1曲、1曲に今ある力を出しきった瑞々しい初のフル・アルバム

 つばきが待望の1stフル・アルバム『あの日の空に踵を鳴らせ』を遂にリリースさせる。今作のような作品を生んだせいだろうか…、メンバーの顔つきや心境を察して自分達に自信があるように思えた。こうした若い子達が懸命に、自分の好きなことをしている姿は本当に惹かれるものがある。そして、この機会につばきの3人にお話を伺えたことを幸運に思う。(interview:hiroko higuchi*)

生活と密着した等身大でリアルな歌
──まずは自己紹介がてら最近の近況などを教えて下さい。
一色徳保「どうも、はじめまして。ヴォーカルとギターの一色と申します。最近はアルバムも完成したということで、ライヴに向けてリハをしつつ、もう新曲に向けて活動しております」
──えっ? もうですか?
一色「作り終ったらまた作るという…」
──曲ってすぐに生まれるものなんですか?
一色「生まれないんですけど…(苦笑)」
──それにしても早いなぁ…。あんな大作(新作『あの日の空に踵を鳴らせ』)を作った後なのに。ではお次、お願いします。
岡本奈穂子「ドラムの岡本奈穂子です。最近、自転車が盗まれて凄く困っていたんですけど、新しいのを購入した途端に家のすぐ近所で発見されました(笑)」
──何だか切ないですね…(笑)。
岡本「凄くブルーでした…。家の凄く近所で見つかったんで」
──ではお次、お願いします。
小川博永「ベースの小川です。最近まで風邪を引いていました」
──季節はずれの風邪ですねぇ…。
小川「もう直ったんですけどね」
──早速、新作『あの日の空に踵を鳴らせ』についていろいろとお話を聞かせて頂きたいのですが…。この作品はいつ頃から作られた作品なのですか?
一色「録音した時期は全てバラバラなんですよ。古い曲だと昨年の6月くらいから録っていますよ」
──この新作12曲は去年のうちに全て録られていたんですか?
一色「この中の数曲は今年にまたがって録っていましたよ」
──今回の作品は、凄く聴き応えのある作品なので正直びっくりしました。全曲一色さんが作詞・作曲を手掛けているのですが、実体験を元に曲を書かれていたりするんですか?
一色「実体験を元に書くのと、僕が思ったことを広げて書いたりとかね」
──歌詞を読んでいたら、勝手に何か親近感が湧いちゃいました(笑)。同じ悩めるいち人間なんだなぁってね。あとは、いろいろと積み重ねてきたことがこうしたサウンドになったのかなぁと思うと感慨深かったです。
一色「やっぱりたくさんライヴをしてきて。いろんなバンドさんと共演することによって学んだこともたくさんあるし」
──あと、この新作を聴くとライヴを観てみたいなぁ! という衝動に駆られるんですよね。
一色「本当ですか? 嬉しいですね」
──このアルバムに収録されている12曲の解説をお願いしたいのですが、最初の1曲目〈踵〉は“これから始まるぞ…”みたいなワクワク感というか、ゾクゾクするような感じを受けました。
一色「自分達にとっても初めてのフル・アルバムだし、“始まる!”という感じがあっても良いかなぁって。でも、このアルバムに収録されている曲の中では一番最後に出来た曲なんですけどね」
──1曲目〈踵〉から2曲目〈青〉へはさりげなく入っていきますよね。
一色「さりげなく入っていきますよね、ギターが」
──〈青〉はシングルにもなった曲ですが、特にいじらず収録されたんですか?
一色「いじっていないですね。〈青〉はタイトルが“青”なだけに、若い感じを出した曲です」
──〈青〉を聴くと、つばきのライヴを思い出してしまうんですよね。つばきの代表曲みたいな感じですよね。
一色「今はそうなっていますね。ほとんどのライヴで演奏していますからね」
──3曲目〈雨音〉は?
一色「実は〈雨音〉はかなり古い曲なんですよ。今のメンバーになって、ちょっと経ってから出来た曲なんです」
──個人的には4曲目〈夜風に乗せて〉が好きなんです。ドライヴに合いそうな曲だなぁと思いました(笑)。
一色「押し曲ですね。4曲目はどうやらクッション的な存在の曲なんですよね。軽い感じの曲で、そんなこんなもいいじゃない? みたいな」
──この曲でつばきの新たな一面が垣間見られた気がしました。
一色「内にこもった自分だけじゃなく、あか抜けた自分も良いのかなぁって。そういった自分もないわけじゃないから」
──私の中で勝手なイメージがあって…。一色さんは曲を作る時、部屋を暗くして閉じこもって書くイメージがあっただけに、余計に響きました(笑)。
一色「別にそれははずれでもないんですけどね(笑)。曲を書く時だけではなく、通 常も部屋は暗いんですよ(笑)」
──5曲目〈アセロラ〉は?
一色「“ポジティヴに前向きに行こうよ!”的な、最近出来た曲なんですよ」
──今までのつばきの曲を聴くと、判りやすく前向きな歌はないですよね。でも、決して暗いことを歌っているわけでもなくて…。
一色「とりあえず今の気分を判りやすく書いた曲ですね」
──1曲、1曲の歌詞を読んでいると、誰かの生活の一部分を覗いているというか…生活と密着している感じを受けるんですよね。等身大というか、リアルだなぁって。では、6曲目〈新しい世界〉は?
一色「もうタイトルのまんまで、“新しい世界へ飛び出そう!”的な曲なんです」 ライヴは自分達にとってなくてはならないもの
──7曲目〈曖昧な夜〉は?
一色「随分前からあった曲なんですよ」
岡本「私が入った年の夏の終わり頃からあった曲なんですよ」
一色「2年くらい前の曲ですね」
──ちなみに今の3人になってからはどのくらい経つのですか?
一色「2年くらいですかね」
──バンド自体は?
一色「僕が大学2年生の時に結成したんですよ。今年で5年目ですね」
──どういった経緯で知り合ったのですか?
一色「僕が大学のサークルで、ベースとドラムと3人でやっていて。で、ベースが抜けるって言って。で、ベースが最後のライヴの時にたまたま小川くんが別 のバンドを観に来ていて」
小川「で、たまたま楽屋で話をしていたら“ベースを探しているんだよ”的な話になって…」
一色「リハに入ってもらって一緒にやるようになったんだけど、1年くらい経って今度はドラムが抜けるっていうことになって。“俺は音楽が無理だ”って言って抜けて。その時、小川くんの友達の友達って紹介されたのが今のドラムです」
──それが2年前のお話なんですよね。早いですよね。それで今年でクアトロ2回目だよ?(笑)
一色「でも、僕ら今年で5年目なんで…(笑)」
──では、話を戻して…っと(笑)。8曲目〈君のヒゲ〉は?
一色「そんなことつべこべ言わなくってもいいじゃん! 的な曲です」
──えっ? それは誰に向かって言っている曲ですか? 自分に向けて言っているんですか?(笑)
一色「いやぁ…。いろいろと物事を作るのに文句とか出るじゃないですか? ちょっと自分の中でも幼稚な自分を出した曲です」
──9曲目〈悲しい鳥〉は?
一色「スロウな感じな曲調も欲しかったので、その時の気持ちを曲にしました」
──10曲目〈猫〉は一瞬かわいらしい曲なのかなぁと思ったら、トゲがある曲ですよね。「猫が車にひかれて死んだ」ですからね…。
一色「〈猫〉も古い曲なんですよね。トゲがある曲なんですけど、僕の中では割と綺麗な感じの曲でありたいし、単純に自分を励ます曲でも良いし、人を励ます曲でも良いし」
──11曲目〈夕暮れ〉は?
一色「東京へ来てからの自分を考えながら、どう前向きにやっていこうかなぁと。ちょっと男らしい曲も良いかなぁ…って思って」
──最後の12曲目〈サヨナラ〉にはジ〜ンときちゃいました。特に歌詞が!
一色「そうですね…。友達に向けて書いたのですが。いろいろあって…」
──曲を書く時って、メロディと歌詞は同時に出てくるものなんですか?
一色「メロディが先だったり、歌詞が先だったりと両方ありますね。同時はあんまりないですね」
──今回この新作を作って苦労したことなどありましたか?
一色「あんまり苦労はなかったですね、今回は」
──他のパートに関してはどうですか?
岡本「1曲、1曲その時にある曲を順番に録ってきたので、その曲に対して自分なりの努力を精一杯しようと思いましたね」
小川「基本的には同じなんですけど。1曲、1曲に今ある力を出したという感じですかね」
──これだけ立派なものを出してしまうと、早くも次作を期待されちゃうんじゃないですか?
一色「どうなんですかね〜? でも、次のほうが絶対に良いのは間違いないですよ(笑)」
──どんなものが出来るんでしょうね。楽しみだなぁ。
一色「だいたいどのアーティストも、一番最初のアルバムが良かったりするじゃないですか? でも、そうならないのがつばきなんで。新しいことはドンドンやっていきつつ、つばきの武器もちゃんと入れつつね」
──お次はライヴについてお訊きしたいのですが、つばきにとってライヴとはどんな存在ですか?
岡本「なくてはならないものですね。なくなったら、たぶん音楽をやらないと思う」
──それは存在が大きいですね。
岡本「ライヴで一番自分達を伝えられると思うし、一番成長出来る場だと思うし。なくてはならないものですね」
──せっかくなので、初めてロフトに出演したことをお訊きしたいのですが…。
一色「初めて出演したのはロフトのサブ・ステージです」
──覚えてますか?
一色「覚えていますよ! ライヴハウスって僕はロフトが一番好きなんですよ。何回も出演したいですよ」
──そして、クアトロでのワンマンも控えていますが(このインタビューはクアトロ・ワンマン実施前なのです)、クアトロという広い会場でライヴをやることに関しての心境をお訊きしたいのですが…。
一色「凄く大好きなライヴハウスです。やっぱ、観に行くにしてもよく行く場所でもありますからね。クアトロでライヴをするということに特別 意気込みはないですけど。ワンマン・ライヴをする! という気持ちのほうが強いですけどね」
──このワンマンを終えた後は、夏も数々のライヴ・イヴェントが控えているんですよね。
一色「そうですね。楽しみです。自分達も観てみたいバンドがたくさんいますしね」
──それでは最後に、読者の皆様にメッセージをお願いします。
一色「アルバムを聴いて、是非ライヴにも遊びに来て下さい」


★Release Info.

あの日の空に踵を鳴らせ

楓レコード
KEDCD-0005
2,625yen (tax in)
2004.7.02 IN STORES

★Live info.
<新星堂&LOFT presents L★SELDOM 7.18>
7月18日(日)新宿LOFT
w/ 椿屋四重奏 / 残像カフェ / 音速ライン / フーバーオーバー / 自由人 / etc...
OPEN 16:30 / START 17:30
PRICE: advance-2,300yen / door-2,800yen(共にDRINK代別)
【info.】shinjuku LOFT:03-5272-0382

7月8日(木)広島ナミキジャンクション/8月1日(日)TOWER RECORDS渋谷店「STAGE ONE」/8月22日(日)“MONSTER baSH 2004”国営讃岐まんのう公園内芝生広場/8月23日(月)松山SALON KITTY/8月27日(金)“RUSH BALL☆P”神戸チキンジョージ <つばき東名阪ツアー〜追駆〜> 9月16日(木)名古屋 ell.FITS ALL/9月17日(金)大阪CLUB QUATTORO/9月24日(金)LIQUIDROOM ebisu【ワンマン・ライヴ】

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