音速ラインを聴いて思うこと。例えば、授業をさぼって、河原を散歩したり、意味なく街に繰り出したり。20代とか、30代になったらそんな“放課後”的フィーリングは忘却の彼方へってとこになるのが普通 かもしれないけど、そこに甘酸っぱい気持ちってあったりしませんか? そして、音速ラインの音を聴けば聴くほど、そんな気持ちが蘇ってきませんか? と。むしろ、願うのは今回リリースされる彼らのデビュー曲「スワロー」が出来るだけ多くの人に届くことで、そんな“放課後”フィーリンが日本中に蔓延すること。そうすりゃ、この国も多少はマシになるはず。ってとこで音速ライン、メジャー・デビュー記念インタビューです。こりゃ、キクぜ。ホントに。(interview:スズキダイスケ/KeyStation♯)



一番重要視してるのは無意識でやること、構えない感じ
──「スワロー」、聴きました。かなり、俺ははまりました。こないだ久しぶりにライヴも観たんですが、かなり進化したよなぁ、と感激しまして。
藤井敬之(vo, g):ははは。嬉しい(笑)。
──そのときも、この曲を聴いて、“うわっすげぇ!”と思ったんですけど。かなりバンド側の意識が明確になったんじゃないかなぁって思ってたんですけど、その辺はどうなんですか?
藤井:確かに。3人でやったら、こうなるっていうのが前より判ってきたのかなぁ。こういう風に見せたら、より判りやすくなるっていうのが、自然と判ってきたのかなと。
──えっ? 本人たち的には自覚はないの? 藤井:あんまないです。やってる気持ちはあんま変わんないよね。日々反省、みたいな(笑)。
菅原健生(ds):俺ら、最高だよなって風にはあんまなんないよね。リハのときはあるけど。
藤井:リハの時も言ってる?
菅原:言ってる。リハの音をテレコとかで録って聴き直すじゃないですか? 「いいねぇ!」ってとかは言ってます(笑)。
──ははは。でもそれは前からでしょ?
藤井:確かに。前からです(笑)。
菅原:あ、でも今年になってからリハの回数を増やしたんですよ。藤井さんが福島に住んでるじゃないですか。だから、時間が空いたら週1のペースぐらいで福島まで行ったり。そういう手応えはちょっとずつ感じてきてはいますけどね。
藤井:あ、でもそれはあるな。
──あと、ライヴもかなりお客さんとかから、反応が出てきているでしょ? 環境もメジャーでやるってことで色々と変化もあっただろうし。そういう影響もあるんじゃない?
藤井:でも、僕らレコーディングはまったくやり方変えてないですよ。僕らのレコーディングってちょっと変わってて、サオ組はブースには入らずに、エンジニアさんの後ろに椅子があるんですけど、そこでやるんです。ヘッドフォンもせずに。だからブースに入ってるのはドラムだけで。それをインディーズの頃からずーっとやってるんです。
──自分たちのやり方は徹底してるんだ。
藤井:徹底してます。
大久保 剛(ba):スタジオは変わりましたけど、やり方はまったく変わらずに徹底してます。
──そのやり方じゃないとダメなの? 藤井:リラックスしてやりたいんですよ。ブースに入ってやると身構えちゃうから。
大久保:ヘッドフォンも嫌いです。身構えちゃうと演奏のノリ的にも守りに入っちゃうんです。だから家で弾いてる状態のほうがいいなっていう。
藤井:そのほうが合ってるよね。ベースが言い出したんですよ。そもそも。
大久保:ヘッドフォンで自分の音を聴くのが嫌なんですよ。スピーカーから聴いていたいなっていうのがあるんですよ。リハとかもそういう状態じゃないですか。その状態に出来るだけ近い感じでやりたいなって。
藤井:出来ることなら、ヴォーカル入れも寝てやりたいですよ。ソファに寝た状態で。まだ、そういうことをやった人もいないだろうなぁってエンジニアさんと話してたんですけど、そしたら「一人だけいるんだよ。それはジョン・レノンなんだよね」って言われて(笑)、すごい嬉しかったですね。発想が一緒だなぁって。今度やるから(笑)。
──そういうのが、音速の場合大事なんだろうね。いまだに福島に住んでるわけだしね、藤井くんの場合。「曲作りも環境が大事だ」って前に言ってたもんね。
藤井:かなり大事なんだろうね。曲作りの場合は変わらずそういうのはあるし。
──あとさ、今回思ったのは、かなり歌が良くなったよねぇ。前にがつんと出てくるようになったなぁって思って。ライヴを観てても、ダイレクトに伝わってくるようになった。
藤井:煙草やめたからかな?
──そういう理由なんだ(笑)。
大久保:やめてずいぶん経つけど。
藤井:意識的に考えるのが苦手というか。音楽やるのに一番重要視してるのが、無意識でやるってことなんですよ。ギターも無意識だし、歌ってるのも無意識だし。「みんなに伝えようとしてるから、ヴォーカルのスタイルが変わってきたんじゃない?」って言われても、そうじゃないというか。自覚がないんですよ。まぁ、言われたら嬉しいんですけど。
──でも、そういうのって難しくないの?
藤井:いや、そうでもない。けっこう無意識になりやすいというか、何も考えてないというか(笑)。このテイクも無意識なんですよ。マイクのテストで録ってみまーす、なんていきなり歌って、その後も1回歌ってはいるんですけど、結局テストのときに歌ったのが一番良かったみたいで。 菅原:そういうパターンって多いよね。 藤井:うん。俺らの場合はそういうのが重要なんだべな。構えない感じというのが。やるぞっつって、やるとうまくいかない。それは音速ラインの活動すべてにおいて、意識的なものではなく、無意識的なものが重要なんだべな。今、思ったけど。
大久保:音楽が音楽じゃなくなってしまうような気がするんです。考えちゃうと。まだ、そこまで深く考えてないんですけど…。
藤井:そこは考えるようにしろよ(笑)。
大久保:いや、今、無意識に喋っていて…あ、今何言おうとしたか忘れてしまった(笑)。
──惜しかったねぇ。
大久保:恐縮です(笑)。

1回聴いて耳にこびりつくような歌をやりたい
──ちなみに、歌いたいテーマっていうのも、無意識に出てくるもんなの?
藤井:今回の「スワロー」も、サビの♪さよなら〜ってとこから出てきて。それは無意識なんですよ。ギター持って、弾いてるうちにアタマに降ってきたメロディがあの部分なんですよ。でも、“さよなら”って言葉にはそれなりの意味があるわけで、そこから曲のストーリーを考えるというか。いつもは言葉が何通 りも出てくるんですよ、時間があるときは特に。それらを無意識な感じでメロディに、のっけていくんです。で、のっけた言葉の中でいいやつをメモしておくっていう感じで作るんですけど、今回は意図的にストーリーを捻り出したというか。実はこの曲作ってたとき、ちょっとだけ体を壊してたんですよ。“ああ、俺このまま死んだらどうしようかな”なんて思いつつ書いた部分もあるので、そういう影響も歌詞にはちょっとあります。遺書というかね(笑)。
──おいおい、遺書かよ…。いきなりきたな(笑)。
藤井:ははは。まぁ、遺書というかね、ホントに永遠に生きることなんて出来ないわけじゃないですか。どっかしらで、誰かと永遠に別 れることがあったとして、その別れのときにどう思うんだろうか? どう思われるんだろうか? ってことを考えて…たぶん、そういうところが歌詞にも出てると思うんですけど。
──そうなると、音速ラインの中では特殊な曲だったりするんじゃないの?
藤井:いや、基本的に物事の儚さとかそういうのを歌ってる曲もあるし。それほど珍しいってことでもない。
──でも、この「スワロー」って藤井くんの曲作りのすごくいい部分が出てると思うんですよ。藤井くんの曲って、どっかすごい懐かしい感じがあるというか。
藤井:そこはすごい大切にしてる部分だからね。
──今回なんかだと、聴いてて、俺は自分の痛い青春を思い出すというか(笑)。自分の中学生の頃とかをつい思い出してしまったりしたんですよ。
藤井:ははは。それははまってくれた証拠ですよ。
──妙に歌謡曲的メロディが出てきてるじゃない? いい意味でソングライターとして、振り幅が広いなあって思うんです。やっぱり邦楽の影響もあるんだよね? 前に話したときは洋楽のことしか喋ってなかったし(笑)。
藤井:ああ、確かに(笑)。マニアックな洋楽の話をしましたよね。「今どきそんな話をしてるのは君だけだよ」と言われた記憶があります(笑)。
──ああ、そういやそんなことを言った記憶があります(笑)。
藤井:でも、歌謡曲、好きでしたよ。昔の曲って、1回聴くとすぐに歌えたじゃないですか。周りの人もすぐ覚えたりね。でも、今ってそれがないじゃないですか。 ──ないねぇ。
藤井:そこ、大事なのにね。「スワロー」なんて、アレンジ変えたら、寺尾 聡っぽい部分あるもんね。
──ああ、「ルビーの指環」ね。
藤井:♪デッデレレ〜デッデッデッ、さよなら〜って歌えるし(笑)。
──確かに(笑)。
藤井:あと、今回は1回聴いて、耳にこびりつくような判りやすい歌をやりたいなぁっていうのもあって、歌謡曲的な部分が前に出てきたのかもしれない。デビュー曲だしね。やっぱ名刺代わりの部分もあるので、覚えやすいものを出したいっていうのはあったし。だからといって、狙って作ったわけでもないんですけど。
大久保:そこは無意識な感じでね。
藤井:そうそう。そこは大事だから。
──今まで、開けてなかった引き出しを開けたって感じもあるんじゃないの?
藤井:いや、ないです(笑)。ははは。
大久保:作ろうとして作ったってとこで、少し違うんじゃないの? 今までと。
藤井:ああ、それはあるね。無意識なんだけど、ちょい意識的な部分もありつつだから。
──意識的に歌謡曲をやろうとしたってことじゃないもんね。それは聴いたら判ることだし。他の2曲と比べて聴くとさらに感じるんだけど、とにかく深いよ、ソングライターとしての振り幅広いし。やっぱ藤井くんなんかダテに長く演ってないよなぁって思いますわ(笑)。
藤井:絶対、そこはありますよね。
──やっぱ自分でもそれは感じるところはありますか。
藤井:うん。絶対あると思う。30になんないと出ないとこもあるし。だから世の中の30代の人は大丈夫ですよ(笑)。まだまだいけますよ。 大久保:それは自分に言ってるの?
藤井:うん(笑)。
──でも、30代には見えないけどね(笑)。
藤井:そう言われると嬉しいですけど。これでも、今年で32ですから。
大久保:でも喋るとバレますよ。
藤井:話すと、おっさんのオーラが出ちゃうから(笑)。
菅原:でもこの2人の会話は小学生レベルですけどね(笑)。ずーっと馬鹿話してますから。延々と。
大久保:結論の出ない話をね。
藤井:精神年齢が低いんだよ、たぶん。でもそれは絶対重要。大事にしていきますよ、この部分は(笑)。

■Release info.

1st single
スワロー
【収録曲】
1.スワロー
2.相合傘
3.C/T/Y

UNIVERSAL J UPCH-5298
1,260yen (tax in)
4.13 IN STORES

Live info.

ワンマンライブ『デーモンナイト☆大阪』
7月17日(日)大阪:十三ファンタンゴ

OPEN 18:00 / START 19:00
TICKET: advance-2,500yen / door-3,000yen(共にDRINK代別)
【info.】清水音泉:06-6357-3666 ワンマンライブ

『デーモンナイト☆東京』
7月22日(金)東京:渋谷CLUB QUATTRO

OPEN 18:00 / START 19:00
TICKET: advance-3,000yen(1DRINK付)
【info.】VINTAGE ROCK:03-5486-1099

4月8日(金)神戸チキンジョージ
w/ GOING UNDER GROUND / スネオヘアー
4月25日(月)新宿ロフト
w/ ハックルベリーフィン / タテタカコ / 古里おさむ / ガガーリン
4月29日(金)Zher the ZOO 代々木
w/ ザ・カスタネッツ / サンプリングサン
6月17日(金)新宿ロフト
w/ フジファブリック / メレンゲ

音速ライン OFFICIAL WEB SITE http://www.onso9line.com

音速ラインよりステキなプレゼントがあります。
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