この3人で演ってると、自然とこういう音になるんだけどね。

音速ラインというバンドを言葉に例えるとすれば…? 答は次のようになる。メロウ、というよりはセンチメンタル。朝焼けよりは夕焼け派。まるで全国に潜む黄昏好きのために存在するかのようなバンドなわけだが、そんな彼等の2枚目となるシングル「街風」が6月15日にリリースされる。今回のシングル、音速ラインの最大の武器とも言える、郷愁をかきむしるメロディはもちろん健在。それでいて、今どきのギターバンドとしてのクオリティをしっかりキープしたサウンドコーティング。はっきり言って最強である。もはや昇りつめるところまで行って欲しい、と思いつつ、その前に「俺の話(噺)」も聞け! なインタビュー。今回も敢行させて頂きました。どうぞ最後までお楽しみください。(スズキダイスケ/KeyStation#)

―――さて、今回は新曲「街風」ですが。
藤井 なんかつい先日も会ったばっかりな気がするんですが。
―――気のせいでしょ(笑)新曲の話をしよう。
藤井 どうです?
―――良かった。これはやばい。ずばり自信作でしょ?
藤井 自信作です。
―――でしょ。色んなところの評判もいいだろうなあ。
藤井 ですね。言葉を失ってますよ。
―――いや、そう思う。俺、いい曲だなあってしか書けないもん。音楽のライター、向いてねえやって思ったし。廃業宣言ですよ(笑)
藤井 ははは(笑)
―――まあ、本気でそう思ったんだから仕方ないや。でもそれだけ色んな人がそういう風に感じてくれてるってことで、「これはいけるかも? 」って思ったりしてないの?
藤井 いや、最初っから自信はあったんで(笑)でも色々言われて確信にはなってきてるのかな。
菅原 確信にはなってますね。
―――でも、ライヴではまだやってないんだよね? この曲って。
藤井 これだけリリース前にライヴ演っててね。こういうのって初めてなんだよね?
菅原
 もうちょっと…引っ張ろうかなって。今月(5月)末には演ろうかなって思ってるんですけどね。
―――今のラインナップだと、どの辺で演りそう?
大久保
 それはまだ迷ってる段階で。「スワロー」もあるし…。
藤井 前半戦で演りたいな。しょっぱなとか。けっこうがつがつした曲なんで、しょっぱなとかの方が映える気はするんだよね。 ―――なるほどねえ。その辺は楽しみにしておきたいな。で、ライヴの話が出たところで、これだけ音速ラインってライヴを演ってるバンドなわけだけど、同時に音源もハイペースで出してきているバンドだと思うのね。正直、自分たちとしては落ち着いて制作していくのと、ライヴをがつがつ演っていくのとどっちのタイプだと思ってるの?
(3人同時で)落ち着いて制作しているタイプです。
―――あ、そうなんだ。
藤井 ライヴは好きですよ。ただ、一日も空けないでライヴを演ってるバンドってあるじゃないですか? ああゆう風にはなりたくないなあって。
―――演ってんじゃん。
藤井
 あ、そうか。あははは(笑)
―――どっからどう見ても、そういうバンドですよ(笑)
藤井 月1回ぐらいが理想的かなあ。
大久保
 ホントのところはね。
―――ライヴを否定してるわけじゃないんでしょ?
藤井
 ライヴは好きですからね。
―――でも、ゆっくりやりたいと(笑)
藤井 曲を作ったりするのも好きですからね。
大久保
 みんなで曲を合せて詰めていくのが。
藤井
 そう。そうやって新曲も増やしていきたいし。いっつも同じ曲ばっか演っててもね、つまんないし。その辺のバランスを取っていきたいなって。
―――今、その辺のバランス、大変そうだよね(笑)
藤井
 大変ですね(笑)まあ、でも田舎に一日でも二日でも帰れる日があれば曲作ってますからね。東京にいると不思議と曲を作る気になれないんだけど、田舎に帰るとね、涌いてくるんだよね。
―――田舎に帰ると曲がふってくるっていうのはどういうことなんだろうね。
藤井
 精神的に落ち着いてるんでしょうね。なんか聴こえてくるんですよ。 帰りの電車に乗ってる時には、もう精神的には落ち着いてて、電車の中ですでに聴こえてくる感じもあるし…。東京にこうやって居る状態だと…何も聴こえてこないですね。
―――あ、そうなんだ。じゃあ自分の部屋には常に機材とか揃えてるの?
藤井
 何にも。テレコとギターぐらいです。それがいつものスタイルなんで。ギターで全部固めたらスタジオ行って録音してバンドで詰めていくみたいな。
―――機材とかよりも環境なんだね。自分の家からスタジオへ行く道すがら、とかもけっこう大事だったりするんじゃない?
藤井
 うん。車運転してる時とかよく曲が浮かぶしね。こないだも、家族と一緒に食事に行く途中に車運転してて、すっごい強力なメロディが浮かんで。 「これだけ強力なメロディだったら忘れないだろう」って思って安心してたんだけど。飯食って、家帰ったら見事忘れてたってことが(笑)
―――ダメじゃん。それは。
藤井 大丈夫! そういうね、これはいけるなって思ったやつはそのうち帰ってくるって(笑)帰ってこないやつは、もういらない!
―――今まで帰ってきたメロディってあるの?
藤井
 ありますよ。
―――じゃあ、楽器が必要とかってわけじゃないんだ。
藤井
 ですね。重要ではないです。涌いてきたメロディを捕まえるためにギターを弾くって感じなんで。コードとか知らないし。あくまで曲の感じを伝えるためにコードを探すわけですから。
大久保
 謎のコードも多いしね(笑)表記不能な。
藤井
 あんまりギターを楽器だと思ったことがないというか…ま、そういう言い方しちゃうと語弊があるんだけど(笑)鳴らしたい音を押えられればいいかなっていうね(笑)
大久保
 そういうやり方にも、ようやく慣れてきましたね。コード譜とかも貰わずに演ってますからね。もう藤井さんが押さえているコードを目で見て判断していくっていう感じで。また変な押え方してるんですよ。独特な感じで。それを演りながら解読していくっていう。
―――けっこうゲーム的な感覚に近いとか?
藤井 うーん…どうだろ?
―――でも、解読していくには、この2人じゃなきゃいけないっていう感じでしょ?
藤井 何にも言わないでも欲しい音を出してくれるっていう…それこそマジックみたいな。そういうところありますからね。
―――特に指定ってことじゃないんだ。絶対、こういう音にしてくれとか。
藤井 それはないです。ま、言うときは言うけどね。でもこの3人で演ってると自然とこういう音になるんだけどね。
―――今回の「街風」なんかはどうだったの?
藤井 今回はみんなで合せて詰めていった時間って3時間ぐらいしかないんですよ。だから色々時間あったらアレンジに凝りまくって、試してみることとかもいっぱいあったと思うんですよ。
大久保 でも時間がまったくなかったから。それが結果 的にいい方向に結びついたんじゃないですかね。
菅原
 無駄なものが一切ないっていう。短時間に一気に出来上がってって感じだったですね。それが見事にハマったというか。
藤井 リズムで遊んでみたりはしたんですけどね。やっぱとっちらかっちゃって。じゃあ、やっぱこれだろってことで形になってったというか。
―――じゃあ、一筆書きに近いんだ?
藤井 そうですね。迷いがない感じとかは…そうかも。
―――今までで、ここまで確信を持った曲ってあるの?
藤井
 ないです。
大久保
 あ、「スローライフ」とかはどうなの? あれもかなり早い段階で固まったような気がするけど。
藤井 あれもそうだけど…今回の方が自分で作った時点ですっきりしたというか、確信は持てた。
菅原
 あ、でも「スローライフ」はレコーディングの時点でAメロどうするか迷ってたじゃん。
大久保
 固まるのが早かった印象はあったんだけど。
菅原 確信の問題だからね。
―――じゃあ、やっぱり今回の曲が一番強く感じてるんだ? 確信を。
藤井
 うん。それは間違いないですね。
―――なるほどね。
藤井 だからこそ、聴かなかったら損するぞって声を大にして言いたいですね。
―――この曲って何々っぽいとか、音楽的にどうこうとか、言い方って色々出来ると思うんですよ。でもね、どれもハマらないの。結局、「すげえいい曲」って表現がぴったりなんだよ。聴き終わったらまた聴きたくなるとか、そういう曲の見本みたいな曲だから。だからこそ、売れて欲しいなってホント思うよ。
藤井 がつんとね。
―――で、最近はますますライヴやプロモーションで東京に来る機会が多いと思うんだけどさ、そろそろ東京の印象は良くなった?
藤井 (小声で)まったく変わらない。
大久保 来れば来る程、ダメになるって言ってます。
―――住んでたことあったんだよね?

藤井 1年だけ。限りなく新宿寄りの中野地区。緑も多くて、いいところだったんだけど。なんか違うなあって思ってて。街歩いてても、人を避けるのが面 倒臭えなあって思って。
―――で、現在に至る、と。
藤井 そう、現在に至る。
―――ちょっとはいいことあったりしないの? 東京来て。
藤井 レコ屋が充実してるっていうのはありますね。でも今通 販出来るじゃないですか。
大久保
 試聴も出来るし。
―――食べ物が旨いとかさ。
藤井
 食べ物は田舎のほうが旨いもの。
大久保 え? 何が旨い?
藤井 桃とか。
大久保
 桃なんて変わらないんじゃないの?
―――福島にはフルーツラインっていう有名な果物売ってる場所があるんだよ!
藤井 名産ですよね?
―――名産。
大久保
 旨いんすか?
―――旨い。って俺がここで主張することじゃない(笑)
大久保
 なんスか? そのフルーツラインって。
―――国道沿いみたいなところで、おばちゃんが果物を売ってるんだよ。しかも大人数で。一応、福島のドライブスポット。
藤井 そうそう。とれたての季節の果 物がその場で売ってる。試食も出来る。
―――ここで食べる桃は絶品だよ。
藤井
 他で食べるのとではまったく違う。旨い。
大久保
 へえ。
―――へえじゃねえよ(笑)ホント旨いんだって。でも、これじゃ藤井君が東京に慣れるのはまだまだ遠い先の話のようだねえ。プロモーションで色々地方とかも行くようになったでしょ? 好きな地方とか出来たりしたの?
藤井 大阪とか京都は好きだな。ここなら住んでもいいなって思った。
大久保
 不思議ですよね。
―――確かに。
藤井 でも、福島と似てるんだよな。あとうちの親父って大阪の人なんすよ。そういうのはあるかも。
―――慣らせよ、東京に。そろそろ。
大久保
 頑張りますよ。俺しかいないっすよね?
―――まかせた。
大久保
 うっす。東京のいいところをどんどん紹介しますよ。
藤井 なんでお前なんだよ(笑

大久保 っていうか、俺あんまり知らないんですよね…東京(笑)
―――地元じゃねえの?
大久保
 いや、地元だからよく知らない。
―――勘弁してくれ。
大久保
 また怒られた(笑)

オフィシャルサイト http://www.onso9line.com

■Release info.

2ndsingle「街風

UPCH-5315 / 1,260yen(tax in)

1.街風
2.わすられ(アコーステックver)
3.テンダー

06.15 OUT!

■Live info.

「あとのフェスティバル2005」
6/17(金) 新宿ロフト
6/19(日) 仙台Hook
6/21(火) 札幌COLONY
7/2(土) 福岡ビブレホール
7/3(日) 広島Cave-be
7/5(火) 岡山PEPPERLAND
7/15(金) 水戸ライトハウス
7/17(日) 大阪十三ファンタンゴ(ワンマン)
7/22(金) 東京渋谷CLUBQUATTRO(ワンマン)
*ワンマンでは、ワンマン限定Tシャツ等(数量限定)が販売されます!

 LOFT PROJECTトップへ戻る←→ROOF TOPトップへ戻る