福岡の個性的な4人が集まって奏でるロック・サウンド

   2000年4月に福岡にて大学のサークルの先輩後輩で結成し、地元福岡を中心に活動しながらも、積極的に大阪、東京へも足を伸ばし活動してきたFOUR THE MG。自主盤から2年の歳月を経て、プロデュースにthe primroseの松井敬治を迎え制作された1stミニ・アルバム『CHERRYRED&DAYLIGHT』をリリースした。個性的で一癖も二癖もあるオルタナティヴなロック・サウンドで、聴く者をどんどん引き込んでいく。井久保博康(vo, g)と藤枝 聡(ds)に話を聞いてみた。(interview:村田伯史)

下北沢は、ライヴに行く気持ちとして割と身近な感じ
──まず、最初にバンド名なんですけど、どういった意味が込められているんですか? なんとも不思議な感じですが。
井久保博康「よく聞かれるんですけど(笑)。とりあえず、僕は取って付けたような名前じゃなくて、世界に一つしかない名前がいいなと思って。なんか聞いたことあると思われるのは好きじゃなくて。前やっていたバンドが3人で、今は4人なんで、“FOUR THE〜”がいいと思って。いろいろ考えたんですけど、みんないまいちピンとこなかったみたいで(笑)。それで飲みの席で、ベースが『MGとかMVとかいい』って言っていて。『FOUR THE MGって、変やね』って言いながら、その後4人で話し合うことがなく、そのままライヴが決まってしまって(笑)」
藤枝 聡「語感ですね」
──“MG”って、何かの略ではなかったんですか?
井久保「じゃないですね。バンド名から『こんな感じじゃない?』って思われるよりは、『どんな意味ですか?』って聞かれるほうが、全然いいと思うんですけどね」
──何か意味があるのかと思ってましたよ。
藤枝「そういう風に想像してもらえるんだったら、いいんじゃないかなと。井久保さんの歌詞もそんな感じなんで。ストレートというよりいろいろな解釈があるだろうから。後付けやけど(笑)」
──バンド名からサウンドは直結しにくいですし、どういうバンドかなと想像してしまいますね。バンド名が決まってからは、どんな活動をしていたんですか?
井久保「みんなそれぞれバンドをやっていたんで、福岡の知り合いのイヴェントに誘われることが多くて。どこどこのハコでレギュラーでやっとるというよりは、いろんなところでやってて。そのうち、自分らで『DRIVE-ECHO』っていうイヴェントをやり始めて。そして1年半ぐらい後には、大阪とか東京にもツアーへ行くようになりましたね。それから年々、外に行く機会が多くなっていきました。初めてツアーに行ったのは大阪だけだったんですけど、次から東京、大阪って感じになって」
藤枝「京都が入ったり、神戸が入ったり、広島もね」
──東京へは、どれくらい来ているんですか?
井久保「何回でしょう? ……2年で10回は来てるんじゃないですかね」
──多いですね!
井久保「ちゃんとは数えてないですけどね(笑)。ここ1年ぐらいが多いですね」
藤枝「福岡に大名っていう地区があるんですよ。洋服屋さんだったり、ショップがたくさんあるんですけど。そこに行くより、下北沢に行く感じのほうが自然なんですよ(笑)。あんまり大名には行かないけど、下北はよく行っているような気がする」
井久保「下北でメシ食べるところもなんとなく決まってきて(笑)」
──下北沢が庭になりつつあるんじゃないですか?
井久保「庭じゃないですよ(笑)。でも、下北沢はライヴに行く気持ちとして、割と身近な感じではありますね」
藤枝「さすがに昔は、“明日、東京に行くんだ”っていう意識があったけど、今は、朝起きて“今日、これから東京だ”って」
井久保「4人とも運転できるし」
──東京に行くのも苦じゃないですね。ちなみに下北沢ですと、SHELTERとかですか?
井久保「SHELTERはもちろん、Que、251とか、たくさんですね。どこの店長さんも良くしてくれて。最初は当たり前のように思えてたんですけど、今は知り合えて良かったなと思いますね」
──こだわりを持った店長さんが多いんでしょうけど、そういった方に認められて。
藤枝「嬉しいですね」
──ちなみに、福岡から東京まで車だと何時間掛かるんですか?
藤枝「14時間ぐらいですかね」
井久保「初めて行った時は、20時間ぐらい掛かりましたね。休み過ぎてしまって(笑)」
藤枝「遠足気分で行っとったけんね(笑)。朝福岡を出て、夜東京に着きますね」
井久保「一応、前ノリで」

作品としては、ロックだと思います
──リリースする経緯はどんな感じだったんですか?
井久保「ツアーをバリバリ入れていて、去年の8月に下北沢のQueでライヴをして。ライヴ終わって、まだ汗だくで顔も拭いていない時に、今回プロデュースしてくれたプリムローズの松井さんに褒められて。『ちょっとタバコ吸っていいですか?』って俺言ったりしたんですけど(笑)。『判った、外で待ってるから』って。その後話して。よく判んなかったんですけど、翌日改めて話して、縁あって」
──そこから話が進んでいき、そしてレコーディングに入ったと。
井久保「去年の12月の後半に、山梨県の小淵沢っていう山奥で、歯医者で個人的にスタジオを持っている方がいて、そこで1週間寝泊まりしてやりましたね」
藤枝「標高千百メートルのところで」
井久保「ちょっと頭痛くなったり(笑)」
藤枝「1階がリビングで、2階がスタジオで、その上の屋根裏が寝るところで。今までと比べるといい環境で」
井久保「ホント何もないところで。雪がすごく降ったりして」
藤枝「自然が見えるのが良かったですね」
──逆に煮詰まったりしなかったんですか?
藤枝「ちょっとアレンジを変えたりしたんで、少し煮詰まりつつはあったんですけど、気合いで押し通 しました」
井久保「乾燥しとって、すぐ喉が乾いて、すごい大量 に清涼飲料を飲んだ気がしますね。寝る時に、乾燥しないように塗れタオルを干したんですけど、朝にはもうカピカピになっとって。滴が落ちて、布団は濡れたりしましたけど(笑)。でも、良かったですよ」
──スムーズに行ったんですか。
井久保「割とスムーズだったと思いますね」
──プロデュースをした松井さんはどうでしたか?
井久保「もちろん共感できる部分も多くて、僕らの曲に広がりを持たせてくれるというか、そこに響いている部分を言葉にしてくれたり。メンバーは迷いがあるようで迷いがないんですけれど、もっと自信を持たせてくれたというか。割と冗談とか言う人なんで、波長が合ったりしましたし」
藤枝「関西人ですからね」
井久保「そういうところが、すごくプラスになりましたね」
藤枝「曲の持っている道が曲がったり、逸れたりするんじゃなくて、道が広がったという。信頼関係もあるし。作り替えられるとかではないんで、いい関係で。単純に良くなるんですよね」
──具体的には?
藤枝「特に僕が印象に残っているのは、4曲目の〈冬到来〉では、曲の構成をうまいこと繋げてくれたんですよ。もともとは長かったんですけど、うまく切ってすっきりして、インパクトが出ました。アレンジで思い切り変えたのは3曲目の〈フリーウェイ〉で、僕らにはなかったアレンジにしてくれて。『できないよー』ってなったけど(笑)」
井久保「ダブとかもちろん興味はあったけど、この曲にぴったりハマって」
藤枝「僕は、この〈フリーウェイ〉がすごい好きだったんですけど、僕の中でどこか抜け切れなくて、ずっと。アレンジ変えることで、サビがすごく良く聴こえるようになって、感動しましたね。いいと思っていた曲が、壊されずに、結果 良くなりました」
──でも、レコーディングの時点でアレンジが変わると、結構戸惑いますよね。
藤枝「ちょっとケンカしそうになりました(笑)。1週間泊まり込んでいると、頭の中が音楽のことだけで音楽モードになっているから、それなりの力が出て」
──1週間も寝泊まりでレコーディングだと、息抜きが大変じゃないですか?
藤枝「それが、近くに温泉があるんですよ(笑)。ただ、レコーディングやっている時に、温泉に長くつかり込むと逆にダメだと。疲れちゃうんですよね(笑)」
──そんな、レコーディングが終わり、実際こうして作品が今手元にありますが。
井久保「やっぱりバンドは、ライヴと音源が存在をアピールするもので、その一つが形になって嬉しいです。前、自主で作った音源から2年振りに出せるんで、嬉しいし。アメリカのビッグ・バンドじゃない限り2年も開いたらね(笑)。思いもよらない人も聴いてもらえると思うと嬉しいし。こういう音楽がぴったり来る人がいるんじゃないかなと期待しています」
藤枝「作品としては、ロックだと思います。作るにあたっていろんな人との出会いがあって、またこれを聴いて出会う人がいて。レインボーエンタテイメントから出すことで、全国流通 も今回が初めてだし」
井久保「こないだ初めて店で、このCDを見ましたけど…」 藤枝「汗をかきました(笑)。変な感覚でしたね」
──リリース後は、ツアーが入っていますが、ワンマンも控えてますね。
井久保「はい。7月10日に福岡のビブレホールでワンマンあるんですけど、ワンマンは初めてで。観る人を楽しませるように、憎くやっていきたいですね。1時間半ぐらいやらんといかんかなと思ってるんですけど。あまり長過ぎるのも良くないし。イヴェントと一緒で、いい流れで見せるって感じでやりたいと思います。楽しみながらやりたいですけど、ステージは戦場ですね」
──ライヴを観たことがないんですけど、音源からするとテンション高そうですね。
井久保「そうですね。観よったら面白いんじゃないですかね。音楽を演奏しているっていう感じのライヴはしていると思います」
藤枝「ただ激しいだけじゃないとは思います。激しいバンドとかいるじゃないですか、ああいう激しさとは違うとは思うんですよ。もっとビリビリ来ているというか。ガシャガシャやりっぱなしで、グチャグチャにやるのとは違うというか……」
井久保「やり始めた頃はグチャグチャでしたけど、今はもっと音楽を演奏している、音を飛ばすというかそういう意識は持ってます」
藤枝「音は振動だから、振動を伝える感じというか。僕らはまだまだですけど、すごい人たちの音って、ガーンってやらなくても、プッて軽くやっただけでドーンと来るものがあるじゃないですか。僕はそういうのを目指したいと思いますし、ライヴ・パフォーマンスでももっと惹き付けられれば。固まりでドーンと行ければ。今は、その過程です」
井久保「偉大なる予定調和は好きなんですけど、それだけではなく裏切りたいとこもありつつ。メンバーみんな個性あるんで、それが出せれば出せるほどいいなと思ってます」


★Release info.

CHERRYRED & DAYLIGHT

RAINBOW ENTERTAINMENT
rpc-002 1,890yen (tax in)
IN STORES NOW

★Live info.
<loft presents ロフトノススメ>
2004年6月14日(月)新宿LOFT
w) lostage / The Jerry / コンタクト / buddhistson / MELTONE
BAR LOUNGE:ロッキンエノッキ−ワンマンバンド
OPEN 17:30 / START 18:00
PRICE: advance-2,000yen / door-2,500yen(共にDRINK代別)

6月26日(土)福岡IMSホール“FUKUOKA MUSIC.JP vol.2”/6月29日(火)京都磔磔“FOUR THE MG/neonsign ダブルレコ発”/6月30日(水)大阪十三ファンダンゴ“夏前の日”/7月10日(土)福岡天神VIVREHALL【ワンマン】

FOUR THE MG OFFICIAL WEB SITE http://www.music.ne.jp/~fourthemg/

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