ハイテンションなライブで轟音を響かせる唯一無二のベースレス・トリオJIGHEAD。彼らが自らのレーベルLUNKER KILLER RECORDSから約二年ぶりとなる新作「No claim No return」を完成させた。今までにも増してシンプルかつアッという間に駆け抜けていくロックンロールサウンドの数々。結成10年を迎え、ますます加速を続けていくJIGHEADから目が離せないッ!   (interview : 北村ヂン)

──今回のアルバムですけど、THE TURN-TABLESの時にも使ってたスタジオインパクトを使ったんですよね。
RYOTA そうそう。あそこのスタジオは、以前から友達のバンドのレコーディングとかやってて何回も遊びに行ったりとか、エンジニアのオサムちゃんとも知り合いだったりして、スタジオの雰囲気とかはわかってたし、自分でレコーディングしたのは去年のTHE TURN-TABLESの時が初めてだったんだけど、実際に使ってみてもかなりイイ感じだったんで、今回JIGHEADのアルバムを自分のLUNKER KILLER RECORDSっていうレーベルから出すに当たって、ここでやりたいなって思ってたんだよね。
──まだ全然発売の予定もないうちからスタジオを押さえてたらしいですけど。
RYOTA ホントに思いつきだったからね(笑)。前にTRIPPIN' ELEPHANT RECORDSからアルバムを出してから、実はもう二年間も経っちゃってたんだけど、全然そういう感覚がなくって、だからレコーディングする予定も全然なかったんだよね。でもその間にTHE TURN-TABLESとかやって、そっちでレコーディングとかしてたら、JIGHEADもレコーディングしたいなって思うようになって、周りからも「JIGHEADはレコーディングしないの?」とか言われてたんで、とりあえず何を入れるかとか、どういうアルバムにしようかとかいうのは全然考えてなかったんだけど、とにかくスタジオ取っちゃおうかなって思って(笑)。それで、たまたまいつだかのライブの時に、リハやってから本番まですごい時間が開いた時があって、ヒマだったんで一回家に帰ったのね。その時、妙にテンション高くってレコーディングしたいなっていうような気持ちになっちゃって、すぐにインパクトに電話して予約しちゃったんだよ。 ──それを決めたのっていつ頃なんですか。
RYOTA 去年の秋くらいかな。
──その段階ではまだ誰にも相談していないわけですよね。他のメンバーからは「エーッ!?」とか言われませんでしたか。
RYOTA まあ、いっつもそんな感じだからね。いつ出したいなとか、いつレコーディングしたいなって思ったらソッコー動けるっていう、自主制作の強みってそこじゃない。それに、前々から昔の曲をまた録り直して音源にしたいなっていうアイディアはあって、でもなかなかやる機会もなかったんで、特に新曲を作ってたわけでもなかったんだけど、大丈夫かなって思ってたし。…でもよくよく考えてみたら、昔の曲には昔の良さってあるじゃない。だから、やっぱりここは新曲も入れないとアルバムとしてどうかなって気付いちゃって…。とは言え、その時点では新曲がまだ一曲しか出来てなかったんだよね。だからそれから一気に10曲くらい作ったんだけど(笑)
──実際のレコーディングはどれくらいの期間でやったんですか。
RYOTA トータルで三日ですね。
──12曲で三日ですか! 相当早いですよね。
RYOTA 一日でリズムを録って、一日でボーカルを録って、最終的には一日でミックスして…、五日間一応押さえてたんだけどね。アルバム作るぞって決めてからレコーディングに入るまでそんなに時間がなかったし、もちろんその時点で新曲も全然なかったから(笑)わりといっぱいいいっぱいの中で曲作って。まあ、曲を作るのはわりと簡単に出来たんだけど、それに歌メロも付けなきゃならないし、その間にもライブとかもあるし。スタジオ押さえた日数もすごく少ない日程だったんで、かなり不安要素はいっぱいあったんだけど。でも、どっちかっていうと、オレの場合はギリギリにならないとやれないタイプなんで…前日まで歌詞が決まってない、みたいな(笑)今回はさすがに時間が迫ってたから、ちょっと不安はあったけど、なんだかんだ言って、やってみたらスタジオもすごくやりやすかったし、エンジニアのオサムちゃんもセンスがいいんで、意外と早く終わっちゃったけどね。
──やっぱりやりやすかったですか。
RYOTA やりやすかったのもそうだし、楽しかったよね。例えばリズム録りなんかで、本番を録音する前に「ちょっと練習で…」みたいな感じで合わせてみたりするじゃない、でもやってみたら結構それが良かったりするんだよね。それでオサムちゃんに「今の良かったんだけど、録ってたかなぁ〜?」とか聞いて(笑)「バッチリ録ってたよ」って。で、聴いてみるとやっぱりいいんだよ。それから、とりあえずもう一回本番をやってみても、大体一回目の方が良かったりするんだよ。だからほとんどワンテイクだね。
──ワンテイクどころか練習のテイクもあると(笑)
RYOTA そうそう。一つの曲に対して三回以上は録らないっていう約束事が自分の中であったんで。変にこだわって何回も録り直したりしても疲れるだけだからね。オレ、せっかちな性格だから、時間をかけないで早く結果 が見たい! とか思っちゃうんだよ。
──全体通してそういうイキオイは感じますね。
RYOTA 今回のアルバムは一曲一曲…というよりは、アルバム全体としてのインパクトがある作品にしたかったのね。だから、まだタイトルも出来てない時期に、1曲目から12曲目まで、ライブみたいな感じで曲順は先に決めちゃってたんだよね。まだ歌詞も何にも出来てないのに、一番最初に決めたのはそれだから。
──全体の流れっていうのを大事にしたんですね。
RYOTA 曲間とか、曲のつながりとかも最初っから考えてたからね。それで、最後の曲が終わって1曲目にリピートして行っても、違和感なく聴けるようにしたり。だからループして何回でも聴けるんだよ。
──ひたすら聴いてくれって感じですね。
RYOTA しかも、録音する時もライブと一緒で1曲目から曲順通 りにやったからね。
──だから、全体を通してバーって聴ける感じはしますよね
RYOTA 一気に聴けちゃうよね。ウチらは普段からあんまり長い曲ってないんだけど、特に今回のアルバムはほとんど1分ちょっとくらいの曲ばっかりなんで。3分が一番長いくらいで。12曲全部合わせても20分ちょっとくらいだからね。
──アルバムタイトルなんですけど「No claim No return」って、やっぱりオークションとかやってるんですか。
RYOTA まあやった事はあるけど(笑)特にそういう意味ではなくって、なんか響きがいいなっていうくらいの理由だよね。まあ、これも思いつきだけど。あと、あんまり知っている人はいないと思うんだけど、オレ、ちょっと前に遊びで「No claim No return」っていう名前のバンドをやってた事があるんだよ。そのバンドはもうメチャクチャだったんで「どんな事やろうがノークレームで…」っていう感じで(笑)それから、次のアルバム出すならこのタイトル格好いいなとは思ってたかな。
──それぞれの曲のタイトルも短くて単語一発っていう感じですけど。
RYOTA 曲のタイトルとか、全く意味がないからね(笑)「TIME」「GAME」「BEER」とか、…ほとんど意味ないよね。大体曲のタイトルとか、長いのつけても縮めて呼んじゃうじゃん。「赤いテレキャスター」なのに「赤テレ」とか(笑)
──歌詞もタイトルを連呼したりとかシンプルな感じですよね。歌詞は音の響きから付けていくっていう感じなんですか
RYOTA 歌詞はねー…。今まで何曲も作ってるけど、歌詞はほとんど最後に出来るっていう感じなんだよね。特にこのバンドでは、歌詞どころか歌メロもレコーディングしながら作っていくっていう感じだし。だから、ライブでもうやってる曲だったら弾きながら歌ってるから大丈夫なんだけど、ライブでまだやってない曲を先にレコーディングしちゃうと、その後ライブやる時大変なんだよね。
──ギター弾きながら歌えないっていう。
RYOTA ちゃんと考えて作ってないから「あー、これはオレが三人くらいいないと出来ないや」っていうような曲になっちゃったりね。
──作り方としては、そういう直感的なやり方の方がいいモノが出来るっていう感じなんですか。
RYOTA 考えちゃうと出来ないんだよね。レコーディングの時に使う歌詞カードとかも、今まではパソコンで打ってプリントアウトしてってやってたんだけど、今回家のプリンタがぶっ壊れちゃっててさ(笑)手書きでイチイチ書くのもめんどくさいし、もう適当にその辺の紙とかに思いついた言葉をデタラメにグチャグチャ書いていっただけだから。言葉ってその時その時で変わったりするじゃない、シャウトの仕方によってリズムがずれたりして。でも、その間違いが良かったりするんだよね。だから、その場で歌詞も作っちゃうっていう感じだよね。まあ、あらかじめ大体のイメージは漠然と持ってるけど、それをどの曲に使おうかとかは全然考えてないし…まあテキトーだよね(笑)
──ベースレスのバンドって事で音作りの面で気にしたりする事ってあるんですか。
RYOTA とりあえず、ベースがいないからって低音を強く出そうっていう発想はやめたかったのね。基本的にオレ、低音強いのって好きじゃないんだよ。家のスピーカーって低音が大きく出るんで、CDとか聴く時には低音を切ってハイをギンギンに上げて聴いてたりするくらいだから。今回音を作っていく上で、何を基準にしていこうって思った時に、オレんちのピーカーを基準にしようと思って。スタジオのスピーカーもあえて低音強めのセッティングにしておいて、それで聴いてもあんまり低音が強調されないような音にしたんで。…まあ低音出したい人は、そういう機材を使って聴いてくれればいいんじゃないかな。まあ、特にベースレスっていうのにこだわってるわけじゃないんだけどね。
──最初からベースがいなかったわけじゃないですもんね。
RYOTA 昔はやっぱりべースレスっていう事を考えて曲を作ってたりもしたんだけど、今回の作品なんかは、別 に普通にベースが入ってても面白いんじゃないかなって思うからね。オレ、何に関してもあんまりこだわりがないんだよね。特に三人でやらなきゃならないとも思ってないし、ベースなしでさらにギターが三人いてもいいかなって思うし(笑)変にイメージを付けられちゃうっていうのが一番イヤなんだよね。だから長く続いてるのかもしれないけど。
──自分たちはこういうバンドだからこういう曲をやんなきゃ、みたいなこだわりはないと。
RYOTA 今回なんかは特にそうだね。ベースレスだっていう事を意識しないで曲を作っていったんで。そういう意味では、わりとJIGHEADにとって今回のアルバムはチャレンジって言えるんじゃないかな。こういう感じの作品って作ったことがないからね。どっちかっていうとオレが前にやってたTHE POGOっていうバンドの感じに近いんじゃない? だから、聴く人も新鮮だと思うし、昔からオレの作ってる曲を聴いてる人だったら、こんなにわかりやすいアルバムってないんじゃないかなって思うかな。まさに「オレ」っていうアルバムだね。基準は全部オレにあるからね。
──スピーカーまで自分ちのスピーカー基準ですからね(笑)。まあ、全体の統一感はすごいありますよね。
RYOTA そう、統一感だよね。そういう意味では、今回オレ的にはすごく納得できるアルバムが出来たかなと。他のバンドの人たちはどう思ってるのかわからないけど、自分の作った作品って今まで何十枚もあるけど、その時はもちろんいいと思ってるんだけど、後から聴いて自分が納得できるアルバムって何枚あるのかなって考えたら、過去20年くらいバンドをやって来て多分ね3枚か4枚くらいだと思うんだよ。曲としては好きな曲はいっぱいあるんだけど、アルバム全体を通 して納得できる作品って、自分の中ではそんなもんだと思うな。
──レコ発のツアーとかもやるんですか。
RYOTA とりあえず今年一年は全部ツアーにしようと思ってる(笑)今まであんまりツアーってやってないバンドなんで、CDを出したからただ行きますよ、みたいなツアーにはしたくなかったんで、敢えてレコ発ツアーとか名前はつけないで「JIGHEAD TOUR 2005」っていう単純なタイトルにして、今年に決まったライブは全部ツアーって事にしようかなって。だから、今回のアルバムのレコ発ツアーというよりは、今までやって来たJIGHEADの全部をひっくるめたツアーっていう感じだよね。行ける限り色んな所に行きたいなって思ってるな。

■Release info.

JIGHEAD
No claim No return

2,100yen(tax in)
2005.5.20 OUT

 

■Live info.

JIGHEAD TOUR
2005 5/24(tue) 水戸 90east
6/4(sat) 札幌 SOUND CRUE BASEMENT
6/5(sun) 旭川 CASINO DRIVE
6/11(sat) 筑波 PARK DINER
6/17(fri) 京都 CLUB METRO
6/18(sat) 大阪 LIVE SQUARE 2nd LINE
6/24(fri) 名古屋 HUCK FINN
7/3(sun) 秩父 長橋楽器店3F
7/16(sat) 下北沢 SHELTER

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