笑で終わったんだけど、別
に軽い気持ちでふざけてやったんじゃなくてね。
梶原 あぁ、それは本気を感じたいですね。本気を感じさせてくれると嬉しいし。今回の新作は本気だなって思いましたよ。充分すごいですよ!
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