毎回リリースのたびにLINKの成長っぷりには驚かされる。ADELINE RECORDSからの海外盤リリース、アメリカツアーなど様々な経験を経て、久々にリリースされた今作「GOOD-BYE UNDERWORLD」でもまた、ロックバンドとして一回りも二回りもデカくなった姿を見せつけてくれた。三人から繰り出される変幻自在なサウンドに「3ピースのパンクバンド」などというよくありそうなイメージでLINKをカテゴライズしていた人は本当に度肝を抜かれるんじゃなかろうか!?  (interview : 北村ヂン)

──今回、約三年ぶりのフルアルバムになりますけど。
柳井 そう、久しぶりですね。
小森 結構ライブやったり動いてたから気付かなったんだけど。
柳井 ミニアルバムとか海外盤とかは出てたけどフルアルバムとしては三年ぶりなんですよね。そう考えると長いですね。
──ジャケットは毎回雰囲気が違いますけど、また今回のもインパクトが強いですよね。
柳井 ポジトロンっていうデザインチームにお願いしたんですけど、事務所に遊びに行ったらすごいパンクな感じの部屋になってて、壁に貼ってあるポスターなんかもピストルズみたいな感じだったりして、すっごい格好良い部屋で。これはもう完全に任せられるなって思いましたね。
──コレって手作業でデザインしてるんですか。
柳井 そうですね。全部ハサミで切って型を作って、スプレーでガーッて塗る…みたいな感じらしいです。それからパソコンに入れて加工してるんですけど、非常に手の込んだデザインですよね。前のとかは自分で絵を描いたりしてたんですけど、今回はホントにお願いして良かったなって思いましたね。音のイメージに近い感じのジャケットが出来上がったんじゃないかと思います。
──内容の話をすると、今回、それぞれの曲の対比がハッキリしてるなって印象がありました。
小森 そうですね。今回は結構一曲一曲が全部しっかりした曲で、どれを代表曲にしても行けるなっていう曲が揃ったと思いますよ。
──シングル(ゴールドフィールド)を聴いて、ああいう感じのアルバムになるのかなって思ったら、あれはあくまで一片であって、もっと幅のあるアルバムになりましたね。
柳井 シングルの「ゴールドフィールド」も入ってるけど、アルバムの中に入るとまた全然違う感じに聴こえるんですよね。
小森 うん、結構変わった印象になってるよね。ここまで変わるかなっていうくらい。
柳井 音自体は、ちょっといじったくらいなんですけどね。曲順とか、流れで聴くとかなりイメージが違う。まあ、一曲目からほとんどの曲がシングルに出来るような曲だと思ってるんで、周りの曲とのせめぎ合いで、っていう感じだと思います。
小森 今回、それぞれの曲がイメージしやすいんですよね。一曲がこじんまりしてないで大きいイメージで聴けるから、重いっていう意味ではなく、一曲一曲ドッシリしてるんじゃないですかね。

行き詰まって色々やってみたら…
──確かに各曲のキャラが立ってますよね。今までは二人の声の対比っていうのがLINKの特徴だったりしたわけですけど、今回は二人がそれぞれ作ってる曲の対比でさらに幅が出て来たのかなって思いましたが。
柳井 そうですね。それもありますし、今回は小森が歌詞まで作って持ってきた曲を、オレが崩していってメロディーをつけたり…っていう事もしてみたんですけど、それが結構面 白かったんですよ。小森の歌詞っていうのが、意外にオレの曲に乗りやすい様な歌詞だったりしてメロディーもつけやすかったし。良い曲になったなぁって思いますね。あとは、ノリ(山上)にギター弾いてもらって「何かいいメロディーない?」みたいな感じで、ノリがメロディー考えたりっていう事もあったし。
山上 今回はそういう色んな作業をやってみたんですよ。
柳井 結構長い時間スタジオに籠もって色々やって、それこそ朝から晩まで作ってましたね。
──曲作りの過程自体を色々と工夫してみたという感じですね。
柳井 工夫してみてというか…行き詰まって色々やってみたら、良かったっていう感じでしたね。
山上 だから、今まで以上に上手くお互いのアイディアを生かすことが出来たと思います。
──確かに、各メンバーの個性が上手く生かされてますよね。ロックっぽい曲はよりロックっぽく、メロディアスな曲はよりメロディアス…みたいな感じで。
小森 輪郭がハッキリしてるんですよね。後は、曲を持ってきた時にポップな曲なら「ポップ」っていうイメージをみんなで話し合ってから、お互いに共通 の大きいイメージを持ってレコーディングに望めたんで。
──バンドとして一体となって曲作りをできたと。
柳井 まあそこまでじっくりやったのはニ、三曲ですけどね。でも15曲の中の二、三曲でも、そうやって作れたのは良かったし、楽しかったですね。
──今回、今までのアルバムにちゃんと入ってなかった曲も収録されていますが。
小森 「BREAKDOWN」とか「さらば闇よ」とかですね。
柳井 ワンマンツアーのライブ会場限定で無料配布していたCDに入ってた音源なんですけど「さらば闇よ」なんかは二年以上前の曲ですからね。本当はアルバムに入れようかどうしようか迷ってたんですよ。シングルのB面 とかに入れるか、それとももう出さないか…って前々から考えてて、最近までは「出さない」っていう方向で思ってたんですけど。アルバムへ向けての曲作りの最終段階である程度曲が出そろってきた時に「ああここに入れるのはアリだな」って思って。そうしたらアルバム全体のイメージがすごい見えてきたんですよ。実際、入れてみたらやっぱり上手くはまったんですよね。アレンジ面 も以前の物より全然カッコ良くなってますからね。
──まあ、以前の物はシングル的なアレンジだったのが、今回はうまくアルバムの中に入り込むような形になっていますね。
柳井 あのままで入ってたら浮いちゃいますからね。
小森 アルバムを通して聴いてると「さらば闇よ」がすごくいいブリッジになってるんですよ。あそこで一瞬雰囲気が変わるんで。 ──ADELINE RECORDS(GREEN DAYのBILLIE JOEのレーベル)から出た海外盤に収録されていた「OUR SENSATION」なんかも再録されてますよね。
柳井 はい。「THE KIDS ARE ALRIGHT」に入っていた曲をまた録り直して入れました。この曲はすごくいい歌詞が書けたんですけど、元もとは海外盤だったんで対訳を入れられなかったんですよ。でもちゃんと歌詞を読んで欲しいと思ってたんで、今回のアルバムにも入れる事にしました。
小森 音的にも今回のバージョンはすごくイキオイがありますね。歌の感じも、演奏もイキオイがあるし、一曲の中の展開もドラマチックだし、ライブ感がすごいあると思いますよ。

完璧な曲順だと思いますよ!
──そんな感じで昔の曲から新曲まで入って、それでも全体の統一感はありますよね。全部で15曲、40分あるんですけど、通 して聴くと結構短く感じましたね。
柳井 曲間を短くしてあるっていうのもあるんですけど、長い曲と短い曲でコントラストをつけたりして、緩急があるんで時間を感じさせないのかもしれないですね。 小森 40分もあるようには感じないですよね。一気に聴けると思います。
──流れ的にも、それぞれの曲に強烈な個性がありつつも、全体で聴くとバッチリまとまってますしね。
小森 そうですね。
柳井 曲順もホント完璧な曲順だと思いますよ。すっごい考えましたから。曲が出来て、レコーディングする前から曲順は色々と考えてたんですけど、実際レコーディングが始まってみたらどんどん曲のイメージが変わっていって曲順も二転三転したんですよ。最終的に決めたのは、録りが全部終わってからですね。やっぱり曲順によってどういう雰囲気のアルバムになるかっていうのは決まってくると思うんですけど、結果 的にいままでよりも一回りデカいアルバムに出来たと思います。
──普通、こういう感じの日本語の曲と、英語の曲を一つのアルバムに入れたらバラバラになっちゃうと思うんですけど、そこがちゃんとまとまってるんですよね。
小森 確かにそうですね。特に考えて統一感を出しているわけではないので、自分たちでも何で出来てるのかわからないんですけど、多分、どの曲も自分たちの中に吸収した物の中から全部素で出しているから、こういう統一感が出て来ているのかもしれないですね。もう何をやってもLINKっぽいなって思われる自身はあります。
柳井 声とか音だけではない部分でバンドの個性を出せるっていうのは、ある意味強みですからね。
──音的には、全体の音数自体は変わってないのかもしれないですけど、空間が詰まってる所と空いてる所のコントラストがハッキリしてますね。
小森 そういうコントラストのつけ方は結構考えましたね。リズムパターンを変えてみたり、音色を変えてみたり、歌い方を変えてみたり。
──音作りを重視したんですか。
柳井 そうですね。今回は音作りにすごい時間をかけて、実際の録りはバッて一発で録るっていう感じでしたね。音作りはホントに時間をかけられたんで良かったですよ。色んなアンプを試したり、色んなギターを試してみたりして。
──ああ、その辺も変えてるんですね。
柳井 あんまりわからないかもしれないけど(笑)、一曲一曲全部違うんですよ。例えば「テンポが速い曲はスネアが沢山入ってくるからこのギターの音は合わないな」…とか、そういう細かい作業を結構やりましたね。
──だからガーッて音が詰まってても、それぞれの音が埋もれてないんでしょうね。
小森 うん、音のヌケはいいですよね。音作りに時間をかけられたんで、ミックスする前の録り音の段階で既にすごい音が良かったんですよ。だから録る前までにすごい時間はかかったんだけど、やりたい事がハッキリしていたんでモチベーションが下がるわけでもなく、いい音で演奏する事によってテンションも上がるし。だから全体の流れとしては音作りに時間かけててもすごくスムーズでしたね。今回、初めてこういう感じでやったんですけど、今までは音の持つ重要性っていうのをちょっと軽視していた部分があったかもしれないですね。
柳井 うん、細かく音を作るというよりはイキオイ重視でしたから。
小森 イキオイとか雰囲気ばっかりを重要視していて、いい音があってこその雰囲気っていうのがわからなかったんで。
──良い曲さえあればいいだろうみたいな
小森 そうですね。でも今回、そうじゃないだろうっていうのに気付きましたね。だから最近はライブなんかでもそういう点を考えるようになりました。
柳井 普通に自分らがCD聴く時にも「音」を聴きますからね。まあ、どっちが悪いとかじゃないけど、自分の音楽を表現するっていう意味では今はこういう方法が合っているのかなって思います。
小森 まあ、イメージ通りの音が出来たと思いますよ。
──頭の中で鳴ってた音が再現できたっていう感じですか。
柳井 頭の中で鳴っていた物をさらに二回りくらいでかく作れた感じですね。ホント完成して15曲まとめて聴いた時には、こんなにすごい物を作ってたのかって思いましたよ…我ながら(笑)

さよならアンダーワールド!
──タイトルにもなっている「さよならアンダーワールド!」ですが、あの曲をタイトル曲にしたっていうのはなぜですか。
柳井 曲が全部出来上がった時に、それぞれの曲で言ってることは違うんですけど、一貫して表現している事が似ているなって思ったんですよね。人間味が出ているというか、これを歌ってるヤツはどういう人間なのかっていうのがすごく見えるアルバムになってると思うんですよ。その中で「さよならアンダーワールド」っていう言葉は結構全体を象徴してるのかなって思って。
──「アンダーワールド」っていう言葉はどういう意味合いで使っているんですか。
柳井 家に帰って一人になった時に、妙に落ち込む時ってあるじゃないですか。一人で「オレもうダメだ〜」とか思ったり。そういう自分の中にあるダメな方向の自分の世界を「アンダーワールド」っていう言葉で表現しました。まあ、落ち込む事も大事だとは思うんですよ、それが糧になってがんばって外に出て行くっていう事もあるんで。でも、その自分のダメな世界である所の「アンダーワールド」に居座って「オレはもうここにいよう」…みたいに思うのは良くないでしょ。そういう部分を持ちながらも「さよならアンダーワールド」って言える気持ちが必要なんだと思うんですよね。結構「アンダーグラウンド」っていう捉え方をしている人がいたんですけど、一般 的に言われる「アンダーグラウンドから抜け出したい」みたいな意味合いではなくて「自分の中の世界に引きこもりっぱなしじゃダメだよ」って事ですよね。
──最近は人間の内面に興味を持ってるんですか。
小森 まあ、昔から結構そうだよね。
柳井 昔からそういう歌詞ばっかですからね(笑)。ただ、同じ内面 でも捉え方は時期によって全然違って。20才くらいの頃はそれこそアンダーワールドにどっぷりで「オレなんかどうでもいいんだ」みたいな、そういう疎外感を持つことの気持ちよさみたいな物に浸っていて。その時は「それはそれでいいな」って思ってたんですけど、さらに何年か経ったら本当にそこにいられなくなって「これじゃダメだ」って思ってはいるものの、でも結局そこから抜け出せないからそこにいるしかないっていう、どうしようもなく辛い状況があって…。そして今回、この歳になってようやく「さよならアンダーワールド」って言えたんですよ。
──ジャケットの絵を自分で描いてた時期とかは、かなり色んな物を抱えてるんじゃないか…って思いましたけど。
柳井 ああ、そうですね。最近は無理してそういう暗い部分を表現しなくてもいいなって思ってますけどね。むしろ暗い物を持ってはいるんだけど、その上で前向きに行こうっていう状況を表現したいなって思っていて。「これだけ自分が暗いんだ」って言っても何も生み出さないじゃないですか。まあそういう事にも共感してくれる人はいるかもしれないけど、それは結局良くない事だと思うんですよ。そこにみんなを引きずり込むよりも「そこにいちゃダメだよ」って言った方がいいかなって考えてます。だから今回のアルバムからはそういうオーラが出てると思いますよ。
──色んな物が吹っ切れたっていう感じですか。
柳井 イヤ、そうでもないんですけど、「とにかくがんばるしかないな」ってだけですね。

最高な物が出来たな!
──最後に今回のアルバムについて一言づつお願いします。
小森 録り終わった段階でも最高な物が出来たなって思ってたけど、曲順を決めてミックスして完成してみたら、さらにその一個上を行ってたんで自分でもビックリしましたね。これはすごいな…って。毎回アルバムを作るたびに自信はあるけど、今回ほど自分らのCDが世の中に出るのを待っている事はなかったなっていうくらい自信があるんで、みんなが待っているの以上にもしかしたらオレら自身が楽しみにしてるかもしれないですよ。だから、楽しみに聴いて欲しいですね。
柳井 このアルバムを聴いてオレらの事を好きになれないヤツとは、オレらも仲良くなれないかな…(笑)
山上 …と言い切れるくらいに自信のあるアルバムですね。もうホントに出るのが楽しみでしょうがないですよ。作った自分たち自身も新鮮な気持ちで何回も聴けますから。
柳井 オレらの人間そのものが出てるアルバムと言えますよ。
小森 ホントにこのアルバムはLINKそのものですね。あとはライブに来て欲しいです。唯一直接コミュニケーションがとれる場所でもあるし、ライブ会場でしか生まれないコミュニケーションが取れたらいいなって楽しみにしてます。

■Release info.

GOOD-BYE UNDERWORLD

THCA42
2,310yen(tax in)
2005.3.23 OUT

Live info.

3月13日(日)新宿LOFT
TIGER DRIVER 05 〜TIGER HOLE 10th Anniversary Tours〜

w / NOT REBOUND / Beehive / One for all / SA [DJ]ISHIKAWA
GOOD-BYE UNDERWORLD TOUR
4月5日(火)下北沢SHELTER / 4月6日(水)千葉LOOK / 4月7日(木)宇都宮VOGUE / 4月15日(金)秋田LIVESPOT2000 / 4月17日(日)山形酒田MUSIC FACTORY / 4月18日(月)仙台JUNK BOX / 4月19日(火)盛岡クラブチェンジ / 4月21日(木)八戸ロックス / 4月23日(土)釧路クラブグリーン / 4月24日(日)北見夕焼けまつり / 4月26日(火)札幌COUNTER ACTION / 4月30日(土)熊谷VOGUE / 5月1日(日)横浜F.A.D / 5月3日(火・祝)いわきSONIC / 5月4日(水・祝)甲府KAZOO HALL / 5月10日(火)滋賀ハックルベリー / 5月11日(水)奈良ネバーランド / 5月13日(金)神戸スタークラブ / 5月15日(日)広島ナミキジャンクション / 5月17日(火)宮崎SRボックス / 5月18日(水)鹿児島キャパルボホール / 5月20日(金)熊本ジャンゴ / 5月21日(土)佐賀ガイルズ / 5月22日(日)長崎スタジオDO! / 5月24日(火)博多ビブレホール / 5月25日(水)大分T.O.P.S / 5月27日(金)松山サロンキティ / 5月30日(月)横須賀パンプキン
6月4日(土)名古屋アポロシアター / 6月5日(日)大阪十三ファンダンゴ / 6月12日(日)渋谷クラブクアトロ

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