パンク魂健在! よりソリッドでタイトになった待望の新作発表!!
単独作品としては、前作より約2年振りとなるフル・アルバム『THE GREAT ESCAPE』をリリースするCOOLER KING McQUEEN。今年で結成10年目を迎えた彼らが届けてくれた新作は、熱く優しく逞しい彼ら同様、非常に格好良い内容に仕上がっています。そして、本音で勝負するということは決して恥ずかしいことではない、ということをふと、思い出させてくれたのです。だから、本音で言わせて頂きます。『THE GREAT ESCAPE』、物凄く素敵な作品です。つべこべ言わず、聴いてくれ!(interview:TOMO)

これしか出来ないから開き直りの美学を求めた
──前作をリリースしてから約2年間空いたけど、この期間はどんな感じだった?
KOBA(vo)「解散の危機とか」
──えっ、マジで!? KOBA「…嘘です(笑)」
INUI(ds)「(笑)」
KOBA「鬱病の人や、自殺志願者の人が出てきたりとか。そういうのを乗り越えての、早い話が…、変わらず(笑)」
INUI「でも、間にYOUTH ANTHEMとのスプリットを出したりとかしてたんで、あんまり間が空いたっていう感じはしないんだけど、実際には2年振りなんだよね」
──そっか、音源は出してたんだ。単独作品としてが2年振りになるんだね。今回のレコーディングは、どれくらいで進んだ? INUI「録りはカツカツのスケジュールでやったんで、全部で5日間?」
KOBA「録りは5日、かな」
INUI「そうだよね。リズムが2日で、ギター被せて、歌録って。全部で5日間かな」
──えぇっ! 14曲でしょう?
INUI「うん。でもそれまでに今回はCDを出そうって決めてたんで、準備の期間が前よりも多少はあって。プリプロみたいなこともちょっとやってみたりしてたから」
──あっ、そうなんだ?
INUI「そうそう、だから多少、録るのとかいつもよりは楽…でもないけど。ま、俺1回、気絶したからね(笑)」
──えっ? どういうこと?(笑)
INUI「『10曲くらい録ろう』って言って、確かね、8曲で止めたんだけど。8曲目くらいでまず、GOSHI君(b)が腕の筋を痛めて(笑)。俺も、集中力を使い過ぎたのと、体力的にキツイのとで『ちょっと休ませてくれ』って言って寝たというよりはもう、気絶したって感じで(笑)。それでその日は8曲録って、次の日また、8曲録って。でもほとんど、1発2発だったね」
──じゃ、凄い順調に録れたんだ?
INUI「うん。多分、それがさっき言った、準備が多少出来てたからっていうのがあると思うんだけど」
──じゃ、曲作りにも余裕があった? KOBA「他のバンドと比べたらどうなのかなっていうのがあるけど、ウチらの中ではちゃんと準備をしたほうかな」
INUI「俺が一番年下なんだけど、もう皆、今年の4月で30(歳)になって、吹っ切れたね。もういいだろう、これでっていう(笑)。だから作品としてはすげぇ、良いほうに出たとは思う」
──ふうん。前作の取材の時に、「4人の見てる行き先が同じ方向を向いた」とか「好きなことの色を濃くすることが出来た」っていうことを話してくれたんだけど、今回の作品でそれがより深くなったんじゃないかなっていう。
KOBA「でも、やっぱりそれね、無理(笑)。4人がね、同じ方向は向いていなかった。今回もね、向いてないと思う。もう、それで良いんじゃないのかなっていう。うん。結構、嘘だよ、そんなのは。全く違う人間が4人、いるからさ。だからね、判ったような口を利いてたんだね、多分」
──そうなのかなぁ?
KOBA「また、初期に戻ったって感じじゃないかな、逆に。流行りで言えば初期衝動って言うのかなぁ、そういうことを。でも、そういうのを取っ払っちゃって、もう10年やってきて、今出来る良い形で出してみようよっていう風になったのかな」
INUI「(CDは)聴いた?」
──うん、勿論。
INUI「格好良いべ?」
──うん! これは本当に、クーラーの作品の中で一番、好き。
INUI「でしょう? …でしょう、って(笑)」
──でも本当に、一番好きだと思った。凄く、聴き易いし。
INUI「それを言ってもらえると嬉しい。それは結構、狙ったところかもしれないんで(笑)」
──そうなんだ(笑)。あと、“懐かしい”っていう言い方はヘンだけど。
KOBA「ま、古臭いんですよ(笑)。80年代臭がプンプンする。昔、こういう日本のパンク・バンドが一杯いたなって。逆に今は、ダサいんじゃないの、みたいな。若い子から言わせると。でも、これしか出来ないんで、開き直りの美学を求めて」
INUI「うん」
──私、皆と同年代だから…。
KOBA「そうだよね(笑)」
──うん。昔、こういうの聴いてたなぁって。
KOBA「うんうん」
INUI「あれ、オカシイな。それでも結構、新しいんじゃない?(笑)」
KOBA「そう、ウチらの中では新しいんだけど、それは結局、楽曲の進化ではないよね」
INUI「あぁ〜」 KOBA「楽曲自体は、自分らが聴いてたものに近くなってきて、退化じゃないけど古い感じになってると思うなぁ。多分、それの出し方の問題…、出し方も古いのかなぁ、本質もっていうことで。でも、そういうバンドだよ。全然、良いんだよ」
──若い子たちは多分、あんまり聴いたことのない種類の楽曲だと思うから、逆に新鮮なのかなって。
INUI「毎回、アルバムを出す度にそれを言われる(笑)」

もういいじゃん、俺らは作りたいモノを作れば
──今の若いバンドの中で、自分たちはどういう存在として捉えてる?
KOBA「結構、被害妄想が酷いから、多分、若い子たちにはエバリくさってるだけのバンドって」
──それはないよ!
KOBA「そういうこと、訊きたいんじゃないの?(笑)」
INUI「でもまぁ、周りはそう思ってる(笑)」
KOBA「正直、楽曲とかそういうので、あんまり求められてないなっていうのがあって。僕らを聴いてきてくれた子がバンドをやり始めて、その子が『企画に出て下さい』って言って呼ばれて出てたりしてたんだけど、やっぱり、その子たちを観に来てるお客さんにはアピール出来ないんだよね。僕らもアウェイでライヴを演るわけで、向こうも初めて観るじゃないスか。其処に対して何も生まれないライヴが凄い、多くて。それが何がいけないのか判らないし、判れば今でも出るけど、だから結局、そういうライヴはあんまり出ないようにしようって。それでまた、自分らの企画を始めようっていうことになって。やっぱり、僕は所詮、流行りで音楽を聴いてる人がほとんどだと思うし、哀しいけど、そういう人たちがそういうモノを動かしてると思ってて、そういうところには10年やってきてアピール出来なかったわけだから、“もういいじゃん、俺らは作りたいモノを作れば”ってなってすげぇ楽になったから。だから、これを出したことによってどうなるかとかもう、出してもらって悪いけど求めてないし」
INUI「青春パンクとかっていうのが今、あって、そういうのが流行ってんのかどうか知らないけど、そういうのとはもう、絶対に違う。青春はもう終わってるから、俺たち、30歳で(笑)。オヤジがやってるパンク・ロック、でも自分らが学生の頃に聴いてて“格好良いな”って思ったモノを自分らなりに消化して出してるから、聴いて『格好悪いじゃん』って言われたらもう、それはそれだと思うし。自分らが良いと思ってるから良いんじゃないかなぁ? 若い子にどう思われたいとか、最近はないかな。だから、さっきの小林君(KOBA)の話じゃないけど、自分らの企画をやりだして、昔から…と言ったら失礼だけど、メロコアのシーンの人たちとか、自分らが好きなバンドの人たちを呼んで、自分らが刺激になるような企画をやっていけたら良いかなっていうぐらいかな。…だって勝てないもん、20歳くらいの奴に(笑)」
KOBA「喧嘩は勝てるだろ?」
INUI「喧嘩は絶対、負ける気しないけど(笑)」
KOBA「だから多分、面倒臭いって思われてるんだよ。向こうも思ってるよ、動員とか楽曲では勝ってるけど、腕っ節では負けてるって(笑)」
INUI「経験値とか堂々たるステージとかは、本当に自信があるっていうか。もう、10年やってきてるから、流石にそこは自信持ってやってないと何も残らないんで(笑)」
KOBA「まとまったね」
INUI「まとまったね」
KOBA「今のシーンの自分らの位 置が上手く言えたね(笑)」

信頼はしてるけど、信用はしてない(笑)
──さっきから何度も話に出てるけど、今年で結成10年なんだよね。10年を振り返ってみてどう、早かった? 長かった?
KOBA「僕は早いスね。昨日のことのようです」
──あ、ホント?
KOBA「ハイ」
INUI「マジで、あっという間だね。俺も入って8年になるけど」
KOBA「ほとんど覚えてないでしょ、真面目にやってないから」
INUI「だって8年って言ったらアナタ、小学校1年から中2ですよ! それぐらいやってるんだから、経験値とかは負けるつもりはないっていう(笑)」 KOBA「そこだけ声を大にして言えるよな(笑)」 INUI「そこだけはもう、本当に」 KOBA「そこだけしかないもんな」
INUI「しぶとさ! しぶとさには自信がある」
──INUI君が入ってからの8年間は、一度もメンバー・チェンジがないでしょう。それって、メンバー間の信頼とかが強いから?
KOBA「それはない(笑)」
──居心地が良いって感じ?
KOBA「うん、それは凄いある」
INUI「ある!(笑)」
KOBA「居心地は良いけど、信頼はないな」
INUI「いや、違うな。信頼はしてるけど、信用はしてない(笑)」
KOBA「アハハハハ!」
──でも、凄い仲良いよね。
INUI「そうだね、他で10年やってるバンドとかあんまり知らないけど、他に比べたら破格に仲は良いと思うね」
──うんうん。じゃ、結成当初に作った曲を今、改めて聴き直したりした時って、どういう印象がある?
KOBA「あ〜、聴かないからなぁ」 INUI「聴かない。ライヴで演ろうぜっていう時に、思い出す為に聴くぐらいで。実際これ(『THE GREAT ESCAPE』)ももう、全然聴いてないもん」
──えっ、マジで!?
INUI「いや、出来上がった当初は結構、聴いたけど」
KOBA「ホントに〜?」
INUI「うん、今はもう聴かなくなっちゃったね。レコーディングして詰めてやってて、身体がもう覚えてるから。聴く必要がないというか」
KOBA「聴く必要がない!(笑)」
INUI「“聴く必要はねぇぜ”って書いといて(笑)」
KOBA「そしたら駄目じゃん、誰も買わねぇじゃん」
INUI「違う違う、俺がね。“皆は聴く必要があるぜ”って書いといて(笑)」
──判った(笑)。じゃ、最後に10年目を迎えた今、今後の目標があったら教えて。
KOBA「目標を立ててたらもうねぇ、実現してないと駄 目じゃないですか(笑)」
──あ、結成当時には目標を立ててたの?
KOBA「(小声で)立ててない(笑)。こんなになると思わなかったから」
──あ、そうなの?
KOBA「うん、だってもう、全然遊びでやってたもんなぁ」
INUI「うん」
KOBA「その延長でやってるだけなんで。だからあと20〜30年は続けようと思いますね。それが目標ですね」
INUI「何処までやれるかっていうのは目標かもしれないね」
KOBA「尚かつ、売れてようが売れてなかろうが、1年に1回、絶対にワンマンを演ってやりますね!」

THE GREAT ESCAPE

LOFT RECORDS / TIGER HOLE CHOICE
THCA-035 2,100yen (tax in)
2004.8.09 IN STORES

Live info.
8月1日(日)町田PLAY HOUSE 『COOL or FOOL? VOL.37〜アルバム先行発売記念GIG』/8月8日(日)渋谷GIG-ANTIC『COOL or FOOL? VOL.38』/8月27日(金)大阪2nd LINE/8月28日(土)名古屋HUCK-FINN/9月12日(日)渋谷GIG-ANTIC『COOLorFOOL?vol.39〜"THEGREATESCAPE" RELEASELIVE』/9月17日(金)新宿ANTIKNOCK

COOLER KING McQUEEN OFFICIAL WEB SITE http://www1.odn.ne.jp/%7Ecck66210/CKM/