うさん臭いんだよね歌舞伎町、そこがイイ。
──という訳でっ!!お帰りなさい!!東京ロンドン化計画!!
全員：(笑)。
──久々にこの3人とこうやって歌舞伎町で会うと、戻ってきますねあの感覚が。
ZAKO：うん、やっぱいいですよ新宿。特に歌舞伎町。クラブの中で一番大事なのって「空気」だから。その空気を土地自体がすでにもう持ってますからね歌舞伎町は。
INAMI：うさん臭いんだよね、そこがイイ。渋谷とかはオレ苦手。
Q：一年間別の場所でやってて寂しかったのは、歌舞伎町の時みたいに酔っ払ってフラッと入ってくるサラリーマンとかがいなくなったんですよね。プラスワンの時はスーツぐちゃぐちゃにして酒まみれで踊り狂うサラリーマンとか必ずいたもんね(笑)。
──うん。オレのロンドン化の一番最初のイメージって、まあこのイベントタイトルから彷佛するものもあったし、INAMIくんとかも細身のスーツをバシッと着て来て、「ああオシャレな人達のイベントなんだなあ、これプラスワンに合うかなあ.......」って不安だったの。でもいざ始まってふた開けたら、イカれたねーちゃんはいっぱいいるわ、泥酔でブッ倒れてるサラリーマンはいるわ、ロンドンのロの字もないホントに訳わかんないヘンな集団はいるわで。
３人：(爆笑)。
──「わっ！こりゃイカレてるわ！」って気が付いて(笑)。でも、その誰が来てもイイっていう自由で雑多な雰囲気が、歌舞伎町とプラスワンのイメージにバシッと合致して、それから急に好きになった。
ZAKO：そういう雑多な人達が常連になってくれたりしてね。それが歌舞伎町じゃないとなかなか難しい。
──それで、根本的な事を今頃聞きますが、ロンドン化って元々はいつどこから始まったの？
INAMI：10年位前、まだこの二人が加入してない頃、西麻布のクラブとかでスカをメインに回すクラブイベントとしてスタートしたんです。その頃のクラブって、大概店に付いてる常連客が半分、一見さんが半分ぐらいだったかな。それでスカとかばっか回してたら、「スカ以外の曲も回してよ」ってお客さんからリクエストや文句がいっぱいきたりして(笑)。オレ達もスカだけが好きなわけじゃないから他のジャンルの面 白いのも回すようになって、そしたらQとかZAKOとかの面白い奴らもイベントに次第に集まってきて、気付いたら関わるようになってて。
──当時3人が通ってたクラブって、どの辺？
INAMI：エロス、ゴールド、ルーム、ブルー、マニアックラブ、オートマティックス、 ケイブ、真空管とか........。
Q：オレはバリバリのＢの頃だからミックス、カタリスト派だったなあ。
ZAKO：オレはディライト、オートマティックス、イエロー、スピークイージー.....。いやあ、なんか懐かしいなあ(笑)。
──じゃあ今も続いてるロンドン化から見て、現在のクラブシーンって昔と比べてどう変わりました？
INAMI：今はクラブシーンの客もDJもオーガナイザーも含め、横の繋がりが無くなってきましたよね。昔はみんな情報に飢えてて、色んなイベント行って色んな人達と会って情報交換しあってた。
ZAKO：あの頃のクラブのイメージってもっと怖かったっていうか、地下への階段を降りていくとだんだん音が大きく聴こえてきて、ドアが低音でガンガン揺れてて、「このドアを開けたらこの先で一体何が起こってるんだろう!?」みたいな。それでもうドキドキしちゃってるけど、ヘンに気持ちも浮ついてきちゃってね(笑)。
Q：そういう気持ちにさせるものが今はあまりない。ジャンル分けされすぎちゃったのも原因だと思うのと、しかもその上、今一億総DJみたいな(笑)。お客さんがハコに付くっていうより、でかいイベント単体のみに付いちゃって、みんなデカバコにばっかに集中しちゃってて。だから小バコ、中バコが今あんまり元気ないのが残念です。

ロンドン化の名前の意味って、UKものを回す、ロンドンナイズドするって意味のロンドンじゃない。
──そんな現在のクラブシーンで、クラブでもないプラスワンにあえて戻ってきてくれるというのは？
INAMI：そういう風に3人とも昔からクラブによく通 ってて、色んなクラブを見てきたけど、やっぱ「クラブとしてのプラスワン」ってのが面 白いな、っていうのがオレ達にあって。
ZAKO：例えばヨーロッパとかのクラブとかって、店もイベントも内容もよく知らなくても楽しんでるお客さんとかっていっぱいいるじゃないですか?その感じが凄く大事なんですよ。でもそれをわざと作ってるとすぐバレるんだけど、プラスワンはそれがハコから滲み出てるから(笑)。
Q：外国のクラブとか外人の人達って、みんな自分が楽しむ事を一番大事に考えて、その時その時を絶対に楽しもうとするじゃない？でも日本って型にハマッてないと安心出来ないのか、決まったイベントにしか行かなくなったり。でもロンドン化は違うんです。ロンドン化のイベントタイトルの意味って、「UKものとかを回す」、「ロンドンナイズドする」って意味のロンドンじゃなくて、多分ロンドンのナイトクラブってこんな感じなのかな?ってオレ達が勝手にイメージしてるワールドワイドな感じって言うか。
──なるほど。でも、イギリスのモッズの精神性というのもやっぱロンドン化の精神にぴったり当てはまってますよね。平日はがんがん働いて、金曜の夜はクラブで飲んで大騒ぎするみたいな。
ZAKO：うんそう。だってオレ、仕事してない時ってやっぱ酒まずいもん。だから頑張って金曜日の夜ギリギリまでず〜っと仕事して自分の中で溜めて溜めて、それでレコードいっぱい持って店に入ってからパーッと飲む酒の旨さってったら!!..........もうないよね！(笑)。
Q：ロンドン化はそこでかかる曲を楽しむというのも当然あるけど、そこに集まる仲間が楽しいから、そういう楽しい仲間が集まる場所だから来るんだと。だからロンドン化でしか会わない、ロンドン化でしか集まらないっていう常連の集団とかがぼこぼこ増えてきて。
ZAKO：そう、オレ達もそのお客さん達も互いの名前も知らない。だからオレ達もフロア降りて色んなお客さん達に声かける。気になるんですよね、やっぱり。
Q：老舗のクラブとかイベントってDJ至上主義みたいな、DJ様！みたいなとこがあるんだよね。でもプラスワンって、DJよりもお客さんが主役って空気が出来上がってるんだよ。
ZAKO：そうなんだよ!あれなんでだろうね!?
Q：オレとかガンガン必死になってDJで回してたのにフロア降りて踊ってるお客さんと話してると「お前誰？」とか言われたり(笑)。でも、その感覚って逆に凄い嬉しいっていうか。
INAMI：やっぱダンスがカッコイイ奴がカッコイイ、DJよりも客の方がカッコイイんだぜっていう事だよね。
Q：それにロンドン化を一つの飲み屋として考えてる人達もいるし、そういう部分ではプラスワンってやっぱそういう雑多な人達が集まりやすい場所なんですよね。
ZAKO：うん、ただひとつだけ「音楽が大好き」っていう共通 項だけが全員に必ずあって、それで集まってくるから一見さんもスッと入りやすいしね。
INAMI：一見さんが来るというのがナイトクラブ。一見さんが来ないというのは、それはただのハコ貸しのパーティーだから。

ハコとお客さんとDJの三味一体。それがナイトクラブ
──6月の復活祭で、なんとONE TRACK MINDも出て頂けるわけですが。
ZAKO：ウチら『プラスワン4時28分』って新曲を作ったんですよ。
──えっ、ホント!?スッゴイ嬉しい!!
ZAKO：ウチのBAGIがまず曲作ってきて、オレも色々手を加えてたりしてた時に「これってプラスワンの朝5時前の感じだよね」みたいな話になって、このタイトルにしようと。
──凄い渾沌とした時間帯だ(笑)。
ZAKO：そうそう(笑)。「エブリバディ、ハンズアップ！」とか言いながら、一部では「もう帰るか帰らないかハッキリさせようよ」って言い合ってる客もいるみたいな(笑)。まあ、あの空気感バッチリの素晴らしい新曲も出来たんで、よし、ロンドン化復活祭はワントラも絶対出ようと思って。
INAMI：それと『SIX』っていうとてもカワイイ60'Sファッションのガールズ・バンドも出ますし、関西モッズ・シーンの若頭のQhurk TakadaもゲストDJで京都からやってきてくれます。そして他のレギュラーDJ達ももちろんバッチリ盛り上げていきます。
Q：だから6月はオレの中ではやっぱ応援してくれてるすべてのみんなへの感謝祭っていう感じで。あと、1年振りのプラスワンでどこまでオレらとハコとお客さんがシンクロ出来るかっていうのが重要ですね。
INAMI：ハコとお客さんとDJの三味一体。それがナイトクラブの絶対の条件です。