3月に解散を発表したPEALOUT。しかし、今月には本当に素晴らしい新曲「PEACE, ENERGY AND LOVE 〜Peace, Energy And Love On Unchainned Time〜」(頭文字を取ると“PEALOUT”になる!!)も収録された2枚組ベスト・アルバムが発売になり、ライヴもあと11本(!!)もあり、ラスト・ライヴとなるフジロックまでまだまだ大忙しのPEALOUTなんだが、先月号のRooftopや、他の音楽雑誌で岡崎くんと近藤くんの今回の解散についてのインタビューを読んだファンも多いと思うが、最後にやはり高橋くんの口からも今回の解散、そして今後のことなどについての気持ちや考えも直接聞いておきたいと思い、今回こうやって話を聞かせてもらう場所を作らせてもらった。(interview:シンスケ横山)

一切の妥協をせず、2人の戦友と共に戦い続けてきた11年間だった

『ROLLS NEVER END』で“凄ぇカッコいいアルバムが出来た!”と思ったけど、その次に何をやるのかが見えてこなかった
──………………。
高橋:そんな、いきなりインタビューの始まりが「…………」っていうインタビューもヤだなぁ、話しにくそうだなぁ(笑)。
──(笑)いや、やっぱ聞き手としても気持ちが重たい部分はありますよ。でも、うん、すいません頑張ります。それで早速なんだけど、実際まず近藤くんが「辞めたい」って言い出した時に高橋くんはどう思ったんだろう?
高橋:あのね、近藤は顔にすぐ出るタイプで(笑)、それで『ROLLS NEVER END』のレコーディングの時に見てて、ちょっとキツそうだなぁってのは何となく気付いてたから、オレも岡崎と同じでビックリはしなかった。
──高橋くん自身の気持ちはどうだったの?
高橋:本音を言うと、オレはピールアウトを続けたかった。っていうか、この3人で音を出し続けたかった。だから近藤が「辞めたい」って言った後も、ほんの少しの可能性に賭けたかったんだけど、やっぱ近藤の気持ちは変わらなかったんだよね。ピールアウトの11年の歴史って、3人のイイ意味での距離感を保てた11年だったと思うんだけど、でも、最後の1年は、その距離感がイイ意味を超えてた距離感だった気がする。
──なぜだろう?
高橋:メーカーも事務所も無くなって、全部自分達でやるようになってから、個人の音楽と日常生活に対するバランスが崩れてきちゃったのかも。あと、物凄く細かい理由なんだけど、メールにも原因があると思うんだよね。
──メール?
高橋:うん。今まではちょっとしたことでも電話でちゃんと話し合ってたことを、メールでやりとりするだけの感じになってきちゃってたの。「リハ、明日の夜9時ね」「はい」だけみたいな。そうやってあまり直接話さなくなったことや、無理してでも3人で会わなくなったことによって、離れてっちゃった部分もあると思う。
──妙に生々しい話だなぁ……。
高橋:だからそんな関係の中での、岡崎の『ROLLS NEVER END』のレコーディングに対する尋常じゃない走り方も、今思うと確かに無意識の中でのラスト・アルバムに対する走り方だったように思える。それで『ROLLS NEVER END』が完成した時に、“凄ぇカッコいいアルバムが出来た!”と思ったけど、その次に何をやるのかがもうオレの中では見えてこなかったってのも事実。

結成のキッカケは『ロッキング・オン』のメンバー募集(笑)
──やっぱ重たい話ばかりになってますが。それで、今日は個人的に聞きたくなったのが、「そんな3人がいつどうやって出会って、ピールアウトが始まったんだろう?」ってのが今この時だから逆に知りたくなって、ちょっとお聞きしたかったんですが。
高橋:ピールアウト結成のキッカケは、『ロッキング・オン』のメンバー募集(笑)。
──えっ、そうなの!?
高橋:うん。もう今はいないベースとドラムが、ギターとギター&ヴォーカルを『ロッキング・オン』誌上で募集してたの。「当方ティーンエイジ・ファンクラブ、PJハーヴィー等やりたし」みたいなのを出して(笑)。それに近藤とビヨンズが解散した後の岡崎が応募してきたらしいのね。それでリハ入ったんだけど、他の2人は結構遊び感覚だったらしくて、でも近藤と岡崎は凄いマジで。それでその他の2人はやっぱすぐ辞めてったらしくて、残った近藤と岡崎が「せっかくだからやろうよ」って話になって、それで当時オレが近藤と何となく知り合いで、近藤がオレのドラムを気に入ってたみたいで、それで誘われて。
──へぇ〜〜。
高橋:それで初めて3人で会った時に居酒屋で飲んで、そん時にオレと岡崎がビートルズのファンクラブに入ってて、近藤はウィングスのファンクラブに入ってるという事実が発覚して(笑)。そこで突如3人でビートルズのカルトクイズ大会になったんだよ。
──はははは。
高橋:今でもだけど、3人とも自分が一番ビートルズ詳しいと思ってたから。そしたら3人とも対等に凄い詳しくて、“できるな、コイツ”って互いに思って(笑)。それですぐに打ち解け合えたってのもあるかもね。
──なんか凄いピールアウトを象徴したエピソードだなぁ(笑)。
高橋:ねぇ。それで3人ともビートルズが好きでパンクが好きで、話してたら「ビートルズのメロディを激しくやるバンドをやりたい」みたいなとこで3人の気持ちが一致して。となると、もうこの3人からできればメンバー増やしたくない、って感じになって。それで近藤は元々ギター&ヴォーカルだったけど、じゃあベース&ヴォーカルやるよってことになって、今のピールアウトのスタイルになったんだよね。

ピールアウトっていう家のカギは締める、 でもその家のカギは3人とも持ってる
──なるほど。でも、残念ながらそんなピールアウトが今回活動休止でもなく、解散という形で終わってしまうんだけど。
高橋:それはひとつの理由に、今まで自分が大好きなバンドで散々がっかりさせられる解散を見せられてきて……。
──クラッシュとかスミスとか?(笑)
高橋:そうそう(笑)。だから解散に関してはオレ、ファンを裏切らずにちゃんとやりたかった。活動休止ってことは、またいつか戻るってことを背負って3人が生きていかなきゃいけない訳じゃない? それは絶対キツイと思ったの。活動休止って言って、戻って来なかったバンドとかいっぱい見てきたけど、それってファンに対して凄い不義理だと思うし、それは凄い嫌だなと思って。
──うんうん、凄くよく判る。
高橋:だから逆に言うと、オレ再結成って決して恥ずかしいことじゃないと思うんだ。解散して再結成するバンドって、前は凄いカッコ悪いと思ってたけど、いざ自分が解散するバンドの立場になって、それは違うって初めて判った(笑)。
──はははは。
高橋:だから解散して何年か経って、“やっぱり元のメンバーでまた一緒に音出したい”と純粋に思って再結成するのを、なんで誰か他人に非難されなきゃいけないんだと思うんだよね。だからオレ達も、ピールアウトっていう家のカギはちゃんと締めて、でもその家のカギは3人ともちゃんと持ってて。それで、また帰ってきたくなったらカギ開けて入って、そこに他のメンバーも居て、“ああ、なんだ帰ってきてたんだ”なんて感じでもし再会できたら、そん時はまたやればイイと思うし。

終わらせない為に努力するんじゃなく、 いつ終わってもいいからその日を努力するんだ
──判りました。それでこれから新曲が入ったベスト・アルバムも出るわけですが。
高橋:うん、今の3人の雰囲気が凄く良くて、だから「PEACE, ENERGY AND LOVE 〜Peace, Energy And Love On Unchainned Time〜」って最高の新曲も録れたしね。この曲は、この3人でやってきて良かったっていう、互いへの愛を表した最高の曲になった。
──そして更にライヴもまだまだあるしね。
高橋:解散の日までお客さんと一緒に走りたかったんだよね。最後の最後まで“ING”でフジロックまで現役バンドとしてね。終わらせない為に努力するんじゃなくて、いつ終わってもいいからその日を努力するんだよ。
──それで、その解散後なんですが、3人は一体どこへ向かうのでしょうか?
高橋:3人とも音楽はこれからもやっていきます。3人ともまたそれぞれの音楽をやっていこうって意志を確認し合って、それで解散に対しても気持ちが楽になったし、ピールアウト終わったら音楽辞めるって人がいたらやっぱツラかったよね。とりあえずオレはセッション・ドラマーじゃなくてバンドのドラマーだから、また自分のバンドを作ってやっていきたいと思ってる。そして近藤も岡崎も、これからまたそれぞれ違う戦場で戦い続けると思うし。
──戦場。
高橋:うん。やっぱ2人には“戦友”って言葉が当てはまるんだよね。戦場で戦友の3人と“チクショウ!”って思いながら戦ってきた11年間だった。それは、正直もっと売れてしかるべきだったと思うのもあるし。でもそういう楽ができるコースは目の前に何度もあったけど、そこに行かずに、3人でやれるベストなやり方でもっと上に行きたいって戦ってきた。そんな良くも悪くも妥協できない真面 目過ぎるとこが良かったのかも知れない。だから、ピールアウトはここで終わるけど、それは決してギヴアップってことじゃないんだ。

■Release info.


PEALOUT 1994〜2005
Victor Entertainment

VICL-61656〜7
2枚組・全35曲
3,150yen (tax in)

5.21 IN STORES

Live info.

MUSIC DAY2005 〜shinjuku LOFT 6TH ANNIVERSARY〜
5月4日(水)新宿LOFT

PEALOUT presents“激ロックシンポジウム ファイナル”
w/ 花田裕之+ウエノコウジ+楠部真也 / JERRY LEE PHANTOM / ズボンズ / MO'SOME TONEBENDER DJ:ISHIKAWA (TIGER HOLE) / TARSHI (LONESOME DOVE WOODROWS)
OPEN 17:00 / START 18:00
TICKET: advance-3,000yen / door-3,500yen(共にDRINK代別)

PEALOUT&FUCK YOU HEROES PRESENTS“激初期衝動シンポジウム vol.4”
5月26日(水)名古屋ハックフィン(w/ LOST IN TIME)

OPEN 18:30 / START 19:00 
TICKET: advance-2,500yen / door-2,800yen(共にDRINK代別)

PEALOUT&FUCK YOU HEROES PRESENTS“激初期衝動シンポジウム vol.5”
5月27日(木)大阪サンホール(w/ LOST IN TIME)

OPEN 18:30 / START 19:00 
TICKET: advance-2,500yen / door-2,800yen(共にDRINK代別)

PEALOUT&FUCK YOU HEROES PRESENTS“激初期衝動シンポジウム vol.6”
5月29日(木)下北沢251 (w/ LOST IN TIME / SLOTH LOVE CHUNKS)

OPEN 18:30 / START 19:00 
TICKET: advance-2,500yen / door-2,800yen(共にDRINK代別)

PEALOUTワンマン“UNPLUGGED DAY”
6月4日(土)下北沢440

OPEN 18:30 / START 19:00 
TICKET: advance-3,000yen / door-3,500yen(共にDRINK代別)

LAST TOUR 〜PEALOUT LAST STAND! 響音 最後の狂鳴〜
6月11日(土)福岡DRUM-SON 【info.】BEA:092-712-4221
6月18日(土)札幌BESSIE HALL 【info.】SMASH EAST:011-261-5569
6月24日(金)名古屋CLUB QUATTRO 【info.】JAIL HOUSE:052-936-6041
6月26日(日)大阪CLUB QUATTRO 【info.】SMASH WEST:06-6535-5569
7月1日(金)渋谷CLUB QUATTRO 【info.】SMASH:03-3444-6751

LAST LIVE FUJI ROCK FESTIVAL '05【7月29日(金)〜31日(日)】
*PEALOUTは7月30日に出演 http://www.fujirockfestival.com/

PEALOUT OFFICIAL WEB SITE http://www.pealout.jp/

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