YELLOW MACHINEGUN
LARRYは観賞用ゴールデンフィッシュ
─今回のニューアルバムはサンフランシスコでレコーディングされたんですよね。
KAORI(以下K):音が全然違うんですよ。録った音じゃなくて鳴らしている時の音自体っていうか。ヴィニー先生(ヴィンセント・ヴォイノ)がやってくれたっていうのもあるし。
─アドバイスとか受けたりしましたか?
K:今回はプロデューサーっていう形じゃなかったんで、ほとんどエンジニアに徹してくれはったし、場を盛り上げてくれたりということをしていただきましたね。音的には最初に作り上げてくれはって、「どや?弾いてみろ」、「あ、もうこれでいいっす!」というような状況でしたね。
─プロデュースはロッテンオレンジレーベルのオーナーであり、GARLIC BOYSのLARRYさんが務めたんですよね。どういった感じでLARRYさんとアルバムを作っていくんですか?
K:基本的に私らが全部作っていって、後で「こうしたらいいんちゃうか」ということは言われますけど、ほとんどノータッチです。
─今回のアルバムでLARRYさんのプロデュースが3回目になりますが、だんだん「なに言ってんだLARRY、こっちの方がいいじゃねぇか」みたいな反抗心とか芽生えたりしますか?
K:あんまり曲にたいしてこのアレンジがどうのこうのって言うのはなくって、居てくれはったら和むんで。私らが頼ってる部分はそこです。熱帯魚みたいな。観賞用の大っきい金魚かもしれないですね。
─ケンカとかはしない感じですか。
K:ないですね。言ってることもっともなことを言いはるし、自分が「どうかな」って思ってるとこを突いてきはりますからね。

みんながリーダーになれるように
─バンド内ではどの方がどういった役割をしているんですか?
K:うちはみんながリーダーになれるようにやってます。
─三権分立制ですね。
TAMA(以下T):私とか経理とかやったりしてます。KYOKOは外交やね? K:KYOKOは人と接するのがうまい人なので、ウチのバンド内では外交係ですね。私は根暗担当(笑)。みんなで決めますよ基本的に。

もっと売れてみないとわからない
─ライブ中の物販やバンドのホームページをご自分たちでやったりして、ファンや自分たちの活動が目の前にみえる状況のように見えるのですが、バンドって売れて行くほど、宣伝だったらこの人とかスタイリストついたりとかアウト送信しちゃうものじゃないですか。もし、目の前にみれなくなったらという恐れとか感じますか?
K:あんまり考えないですね。売れてみないとわからない(笑)。あえて考えないと言うほどでも何も考えないって感じですかね。

ボーカルは音の出る楽器
─お話を伺ってて、「何も考えない」というにおっしゃるのですが、歌詞などを読んでいると何も考えてないと思えないんです。
英語で歌詞をお書きになってるのですが、その日本語訳を読むと例えば、現実感がうまく掴めない感じとか絶対的な言葉とかない、世の中の真実はもっと相対的であるというような一環したテーマ性を感じるのですが。
K:歌詞に関してはあまり主張を言うのもなにかなって。

言葉は信じたいけど信じられない
─自分が言おうとしたことが必ずしも伝わるわけじゃないし、その一言で相手を傷つけたりもするしという不安定なことを言葉は孕んでいるというのを歌詞を読んだりして感じるのですが、そういった根底的な考えがあってバンドをやっているのですか?
K:正直に伝えようと思ってゆってもね、どっかで反対を考えながらゆってる時もありますよね。言葉を選んでも人を傷つけたりとか、そのまま自分の中で考えた同じことをゆったつもりでも伝わらないところもあるし、自分で伝えようとしているけれど実はそうじゃないという自分の中の矛盾とか。そういうのがずっとあるんです。人に対してよりもまず、自分の中で矛盾があるんでそれが人にまっすぐ伝わるとも思えないし。矛盾のない人なんていないと思うし、聴く人の中にも矛盾があるわけで、自分がどんなにやってもわかってももらえない人もいる。これがずっと私の中にあります。
─言葉の意味よりも音として、ストレートに感じてほしいということですか?
K:それが一番だと思います。初めてインタビューを受けた時、すごい冗談で言ったことが活字になって真実味を帯びてきて、自分が言いたいことではないような感じになって、言葉が信じられへんようになったんです。そういったことは友達と話していてもあるし、日常茶飯事おこるわけで、ある意味、言葉は信じたいけど信じられない。

あきらめて楽観的に
─うまく伝わらないことのもどかしさとか苛立ちみたいなものはあるんですか? K:あきらめてますから(笑)。だって、どうやったてなくなくならないもの、そんなものは。あきらめて楽観的になってますね。
─あるミュージシャンが「私は大衆が求めているものを提供している。自分の主張を表現する必要はない、なぜならエンターティナーだから」とインタビューに答えていたんですが、そういった割り切り方をしているんですか?
K:全然、逆ですね。私らは私らの求めるものをやってますから。自分に正直にやってたら、同感して下さっても、「えぇー!」という人がいても別にOKです。同じことを考えてる人がいてわかってくれる人もいるかもしれないし。
─そういう人を捜したいとかありますか?
K:いや、勝手に好きな人が見てくれたらいいですねぇ。