自分達のやりたいことが追求出来て、形に出来たという満足感
 デビュー・ミニ・アルバム『サーチライト』のリリースから早5ヶ月が過ぎようとしている。この間、彼らは精力的にライヴ活動をし、レコーディングをするなどして多忙な毎日を送っていた。10月20日にリリースする『初恋サンセット』はそんな中で作られた作品であり、メレンゲの歴史を新たに切り開くものになった作品である。11月には待望のツアー、初のクアトロ・ワンマンだったりと今年後半も走りっぱなし。増々加速する彼らに注目必至!(interview:hiroko higuchi*)

──『Rooftop』5月号以来の登場ですね。その間ライヴ活動であったりとか、レコーディング等で目まぐるしい毎日を送っていたかと思いますが、最近の近況を教えて下さい。
クボケンジ(Vo, Gt)「レコーディングが終ったので、ライヴに力を入れてやっています。後は、年末にワンマン・ライヴが控えているので、その練習をしてます」
──メレンゲは、ライヴ本数が何気に多いよね。
クボ「『初恋狩りツアー2004』で全国を廻る予定です」
──去年の『初恋狩りツアー』では確かスタンプ・ラリーをつけていたよね。
クボ「今回もスタンプつけたいなぁ…」
タケシタツヨシ(Ba)「全国廻るからね」
──あの頃はスタンプ・ラリーをつけたりすることによって、お客さんを呼び込もうという作戦を立てたけど、今はもういらないかなぁ?(笑)
全員「そんなことないですよ。いるいる(笑)」
クボ「思えば、昨年やった『初恋サンセット』では、入場者全員に『輝く螢の輪』のPVをプレゼントしたりしたよね」
──あれ、好評だったよね! 『初恋狩りツアー2004』というのは11月からスタートですよね。
クボ「せっかくなので、アルバムが出てからにしようと思って」
タケシタ「ツアーの前の10月31日に下北沢CLUB 251で自分達の企画をするんだよね。それでみんなに送り出してもらおうと(笑)」
クボ「行ってらっしゃい! みたいな」
タケシタ「12月のワンマンの時には力をつけて帰ってくるよ! みたいな」
──10月31日の公演は、ワンマン前のプレ・イヴェントみたいなお祭りっぽい雰囲気を感じるよ。
クボ「なので、今回のタイトルは『初恋サンセット・イヴ』ということになっています。ワンマン前の自分達のイヴェントということで」
──そのイヴェントには誰が出演されるのですか?
タケシタ「ハックルベリーフィン、GOOD DOG HAPPY MENです」
──その3マン・ライヴからスタートして11月には全国ツアーを迎える訳ですが、初めて行く土地もあるの?
ヤマザキタケシ(Dr)「たくさんありますよ」
──この夏もすでに初めて行く土地でのライヴもあったと思うけど、初めての土地でライヴをした時のお客さんの反応はどんな感じなの?
クボ「まずは、こっちが“大丈夫かな〜”というのがあったけど。意外とライヴをしたら凄くやりやすかったし、楽しかった。そして、アマチュア・バンドだった頃を思い出した。“お客をつけるぞ!”みたいな、単純に俺らというバンドを判ってもらいたいみたいな」
──ツアーに出てしまうと、家を1週間とか10日近く空けてしまうこともあるんじゃないの?
タケシタ「ゴミとか全部出しとかなきゃね(笑)」
──ツアーは体力が必要とされるので、インフルエンザとか気をつけてね(笑)。
クボ「思えば、昔、1回インフルエンザでライヴをしたことありましたね(笑)」

メンバーの人間的な深みが見えたね
──では、本題であるミニ・アルバム『初恋サンセット』についてのお話を聞きたいのですが。メジャー2枚目にしてこんなにも素晴らしい新曲達が詰まっている作品が出来たことに、正直驚きました(笑)。
全員「ありがとうございます」
──夏のヴァカンスを楽しむこともなく(笑)、この作品の制作でコツコツ頑張っていたんだね。この作品を作り終えた今の心境はどんな感じなの?
クボ「終った〜!! というのと、自分達のやりたいことが追求出来て、形に出来たなぁという満足感」
タケシタ「本当、ヴァラエティに富んでいる作品だなぁと」
──この作品は過去に出した『ギンガ』『少女プラシーボ』の両方の色が混ざりつつも、現在進行形のメレンゲも詰まっていて、多種多様な作品だと感じました。これは売れなきゃダメですよね(笑)。
全員「本当。本当(笑)」
──そして、人になが〜く愛されそうな1枚になったよね。実際作業はどのくらい掛かったの?
ヤマザキ「2ヶ月半ですね」
──結構掛かるもんだね。本当に夏はなかったんだね!(笑)
クボ「捧げました(笑)」
タケシタ「『初恋サンセット』に(笑)」
スタッフ「ライヴやりながら、レコーディングしていましたからね」
──この作品のレコーディングはどんな感じに進行していたの?
ヤマザキ「結構ね…、メンバー同士、今までのレコーディングよりかはぶつかったね。もちろん良い意味でね。今回の作品は、原点回帰みたいなのがあって。『ギンガ』を作った時には、ただ単純に曲を最も良く聴こえるようにプレイしよう、アレンジしようって思っていただけで、それ以外のことを考える余裕もなく、結果 として音楽的にストイックだったところがあって。そして、気付いたら“ギター・ロック”というジャンルにカテゴライズされていた。このまま行ってしまったら、自分達を見失ってしまうなという気持ちがあって。それで始まったからね。作品的には『ギンガ』を作っていた頃に近いかな」
──いろんな衝突があっても、これだけの作品を作れたならとても健康的だよ。
ヤマザキ「そのお陰でメンバーがより深い部分でどう考えているのとか、俺から見て2人の悪いところ、もちろんそれを補うくらいの良いところも見えてきたしね。そういう人間的な深みが見えたね」
──このアルバムを聴いて、各々の自我の強さを良い意味で感じたんだよね。
タケシタ「メンバー個々人が“派手なプレイをしよう”とかあんまり考えなかったんだよね。曲をどうやって聴かせたいんだということを第一に考えて作ったアルバムかなぁ」
──この8曲を録る時には、さっき山ちゃんが言ったように、原点回帰するような作品にしよう! というテーマが元々あったんですか?
ヤマザキ「一番最初の頃はそんなのはなかったんですが、やっていくうちにそんな感じになってきた」
──前作は亀田誠治さんをプロデューサーに迎えて『サーチライト』を作ったじゃない? 今回はいろんなプロデューサーやミュージシャンとコラボレートしていますね。そのセレクションとセレクションした理由を聞いてみたいんですが…。
クボ「益子さんに関しては、ずっと前から一緒に仕事が出来ると良いなぁって思っていて。1回この機会にやってみたいなと思い、スタッフを介して僕らの音源を送ってもらったら反応があって。で、良い機会だったからお願いしました。HARCOさんに感しては、違うミュージシャンとコラボレートするのも良いのかなぁと。“HARCOさんだったら、僕らの曲をどんな風にいじってくれるのかなぁ〜”とかそういう楽しみがあったりして」
──やっぱりコラボレートする相手によって、そのカラーははっきりと出るよね。
タケシタ「3曲目の『タイムマシーンについて』は渡辺善太郎さんにお願いして」
クボ「CHARAが好きで。CHARAの音は誰がやっているんだろう…? って思っていて。で、自分の好きなCHARAの楽曲は渡辺善太郎さんがやっていたので、お願いしました」
タケシタ「音源を渡したら、反応があったんだけど“長い曲じゃの〜”って(笑)」
──例えば益子さんに、何故「きらめく世界」「二つの雨」をお願いしたのですか?
クボ「『きらめく世界』を俺らだけでやったら、単なるギター・ロックで終っていたなというのがあって。益子さんに相談したら、“全然出来るよ!”ってなってね。出来上がったのを聴いたら“うわ〜、きた〜”って」
タケシタ「“いいね〜”ってなって(笑)」
──ちなみにセルフ・プロデュースはあるの?
タケシタ「4曲目の『水槽』、7曲目の『忘れ物』、8曲目の『初恋サンセット』ですね」
──そういった意味じゃ、本当にヴァラエティに富んでるよね。
クボ「8曲入りだよ。安いし(笑)」
──こんな立派な楽曲達を出してしまうと、次作がさらに期待されてしまいますね。
クボ「そうですね〜(笑)。どうであれ、長く聴ける1枚になってくれると良いなぁと思います」
──そう! あとね、最後に収録されている「初恋サンセット」では、虫の声が入っていたり、最後はピアノで終っていたりして凄く良かったよ。あれはどうしてあんな感じにしたの? 凄く印象に残ったんだよね。
タケシタ「あのピアノは、俺らの知らないところでクボ君が弾いてた(笑)」
──あのピアノのテンポがさらに味が出ていて良かったよ。
クボ「弾けないだけなんだよね(笑)。最初はプロローグとかいろいろと考えていたんだけど、でも頭の部分に入っているより最後にあったほうが良いかなぁって」
ヤマザキ「ミニ・アルバムなんだけど、1曲1曲大事にした上で、最終的にはミニ・アルバム全部を通 して作品にしたかったんだよね」
──それは伝わるよね。で、虫の声はみんなで実際に録音しに行ったんでしょ?
ヤマザキ「多摩湖。西武球場のすぐそば。水辺にいた虫」
──ちょっと寂しさがある虫の声のように聴こえます。
ヤマザキ「最後の『初恋サンセット』には、実は水の音も入っていたりするんですよ」
──確かにざわざわしていたよね。
ヤマザキ「あれはね、湖の音」
クボ「2つ録って重ねたんだよね」
ヤマザキ「そこにね、メンバーみんなで録りに行ったから、『初恋サンセット』の曲のイメージが一緒だったんだよね。凄く風景とか綺麗でしたよ」 スタッフ「彼らの中でイメージがあったみたいで。トラックダウンが終った後にメンバーのほうから“マイナスイオンが足りない!”ということになって。実は、ラフ・ミックスを入れることにしたんですよ」
ヤマザキ「何かね、ミックスダウンしたやつは、音が綺麗すぎちゃって」
クボ「音楽的にまとまりすぎた感があって。もしかしたら、普通 の人からしたら綺麗なほうが良いって言う人もいるかもしれないけど。今回は、生々しさを残そう! ということになりました」
──アルバムのタイトルと一緒の曲名だしね。
クボ「去年から自分達で『初恋サンセット』という企画をやってきて。2回目の『初恋サンセット』の時に、自分らの中でテーマ曲みたいなものを作りたいというのがあって。勢いの良いライヴ・ナンバーを作ろうと思っていて。これを聴いたら『初恋サンセット』だ! みたいな。でも結局出来上がったのが、静かな曲になってしまって。ちょっとライヴ・ナンバーにはなれなかったなぁとは思ったけど。代わりに静かな景色の中で歌うメッセージの大事さに気付いた」

最終的に目指すのは“メレンゲ”というジャンル
──イヴェント・タイトル、アルバム・タイトル、曲のタイトルとして使ってしまったら、次のメッセージというかキーワードは何になるんでしょうね〜。
クボ「本当!(笑) どうしようかと思っていますよ」
ヤマザキ「次のキーワードは“メレンゲ”じゃないの? 僕らは最終的にはジャンルは“メレンゲ”と呼ばれる音楽性を求めていて。それが完成されたらメレンゲの『メレンゲ』という作品を出すのが夢ですね」
──全国の人がきっとこの作品を聴いたらみんな“キュン”ときちゃうよ。
タケシタ「みんなが1回聴いてくれたら、絶対に伝わる思うんですよね。騙されたと思って、とにかく1回聴いてもらいたいよね」
──そして今回の作品は、曲の映像がふわ〜っと浮かぶよね。
クボ「それはね、自分達でも感じていて」
ヤマザキ「あと、今までの作品を作り終えた感覚と、今回の感覚は違うんですよ〜。もちろんどの作品も作り終えた! という満足感があるんだけど。まだやれる! というのもあるし。自分らの本当にやりたい音楽を1つ提示出来たという。精神的に余裕が生まれた」
タケシタ「メレンゲになったなぁ〜って」
ヤマザキ「今回、この作品を作る上で気をつけたことがあって。抽象的な言い方かもしれないけど、僕ら透明人間になりたくって。楽曲を生かす為には、自分達のエゴとかバンド感とか必要なくって。楽曲が生きれば僕らは透明人間になれば良いんだ! っていう気持ちでやったんですよ。それで結果的にメレンゲになったし、個性も出たしね。バンドとしても成長したし、個人としても成長できた」
──あとね、前作『サーチライト』が今までのライヴ経験が積み上げた1枚だとしたら、今作は『ギンガ』があって『少女プラシーボ』があっての1枚なんだなぁ〜って感じたよ。
クボ「それは、間違いなく絶対そう!」
──バンドが進化している様子が顕著に窺えるよね。ジャケットのことについて聞きたいんだけど、自分達の中であらかじめこんな感じにしたいというイメージはあったりしたの?
クボ「イメージみたいなものは頭の中であったけど、それがちゃんとフィット出来る人に出会えるかどうか心配してました。でも、出会えて良かった」
ヤマザキ「ある種、運命だよね」
──前作『サーチライト』は少年がフィーチャリングされていましたが、今回は少女がまた戻ってきましたね。
クボ「前作『サーチライト』は少年性を出そうとしていて」
ヤマザキ「前作は、希望みたいなのがあって。ジャケの男の子が強い目をしてこちらを見ているという感じにして、希望の表れみたいにしたところがあって」
──今回のジャケは、見る人の想像を掻き立てられるような感じがするね。
クボ「カーテンにくるまっているのを見ると、女の子しか知らない神秘的な感じがして。俺、女の子が女の子同志で喋っていると、何やっているんだろう…? って気になるタイプで(笑)。でも、聞きに行けなくて…(笑)。そんな感覚が今回のジャケには感じるものがあって」
──私の周りでも凄く評判が良いですよ〜。
全員「とても恵まれています」
クボ「やっぱり“人”ですよね」
ヤマザキ「だからこそ、ベタな言い方ですけど、この作品は売れたいですよね。そういったことで恩返しにもなるし。僕らの音楽性を理解してもらえてね」
──そして、PVはどんな感じになりそうですか?
クボ「『きらめく世界』なんですけど、良い感じですよ〜」
タケシタ「僕らメインとかじゃなくって」
ヤマザキ「ちょっとだけ出ていますけど」
──いろいろとアイデアを出して作ったんですか?
タケシタ「たくさんアイデア出しをしたよね」
──今回のミニ・アルバムの聴き所を教えてもらえませんか?
タケシタ「今回の作品は決して派手ではないけど、じっくり聴いていろんな想像とかを膨らませて、その人なりの映像とか景色を思い浮かべながら聴いてもらえたらなと思います」
クボ「男の子に聴いてもらいたいな。自分らくらいの年の子でも良いし。もちろん女の子でも良いんだけど、“男の子はこんなことを考えているんだ”っていう捉え方でも良いし。男が聴くと、何か懐かしいものに出会えるような気がします。男の俺が作っているから、そこに響けば良いなって気がします」
ヤマザキ「僕はね、単純明快です。全曲本当に良いので、聴いてみて! という感じです」
──みんなクボ君の書く曲が好きだよね。それが演奏面で凄く伝わる。
ヤマザキ「そうそう!」
──メジャー・デビューをしてそろそろ半年が経とうしていますが、心境の変化等はありましたか?
クボ「やっぱり音楽に専念出来る環境があるくらいかなぁ。付き合っている人も周りの仲間も変わらないしね(笑)。それが逆に安心した」
ヤマザキ「僕はね、ちょっと優しくなった」
全員「(笑)」
ヤマザキ「ここ最近ね、凄く練習しまくったの。私事なんだけど。練習しまくったら、昔以上にラクに楽曲を叩けるようになったんだよね。周りのことを気づかった音を出せるようになった。普段の生活の中でも、大勢のスタッフに支えられて出来ているんだと実感することがあるから、みんなに優しく出来るようになった気がする」
タケシタ「自分が何なのか? と見えるようになってきて。自分ってこういう人間なんだなぁと見えてきたし。弾くベースとかも、別 にこむずかしいことはしてないけど、俺のベースだなぁと実感出来るようになった」
──あともうひとつの今年の大きな出来事は、ワンマン・ライヴが12月7日、渋谷CLUB QUATTROで控えていることだよね。
タケシタ「東京でワンマン・ライヴをやるのが、実は2回目なんですよ」
──クアトロでワンマンを飾るって凄いことだよね!
クボ「埋まるのか!? っていう不安もあるけど(笑)。でも立ちたかった舞台だったりするから、その夢に描いていたことを、音として最低でも鳴らすぞ! というのはありますよね」
──メレンゲだけを観に来てくれる人の前でやるからね。凄く幸せなことだよね。
ヤマザキ「凄く大事に曲を伝えたいですね。ノリとか勢いとかだけじゃなくって、1曲1曲大事に作ってきたので。その気持ちを観に来てくれたみんなに伝えたいです。それだけです」


◆Release info.

初恋サンセット

WARNER MUSIC JAPAN/ORGANON
WPCL-10132
1,890yen (tax in) / 10.20 IN STORES

◆Live info.
<fuzz maniax @ LOFT 4 DAYS supported by smart>
10月18日(月)新宿LOFT
w/ bloodthirsty butchers / ART SCHOOL / フジファブリック
OPEN 18:00 / START 18:30
PRICE: advance-2,800yen / door-3,300yen(共にDRINK代別)
【info.】shinjuku LOFT:03-5272-0382

<初恋サンセットCD発売記念 〜初恋狩りツアー2004〜>
10月31日(日)下北沢CLUB251『初恋サンセット・イヴ』/11月11日(木)仙台LIVE HOUSE enn/11月15日(月)広島ナミキジャンクション/11月17日(水)福岡ビブレホール/11月19日(金)岡山CRAZY MAMA2/11月20日(土)松山SALON KITTY/11月26日(金)宇都宮VOGUE/11月27日(土)高崎クラブフリーズ/11月30日(火)新潟クラブジャンクボックス/12月2日(木)名古屋アポロシアター/12月3日(金)大阪バナナホール/12月7日(火)渋谷クラブクアトロ〜ワンマン・ライヴ『初恋狩りツアー・ファイナ ル』
【info.】VINTAGE ROCK:03-5486-1099 
http://www.vintage-rock.com

メレンゲ OFFICIAL WEB SITE http://www.e-merengue.com

メレンゲのみなさんから素敵なプレゼントがあります!

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