asian gothic labelより満を持しての2タイトル、リリース!!
 2003年12月8日(月)、場所は今は無き新宿LIQUIDROOM。そこでthe band apartの“smooth like butter tour Final!”が行われた。ライヴの盛り上がり絶好調の中、MCでVo.荒井氏の口から放たれた「自分達でCD出します」という言葉は会場にいる全ての人に衝撃と感動を集めた。それを実現させた記念すべき2004年12月22日。自身の運営するasian gothic labelより2タイトルがリリースされた。1年数ヶ月振りのリリースとなるthe band apartのシングル『RECOGNIZE ep』、そして彼らがリスペクトするmock orange(USA)の国内盤3rd アルバム。“official bootleg vol.004&smooth like butter tour”の合間で行われた彼らの楽しげな、そして心から音楽と友達を愛してやまない素顔のインタビューをご堪能下さい。(text:加藤恵美子)

mockの音楽はカッコ良過ぎて全身が痙攣(原)
──初めに、基本的なところでバンアパとmockの出会いから教えてもらえますか
原(B)「mockと出会ったのは……何年くらい前だろうね」
木暮(Dr)「5年くらい前じゃない? 最初は俺がタワーレコードでたまたま試聴して、それで即買いして。みんなにも聴かせたら気に入ったんだよ」
「痙攣に痙攣を重ねたからね、カッコ良過ぎて。全身が痙攣。で、NOFXのツアーでmockが来た時に池袋のHMVにインストア・ライヴで来るってことになって。そんでハンパねーっつってみんなで観に行って。終わってから楽屋に入ってって自分達のデモを渡してメアドを交換したのかな」
Joe(G&Vo)「そっか、HMVのインストア・ライヴに観に来てくれたんだったね。NOFXのツアーに呼ばれた時は変な感じだったな。だってNOFXってスゲービッグなバンドでパンキッシュで、僕らはそうじゃないから(笑)。でも凄く楽しかったよ。その当時はバンアパは結成されてたの?」
川崎(G)「うん、まだCDを出す前だったけど」
Joe「そのインストア・ライヴのことは覚えてるよ。でも、その時君達と話したかなぁ?」
木暮「したよー。俺はJoeとHeathと話した」
Joe「そっか。そのショーは僕らにとって初めての日本のショーで、かなりナーバスだったんだよ。だって僕らはインディアナから来た、ただのみじめなホワイト・ボーイズなんだから(笑)」
Heath(Dr)「日本語も『コンニチワ』しか知らなかった」
Joe「そうそう(笑)。その時確かにたくさんの人達と話したんだけど、バンアパと話をしたのかどうか、ちょっと記憶があやふやなんだ。たぶんそれは僕らがナーバスだったからだと思う。そのツアー全体の記憶も何となくぼんやりしてるから」
Heath「ずっと時差ボケだったし、そもそも4日間しかいなかったからね」
Joe「うん。で、その2年後くらいに僕らを日本に呼びたいっていうメールが来て。最初は何でバンアパが僕らを日本に呼ぼうとしてくれているのかが全然判らなかったんだ」
木暮「『K. AND HIS BIKE』ツアーの時にいよいよmockを呼ぼうってなって、メールをしたんだよ」
──うんうん。Joeはバンアパから最初にお誘いのメールを受け取って、どう思った?
Joe「一番最初のメールはただ『mockを日本に呼びたい』って内容のことが書いてあるだけで、驚いたと同時に『一体これはなんなんだろう?』って感じでちょっと疑ってた部分もあったんだ。だってアメリカから日本にライヴしに行くって、なかなかの大仕事だよ? 費用もかかるしさ。だからバンアパがそのことに対してどれくらいシリアスに考えてるのかってことが判らなかったんだ」
Heath「飛行機のチケットが手元に届くまで完全には信じられなかったな」
Joe「それでまずバンアパのCDを送ってくれって頼んで、それを聴いて、もう、何と言うか……今までに聴いたことのなかったサウンドで」
Zack(B)「全くの新しいサウンドだった」
Joe「ホントに。ロックなんだけど、ダンス・ミュージックの要素もあって」
Heath「ジャクソン・ファイヴみたいなね」
Joe「うん。ベース・プレイが凄くグルーヴィで。『K. AND HIS BIKE』には本当にいろいろな要素が詰まってて、“オリジナル”って言葉こそふさわしいと思う。メンバーも同じように思ってて、それで日本に来ることになったと」
──凄い誉められてるよ。
「ファック・ユー」
Joe「で、去年の11月に初めて日本に呼んでもらって、その一番最初のショーで僕らはなかなかいいプレイが出来たと思ってて、その後でバンアパのライヴを観たら……」
Zack「もっと練習しないとって思ったね(笑)」
荒井(G&Vo)「ないない(笑)。誉めすぎだね」
Joe「いや、マジで良いライヴ・バンドだと思うよ。僕らは結構キャリアも長いし、それなりにライヴも重ねてきたからなかなか良いライヴ・バンドなんじゃないかと思ってたんだ。少なくともシラフの時は(笑)。けど、バンアパとやって考え方が変わったな」
Zack「僕らはバンアパがやってる時、ステージの袖で踊ってさ(笑)。何より彼らのプレイをライヴで観れるってことが嬉しいな」
Heath「そうだね。実際に彼らと会ってみてウマも合ったし、エーイチ(木暮)が英語上手いから助かったね。ツアーの最後のほうは言語なんて関係なく、凄く良い友達になってたよ」 Zack「バンアパもみんな英語が上手くなってきたからね。原はもう目を見るだけで何考えてるか判るよ」
「アスホール」
──じゃあバンアパは最初にmockと対バンした時はどうだった?
荒井「いつも聴いてたものを目の前でやられたから、まぁ普通 に感動したよ。スゲーあがったの覚えてる、『ヤベー!』って(笑)」
「ヤバかったね。ひざから崩れ落ちた」
Heath「スイマセン」 今度は僕らがバンアパをアメリカに呼びたいと思ってる(Joe)
──そもそも日本にmockを呼んで一緒にライヴをするっていうことが実現すると思ってた?
川崎「全く思ってなかったね」 荒井「確か、ツアー中に港でフェリーかなんかを待ってる時に最終的に決まったっていうことを聞いたんだよね」
木暮「俺もさ、一応メールはしてみたけど友達に話すような文面 で送ってたから、正式な書類とか一切なしで。まぁこっちとしてもまさか来ねーだろうって思ってるところはあって。で、一応返事が来て、Joeが送ってくれたんだけど、飛行機代とかホテル代は払ってくれるのかって」
Joe「あぁ、覚えてるよ」
木暮「それで飛行機代とホテル代は出すよって返事したら、次に『How about food?』っていう、1ラインだけのメールが返ってきて(笑)」
Joe「マジで? 『How about food?』だけ? そんな返事したっけなぁ?(笑) まぁ僕らは貧乏だからさ、日本に来てまで飢えたくなかったんだよ(苦笑)」
木暮「あれは笑えたなぁ(笑)」
Ryan(G&Vo)「俺らはハングリー・バスタードだからさ(笑)」
Joe「まぁ、僕にしてみれば不思議なことだったんだ、日本のバンドがmock orangeを招聘したがってるってことが。クールだとは思ったけど、やっぱり不思議だった。だって僕らをアメリカから呼ぶにはそれなりに費用がかかるし、もしかしたら彼らが損するかもしれない。それを考えるとやっぱり不思議だったんだよ」
──なるほど。それで実際に日本に来てライヴをしてみてどうでした?
Joe「最っ高に楽しかったね。オーディエンスの数も凄かったし、アメリカでのライヴとは比べものにならないくらい。アメリカでは僕らのライヴは平均100人入れば良いほうなんだ。きっと日本とアメリカのシーンの違いってのもあると思うんだけど、とにかくアメリカには数え切れないくらいのバンドがいる。例えばCursiveっていうアメリカではビッグなバンドがいるんだけど、彼らのライヴでさえ400人入れば上出来なんだよ。僕らもホームタウンのインディアナでやれば250人は動員できるんだけど」
Zack「街自体が小さいからね」
Joe「僕らもある地域では有名なんだけれど、それは限られたもので。南部、そして西海岸、東海岸では比較的良くて、中部ではさっぱりだね。ある程度のリスペクトも受けたりはしてるんだけど、所詮アンダーグラウンドで規模としても小さいもので。存在で言えば僕らは日本におけるバンアパよりもはるかに小さいよ」
Heath「9時間かけてライヴしに出かけても10人しかオーディエンスがいなかったり、それが終わって10時間かけて次の場所に行ったら250人いたり。その次のライヴでは3人だったり……まったく予想がつかない」
──ほほう。なかなか厳しい状況なんですね。
Heath「ツアーに関しても凄い違いがあって、こっちは優秀なスタッフが多いから全てがプロフェッショナルに運営されているけど、向こうは全部自分達でやらないといけないから」
Joe「それに日本ではライヴのチケットは$20かそこらだと思うんだけど、アメリカではたったの$5。本当に儲からないんだ。呼んでもらったお返しってわけじゃないけど、今度は僕らがバンアパをアメリカに呼びたいと思ってるんだけど、まぁいろいろと難しいんだ。何とか上手い方法で呼べるようにしようと思ってるんだけどね。きっと実現させたい。彼らは『何でもOKだ』って言うけど、そんなわけにはいかないし(笑)。嫌な思いをして欲しくないし」
「何だっていいんだよ。実際俺らはアメリカ・ツアーしたいとかいうのはなかったし、友達が呼んでくれてっていう自然な形でならやりたいっていう」
──今回bloodthirsty butchers、+/−(プラス・マイナス)と一緒にツアーをしているわけだけど、手応えはどうですか?
荒井「凄い楽しい。好きな人達と一緒にやる意味合いを改めて噛みしめながら。ライヴを観て自分達のテンションも上がってっていう、相乗効果 で全体が良くなっていくみたいな」
Zack「ホントに楽しいよね。いつもバンアパとプレイする時に思うんだけど、凄くプロフェッショナルだね。全てが凄くクールだよ」
Joe「うん。もうアメリカに帰りたくなくなるくらいツアーは楽しい。いっそ日本に移住しようかと思うくらい(笑)」
──機材車の中でもいろいろ話をしてるみたいだけど。
「合言葉は『アイ・ワズ・ゲイ』だから。俺らはゲイじゃないけど、ゲイみたいに愛し合おうぜと」
木暮「前の時は意識して何か喋んないといけないって思ってたけど、今回はもっと打ち解けてきたからね。気を使わなくていいんだよね」
Joe「何かいろいろなものが上手く噛み合ってる感じがする。ユーモアのセンスとか。だから一緒にいて凄く楽しいんだよね」

interview&translation by 奥村明裕


Release info.

the band apart / RECOGNIZE ep

asian gothic label
asg-001
1,575yen (tax in)
*the band apartデザインフィギア付き完全限定シングル
IN STORES NOW

mock orange / mind is not brain

asian gothic label
asg-002
2,100yen (tax in)
IN STORES NOW

Live info.
<AO vol.5 new year party“K” night>
1月5日(水)CLUB CITTA' 川崎

the band apart / WRONG SCALE / O-front / he
OPEN 17:30 / START 18:00
PRICE: advance-2,000yen / door-2,300yen(DRINK代別)
チケットぴあ:0570-02-9999(Pコード:187-801)
【info.】CLUB CITTA':044-246-8888

asian gothic OFFICIAL WEB SITE http://www.asiangothic.org/


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