空前のビッグアルバム『SESSION』からの先行シングル、LAから緊急到着!
 結成11年目に突入したNICOTINEが、グッとアクセルを踏み込み、さらにスピードを上げている。7月にリリースされたシングル「太陽〈ティダ〉の樹の下で〜THE TREE OF THE SUN」(沖縄の伝統楽器“三線”を導入したこのレゲエ・チューンは、沖縄を中心にジワジワと広がりつつある)では、その幅広い音楽性と“常に新しいことにトライしていたい”という前向きな姿勢を改めて見せつけた彼らだが、9月8日に発売となるニュー・シングル「PREJUDICE」は“こういう曲を待ってました!”とガッツ・ポーズしたくなるようなメロディック・パンク・チューンに仕上がっている。そして10月には、約2年振りとなる待望のニュー・アルバム『SESSION』も到着! 新しい一歩を踏み出した彼らに、地元・船橋で話を訊いた。(interview:森 朋之)

結果的にいつも新しい要素が入っている
──生まれた時から船橋なんですよね?
YASU(g)「俺とFULL(b)はここが地元ですね。生まれも育ちも船橋なんで。他の2人も千葉ですけどね」
HOWIE(vo)「ドラムのNAOKIは津田沼。僕は南房のほうですね。昨日も行ってきました(笑)」
──地元に自分達のスタジオを作っちゃうっていうのはいいですね。生活もレコーディングもここで出来ちゃうっていう。 YASU「うん、確かに便利なんですけど、締切がないっていうのが…。ずっと使えちゃうんで、どんどんケツが伸びちゃうんですよ。いつまで経っても終わらない(笑)」
──なるほど(笑)。まず、7月にリリースされた「太陽(ティダ)の樹の下で」の話を訊きたいんですが。
HOWIE「あの曲は、三線を弾きたいがために出来た曲なんですよ。もともと僕が三線の師匠について習ってたんですけど、師匠に『曲を書いてみたら?』って言われて。で、曲を作ってメンバーの前で唄ったりしてたら、『それ、いいね。バンドでやってみようよ』って話になったんです。最初は『バンドで出来るのかな?』って半信半疑だったんですけど、実際に出来たアレンジを聴いたら、これが凄く良かったので、『せっかくだから、シングルにしようか?』って。ただ、ライヴではまだ馴染まないみたいだけど(笑)」
──ノリ方が判んない、とか?
HOWIE「でしょうね、多分。スカはやってるけど、レゲエ色がここまで強いアレンジっていうのは、今までやったことないから」
YASU「いつものように俺が打ち込みでデモを作って、曲の展開も新たに考えたんだけど、そんなに特殊なアレンジではないと思いますけどね。ミクスチャーっぽいかもしれないけど、もともと俺達が好きな感じになってると思うし」
HOWIE「最近の俺達の感じですね、これは。ちなみにFULLはアレンジと言わず、“アレンゲ”って言います」
FULL「いや、(英語を)ローマ字読みしてるだけなんですけど」
──(笑)三線はいつからやってるんですか?
HOWIE「えーっと、小学校の時ですね。地元のリトルリーグに入った時に初めて経験しました」
──それは“三振”…。
HOWIE「ハハハハハ」
YASU「軽いネタですね、はい」
HOWIE「“(三)線”のほうは、1年くらい前からですね。近所に伊藤楽器っていう楽器屋がありまして、そこに1本だけ置かれてて。FULLと弦を買いに行った時に見つけて、『これも買っちゃえ!』って。三線の他に、中国の……あれ、何て言うんだっけ?」
FULL「二胡、ですね」
HOWIE「そうそう。まぁ、三線に関しては、蛇革にヤられちゃったんですけどね(笑)」
──でも、弾いてみると楽しかった?
HOWIE「うん、まずね、コードを覚えなくていいんです。ずっと簡単なソロをやってるような感じで。わりと簡単に覚えられるんです」
──で、曲に繋がっていった、と。「これを取り入れよう」っていう構えた感じではないのがいいですね。
HOWIE「そうですね。単純に楽器に触りたいだけなんで。(バンドに)“取り入れてみよう”っていうのはないかな。そうすると“ヨッコイショ”って感じになるじゃないですか? 気付いたら入ってたっていうか、いつの間にか曲が出来てたって感じ。“取り入れよう”とかしないバンドですからね、NICOTINEは。取り入れようとすると大袈裟になっちゃうんですよ。たとえばジャズをやろうとして、『フレットレスの大きいベースを入れようか?』って言ったら、人探しから始めないといけない。それだと大袈裟な話になっちゃうし。新しい要素が入ってる時は、取り入れようと思ってるわけではなくて、結果 的に入ってる。それがいつものパターンですからね」

集団主義と個人主義を対比した「PREJUDICE」
──なるほど。その後に出た「PREJUDICE」ですが、これはもう、“待ってました!”って感じの曲ですね。スピード感があって、メロディックで、NICOTINEの音楽の特性が完璧に表現されてると思いました。 YASU「うん、この曲に関しては、最初から手応えがありましたね」
HOWIE「狙ってもなかなか出来るもんじゃないんですよ、こういう曲って。いつの間にか出てきて、“あー、何年振りかで書けたな、こういうの”って思う。『PREJUDICE』は、まさにそういう曲ですね」
──“これだ!”って曲は、待つしかない?
HOWIE「そうですね。自分の調子とみんなの調子がうまく交じり合わないと出来ないんですよね。それはホントに“たまたま”っていうか、“こうやって作れば、いい曲が出来る”っていう方法はないので」
NAOKI「うん、その通りです」
YASU「アルバムのプリプロをやってる時から、これはかなりいい感触だったからね」
FULL「“もしシングルを出すんだったらこの曲だな”っていうのは結構ありましたね」
HOWIE「でね、そういう曲が出てくる時って大概、曲として完成された形で出てきますよね。『ティダ〜』もそうだったけど、Aメロからサビまで、一気に出来ちゃう。アイデアだけあって、“これを作り込んで曲にしよう”って時は、結構苦労しちゃいますね。“Bメロが出てこない”とか“繋がりが悪い”とか、いろいろあって」
──歌詞はどうだったんですか?
HOWIE「歌詞も(曲と)ほぼ同時で出来ましたね。あとは和訳するだけって感じで」 YASU「プリプロの段階から、すでにこのタイトルだったしね」
──「PREJUDICE」っていうのは、“先入観”って意味ですよね?
HOWIE「そうですね。“偏見”とかね」
──かなり深いテーマですよね。
HOWIE「まぁ、テーマは自然と出てきたっていうか、そういう社会情勢みたいなのがあったんだと思うんだけど。これは集団主義と個人主義の歌ですよね。最近だと、(サッカー・アジアカップにおける)中国の応援とかに当てはまるんじゃないですか?」
──あー、そうかもしれない。
HOWIE「あれって、戦争も知らない人が言ってるわけじゃないですか? 戦争の“せ”の字も知らない、若いヤツが騒ぎ出して。実際に戦争を経験した人は怒ってるみたいですよ。厭な記憶が甦って、傷口が広げられたって」
──酷い話ですね。
HOWIE「そういう酷いものと戦う歌ですからね、これは」
YASU「まぁ、でも、(試合には)勝ったからね。もともと日本のチームは強いからね。実力はアジアで一番なんだから。全然負ける感じがなかったし。2点目はちょっと怪しかったけどね、ハンド気味だったから」
HOWIE「あれもさ、『日本人だから怪しい』って言われるんじゃない? だって、マラドーナだったら“神の手”ってことになるんだから(笑)。しかしあの試合の審判は怪しかったなぁ」 YASU「そう、審判もこの曲を聴いて、よく考えたほうがいいよ」
──「個人」として「集団」に戦いを挑む、ってことで言えば、NICOTINEはまさにそんな感じですよね。誰にも頼らず、自力で今の状況を作ってきたわけで。
HOWIE「(他のバンドの)仲間はいるんですけど、ビジネスで組むことはないですね。もっとラクに出来る人がいれば、やってるのかもしれないけど。なかなかガードが堅いですよ、どこのバンドも。…っていうか、事務所が、かな?」
YASU「“レーベルの垣根を越えて…”ってなかなかないじゃない? 『一応、事務所に確認してから…』ってどのバンドも言うから。『事務所は関係ないから』ってことになれば、もっと面 白いことがいろいろ出来るんだろうけど」
HOWIE「それに、個人でやっちゃったほうがラクですよ。誰にも遠慮せずにどんどん前に進めるから。他の人と組む準備をしてる時間で、俺達なら3枚くらいアルバム出来ちゃう」
YASU「毎月アルバム出したりね。そういうのもいいねぇ。限界に挑戦(笑)」
──曲を創るスピードは早いほうなんですか?
YASU「基本的には早いよね」
HOWIE「たとえばプリプロをやるってことになったら、どんどん作っていって、『これをアレンジして』って感じで(メンバーに)どんどん渡して。だからアレンジが間に合うか、歌詞が追いつくか、ってところですよね。アレンジャーの人がいてくれたら、もっと早く出来ると思うけど。『はい、これやって。次はこれ』って(笑)」
──工場みたいに。 YASU「あー、そういうのも面 白いかもしれない」
HOWIE「アレンジャー雇う? あと、打ち込んでくれる人とか。死にそうだよね、その人。打ち込みで人生が終わる。いやだなぁ、そんな人生」
──(笑)2曲目に入ってる「PREJUDICE」のアコースティック・スタジオ・ヴァージョンは?
YASU「ここのスタジオで一発で録りました。LAでレコーディングしてる時に、突然“シングル出したい”ってことになったんですけど、カップリングの曲がない。だから、(船橋に)戻って録ろうってことになって」
HOWIE「ライヴですからね。すぐ録れちゃいました」
──フットワークいいですよねぇ。
YASU「すぐ出来ますから。今もやれって言われれば、出来ますよ(笑)」
HOWIE「自分で録ればいいよ、って感じで」
YASU「LAでレコーディングした経験が活かされてますよね」
──「太陽〈ティダ〉の樹の下で」と「PREJUDICE」という2枚のシングルを出したことで、いい感じでアルバムに繋がりそうですね。
HOWIE「もともとは、シングルを切ろうとしてなかったんですよ。いきなりアルバムを出そうと思ってたんですけど、いい曲が出来たからシングルを出したくなって」
YASU「結果的には良かったと思いますよ。『ティダ〜』でHOWIEが沖縄に行ってPVを録って、あっちでもいい盛り上がり具合になってきたみたいだし。今は第2の故郷ですよ、沖縄は。LAはもともとそんな感じあったけど、さらに沖縄が加わった」
HOWIE「千葉って、沖縄に似てるんですよ。千葉の南のほうに行くと、椰子しか生えてないから。しかも千葉って、沖縄よりもゴーヤの種類が多いんですよ。この前、南房に行ったら、5種類のゴーヤが売ってましたから」
──ゴーヤに種類ってあるんですか?
HOWIE「ありますよ。知ってます? ゴーヤの消費量 は沖縄に次いで千葉県が多いんですって。『大連』(スタジオの隣にある中華料理屋)のオヤジも昼のランチでゴーヤ・チャンプルやってますから(笑)。俺はいつも食べてます。今日はニラレバだったけど(笑)」


★Release info.

PREJUDICE

SKY RECORDS/WARNER MUSIC JAPAN
WPCL-70022 1,050yen (tax in) / 9.08 IN STORES

*ウォーレン・フィッツジェラルド(THE VANDALS)をプロデューサーに迎えた待望のニュー・アルバム『SESSION』(初回盤には全PVを完全収録した限定DVD付!)、10月6日リリース!

★Live info.
<The Tug of Rock'n Roll 04>
9月5日(火)沖縄・宜野湾海浜公園野外劇場
w/ ↑THE HIGH-LOWS↓/ the pillows / GO!GO!7188 / ゆらゆら帝国 / etc...
OPEN 13:00 / START 14:00
PRICE: advance-5,000yen / door-5,500yen
【info.】ピーエム・エージェンシー:098-898-1331

<Hurley presents FREEDOM TOUR>
9月24日(金)渋谷O-EAST w/ fly-81 / Bullets and Octane (from USA) / STEREO VISION
OPEN 18:00 / START 18:30 PRICE: advance-2,800yen(DRINK代別)
【info.】DISK GARAGE:03-5436-9600

<ヘッドロックナイト VOL.21>
11月28日(日)沖縄・宜野湾 HUMAN STAGE
w/ HIGHWAY61 / 大和 / gulff / Bleach / EAST WOMAN
OPEN 16:30 / START 17:00 
PRICE: advance-2,000yen(DRINK代別)
【info.】ピーエム・エージェンシー:098-898-1331

10月15日(金)CLUB CITTA' 川崎/10月31日(日)工学院大学八王子キャンパス学園祭/11月13日(土)小倉Bagoo

NICOTINE OFFICIAL WEB SITE http://www.skyrecords.co.jp/nicotine/