タケバヤシゲンドウ (VOX, GTR) / Hera (DRUMS, VOX) / ナカオケンタロウ (BASS)

脳内を摩擦する甘美な歪みと張り詰めた轟音
──スパイラル・コード初のインタビュー奪取!
 事の始まりはこうだった。Rooftop編集長・椎名氏とSPIRAL CHORDのページを取りたいねと密談したが、現実主要メンバーは北海道在住。メールでの質問を考えていたところ「西村が北海道来ればいいじゃん」とherAx氏。いいんすかいいんすか西村北海道初めてだし、一人でインタビューも初めてですよ。しかもSPIRAL CHORDもちゃんとしたインタビュー初めてらしく、初めてづくしなこの企画。首都圏でのライヴ回数が極端に少なく、謎のベールに包まれていたSPIRAL CHORD。GG TRASH(a.k.a. GENDO TAKEBAYASHI ex.COWPERS; vo+g)、junkhead herAx(a.k.a. HERA from 200MPH; ds)2人の北の猛者(北海道在住)に初インタビューなのに内側から攻めて参りました。(interview:西村仁志/下北沢SHELTER)

ラモーンズの素晴らしさを再認識した
──メンバーが札幌と東京で離れていて、レコーディングはちゃんとできたんですか? 日数も長かったんですよね?
herAx:俺と(中尾)憲太郎は早かった。
GG:…2日。実質24時間ぐらい。
──10曲で2日っすか!? 憲太郎さんのコーラスとかは?
GG:全く入れてないな。 herAx:レコーディングのために札幌に来てもらう大変さはなかった。 GG:ライヴのついでにレコーディングした感じ。でも、バックが録れてからが長かった。ずっと俺の一人作業。
──これでやってたんすか?(と、ゲンドウ宅のマックを指さす)
GG:いや、あっちに(奥の部屋はレコーディング・ルーム)。録りはMTRで、編集はMAC。
──ちなみに、憲太郎さんは本採用でいいんすか?
GG:それは憲太郎に訊いてくれ(笑)。
──憲太郎さんも距離でのストレスはなさそうなんすよ。あんだけ「ジンギスカン、ジンギスカン」って騒いでますし(中尾憲太郎氏はジンギスカン・フリーク)。
GG:それだけの理由なんじゃないの?(笑)
──なんで今回のリリースは“ink drive”からじゃないんすか?
GG:実際無理っしょ。録りから始めて、途中宣伝していくのはシンドイ。出すんだったらinkではなく、別 のレーベルを探そうと思ってた。今回STRAIGHT UPにしたのは、担当者のどうしてもやりたいっていう押しに負けたのもある。
──ゲンドウさん的にはカウパァズっぽさをなくそうとか、ヘラさんは200MPHっぽくしないように気を使ったとか、そういうのは?
herAx:いや、全然ない。
GG:やってる人は変わらないから。
──聴き手に任せる、と。長い曲が多いのかなと思ったら、3分にまとめてきましたね。
herAx:曲を作ってる時はもっと長くなってる。
GG:ヘラ独特の長さがあって、気持ちいい尺があるみたい。俺はもっと短くてもイイんだけど…。
herAx:短くしすぎると、出しどころが判らなくなってくるんだよね。
GG:アレンジしといて間違えるの、ヘラだからね。 herAx:(笑)自分で言っといてね。で、間違ったままライヴもやってる。
──メンバーからのダメ出しは?
GG:後で言うけど、それも含めライヴだから。
──ちなみに、シェルターでも間違ってるんすか?
herAx:ガンガン間違ってる(笑)。 GG:それも含めライヴだから。
──ヘラさん、唄ったの今回初めてですよね? herAx:ドラムをやりながらは、コーラスも含め封印してた。ヴォーカルはあり得ない。
GG:コーラスも拒まれてた。
──でも今回、あり得ましたね。
GG:「メインでやれよ」って言ったらやりやがった(笑)。
──ラモーンズの「I WANNA LIVE」をカヴァーしたきっかけは?
GG:アルバムで考えた時に、カウパァズ時代はカヴァーとかは基本的になくて、このバンドではアリだと思って…好きなバンドのカヴァーを入れて、オマージュ的な要素を入れたかった。「ラモーンズやりたい」って言ったら(ヘラが)あっさり「いいよ」って。
──(ヘラ氏に)その時点で唄いたいって気持ちは?
herAx:そこまではなかった。
GG:俺が曲を決めたんだけど、キーが全然合わなくて唄えなかった。キーを変えてまでやろうとは思わなかったんだよね。で、(ヘラが)「俺、唄える」って(笑)。
──何テイク録ったんすか?
GG:3テイクぐらいかな。
──カヴァーなら、てっきりダムドかと思ってました。
herAx:ラモーンズにはラモーンズの、ダムドにはダムドの思い入れがあって、タイミングがラモーンズだった。
──ヘラさんが東京を離れる時(約2年前。ヘラ氏は東京出身)、いろんな音楽の波がある中で凄くラモーンズに行ってましたよね? herAx:歌詩を覚えるために改めて聴き直すでしょ? 素晴らしいんだよね。
GG:俺もかなり再認識させられたな、ヘラに。
herAx:丁度、ジョニーがね……。あと、映画(『END OF THE CENTURY』)の公開とかもあったしね。
GG:やらしいタイミングにはなっちゃったけど、本当のラモーンズは3人逝っちゃったし、ここはやっとかないとな、と俺は思った。
herAx:DDが死んだ時はちょっと考えた。でもその時はスパイラルじゃなかったし。
──ヘラさんはヴォーカルやってみてどうでした?
herAx:どうって何も…残っちゃうしね。
GG:俺が恥ずかしかったよ、録ってる時。俺が卓いじくって、「壁に向かって唄うのはイヤだ」って俺と向き合って、ずーっと俺の目を見ながら唄ってて(笑)。だんだんノってきて肩とか動くから、「声がブレるから安定して唄え」って言ったんだけど。 herAx:身体を止めると目線も止まっちゃって。止まった目線の先にたまたまゲンちゃんがいた(笑)。

負けてらんない、いや、負けるわけがない
──他に曲のストックは?
GG:もうない。
herAx:セカンドに向けてスタジオに入ってる。
──2人のスタジオって何やるんすか?
GG:こんな感じだよ。会話とあんま変わんない。それが音になる。
herAx:一服が長くて、「もう終わるか」って(笑)。
GG:こういう感じでやってるバンドって俺、初めてで。全部とは言わないけど、こんなにだらしなく曲を作るのは初めて(笑)。
──2人でやってる最中に頭の中にはベースのラインは鳴ってるんですか?
GG:全然それはない。
herAx:俺はちょっと鳴ってるな。
──ベース始まりの曲とかもありますよね?
GG:俺ら、カウントないんだよね。 herAx:ライヴでもカウントないよ。
──ライヴでも? それって成り立つんですか?
GG:それぐらいだね、ルールは。
herAx:F.I.Xの頃から暗黙で(ルールが)あるんだよね。
──ライヴとか頭どうやってましたっけ?
herAx:アイコンタクト。その緊張感が恰好いいんだよね。
GG:全然カウントないよ。3人で始まる曲もカウント要らない。だからライヴはよ〜く見ると面 白いよ。
herAx:カウントって…恰好いいとは思うけど、対極で凄く恰好悪いって思ってた時があってね。入れなくても大丈夫っしょ? って思っちゃったんだ。
──でも、練習あんましてないし…。
GG:憲太郎に「やってくんない?」って言った時も、「ウチらカウントないから」って言ったはず。
──そしたら憲太郎さんは?
herAx:「は〜い」って(笑)。
──そういえば今思い出せば、曲を始める前にフロント2人が後ろを向いてたような…今そんな緊張感あるバンドっていないっすよ。
herAx:たとえばライヴで次の曲って時にカウントで入ることあるでしょ? それで何か途切れるのがイヤなんだよね。
GG:でも、ヘラは緊張感ある?
herAx:あるよ。いい緊張感が。
──今まで観てきて、凄く緊迫してるのに楽しんでるんですよね、3人が。楽しむための緊張感があるみたいですね。
GG:そう捉えられるのは本望だな。
──エモエモしいバンドの緊張感とは全く別次元ですね。
herAx:ライヴ始まる前の緊張感を持続させたいってのもある。
GG:初めて聞いたな、それ(笑)。
herAx:ライヴ前は未だに緊張するんだよね。ゲロ吐きたくなるぐらい。緊張して何していいか判んないんだよね。酒は呑まないんだけど。
GG:逆に俺はスパイラルになってから増えた、酒は。
herAx:1杯目は絶対にハイネケンだよね?
GG:それは俺のジンクス。ハイネケンは喉が潰れないから。
──東京に憧れは? カウパァズで来るって話もちらほらありましたよね?
GG:東京に憧れは全然ない。確かにバンドをやるんだったら活動場所を東京に移そうかと思った時はあったけど、何かダラダラと…。
──(ヘラ氏に向かって)そんなことしてたら一人北海道に来ちゃった人いますからね(笑)。
herAx:俺は決断早かった。
──「ヘラさんは大丈夫(東京に残る)だろう」って話してたら行かれちゃった。「やべぇ、行っちゃった! 困った!!」って(笑)。逆にスパイラルで東京に移住するってことは考えたことあります?
GG:う〜ん…。
──生活が札幌にあるって感じですか?
GG:生まれも育ちもこっち(北海道)だからなぁ…。
herAx:俺は東京でバンド活動をするって考えたくない。
──いつでもシェルターのカウンター席はヘラさん専用に開けてあるんですよぉ。
GG:でもね、仮にヘラが「明日東京帰るわ」って言っても、スパイラル・コードは続くような気がする。地域性云々じゃない。
──今日の話聞いて、何か考え方が日本っぽくないな、と。インターネットも普及して、国も違う人同士でバンドとかユニットやって音楽やってる人が増えてるのに、日本じゃあんまいないっすよね。
GG:でもやってることは凄く原始的。とりあえずMDを郵送する(笑)。
herAx:やればできるもんだよ。
──ちゃんと体現してるから凄いっすよ。でも一線超えてるメンバーですもんね。
GG:俺は一線超えたとは思ってないよ。全然若手だと思ってる。俺より年齢的にも上の人がバリバリやってるし、未だに中坊な感覚でやってる。
herAx:その感覚は永遠に続くね。
GG:ミチロウさん(スターリン)とかバリバリでしょ? ガキの頃聴いてショックを受けた、その先輩がまだまだやってるのは俺のパワーになる。
herAx:バンドの状態が良くなかろうが、とにかく続けることだな。
GG:継続は力なりってやつだよ。全然金にはなってないけど(笑)。
──感覚的に若いこと続けてますよね。東京にいる人は感覚が若い人多いと思ってましたけど、2人は凄く若い感覚が残ってますよね。
GG:実際どうかは判んないけど…。
herAx:ゲンちゃんは金髪だし、俺は長髪で、とりあえず髪型は若いよね(笑)。若いヤツには負けたくないっていうか…。
GG:好きなモノは譲れないな。
herAx:今までやってきたことの積み重ねが今現在にある。その経験もあるし…負けてらんない。いや、負けるわけがない。
──2人とも負けず嫌いですよね。
herAx:負けず嫌いかぁ…。
GG:俺はそんなことないよ(笑)。

■Release info.

▲初回盤【デジパック仕様】


▲通常盤


脳内フリクション

STRAIGHT UP RECORDS
RLCA-1072 2,000yen (tax in)
4.27 IN STORES


Live info.

爆裂TOUR TOKYO編
SPIRAL CHORD VS JIGHEAD

5月21日(土)下北沢 SHELTER
OPEN 19:00 / START 19:30
TICKET: advance-2,000yen / door-2,300yen(共にDRINK代別)
【info.】SHELTER:03-3466-7430
*メールでのチケット予約も受付中。当日、SHELTER受付にて引き換えになります。
48_junkhead@excite.co.jp

爆裂TOUR
5月19日(木) 心斎橋 PIPE 69/5月20日(金)名古屋 HUCK FINN/5月21日(土)下北沢 SHELTER(上記参照)/6月2日(木)札幌 COUNTER ACTION

SPIRAL CHORD VS AEROSCREAM“脳内爆裂TOUR”
4月16日(土)旭川 CASINO DRIVE(旭川市5条7丁目十倉ビル2階)
w/ AEROSCREAM / C.M.A.F.A / etc...
OPEN 19:00 / START 19:30
TICKET: advance-1,500yen / door-1,800yen
【info.】CASINO DRIVE:0166-26-6022
4月17日(日)札幌 161倉庫(札幌市東区北16条東1丁目西沢ビル地下)
w/ AEROSCREAM OPEN 18:30 / START 19:00
TICKET: advance-1,200yen / door-1,500yen
【info.】161倉庫:011-721-7193
*前売りはメール予約販売のみ、予約の取り消しは原則的に受け付けませんので御了承下さい。
*入場50名限定
*16、17日の両日とも当日会場にて『脳内フリクション』先行発売アリ!

SPIRAL CHORD OFFICIAL BBS http://8031.teacup.com/herax/bbs2

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