楽曲を中心にすべてが動いている
──結成は高校時代ということなんですが、もともとは４人編成だったんですよね？
中西友彦（vo, g）「ええ。でもこの３人になってからもう２年くらい経ちますね。オリジナルのメンバーは僕とベースの森君だけで、バンドを真剣にやるようになってきて、気が付いたらこの３人になってました」
──“SteAd”（スティード）の由来は？
森 慎二（b, cho） 「僕が単車が好きで、高校生なら誰でも一度は憧れる“STEED”（HONDAのアメリカン・カスタムバイク）をもじって付けたんです（笑）」
北野辰弥（ds, cho）「バンドに加入して１年くらいは、これが単車から取ったなんて知りませんでしたよ（笑）」
──今回リリースされる1stミニ・アルバム『ココロノ彼方ヘ』ですが、自身の手応えはどうですか？
森「今自分達でできる最高値を形にできたと思ってます。自信作ですね」
中西「手応えは充分ありますよ。これまでにも自主で３枚CDを出していたんですが、でも今回ばかりはレコーディングの方法ひとつを取っても随分と勝手が違っていて、まぁ今までの経験をうまく活かせたんじゃないかと」
──制作にあたって主眼を置いたところは？
中西「やっぱり楽曲ですね。楽曲を中心に全部動いてますね、このアルバム自体が。ギターに関しても、ソロで弾きまくるというよりは歌と曲が活きる演奏を意識してますから。どの曲が代表っていうよりも、どれもシングルにできるような凝縮した作りにしたつもりです」
──じゃあ、演奏面も歌を引き立たせることを第一に考えて。
北野「そうですね。歌を活かすようなアンサンブルを心懸けました。レコーディングの時は“感情”っていうのをいつも一番に考えてますね。曲に対する思い入れがあれば、ドラムにしろベースにしろ感情がこもると思うんで。それがいい感じに音に表れてると思います」
森「“こうしよう、ああしよう”っていうのは余り考えずに、自分のなかから自然に出てくるフィーリングでやってますね」
北野「そう、ムダなものはどんどん削ぎ落としていって」
──そういえば、シェルターのパブタイムでお馴染みの（笑） 三原（重夫）大先生もドラムチューナーとして参加されているんですね。
北野「そうなんですよ（笑）。最初はチューニングだけして帰りはる予定やったんですけど、こまめに指導までして頂いて」
──歌詞もサウンド同様、ヘンな装飾が一切ないストレートなものですね。
中西「如何に自分にまっすぐ正直であるかというか、その時々の感情をあるがままにぶつけてますね。最初は僕が弾き語りの形でメンバーに聴かせるんですよ。２人のアレンジを経てだいぶ曲調が変わったりもするんですけど、それがかえっていい結果 を生むことがありますね。初めは結構、抵抗があるんですけど（笑）」
──このアルバムの収録曲でも、そういったケースはありました？
中西「〈いつの日か〉はそうですね。最初はバラードだったんですけど、それがこんな激しい曲になったり」
──何気ない日常生活の、ふとした瞬間や感情の機微をわかりやすい言葉で描写 してますよね。生活に根差した音楽というか。
中西「特に意識はしてないですけど、僕のなかのどこかに生活というものがテーマとしてあるかもわからないですね。〈日々を斬る〉とか〈道は続く〉とか、アルバム・タイトルが『生活』って付いてもいいくらいの曲が収められてるし」
──『ココロノ彼方ヘ』というタイトルは、最初からこれで行こう、と？
中西「いや、８曲を全部通して聴いてから決めました。とにかく聴いてくれる人に届いてほしい…っていう願いを込めて」
森「ライヴでは馴染みのある曲が多いですけど、
一番最初にバンドで演奏した時に比べたら曲そのものがかなり成長してますよね。今現在の僕らの一番煮詰まった部分がこの８曲になるんだと思うし、その意味でも今のSteAdのベスト・オブ・ベストですね」
中西「うん。アルバムとしての面白さも出てると思うし」

ライヴに何人入ろうが、伝えることは同じですから
──８曲通しで聴くと、ライヴを観たくなる衝動に駆られますね。ライヴに臨む際に、特に気を留めているのはどんなところですか？
北野「自分たちが楽しまれへんかったらお客さんも楽しまれへんと思うので、気持ちいい演奏をして、ライヴに来てくれた人が何かしらの感情を持って帰ってくれたら幸せですね」
中西「僕らの存在をアピールする一番の場所としてライヴがあるんで、お客さんとマンツーマンで一人ずつ向き合うくらいの気持ちでやってます」
──アルバムの全編を通して覆っている切迫感みたいなものが、ライヴだとよりダイレクトに伝わると思うんですよ。
中西「ええ。一回のライヴで何曲かやるわけですけど、ライヴ全体を通 して１曲の歌のように聞こえたら嬉しいですね」
──昨年あたりから徐々に東京でライヴをやる機会が増えてますが、大阪と東京でやるライヴの感触はやはり微妙に違うものですか？
中西「やっぱり大阪から来てるってことで、MCで何か面 白いことを言ってくれるんじゃないかと期待されがちなんですけど、なかなかその期待には応えられてないんで…（苦笑）」
森「ステージで喋りに来てるわけじゃないんでね。それなら１曲でも僕らの歌を聴いてほしいと思うんです…っていうのは言い訳かな？（笑）」
中西「３人とも、喋らせたら実は相当面白いんですけどね（笑）」
──３月に新宿ロフトのステージに立った時はどうでした？ 森「むちゃくちゃやりやすかったですよ、これはお世辞抜きで（笑）」
北野「思ったより威圧もされなかったもんね？」
中西「そうだね、余り意識せずに出てたというか。ちょうどアルバムも完成して調子に乗ってた時期だったんで（笑）、ヘンな気負いもなく。東京でライヴをやるのは、勝負をかけに来てるっていうところがありますからね。戦いに来てる感覚があるから、強気に行こうと思ってやってます」
──それは頼もしい。
中西「簡単には比較できませんけど、東京のお客さんのほうがリアクションははっきりしてる気がしますね。気に入ってくれたらすぐにノッてくれるし」
森「うん、レスポンスが早いよね」
──僕は逆に大阪でライヴを観ると、お客さんがバンドを煽るのが巧いなぁと感心しますけどね。
中西「そういう違いも楽しんでやってますよ。ライヴハウスの大きさも関係ないし、お客さんの数も関係ないし。ライヴに何人入ろうが、伝えることは同じですから」 森「勿論、ライヴの動員はガッツリ増やしていきたいですけどね。僕らの曲を全身全霊で感じてほしいです。僕らのライヴを通 じて自分自身と向き合ってほしいと思う」
──聴き手を選ぶ音楽じゃないと思うし、どっぷりと自己を投影しやすいので、ワンマンでじっくり観てみたいですね。
森「それはいつか…必ずやりたいよね？」
中西「うん。ただ、今は修行中の身ですから。ライヴの場数を増やして、何事も貪欲に吸収していく時期なんで。３人の感情がより剥き出しになって、お客さんがそれで緊張するようなライヴをやっていきたいですね。楽しく笑って帰るライヴの良さもわかりますけど、ライヴの帰り道に心に疑問が沸き立つような、そんなライヴをやりたいと思ってます。自分のなかの矛盾に気付くというか、そこで自問自答をしてほしい」
北野「何かしらを伝えることができると思うんで、ライヴには是非足を運んで頂きたいですね」
──〈いつの日か〉の歌詞のなかに「誰が為に君は生きてる？」というフレーズがありますが、皆さんは“誰が為に生きて”ますか？
中西「自分の為に生きるっていうのは誰でもできることやと思うんですよ。自分が生きていく上で何ができるか？ ということを、音楽を通じて探し続けてるんじゃないかと…。〈咲き続ける花〉という曲のなかに“酔い在りし人の日々に／一輪の花は咲き続ける”って歌詞があるんですけど、そこに繋がる気がしてます」 北野「僕は自分の周りで起こり得る出来事、出会う人々の為…ですかね」
森「僕は……SteAdの為に（笑）。今の時点では人生そのものに近いし」
中西「それは間違いなくそうですね。個人個人の生活のなかでいろいろなことがあると思うんですけど、その大半を占めているのがSteAdですからね。楽曲がまず第一にあって、SteAdがあって、最後に僕らがいる。ある種、（楽曲に）導かれている感じがするんです。だからこれからも“ココロノ彼方ヘ”届く歌を剥き出しの感情のまま唄っていきますよ」

ココロノ彼方ヘ rebelphonic/RAINBOW ENTERTAINMENT rpc-003 1,890yen (tax in) 2004.5.20 IN STORES

▼Live info.
＜LOFT POWER PUSH!＞
5月10日（月）新宿LOFT
SteAd / goriofix / FoZZtone / BITE THE LUNG / noughts
OPEN 18:00 / START 18:30
PRICE: advance-2,000yen / door-2,500yen（共にDRINK代別）

＜OTHER LIVE＞
5月12日（水）大阪・十三FANDANGO／5月29日（土）大阪・福島2nd LINE
＜〜GORINSHO！SteAd『ココロノ彼方ヘ』レコ発イベント〜＞
6月18日（金）大阪・福島2nd LINE
w) Multi Colored Vox / The Remember Me (form千葉) / 自由人 (from名古屋)
6月22日（火）東京・下北沢CLUB Que
w) サンダルバッヂ / バス

SteAd OFFICIAL WEB SITE http://www.h3.dion.ne.jp/~stead-i/