幾つになっても合言葉は“ENJOY PUNK ROCK”!! “ENJOY PUNK ROCK”
──いろいろなスタイルのパンクロックをみんなで一緒に楽しもう!──を基本主旨に、2000年11月に下北沢シェルターを拠点としてスタートしたシリーズ・ライヴ“ヘッドロックナイト”。  今年1月にクラブチッタ川崎で行われた『10回目記念&3年目突入記念スペシャル・ライヴ』の成功、7月には“HEADROCK records”のレーベル発足とコンピレーション盤『パンクロック・バトルロイヤル』発売の実現、8月にはそのレコ発を再びクラブチッタ川崎で『HEADROCK records 旗揚げ記念スペシャル』として敢行…と、今年はイヴェント3周年に相応しい劇的な1年だった。そしてこの激動の2003年を華々しく締め括るのは、ホームグラウンドであるシェルター3デイズ。勇気と元気、ポジティヴな気持ちを観る者に与え続けるヘッドロックの意義と今後の展望を、“ENJOY PUNK ROCK”の精神を体現するNICOTINEのHOWIEとイヴェント/レーベル・オーガナイザーであるnamijinの両氏に語ってもらった。
(interview:椎名宗之)

NICOTINEのパフォーマンスで見えてきたヘッドロックの方向性
──改めて“ヘッドロックナイト”の生い立ちから聞かせて下さい。
namijin ロフトのオーナーの小林(茂明)君と僕が10数年来の友人関係で、彼から「namijinがいいと思うバンドを集めてシリーズ・イヴェントをやってみなよ」って熱い提案をされて。正直言って、30幾つになるまでそんなことやったことないからビビってたんだけど、ポジティヴな提案にはポジティヴに応えたほうがいいだろうということで、3年前にシェルターでスタートさせました。当時は英語で唄うバンドが主流だったから、日本語でやってるバンドを中心に始めて、ホント逆風の中でのスタートって感じでしたけどね。バンド同士で派閥みたいなものがあるかもしれないけど、僕みたいな主催者が“このバンドとあのバンドの組み合わせはどうか?”みたいに分け隔てなくできるイヴェントになれば面 白いだろうなぁと思って。
──それが今や、いわゆる“日本語パンク”が完全にシーンの主流になりましたね。加えて今年はクラブチッタでの2度にわたるスペシャル・ライヴの成功にレーベル稼働と、まさに怒濤の1年だったと思いますが。
namijin うん、今年はまさかの連続でしたね。クラブチッタでイヴェントをできて、そこに1,000人も集まると思わなかったし、レーベル化も予想外のことだったから。その中で特に自分にとって非常に大きかったのが、1月のクラブチッタでNICOTINEがヘッドロックに初登場してくれたことなんですよ。NICOTINEの素晴らしいパフォーマンスによって、イヴェントの主催者として“ENJOY PUNK ROCK”というメッセージを再認識したし、これからヘッドロックが向かっていくべき方向が見えてきたんです。
──『パンクロック・バトルロイヤル』の冒頭を飾るNICOTINEの「ENJOY PUNK ROCK」は文字通りヘッドロックのテーマと呼んで差し支えないと思うし、イヴェント/レーベルの精神性を如実に伝える曲ですよね。
HOWIE 元々NICOTINEとしては“POSITIVE PUNK ROCK”っていうメッセージを掲げてて。でも言葉尻が違うだけで、考えてるところや目指す先は一緒。namijinから送られてくる手紙の最後に“ENJOY PUNK ROCK”って言葉が必ず付いてたんだよね。そのフレーズはNICOTINEのスタンスともぴったり一致するし、「ヘッドロックで全員が盛り上がれるような曲を」っていう前提で曲を書いて…タイトルもズバリにしたら不思議とハマって。しかも、サビの部分はnamijinと2人で名古屋の街を歩きながら出来ちゃったんだよね(笑)。
namijin (笑)本当に、自分にとっては死ぬ まで自慢できる曲ですよ。 実際のパンク・キッズに負けないくらいのパンク・キッズ HOWIE この10年間でいろんなイヴェントに出たけど、ヘッドロックは何か違ったんだよ。本当の意味でのジャンルとかバンドの垣根を超えられたというか、“パンク”っていう合言葉を広い意味で捉えてて、いろんなタイプのバンドが交流できるような場所っていうのかな。バンド同士やスタッフまで含めて、ごく自然にリスペクトし合える環境にもなってて。
namijin 多分そうなったのは、NICOTINEのお陰なんだよ。1月のチッタの時も、NICOTINEがステージ上でこのイヴェントの趣旨を投げかけてくれて、一気に“ENJOY PUNK ROCK”の輪が広がったんだと思う。
HOWIE 実際に日本語パンクのファンの前に顔を出す機会が少ないから、押し付けじゃなくて一緒にその空間を楽しまないと自分達もやってる意味がないし、お客さんもつまらないだろうし。パンクだろうと何だろうとエンターテインでなきゃいけないし、お互いに満足できないとダメだと思う。俺はただやるべきことをやったっていうだけなんだけど…。ただ、昔から日本のイヴェントにしろ普通 のライヴにしろ、どこか堅苦しいんだよね。本当に解放されてないっていうか。
──風通しが良くないと?
HOWIE うん。エネルギーを発散する場ではあるんだけど、何かこう、心から発散していないっていうか。namijinとタッグを組んで「ヘッドロックやろうよ」ってなる前に、アメリカで“WARPED TOUR”(世界最大のパンクロック・イヴェント)に参加できて、向こうのバンドやスタッフと一緒に体感できた経験が凄く大きいと思う。40本毎日ライヴをやって、1回もオフがなくて、移動に継ぐ移動で…実際はかなり過酷なんだよ。でも何事も楽しむ姿勢で臨むから乗り越えられる。だから今漠然と考えてる計画は、北海道から沖縄まで“ヘッドロックナイト”をツアーで回りたいねっていう話をしてて。そのためには“ENJOY PUNK ROCK”というメッセージをもっともっと浸透させて、メーカーやイヴェンターとかのいろんな垣根も飛び越えていきたいと思うし。
namijin “ヘッドロックナイト”には、NICOTINEのように海外での経験も豊富な10年選手からまだまだこれからの若いバンドまでいろんな世代の人達が出てるけど、世代間の枠を超えてみんな同じ目線で楽しんでる。バンドもスタッフもお客さんもみんなそうだし、そういうのを目の当たりにしてるから“この空気感はいい”っていうのが染み付くよね。僕もそう在りたいし、NICOTINEも実践してくれてる。だからこそ、他の若いバンドにも遺伝子として引き継がれてきてる。
HOWIE バンドを10年間やってきてそれなりに苦労もしてきたけど、それを若い世代にそのまま話したところでいいものは伝わらないんだよ。10年経って得た大切なものだけをしっかりと伝えていけばいいと思うから。
namijin それを“10年もやってきた”と思うか、“まだまだ10年”って思うかだよね。“10年しかやってないじゃん、まだまだやることあるじゃん”って思ってる人間は永遠に成長し続けると思うし。
HOWIE 自分達としては、これまでやってきた年月とかシーンの流れにこだわりは全くないんだよね。ただ永遠のキッズになりたいんだ。常に10代でいたいんだよ、周りの友達も含めて。namjinは今年40になったでしょ? 俺らは30超えた。超えたけど、何が今一番の敵かって言ったら、実際の年齢だよね。「サバ読んでる!」って言われるかもしれないけど(笑)、自分では全く30とは思ってない。

実際のパンク・キッズ達に負けないくらいのパンク・キッズだから。
──確かにキッズの視線を保てば、妙な先入観なしにフラットな状態で何事にも向き合うことができますよね。
HOWIE “飾る美学”っていうのが、ヘッドロックにもNICOTINEにもnamijinにもないもんね。大人になっていくことは、飾られていくっていうことじゃない? ずっと子供でいていい部分を凄く大事にしてるというか、そこが核なんだよね。
namijin 飾るんじゃなくて、さらけ出す美学。全部さらけ出しちゃえば、そこから楽しめるんじゃないかなって思う。 目指すのは“ハンドメイドでハートウォームなパンクロック・ショウ”
──イヴェント3周年を締め括るシェルター3デイズはどんな感じになりそうですか。
namijin 1日目は、主にヘッドロックを始めるきっかけになった“日本語のバンド”中心ですね。2日目は僕がリアルタイムで好きだった初期パンクのテイストを持ったバンドが比較的多い。3日目は最早説明不要といった感じのメロディック・パンク・デイ。今回の3デイズは、“これもヘッドロック、あれもヘッドロック”っていう振り幅の大きさを見せたいと思ってるんだけど、来年以降は日本語のバンドも英語のバンドももっとごちゃまぜにしていって、ヘッドロックにはヘッドロックにしかできない“ハンドメイドでハートウォームなパンクロック・ショウ”っていうのを追求していきたいですね。あと、いつか〈ヘッドロックDJナイト〉をやってみたい。例えばHIGHWAY61のトモシロウ君が来てルーツ・ミュージックをかける。KEMURIのコバケンさんにはスカとかレゲエをかけてもらう。僕がDJとして出る時はヘッドロックに出るバンドをかける。来年の夏辺りにそういうのもできたら面 白いと思ってます。
──NICOTINEはクリスマスにちなんだ前代未聞のカヴァー・アルバムが出ますね。
HOWIE 多分、聴いたら“ENJOY PUNK ROCK”の真髄を体感できると思うよ。THE VANDALSのWARREN FITZGERALDを筆頭に、10-FEETのTAKUMAとかELLEGARDENのHOSOMIとか、ゲストも多彩 だしね。
namijin 世界中から“ENJOY PUNK ROCK”の仲間が大集合した感じだよね。これはホント、パンクが好きじゃないっていう人にも「頼むから聴いてくれ!」ってくらい素晴らしいアルバムなんですよ。“クリスマス”って付いてるけど、いつでもどこでも誰でも楽しめる。
HOWIE NICOTINEも10年やってるから、古いファンから新しいファンまでいると思うけど、その人達もみんな楽しめると思う。
namijin 奇をてらった曲をカヴァーしてるわけじゃなくて、ワム!とかマライア・キャリーとか、間違いなくみんな知ってる世界の名曲ばかりだからね。書き下ろしの「XMAS TIME WITH YOU」も入ってるし。「NICOTINEの“ENJOY PUNK ROCK”度数はここまで来たか!」っていう感じ。それと、レコード会社の担当者的に言うと(笑)、来年には超ウルトラ太っ腹企画も考えてるんで楽しみにしてて欲しいですね。


V.A. / パンクロック・バトルロイヤル 〜ヘッドロックナイト・コンピレーション〜
HEADROCK RECORDS/WARNER MUSIC JAPAN
WPCL-10009 / 2,000yen (tax out)
IN STORES NOW
NICOTINE / Punk Rock Xmas SKY RECORDS/WARNER MUSIC JAPAN WPCL-10051 1,600yen (tax out) / 11.12 IN STORES


★Live info.
2003年11月25日(火)〜27日(木)下北沢SHELTER
<ヘッドロックナイト vol.14〜vol.16 3周年記念&'03ファイナル&3デイズ企画>

25日 (vol.14):ザ・マスミサイル / 藍坊主 / EAST WOMAN / The VOX
26日 (vol.15):THE SECT / PET / アカツキ / THE CRANE FLY
27日 (vol.16):NICOTINE / GOOD 4 NOTHING / Asian Hand / LIDLESS TOYBOX
OPEN 18:30 / START 19:00 PRICE: advance-2,000yen / door-2,300yen(共にDRINK代別 )
INFO: shimokitazawa SHELTER 03-3466-7430

◆HEADROCK OFFICIAL WEB SITE http://headrock.hp.infoseek.co.jp/

NICOTINE / Punk Rock Xmas RELEASE PARTY
12月3日(水)熊谷VOGUE/12月4日(木)千葉LOOK/12月6日(土)浜松町CLUB JUNK BOX TOKYO BAY
TOTAL INFO: DISK GARAGE 03-5436-9600

◆NICOTINE OFFICIAL WEB SITE http://www.skyrecords.co.jp/nicotine/