1999.5のINTERVIEW

EDDIE LEGEND (MAD3) vs
JOE ALCOHL (THE HONG KONG KNIFE)
レフリー:平野 実生 (LOFT PROJECT)

MAD3 "WE ARE THE MAD CREW"
HONG KONG KNIFE
"HEARTBREAK JET SALOON"
1999.5.21 アナログ盤同時発売記念対戦!!

MAD3は優等生で完璧。俺らは劣等生っていうか、落ちこぼれじゃん

僕たちは悲しいほどに年々歳を重ね「大人」になっていく。いくつもの嘘とつくり笑いを覚えながら。だからこそここに登場する3人の奏でる言葉に触れると、初めてパンクロックと出会ったときの衝動を切ないまでに思い出す。そして、自然と笑っている僕がいる。何故だろう?それは、彼らが10代のままのハートフルでバイオレンスな感情を維持しながら、現代を生きているからだと思う。では、パンクロック・セッションのはじまり、はじまり        (構成:Mama ARAKI)


「出会った頃は愛情とか優しさとか知らなかった」
E 初めてあったのはいつ頃だ?
J 覚えてないんだよなぁ。7、8年前だと思うけど。
E まあ、一目見て、こいつだって思ったよ。人間っていうのは臭いがあって、JOEと俺はお互い臭いがあっているんだよ。臭いをかぎ分けて出会ったんだな。で、お互いイヤな奴だったよ。結構。愛情とか優しさとか知らなかったよね。友情だけは知っていたけどね。
J そのころ俺レコ発の打ち上げで、車からダイブして前歯3本折ったの(笑)。あんときは自分がやんなったねぇ。本当に。
E やだねえ。でも、これがロックンロールだって本気で思ってたね。
J 当時から、MAD3はロックの方では優等生っていうか、完璧主義者じゃん。完璧にやってるし。俺らなんかねえ、劣等生っていうか、落ちこぼれっていうか(笑)。どっか、ずっこけてるし。
E でもね俺、JOEに会って初心に帰ったね。すごくいい意味で。いろんな音楽聞いて、いろんな物に影響受けてきたわけだけど、最初の感動っていうのはやっぱり一番大切なんだなって。そういう感覚。自分のルーツに帰ったっていう。飾ったりしなくて。それまでジョニーサンダースが好きだっていうことは、人前ではいわないようにしていたんだよ。でもJOEは平気で言うじゃん。俺はそれで吹っ切れたよ。好きな物を追求して。誰になんて言われようと。
J かっこつけるのって、俺は基本的にダメだから。MAD3ってさ、どんどんかっこよくなってる。それはすごいよね。いろんな人にあってさあ、そういういろんなパワーを吸収してさあ、それでよくなっているんだからすごいよ。
E なぁんか、誉め殺しになっちゃうなぁ。
J お互い求めているんじゃない?無い物ねだり。だから魅力を感じるんだよ。
(平野さん遅れて登場)
平 うぃーっす!
E やっと来たかぁ。今やっているんだから、邪魔しないで(笑)。
J 司会者登場!

「EDDIEさんって呼ばれたときは涙出そうになったよ」
平 名前についてだけど、なんでEDDIE?
E うるせーなー!(小さな声で)エディー・マーフィーだよ。(一同爆笑)
平 そうなんだな??そうのっけていいんだな。
E 子供の頃のヒーローって、俺はエディー・コクランにいったの。ああいうギタリストになりたいって思ったわけ。でも誰も呼んでくれなくて(笑)。みんなに爆笑されていたんだけど。俺も二十歳過ぎて後輩とか出来ると、「EDDIEさん」とか呼んでくれるようになるんだよな。涙出そうになったよ。自称なんとかっていうのって、言ったもん勝ちだよ。
平 本名がエドワードっていうわけじゃないんだね(笑)。
E 本当いうとさ、雷全身にあびてさ、教会の前で。そしたら神の声が聞こえてさ、「お前はEDDIEだ」って。そういわれたんだよ。それだけのことだよ。
J 悪魔だよ。悪魔が言ったんだよ(笑)。
平 悪魔に魂を売った男よ。
E っていうかんじよ。
平 いいはなしだねえ。じゃあ、次。
J 俺?!俺はわかりやすいじゃん。(一同爆笑)アルコールってつければみんな奢ってくれるんじゃないかって(笑)。シドビシャスと字数も同じだし。今となっては適当につけたんだけど。まあ、狙い通りJOE ALCOHLだっていったら、アメリカ人ビールピッチャーで持ってきたよ。(一同爆笑)
J 本当だぜ!
E 最高!

「JOEと俺は戦友だ」
平 じゃあ、HONGKONG KNIFEと、MAD3の共通点は?
E 共通点は、同い年だし、、、。
J そうそうそう!!それがいいたかったの。長い間やって俺らいろんなシーンにいたじゃない。みんな年上なのよ。初めて同い年の友達がねEDDIEで。それが嬉しくて。奴は最高だなって。絶対、俺の気持ち分かってくれるなって。
E そういう意味じゃあ、JOEと俺は戦友なんだだよ。俺らは東京ロッカーズとかめんたいロックとかの、そういうロック世代の人たちの最下層の年代なんだよ。俺達で終わると思ったもん。ロックなんて。
平 下は来ていると思う?
E ロック体系が俺達の世代まではあるけど、そういうルーツをふまえた奴っていうのは、下の世代にはもういないと思う。パンクはパンクしか聴かないとか。 
平 今の子っていうのは、どっちかっていうと、ラモーンズとかピストルズとかが俺達のいうルーツになっているんだろうね。
J 俺らは56年から始まっている音楽をやっているじゃない。今の奴らは70年代から始まっている音楽をやっているんだよね。ピストルズが俺らにとってのジョニー・サンダーズみたいな感じなんだよ。
E そうだと思うよ。だけど50年代が全てのルーツでしょ。それ以降は全部繋がっているんだから。そういえばルーツになる人のレコードって、みんな図書館で盗んだ(笑)。ピストルズもあったよ。小遣いなんて駄菓子買って終わりじゃん。
平 俺らは、貸しレコード屋で音だけ落として、図書館でライナーだけギル。図書館のレコードは音質が悪いからさ。それ始めたのは畠山っていう奴なんだけど(笑)。ライナーギリをね。
J 俺らはいじめられっこの生徒手帳で会員証を作らせてですねぇ。そいつのカードで20枚くらい借りまくって逃げる。(一同爆笑)
E あとは窃盗団がクラスにいるじゃん。金払ってギッてきてもらうの。
J いろいろとポケットがいっぱいあるジャンパーが流行ったじゃん。万引きがしやすいから。そしたら「JOE君、LPレコードが万引き出きる奴手に入ったよ」って。何かと思えば背中にでっかいポケット自分で縫いつけてんの!!LPが入るようにさぁ!(一同大爆笑)いたよね、万引きで小遣い稼いでいた奴(この後延々と万引き話しに花が咲く、、)

「アナログは宝物、芸術だよ」
平 でもさあ、昔ってLP手に入れても絶対にテープに落としてなかった?
J ああ、そうだね。だから46分に入らないとむかついていたんだよ。俺。なんだよ!このB面の最後の曲邪魔じゃん!とか思ってた。そういう風に必ずテープに落として聴きまくるわけよ。だから、それだけ愛情があるわけよ。
E レコードって聴いちゃいけないみたいなところあったよね。本当に大切な物だったよね。いちいちクリーナーとかかけて。ねえ。あとは、あのジャケットのインパクト!30センチの中のセンスね。ジャケットのデザインとあの帯!わけの分からない帯!伊藤政則とかが書いているような帯ね!CDの大きさじゃ出せないんだよ。なんていうかCDだとお手軽すぎて。なんか物としか思えないんだよ。アナログのレコードは宝物なんだよ。芸術だよ。
J そう。俺の友達が苦労して万引きできるシステムを作ったわけだけど、本当は万引きできる代物じゃないんだよ!!アナログは!!(一同笑い)本当は万引きしちゃいけない物なんだからね!!
平 CDは盗りやすいからねぇ(笑)。
J だって、レコード買ってもって帰っていくときの姿からして違うんだからね。そこんとこ分かって欲しいな。ま、そうはいってもさぁ、CD初めて買ったときの感動ったらなかったね。ウッワァー軽ーいって!!いいねぇこれ!!って(笑)。
E ふざけんなよ!!今までのことそんなんで覆すなよ!!(一同爆笑)

「転がり続けるしかないのかぁ」
平 お互いをどう見ている?服のセンスとかどう?
E ああ。JOEはいいよ。TPOがいいよね。
J そんなことないよ。EDDIEの方が完璧だよ。日本のロックシーンで、EDDIEほどロックンローラーな奴はいないよ。日本初だと思うよ。これは。
E また誉め殺し!じゃあ、ロックンロール不良少年の権現はあんただよ。
J なんだよそれ!
E 俺はすごく楽しみたいんだよ。50年代、60年代、70年代のファッションの素晴らしさっていうものを。俺は全部やりたいんだよ。楽しみたいの全部。ロックンロールに関するファッションとかは極めたい。
J EDDIEってさあ全てを手に入れるじゃん。望んだ物全てをさ。
E まだ出来てないよ。全てを手に入れようと思って頑張ってはいるよ。
J 俺なんか、何も手に入れてないわけね。だからEDDIEは交通事故に気をつけて欲しいっていうこと!
E こうしよう!どっちかが死んだら墓参りは欠かさずねって(笑)。
J 当たり前だよ!!でも、死にたくないよ。俺はEDDIEが死んだらライブ、、、やんないよ。多分、、、。
平 まあでも、俺の中の死にそうな人ベスト2に入っているけどね。
E え?俺とJOE?
平 ベスト2(笑)。
E 俺は本当にどうしようもなくダウナーな時期があって、自殺未遂は何回したか分からない。最悪だったよ。
J 今、俺は死にたくないけど。俺もとってもダメになったときがあって、睡眠薬致死量飲んでみた。3日間眠りっぱなしだった(笑)。
E でもさ、生きるしかないじゃん。俺達シドビシャスより年上になっちゃったんだぜ。バディホリーより、ブライアンジョーンズよりもだよ。美しいままで死んでいったロックスターよりも俺達は年上になっちゃったんだから。もう、生きるしかないんだよ。シドビシャスより年上だぜ。考えらんねーよなってあのとき思ったでしょ。ショックだったでしょ。俺達なんで生きているんだ?!何も出来ずに。くだらない世の中に生きているんだ?!って。でも俺達に出来ることはやっぱり音楽しかないわけだし、とにかく前に進むしかないんだよ。
J 手紙もらって、「JOEさん死なないで下さいね」とか多いんだよな(笑)
E 後ろ向きな考えなのかもしれないけど、もし俺達がね、いつか音楽を極めたら神様が降りてきて、「もう死んでもいいよぅ」っていってくれるんだよ。そういう時期が来たら俺もJOEも死ぬんだよ。理想まで辿り着くまで俺達は生き続けるしかないんだよ。
J それまで転がり続けるしかないっていうことかぁ。



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