今年初めのNAHT再始動は個人的に嬉しいニュースだった。そのNAHTのブレインであるSEIKIがバンド形態とはまた異なった、より“歌”にフォーカスを当てた独自のソロ・ミッションを繰り広げている。NAHT休止期間中に音楽をやり続ける動機を再確認し、その果 てに芽生えた自由度の高い音楽活動を展開中だ。
 一方、SAKHALIN TVは基本的にすべての楽器とレコーディングを自らこなし、オルタナティヴ、パンク、ハードコア、インディ・ポップ、ミニマル・ハウスのエッセンスをクロスオーヴァーさせたオルタナティヴ・ポップとでも呼べそうな独自の音楽性を貫く注目のソングライター/トラックメイカー。
 そんな両者がSAKHALIN TVの最新作『SLOW DOWN』で共演を果たし、現在『NOCTURNE TOUR』という最小限の編成で最大限の音楽を聴かせるショーケースを鋭意断行している。よりミニマルかつソリッドに進化した力作『SLOW DOWN』の制作秘話、そしてさる6月上旬に北海道から始まった『NOCTURNE TOUR / East Chapter 2005』について、お2人にじっくり話を訊いた。(interview:椎名宗之)

曲が人を呼んでくれた
──お2人が知り合ったきっかけっていうのは?
SAKHALIN TV:初めて会ったのは'95年くらい?
SEIKI:そうだね。もうかれこれ10年くらい経つのかな。
SAKHALIN TV:俺は'95年に札幌から東京に出てきたんですが、その当時、NAHTのベースをやってた札幌出身のワタゾウさん(TOXIC PUNK WASTE主宰、JETLINERZ、EVIL SCHOOL、etc.)がSEIKIさんを紹介してくれまして。もっと遡れば、SEIKIさんとは地元が近いんですよ。俺の高校の先輩がSEIKIさんの小、中学校の時の同期生だったことが後々発覚したりとか。
──'95年というと、SEIKIさんはもう上京されていますよね?
SEIKI:そうですね。NAHTを始めた直後くらいで、ワタゾウとタカヒロと、3ピースでやっていた頃ですね。
──SAKHALIN TVさんは、上京前にあのCOWPERSにドラマーとして参加されていたそうですね。
SAKHALIN TV:'90年代の頭くらいですかね。SEIKIさんがCOWPERSと出会う頃にはもう辞めてましたけど。
SEIKI:彼と出会ってからしばらくはブランクがあったんだけど、ある時、シモ(現nemo、元COWPERS)の車の中であるCDを聴いていたら、「なんだこれ?」って、俺の中で引っ掛かるものがあった。それがSAKHALIN TVのファースト・アルバム(『SAKHALIN TV』)だったんですよ。その頃、シモと2人で「アーバン、アーバン」と騒いでいて(笑)、そんなところにドンピシャでアーバンなアルバムが現れた。
──その“アーバン”っていうのを具体的に言うと?
SEIKI:凄い抽象的なんだけど、“都会でしか生まれ得ない音楽”ってニュアンス。物事を斜めから見ているような厭世観もあるんだけど、ちょっとした遊び心と言うかウィットに富んでいて、とぼけてるところもある。音はわりと固めな感じですね。
SAKHALIN TV:SEIKIさんはラーメンの麺も固めが好きですよね?(笑)
SEIKI:あ、今日はそうやってハズしていったほうがいいの?(笑) でも、アルバムは本当に凄く良かったんですよ。
SAKHALIN TV:SEIKIさんが俺のアルバムを気に入ってくれたらしいとシモさんから聞いた時は嬉しかったですね。SEIKIさんはパンク/ハードコアに限らず、普段からいろんな音楽を貪欲に聴いているので、そういう人に自分の音楽を受け容れてもらえたのは自信にもなりましたから。
──そんなSAKHALIN TVさんのミニ・アルバム『SLOW DOWN』が発売となったわけですが、SEIKIさんは「反乱天使」という曲にコーラスで参加されていて。この曲、ギターに竹林現動さん(現SPIRAL CHORD、元COWPERS)、ベースにあのShellacのボブ・ウェストンという凄まじい顔触れが脇を固めていますね。
SAKHALIN TV:現動さんにギターを弾いてもらいに札幌へ行ってきました。気持ちの半分は遊びに行くような感覚だったんですけど。その時にドラム録りまでお願いしまして、プロ・トゥールスを使ったレコーディングを初めて体験しました。ボブ・ウェストンはPassedOut Recordingsオーナーであるtinycar氏の紹介なんです。「ベースを弾いてくれないか?」と打診したら、ものの5秒でOKの返事がメールで来たみたいです(笑)。もともとShellacは好きでしたし、嬉しかったですね。ボブがシカゴで録ったデータをサーバを介してやり取りして…まさにレコーディング技術の進化の賜物ですね(笑)。
──今回、どんなコンセプトで制作を進めたんですか?
SAKHALIN TV:去年出したファースト・アルバムは、演奏、録音、ミックスを自分一人でやったんですけど、もうそういうのはいいかなと思いまして。今回はいろんな人にゲストで参加してもらって、音の広がりを持たせたいというのがありました。
──芯にあるのは歌心ですよね。宝箱をひっくり返したかのようなキラキラした極上のポップ・ソングが満載で。
SAKHALIN TV:そうですね。ひっくり返した感じもあり、その中でもちゃんと自分の個性を出せたとも思うし。曲が人を呼んでくれた気がしてるんです。今年の1月にnemoの企画でシェルターに出させてもらった時、スペシャル・ゲストがNAHTだったんですけど、SEIKIさんのヴォーカルの力に改めて圧倒されたんですよ。「反乱天使」のメロディが浮かんだ時に“このメロディには絶対にSEIKIさんの声が合う!”と直感的に思ったので、即効でSEIKIさんにコーラスをお願いしたんです。
SEIKI:その直後にネイキッドロフトで一緒にアコースティック・ライヴをやったんだよね。俺がエリオット・スミスの「Bottle Up And Explode」をカヴァーしたり、SAKHALIN TVがあぶらだこの「PARANOIA」をやったりして。そのライヴの終演後にゲスト参加の話を頂いて、快諾しました。ニック・ロウやエルヴィス・コステロを彷彿とさせる、凄くいい曲だったので。自分が何を求められているかは事前にミーティングもやって理解していたんですけど、唄うパートが結構難しかったんですよ。だから「アーバン、アーバン」とか言ってられないなと思って(笑)。でも、レコーディング自体は30分程度で終わったよね?
SAKHALIN TV:そうですね。レコーディングは俺のアパートでやっていたんですけど、SEIKIさんは歩いて数分のところに住んでいて、「今から行くから」と電話をくれた直後に来てくれまして。
SEIKI:同じ武蔵野市の住人だからね(笑)。
SAKHALIN TV:バシッと1テイクで決めてくれて、凄く早かったんですよ。

核になるものがあればフォームは問わない
──そんな関わり合いが、今回の『NOCTURNE TOUR / East Chapter 2005』へと繋がっていくわけですね。
SEIKI:バンド形態とはまた別の、より“歌”にフォーカスを当てたソロ・ミッションを今後継続的に展開していきたいと個人的に考えていて。そこへたまたま元kiwirollのエビ(蝦名啓太)がDischarming manという新しいユニットを始めることにもなったから、俺たち3組でツアーを回ろうかって。そうして始まったのが『NOCTURNE TOUR / East Chapter 2005』で、先月、北海道を3ヶ所(札幌 HALL SPIRITUAL LOUNGE、小樽 水分cafe mikumari、旭川 電気猫)回ってきたところですね。俺は“ミニマム・フォーミュラでのショーケース・ツアー”と呼んでいるんですけど。ツアー・タイトルの“NOCTURNE”は、ショパンの同名曲とSIOUXSIE AND THE BANSHEESのライヴ盤の同名タイトルとを掛けているんですけど。
──『SLOW DOWN』を起点にした、非常に理想的な発展の仕方ですね。
SAKHALIN TV:SEIKIさんが今ソロとしてミニマムにやろうとしていることは、俺のスタンスとも共通 する部分が多いですからね。
SEIKI:そうだね。SAKHALIN TVも、ライヴによってはnemoがバックに付いたバンド編成でやってみたり、一人でやってみたり、the warmのwakaちゃんが鍵盤で参加したりと、フリー・フォームのスタイルでやっているんですよ。でも、どれだけ表現の形は変わろうが、しっかりと真ん中には“歌”がある。浮遊感のある詞やポップな歌世界は不変で、そこに俺は凄く共鳴したんです。核になるものが確固としてあれば、フォームは問わないんだなと思ったんですよね。
──今年に入ってからのSEIKIさんは、再始動したNAHTと並行してソロ活動が顕著ですよね。
SEIKI:今、こうしてソロの動きを前面 に出しているのは、ある種のカミングアウト的要素もあるんです。テクニックと伝わっていく速度は比例しないことも判ってきたし、逆に邪魔になったりもするし。バンドで演奏する時の着地するポイントとソロでのそれとでは、場所が全然違うところにあるのがやっと実感として理解できてきました。
──蝦名君が始めたDischarming manというのは、どんなユニットなんですか?
SEIKI:エビも、出会った頃から歌を芯に置くスタンスだけは俺と一致していたんです。あの野太い歌をきっちり残していきたいと言うか、絶叫するパートもあるんだけど、メロディ・パートも必ず入れ込みたいとか、彼は歌に対する思い入れが凄くある人間なんですよ。kiwirollが解散してもそこの部分は変わらないんだろうなと思っていたら、案の定そうだった。それが今Discharming manとしてヴェールを脱いだという。
SAKHALIN TV:Discharming manは打ち込みのオケでライヴをする、一風変わったユニットなんですが、とにかく蝦名君の歌力は凄まじいですよ。SEIKIさんも、蝦名君も、そして俺も、まず最初に“歌”ありきなんですよね。それはみんな同じなんです。
SEIKI:そう。どれだけ時間が経過しても、まるで骨董品のように大事にされ続けるような歌を残していきたいんですよ。その想いはこの3組とも変わらないですね。
──特に、ソロのSEIKIさんはNAHTとはまた違った非常にリラックスした演奏でNAHTファンは最初面 喰らうでしょうけど、元々NAHTは非常に歌心を大切に考えるバンドだから、根本は変わらないですよね。
SEIKI:そうですね。その姿勢はNAHTを結成した当初から一貫していますし。意外性は大いに結構と言うか、いい意味で期待を裏切る形で今の活動を続けていきたいですね。
SAKHALIN TV:俺はSEIKIさんのソロに“アーバン”を感じてますけどね!
SEIKI:ありがとう(笑)。場所を選ばず、ギターなり鍵盤なり、楽器と自分の声があればそれだけでライヴが成立するのがソロの魅力ですね。やっぱり常に自由度は高く在りたいですから。ツアー中にエビとも話したんですけど、バンド編成っていうのは時に大人同士のエゴのぶつかり合いになる場面 もあって、ひとつの事柄を決めるにも凄い時間が掛かったりする。それがいい燃焼の仕方ならいいんだけど、自分の目的地までストレートに辿り着けないストレスが生まれることが多々あるんですよ。リスクがあって当然だし、それがあってこそのバンド・サウンドなんだけど、俺にはそれが一時期凄く煩わしく思えた。そういったものとは別 に、何かもっと思い切ったことができるようなもの…パッと録音もできて、その場でライヴ演奏もできるような、そんなスピード感を味わいたかったんですよね。
──eastern youthの吉野(寿)さんもバンド本体と並行してソロ活動を活発化させているし、ZAZEN BOYSの向井(秀徳)さんも無戒秀徳アコースティック&エレクトリックという小回りの利くソロ活動を行っていますし。
SEIKI:うん。そういうのが同時多発的に起こっていると言うか、9月の来日招聘をヘルプしているThe Evensにも同じようなことを感じてますね。とにかく、バンド運営に関係してくる煩わしいことを一旦置いて、純粋に音楽を表現していこうよ、って思って。音楽をやる動機の再確認と言うかね。同じようなことを思っているミュージシャンはわりと多いんじゃないかな。
SAKHALIN TV:実際、俺がソロでやっているのもそういう部分だったりしますからね。バンドをやりたい気持ちもありますし、バンドの素晴らしさも判ってるつもりだけど、今のスタイルが自分には一番合ってるんですよ。その時々で素敵なミュージシャンに手伝ってもらうのは凄い贅沢なことだと思いますけど、それが俺にはベストなんです。

SAKHALIN TV=STV札幌テレビ放送!?
──4曲目の「月光」には54-71の川口(賢太郎)さんがベース&プログラミングで参加されてますが、元々交流があったんですか?
SAKHALIN TV:これもtinycar氏を通して、ですね。実は、今回のレコーディングに関しては、川口さんと直接話をしたことはなかったんですよ。
──え? そうなんですか?
SAKHALIN TV:ええ。初対面は、昨年末のシェルター企画のSPIRAL CHORD、nemo、54-71のライヴの打ち上げの席でした。そこで、川口君が全裸でチン毛を燃やしてウロウロしてたんです。俺もそういうことには命懸けてるんで、対抗して下半身丸出しでチン毛を燃やし始めたわけです。で、しばらく燃やし合いをしてるうちに、川口君が「ちょっと! この人誰?」て言い出して。川口君とはそれっきりです。tinycar氏が俺を川口君に引き合わせたいという話をしたら「ああ、あのチン毛の奴?」と言ってたみたいですけど。
SEIKI:それがかの有名な“鳴くよ(794)うぐいすチン毛の変”、歴史的な出会いだったわけですよ(笑)。
SAKHALIN TV:結局、川口君とは直接会って打ち合わせをしなかったんですけどね。俺ん家に初めて来たゲストの人たち(the warmのwaka、nemoの愛譲、houseplan!のumu&hiro、古里おさむ)は入った瞬間にビックリしてましたね。
SEIKI:俺も驚いたよ(笑)。部屋に入ったら、奥のほうが見えないくらいにレコードや文庫本が山積みだったね。六畳一間の狭い部屋で。「ホントにここで絶叫してもいいの?」って訊いたら、「角部屋なんで大丈夫です」って(笑)。
──そういう問題じゃないだろうって(笑)。
SEIKI:レヴェルの違いをまざまざと見せ付けられましたよ(笑)。まぁ、しっかりと絶叫してきましたけど。
──というか、そんな足の踏み場もない六畳一間の部屋でどうすれば“アーバン”な音楽が生まれるんですか?(笑)
SAKHALIN TV:うーん…。まず、誰からも部屋の時計が止まってるのをチェックされて、SEIKIさんからは帰り際に「ちゃんとゴミは捨てるように」と注意を受けましたけど…。
SEIKI:あの玄関にあった、溜まりっぱなしのゴミだけはホント気になったから。
──そんな荒んだ環境から「LOVE & PEACE」という名曲が生まれたと思うと感慨深いです(笑)。
SEIKI:あと、ラベルに“MONGOL TV”と書かれたテープがあったんですよ。「これ、何?」って訊いたら、「“SAKHALIN TV”の前に“MONGOL TV”って名前だったんですよ」って。モンゴルから一気にサハリンまで行くのが凄いよね(笑)。
──今さらですけど、そもそも何故に“SAKHALIN TV”と名乗ってるんですか?
SAKHALIN TV:友達に名前を付けるのが好きなヤツがいるんです。そいつが不意に「“MONGOL TV”がいいんじゃない?」と。「あ、じゃあそれ貰うわ」と軽い気持ちで決めて。でも、いざ歌モノをやっていこうとした時に、どうもモンゴル・モードじゃないよな…と思い始めて。
SEIKI:“MONGOL TV”だったら略すと“MTV”になるからね(笑)。“SAKHALIN TV”だったら“STV”で北海道の「STV札幌テレビ放送」になって、ご当地だし、“MTV”からいきなり矮小化してるのがいい(笑)。
SAKHALIN TV:それくらいちっちゃくなったほうがいいんですよ(笑)。
SEIKI:ああ、いいこと言った。一歩一歩、小さなことから物事を進めていく謙虚な姿勢が大事だよね。
──あの、話せば話すほど“アーバン”なイメージからは懸け離れていくんですけど…。でも、そんな非アーバンな環境からあんなに豊潤なポップ・ソングが生まれる。
SAKHALIN TV:普段、何気なくギターを弾いてるとメロディが鼻歌の延長で断片的に浮かんでくるんです。で、何となく“こういうことをやりたいな”と思うようなことを組み合わせていく感じですね。
SEIKI:俺もそんな感じですね。アコースティック・ギターじゃないとメロディが浮かんでこないから、エレキは使いませんけど。コードがしっかり鳴ってないとダメなんですよ。俺がSAKHALIN TVの歌詞で面白いなと思うのは、“浮かぶ”とか“沈む”とか、現象を唄っている言葉が耳に残るんですよね。逆に俺が書く歌詞というのは、以前、J.ロビンズ(GOVERNMENT ISSUE〜JAWBOX〜BURNING AIRLINES〜THE CHANNELS)には「まるでSEIKIの日記を読んでいるようだ」って言われたことがあって。俺はプライヴェートな事柄を歌詞のテーマにすることが多いんだけど、SAKHALIN TVの歌詞は誰でも自由に思い描けるようなキーワードで構成されているから、凄くいいなと思いますよ。
SAKHALIN TV:内面を吐露するとか、そういう直接的な表現は確かにちょっと苦手かもしれませんね。1枚フィルターが掛かっているような表現が自分には合ってると思います。聴いている人が何か映像が浮かぶような音楽をやりたいんですよ。それはいつも気に留めて曲作りをしていますね。

▲ワールドカップの対バーレーン戦を観ながらレコーディングするhouseplan!のumu & hiro、サハリン宅でのレコーディング風景。どう考えてもただのアパートです(笑)。

最小限の編成で最大限の音楽をやる
──SAKHALIN TVさんの音楽的ルーツというのは? 特定のミュージシャンからの影響が見えづらい音楽だと思うんですけど。
SAKHALIN TV
:特に「これなんだ!」というのは言えないですよね。幅広く何でも聴くほうだと思いますし。
SEIKI:ツアー中にそういう音楽の話をしたことがあるんですけど、ニュー・ソウルとかが凄く好きだったりね。
SAKHALIN TV:そうなんです。そういう音楽をやるバンドをやってみたり、ライヴを観に行ったりしてたんですけど、7〜8年くらい前からライヴに足を運ぶことがなくなっちゃったんですよ。COWPERSのライヴも観に行くことがなくなったり、完全に引きこもっちゃって。
──そういう停滞期を経て音楽活動を再開させたのは?
SAKHALIN TV:と言うか、そういうところから今の活動が始まってるんですよ。バンドを組んでライヴをやるっていうよりは、自分一人でやれる音楽を始めてみようという。だから最初はライヴをやる意識もそんなになかったんです。曲を作ること自体が純粋に楽しかった。それを結実させたのがファースト・アルバムだったんです。でもちょっとずつ聴いてくれる人の反応が欲しくなって、徐々にライヴを始めていくと、やっぱり“ライヴっていいな”と思うようになったんです。一緒にステージに立つバンドに感化されることも多いですし。
SEIKI:俺もNAHTを休止していた頃は、表現する立場の人間として自分のモチベーションを確認する作業に躍起だった。対外的には休んでいても、実はあまり休んでいなかったし。今はNAHTもソロも、休む前に比べて新しい景色が見えかけてきてるので、純粋に楽しいですよ。
SAKHALIN TV:あまりギスギスしたくないっていうのが自分の根底にはあるんですね。今の世の中を見てもそうだし、音楽シーンの現状を見ても消費に次ぐ消費じゃないですか? 自分のペースでやりたいようにやっていきたいです。
SEIKI:何と言うか、時刻表を必死になって目で追いながら音楽活動を続けるようなバンドが多いと思うんです。俺たちがやろうとしてることは、そんな現状に対するカウンターパンチではありますね。自分も、待ち合わせをきっちりするような音楽はやりたくはない。あくまで自分のペースで、思い付いたらやりたいようにやる。そこはSAKHALIN TVの姿勢と全く一緒ですよ。とにかく彼の『SLOW DOWN』に関しては、このタイミングでよくこれだけの作品を作ったなと思いますよ。正直、彼の才能に嫉妬しているくらいで(笑)。今回、一緒にツアーを回って毎晩一緒にいるわけだから、彼の本質を暴いてやろうと必死に喰らい付いたけど、結局最後まではぐらかされましたよ。
SAKHALIN TV:いやいや、そんなことないですよ!(笑)
SEIKI:俺のやり方と彼のやり方はベクトルが全然違うんです。でも、根底の深い部分で共鳴するんですよね。SAKHALIN TVの音楽は爆音ではないんだけど、とても感化されますよ。いい意味で威圧感もあるし。
Message from 川口賢太郎/54-71
 サハリンくんとはチン毛の燃やし合いをしただけの仲です。レコーディングの打ち合わせもしてません。音楽性も知ったことではありません。チン毛に火を付けられただけで幸せです。  セイキさんとはチン毛の燃やし合いはしたことはありません。セイキさんは大人の男です。弾き語りで対バンさせてもらったときに思いました。最近の54-71は写 真の通りです。
──その音楽性を検証しようとしても、追えば追うほど本質からするりと逃げていく感じはありますよね。
SEIKI:そういう掴みどころがないのが彼の魅力ですね。ホントにズルい(笑)。
SAKHALIN TV:恐縮です(笑)。今はやりたいことが膨らんでとっちらかった状況なので、それを整理してまた今後の制作活動に繋げたいと思ってます。音源作りもそうですけど、今はやっぱりライヴをやるのが楽しいんですよ。ライヴって本当に気持ちいいなぁと思う。だからシェルターでSEIKIさん、蝦名君たちと一緒にやる『NOCTURNE TOUR』が今から凄く楽しみなんです。
SEIKI:『NOCTURNE TOUR』は、これからWest Chapter、South Chapterと進めていきたいし、いずれはAsian Chapterとかまで考えてますから。1年かけて日本一周、10年かけて世界一周したいと思ってます。今はメールと携帯電話さえあれば世界と繋がれるから、あとはやる気だけ。細かいことを挙げればいろいろあるんだけど、あまり現実的になって自分がやりたいことを端から諦めるのはナンセンスだと思っているので。最小限の編成で最大限の音楽をやる。待ち合わせのことは気にせずに、今は音楽を純粋に楽しみたいんですよ。

■Release info.

SAKHALIN TV / SLOW DOWN

PassedOut Recordings
PSDOT-2
1,785yen (tax in)
IN STORES NOW

*世界中のギター&シンセポップバンドによるコンピレーション『THIS PLANET ROLLS』(PSDOT-3)発売中(「SLOW DOWN -SPICY MIX-」収録)。

■Live info.

SAKHALIN TV
インストア・フリーライヴ
7月9日(土)タワーレコード新宿店
15:00〜
*未発表ヴァージョン収録のCD-Rを特典としてプレゼントします。

新宿経由サハリン行きVOL.1
7月17日(日)新宿百人町Naked LOFT

SAKHALIN TV with waka (the warm) / 古里おさむ / 小暮晋也 (from Hicksville) DJ: umu / tinycar
OPEN 18:30 / START 19:00
TICKET: advance-1,000yen(2drink付)
【info.】Naked LOFT:03-3205-1556

NAHT
NEW ART RIOT! 番外編「NORTHERN UP FLOOR」
7月3日(日)Zher the ZOO代々木

NAHT / BUGY CRAXONE / FLUKE / winda
OPEN 18:30 / START 19:00
TICKET: advance-2,300yen / door-2,500yen(共にDRINK代別)
【info.】Zher the ZOO YOYOGI:03-5358-4491

SEIKI & SAKHALIN TV
24STRIDE #vol.4
7月22日(金)札幌HALL SPIRITUAL LOUNGE

SEIKI (Formerly of: NAHT) / SAKHALIN TV / Discharming Man / sleepy.ab / spirit page
OPEN 19:00 / START 19:30
TICKET: advance-2,000yen / door-2,300yen(共にDRINK代別)
【info.】HALL SPIRITUAL LOUNGE:011-221-9199

NOCTURNE TOUR / East Chapter 2005
8月4日(木)下北沢SHELTER SEIKI (Formerly of: NAHT) / SAKHALIN TV / Discharming man / etc...

OPEN 18:30 / START 19:00
TICKET: advance-2,000yen / door-2,500yen(共にDRINK代別)
【info.】SHELTER:03-3466-7430

NOCTURNE TOUR / West Chapter 2005
10月15日(土)名古屋KDハポン
*その他の公演は現在鋭意ブッキング中につき、SEIKIのブログにて詳細をアップ!

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