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2002年に地元・浜松で結成された3ピースバンド“sports”。その後メンバーチェンジをし現在のスタイルとなる。ロックが持つマッチョイズムが嫌いで、皮肉を込めて付けられたこのバンド名。しかしそんなひねくれ具合とは相反して、彼らの音楽はポップで、リズムにのせて自然と体が揺れてしまう。
2004年にはSUMMER SONIC04にも出演を果たし、独自のポップセンスで日本の洋楽ファンからも支持を得た。また、アツイライブパフォーマンスは見ているものの心を大きく揺さぶる。
1stフルアルバム『Funny!!!』以降、新しいことに挑戦したという今回の『Believer』。まっすぐなメッセージに、リフ感覚で繰り返されるオン・ビートの爽やかなサビ・メロが心地よい作品。新たなロックの可能性を開こうとするsportsの金字塔がここに完成した。そして今回、こんなに心地よい曲のメロディーメーカーってどんな人なんだろう?
と、ぜひ話を聞きたいと思いインタビューを敢行! すっかり伊藤ワールドに引き込まれてしまいました。（text：やまだともこ）
アルバムで一区切りして、ポップなものが作りたかった
―――今回3rdシングル『Believer』がリリースされ、これまでとは変わって、かなりポップな仕上がりだという印象を受けました。完成したときの手応えはどうでした?
伊藤 シングルを作るにあたってポップなものを自分で意識して作ってたし、歌詞も昨年とは少し変えようというのがあったんで、その2つがしっかりやれた曲になったかなって実感してます。
―――歌詞を変えようと思ったのはどういうものからどういうものへ?
伊藤 今までは自分の意見を曲として出すのはどうかなって思ってたので、自分のことを人が言ってるかのようにしていました。でも今回は聞いてて残るものだったり、わかりやすいものを書きたくなったんです。もともとそうやるべきだとは思っていたんですけど、昨年は他のものにチャレンジしてみたくて、一通
りアルバムまでの流れでできたんですよ。それでも人に聞いてもらいたいという姿勢の中で、今までのままではもの足りなさを感じてたので変えてみました。
―――メロディーもポップになって、ループ感が心地よいと思ったんですが…。
伊藤 ループ感はすごく大切にしてますよ。1曲の中で山とか谷とかの起伏をどう新鮮に聞いてもらうかというのを考えて作っているので…。
―――韻を踏んでいたり、言葉遊びも盛りだくさんですね。
伊藤 音楽とかは完全に韻に支配されるので、いかに自分が遊べるかと思いながら作っています。
―――では影響を受けたバンドとか、バンドを始める前に聞いていた人たちってどんなかたですか?
伊藤 始める前はQUEENとテクノですね。あとはGRATEFUL
DEADとか…。バンドを始めるきっかけになったのはブリットポップとかPRIMAL
SCREAM.ですね。今の自分の曲には、あまり反映されていないとは思いますが…。
―――でも、地方にいるとあまりCDが店に置いてなかったりしませんでした?
だから音楽の情報ってテレビで聞く歌謡曲だったりしたんですが…。
伊藤 そうですね。確かに周りでは聞いてる人少なかったですね（苦笑）。でも、今ってロックが薄味になってきてる気がするんですよ。地方から来た人ってメジャーでリリースされている音楽を聞いてた人が多いから、純度の高いものを作る人が多い気がするんですよね。都会は洗練されすぎているというか…。だからもっと地方のアーティストががんばったほうがいいと思います。田舎者の時代がやってきたな、と（薄笑）。
―――全体的に薄味な音楽が浸透するっていうことに対しては、もっと濃いものを作ってやろうっていう意識ではやってるんですか?
伊藤 そうですね。あ、、、………すみません。もうちょっと謙虚に思ってます（笑）
―――（笑）ところで、この作品はいつごろから制作されました?
伊藤 曲そのものの構成を考え始めたのは年明けだったかな。レコーディングは2月の中旬に1週間ぐらいで終わりました。
―――今後もこういうノリの曲を増やしていこうと思ってます?
伊藤 そういうわけではないです。別にポップであればなんでもいいなって。今バンドとして勢いが欲しいので勢いのある曲が増えていくとは思います。
―――ポップなものというもの以外にコンセプトがあったんですか?
伊藤 そうですねー。さっきのループの話ではないですけど、いかに新鮮に聞いてもらえるかってところですね。そういった努力はいつも忘れてません。ポップであればインストでもいいとも思ってるし、その辺は完全に歌モノオンリーみたいな感じではバンドやってないんで…。歌詞に関して言えば表面
的なものではなく噛みごたえがあるものを作りたいと思ってます。なるべく聞いてる人それぞれのイマジネーションがかき立てられるようなものがいいですね。
―――噛みごたえがあって胃のなかで消化不良を起こしちゃうようなものをやってみたいってのはあります?
伊藤 エンタテイメントとして、完璧に把握されるのはダメだと思うんですよね。奥の手は見せないみたいな、そういった意味で消化不良を意識するときもあります。でも、今回のシングルにそういうとこは考えずにフラットにポップというところで作りました。
―――今回の曲はゴリゴリさとキャッチーなメロディーが共存して独特な世界があるじゃないですか?
ああゆうラインを目指したいってのは常にあります?
伊藤 ゴリゴリとはしてなくていいと思うんですよ。ピアノの弾き語りだけで、ギターが入ってない曲でもいいと思うし…。質感としてロックでいたいっていうのがあります。
―――そしたら、今後アルバムを作る場合ギターレスとか考えてたりするんですか?
伊藤 それは考えてます。前々作のアルバムではピアノを弾いたのでそういう面
も出せたら…。でも、ギターはなかなかすごい楽器ですね。さすが歴史を作ってきた楽器なだけあります。
―――今後はいろんな楽器に挑戦しながらアルバムができるかもしれない。
伊藤 はい。
―――ところで、作品を作るにあたって、エンジニアさんにはこだわってたりしますか?
伊藤 ないですね。もともとサウンド的なイメージは、ほとんど自分の中あって、どんどん進めていくので、特別
にエンジニアさんには頼ってはいいないです。
―――ということは、レコーディングに入る前から伊藤さん自身がだいぶ作っておくと?
伊藤 めっちゃ作っちゃいますね。それをみんなに聞かせた方が早いし…。レコーディングも完全に3人で進めちゃってます。最初リズムを録って、淡々と重ねていくっていう感じです。
―――『Believer』がタイトルにもなっているように、リスナーに聞いて欲しいっていう意識の変化も出てきてるように思いますが…。
伊藤 うーん。広く聞かれたいっていう意識を持って歌詞とか考えたら“Believe”だなと思ったんです。今年は『Believe』っていうタイトルの曲が多いですし…。『Believe』旋風吹き荒れるんじゃないかなと（照笑）。
―――それに乗っかっちゃったんですか（笑）。ではいろんなとこに聞かれてるかもしれないけど、伊藤さんにとって『Believe』なものって何ですか?
やっぱり音楽とか?
伊藤 音楽は信じてます。音楽はいいですよ。いつも僕にやさしいです（笑）。優しさを分けてあげたい。これ波線で（笑）。
―――（笑）自分自身は信用できる?
伊藤 あんまり信用できないですね（苦笑）。自分が自分に優しくないときがあるので。
―――ライブやリハーサルを行う時は自分に優しくしないでやることもありますよね。
伊藤 音楽ってそういうもんですからね。誰にもジャッジできないものだけど、自分で判断して信じるしかないじゃないですか。たとえば人を愛してるとか（照笑）…愛されてるとかって確実な実証はどこにもないわけで、自分が生きてるか生きてないかって言う確証ももちろんなくてですね、そこは愛してると信じてるか、愛されてると信じてるか、そう思えるか否かだと思うんですよ。そのへんをふら〜っと歌えたら。意志はパワーとして音楽に封じ込めれればなと。
―――深い歌ですね。ポップにさらっと歌ってるけど、いろいろあるんだよと。
伊藤 やっぱ生きてる人みんなに言えることなんじゃないかな。それでどうしろとかそこまでは言いたくないし、自分もどうするかわからないので…（笑）。
―――でも、このシングルはライブの核になる意識はあった?
伊藤 ノリもライブを考えて作っているので、そうなればいいなと思ってます。前のシングルとかも実はとっつきやすいようでとっつきにくかったりとか、自分でも難しいなと思うような曲だったので、こういう曲がきっかけになって他の曲もさらっと聞いてもらえるといいなあ…。
ライブでアライブしろ（笑）
―――ライブで普段目指しているところってどんなですか?
伊藤 意外と感情だったりするんですけど。CDは完全に感情なくしたものにしているから、逆にそうじゃないものをライブで出すって言うのはおもしろいかもしれないですね。
―――6月にはいよいよ、待望の初ワンマンが行われますね。
伊藤 通してやれるか心配ですね。
―――持つかどうかね（笑）。意気込みは?
伊藤 バンドの魅力が伝えきれればいいなと思ってます。あと自分がその時間を楽しめるライブにすると、お客さんも楽しんでくれると思うんで…。練習頑張っていいライブにしたいと思います。
―――普段はイベントで他のバンドのお客さんも見てるわけで、ここでは自分達だけのお客さんしか来ないっていう状況で今までにないですからね。
伊藤 全体的に盛り上がればもう言うことないです。
―――では最後にRooftop読者に一言お願いします。
伊藤 今年1年はライブも充実してやっていきたいので、まずシングルを聞いて、盛り上がっていただけたらなと思います。シングル聞いてなくてもパンチのある曲だと思うんで…まあ聞いて欲しいですけど（笑）。ぜひライブにお越しいただければこれ幸いかなと。…ライブ来い!
という感じです。「ライブに来てアライブしろ」と。コレ太文字でお願いします（照笑）。………「ライブアライブ」で。
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