前作「Don’t Be Satisfied」から約一年。今やメロディックパンクシーンのみならず、様々なジャンルを飛び越えて活躍中のJr.MONSTERが、ミニアルバム「Daily」を完成させた。メロディック&パワフルなジュニモン節はもちろんそのままに、さらに振り幅を広げた懐の広い内容となっている、キョーレツな一枚! (interview : 北村ヂン)

──まず。前回のアルバムが出た時に「曲が入り切らなくて減らした」みたいなを言ってたのに、何故今回ミニアルバムなのか…と思ったんですが。
江島 (笑)まあ、前に作った時に入りきらなかった曲を今回使ったという訳ではないですからね。要は前に作ってた曲は全部ボツにして、今回のアルバムのための曲はこれ用に全く新しく作ったんですよ。
──全部今回のために作った曲なんですか。
江島 一曲カバーなんですけど、他の曲は全部今回のために作りましたね。もう作る段階から、アルバム全体の中での曲順や、流れを考えつつ曲作りをしました。
──作曲の段階から全体の流れを考えてたんですね。どういう流れにしようと思ってたんですか。
KEV ガーンと…。 江島 全然わかんねぇよ! まあ、最初に出来た曲がイキオイのある曲だったんで、まずはそれを一曲目に持ってきて、それからメロディアスな感じの曲は真ん中辺に置いて…みたいな感じですね。あんまり色々詰め込んでもわかりにくくなっちゃうから、この曲はいらないよ…みたいに削ったりもしましたね。…あとはいつも通 り、キー設定低めで(笑)。カバーをどの辺に入れるかっていうのだけちょっと迷ったんですけど、まあカバーだからケツ前でいいかな…と。
──曲が出揃った段階でもう曲順は決まってたっていう感じですか。
江島 そうですね。
──いつもそういう感じの作り方をしているんですか。
江島 イヤ、今回初めてでしたね。今回はミニアルバムっていう事で、曲が少なかったんでそういう事が出来たんですけど、前回の時は10曲で…もうテンパってましたから(笑)
──そもそも何で今回はミニアルバムになったんですか。
KEV 今まで、CDを出すスパンっていうのは大体いつも二年くらい空いてたんですよ。でも今回は一年だったんですよね。今までそういう事がなかったんで、自分たちの体的にも慣れてない部分もあって。もう、何故ミニアルバムだったのかと言われれば…ぶっちゃけ曲が出来なかったっていうのもあるんだけど(笑)
──もうちょっといい言い方はないんですか(笑)
KEV いい言い方でいうと…。ミニアルバム、フルアルバム、ミニアルバム、フルアルバム…って感じで並べたかったんですよね。そうしたらキレイかなって…。
江島 キレイかな、それ!? まあ、だから次はフルアルバムですよ! …何年後になるかわからないけど。
──何年後かわからないって…。
江島 アルバムを作るにしても、「いつまで」って期限を決めちゃってそれに合わせて作るんじゃなくて、曲がある程度たまってきてから作った方がいいと思うんですよね。…とはいえ、ある程度は期限を決めないと、いつまで経っても出来ないですけどね。

誰の耳にも自然に入って来れる
──今回のアルバムの制作はいつ頃から動き出したんですか。

江島 動き出したのは去年の十月くらいですね。その段階ではわりと余裕があったんですけど、結局ホントに最後の最後までネタ出しをしてましたから、もう時間が足らなくって…。そんな状況に毎回追い込まれてますね。
──ギリギリにならないと動かない、みたいな。
江島 そうですねー。毎回、そういうのはもう止めようって思ってるんですけどね。…また同じ事やっちゃいました(笑)。変わってないじゃねーかって。でも、次のアルバムこそは、もう今から曲を書き始めてるんで…。
──次のアルバムの話されても困りますけどね(笑)
江島 早くも次のアルバムの話をしているっていう、こういうインタビューも新しいじゃないですか(笑)。
──でもまあ今回はコンパクトにまとまってて、一気に聴けちゃう感じでこれはこれでいいですよね。 江島 その辺はオレらの特徴でもありますからね。
──時間も15分くらいで。
江島 そうですね。
KEV まあ、前のは10曲で25分だったけどね(笑) 江島 あんまり長く出来ないんですよ。オレらはこれくらいのサイズがちょうどいいですね。一曲一曲コンパクトにまとめたつもりです。
──無理に色々展開させて長くするよりは、サクッと終わらせちゃおうと。
江島 あんまり長いと飽きちゃうんですよね。面 白くない展開とか、変に繰り返したりとか、そういうのを無理矢理やってもしょうがないじゃないですか。だったら、そのままでやっちゃった方がいいんじゃないのっていう。むしろ、今の曲でもちょっとやり過ぎかなって思いますからね。もっとシンプルにしちゃってもいいんじゃないかと。
──気持ち的にはよりシンプルにしていこうっていう方向なんですか。
江島 パッて聴いた時の聴きやすさっていうのは一番大切にしている部分なんですよね。聴いてて「なんだろうな、コレ?」とか思って、わけわかんなくなっちゃうようなややこしい展開は避けるようにしてますね。誰の耳にも自然に入って来れるっていうのは、曲を作る上で大事にしているテーマの一つですね。
──複雑になり過ぎてどこまでが一曲かわからないような曲とかもありますもんね。
江島 そういうのを聴いていると、なんだかわからないまま終わっちゃったりしますからね。それはマズいですから。やっぱりこういう曲って一番目立つのはメロディーラインだったり、ボーカルだったりすると思うんで、そこを重要視して、わかりやすくシンプルに聴かせられるような曲がいいですよね。
──わかりやすいサビがドーンってあって、盛り上がって終わる…みたいな。
江島 そうですね。…かといって、ただ単に簡単な事をやってればいいっていうもんでもないんですけど。それじゃあプレイ的につまらなくなっちゃうから。その辺ではフレーズなんかも前作のに比べると、実は結構細かい事をやってたりはするんですよ。そうやりながら、それをシンプルに表現出来るといいかなって思いますね。
──確かにあんまりややこしい事をしている感じは受けないですよね。
江島 まあ細かいっていっても、他の人に比べれば全然簡単なのかもしれないですけどね。
KEV 上手いヤツは沢山いるからね。…でも大切なのはそういう事じゃないから。

変な叫び声が入っているっていう
──曲を作る時って、バンド内で結構話し合うんですか。
江島 話し合いますね。もう、一瞬のスキも見逃さない感じで。「ここがこうだからさぁ…」とか、色々話し合ってますよ。
──結構、考え抜いてシンプルにしていく、みたいな感じなんですか。
KEV そうですね。「ここのメロディーだけはシンプルにやらないとわかりにくいよ」とか。
──シンプルっていうか、わかりやすくっていう所ですかね。
江島 それプラス気持ちいいかっていう所ですね。今回アルバムとしての方向性的には、もっと幅を広げようっていうのがあって。それは、楽曲の幅というよりは、メロディーの幅を広げようかなっていう。だから、聴かせるタイプのミドルテンポな曲もあるし、わりといそがしい曲なんかもあるし。今まではホントにイキオイだけ…みたいな曲ばっかりだったんですけど、今回は「そうじゃない感じの曲も欲しいよね」っていう事で色々作りました。一枚、六曲の中でもちゃんと抑揚はつけたかったし、聴いてて「今何曲目だよ?」とか思っちゃう、どの曲も同じような感じのアルバムになるのはイヤだったから、ある程度の緩急をつけつつ、全体としてはコンパクトにまとめてみました。
──そういう意味ではちゃんと展開はありつつ、でもやり過ぎてはいなくて聴きやすいですよね。
江島 そこでやり過ぎちゃうとバンドの趣旨がわからなくなっちゃいますからね。このバンドは何がやりたいんだっていう。オレ達は、曲を作るに当たって、この曲は玄人受けするだろうとか、これは若者ウケするだろうとか、狙って作ったりはしてないんで。そういうの意識しないで単純に気持ちいい曲を作っているだけだから、その辺での統一感は取れてるんじゃないですかね。具体的にどうとは説明しにくいんですけど、オレらにしか出来ない音楽、オレ達はこれだよねっていうものはありますから。…どこかに一カ所変な叫び声が入ってるっていう(笑)
──ああ、アレはやっぱりこだわってるんですか。
KEV それは結構こだわってますね(笑)。入ってないと、何で入れてくれないの!? って思いますから。
──あれって突発的に叫んでるんじゃなくて、ちゃんと打ち合わせて入れてるんですか。
KEV 打ち合わせて入れてますよ。考え抜いて(笑) 江島 やっぱり演奏してても、アレが入ると「ああ、らしくなったな」って思いますからね。 KEV わかりやすいメロディーをやってたのに、いきなり奇声が入るっていうのはあんまりないですからね。
──妙に耳に残りますからね。
KEV 耳に残るっていうのだけでも、なかなか簡単じゃないですからね。
江島 逆にアレが全部だったらうっとうしいけどね(笑)
──あの声っていつ頃からやり始めたんですか。
江島 それはギターが加入して来た時に…って感じですね。
KEV やろうと思ってやったわけじゃなくて、自然に歌ってたらああなってたらしいんですよね。
──自然にあんな声出るんですか?
江島 「もうちょっと上で歌ってくれない?」とか言ってたら、この声が出たらしくて。この声が一番疲れないって言ってましたよ。
KEV …最初は違和感あったかな?
江島 イヤ、あの違和感が新しかったんだよ。「なんだあのギターは!?」って。で、あの声にパンチがあるっていうのに気付いてからは、それを生かそうっていう方向になりましたね。

ジャッジ出来ないと危険
江島 これからの活動としては、やっぱりバンドって年取ると楽曲にしても、演奏にしても、わりと玄人玄人した感じに行きたがる傾向にあるんで、それはどうなのかなっていうのはあるんですよね。
──聴いてる側からすると「やっぱりファーストの方が…」とか、なりがちですからね。
江島 そうそう。だから、いい意味では変わりたいと思ってるんですけど、その辺のイキオイみたいなものはちゃんと残したいんですよ。バンドを続けていく上で、そういう事をちゃんとジャッジ出来るヤツがいないと危険ですよね。
──変に難しい曲をやりたがったりとかなりますからね。
江島 やっぱり作る側の音楽の趣味が変わったりとかなんでしょうね。
KEV まあ、同じ事ばっかりやってると飽きちゃうっていう気持ちもわからなくはないですけどね。
江島 でも「アレッ?」って思う曲はやらないようにはしてますからね。曲はギターが作ってるんですけど、あいつもわかってるからそういう曲は持ってきませんからね。自分の中でかみ砕いてから持ってきてるんじゃないかな。だからある程度は上手く行ってます。
──曲作りはどんな感じでやってるんですか。
江島 最初ギターが曲を持ってきて、口で説明しながらコードつけてる間に、ここの展開はこうしない? みたいな感じでオレがベースを入れていって、それでやってるうちに馴染んできた所にドラムを乗せて…、みたいな感じですね。そうしてると、メロディーが出来てくるから、そのメロディーに合った歌詞を考えてくるっていう。歌詞に関しては今回は色々と弾数があったというか、書きためた物があったんで、雰囲気に合ったメロディーを選んで、今回はこれ行こうかなとか余裕を持って作れましたね。
──ああ、ストックがあるんですね。
江島 そこはオレの役目かなって思ってるんで。メロディーが出来上がってから歌詞を書くっていうやり方もやってたんですけど、逆に弾数を増やして、合ったメロディーに付けていった方がいいじゃんって今、オレの中ではなってますね。まあ、メロディーの尺がどうなるかわからないから、タイトルと、伝えたい事だけ書いておくんですけど。
──なるほど、ドラムに関して何ですけど、わりとドラムの人って色々展開を変えたがるっていうイメージがあるんですけど、KEVさんはどうですか。
KEV 逆にオレは変えたがらないですね。あんまり展開が多くなっちゃうのが好きじゃないんで。…まあ、あんまり少なすぎても飽きちゃいますけど。
江島 無理にリズム変えたり、テンポ変えたりしてもしょうがないですから。メロディーに合ったリズムってあるじゃないですか、基本的にはそれをやってくれればいいかなって思いますね。まあ、ドラムのフレーズとかもみんなで作ってる感じだよね。その上で、お互い譲れる部分と、譲れない部分とを話し合って。オレはドラムのプレイが歌っているっていうのがすごい大事だと思ってますね。ただ叩いてればいいっていうもんじゃないですから。ドラムが歌ってるバンドってどれも格好良いし、そういう音楽を聴いてきたんで。
──三人で協力しながら各パートを決めていくんですね。
江島 …でも、新しい曲を持ってきた時にはやっぱり、オレ達がああだこうだ言ってケンカになって、最悪なムードの中で曲作りしてますけど(笑)…もうスタジオの中の空気の色はグレーですね。

険悪なムードの中で
──三人みんなケンカになるんですか。
江島 大体オレとKEVがやりあって、それをギターが聞いてるっていう感じですね。…まあ、最終的にこうやって一つの作品が出来上がってみると、三人でやりたい音楽をやってるなっていうモノにはなってますけどね。
──みんながなんとなく思いついた方向に行っちゃうとわけわかんなくなっちゃいますからね、
KEV 止める所は誰かがちゃんと止めないと、行きっぱなしになっちゃうから。
江島 ただ、ひらめきも大切なんですけどね。「そこでこれは絶対ありえないだろう」…っていう様なフレーズが、やってみたら意外によかったりしますからね。大体、オレは思いつきが多いんですけど、とりあえずそれをやってみて、良かったらやるし、ダメだったら止められたりもするし。
KEV その辺のバランスは上手く取れてるんじゃないですかね、ウチのバンドは。
──どんどんアイディアを出していって、それを周りがジャッジするってう感じなんですか。
江島 ギターが作ってきた曲を壊すっていうか、いじるのが、今はオレの役割だと思っているんで。曲を作ってきたヤツにしてみれば、持ってきたそのままの曲をやるのがいいと思ってるんだろうけど、そこでオレらが納得いかない部分をアレはどうだ、コレはどうだっていじくっていく事によって、どんどん曲が膨らんでいくんですよ。まあ、どのバンドもそうだとは思うけど。
KEV あとドラムの立場から言うと、弦楽器をやってる人と、ドラムをやってる人とで、曲に対する認識が全然違うと思うんですよ。ギターやベースが細かい事色々やっててもわからないから。楽曲をメロディーでしか判断出来ないんで、ドラムから見た楽曲っていう視点から思った事をなるべく言う様にしてますね。そういう意味では、今回のアルバムはそういうのが上手くできてるかなって思いますね。
──あんまり言い過ぎて「じゃあお前が曲作れよ!」とかないですか。
江島 まあ、本当はオレも曲を作れるんですよ。でも、ウチのバンドでやるっていう事を考えるとちょっと違うんですよ。いつかソロをやる時には…(笑) だから、バンドでやる時にはそこは任せてますね。まあ、バンドカラーを作っているのはギターなのかもしれないけど、そこを膨らませていってるのはオレ達けど。
──やり方としては今みたいな感じが一番いいと。
江島 メンバーが変わってから、音楽性も変わったから、今はこういう感じで行こうよっていう感じですね。
──それじゃ最後にアルバムについて一言。
KEV すごく聴きやすい感じのアルバムになっていると思うんで、是非色んな人たちに聴いてもらいたいですね。いわゆるキッズと呼ばれているような人たち以外にも…。
江島 何才までがキッズかっていうのは微妙な所だけどね(笑)。まあ、オレ達は30越えてもSTAY キッズだけど。

◆Release info.

Jr.MONSTER
Daily
THCA43
1,575yen(tax in)

2005.4.13 OUT

◆Live info.
<Jr.MONSTER 2nd mini album Daily Tour(仮)>
5/15(月)八王子RIPS
5/17(火)仙台MACANA
5/18(水)盛岡CHANGE
5/19(木)弘前マグネット
5/21(土)札幌ベッシーホール
5/28(土)千葉LOOK
5/29(日)水戸ライトハウス
6/4(土)横須賀かぼちゃ屋
6/5(日)熊谷VOGUE
6/10(金)岡山ペパーランド
6/11(土)松山サロンキティ
6/12(日)広島CAVE-BE
6/18(土)大阪マッシブ
6/19(日)名古屋ハックフィン
6/20(月)甲府KAZOO HALL
7/2(土)渋谷O-WEST


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