爆音のリズムとメロディが駆け抜け、頭が真っ白になるようなライブを魅せてくれるPEALOUTのツアー「饗音狂鳴」が、9月11日の下北沢シェルターを皮切りに全国8ヶ所で行なわれる。今回のツアーはリリースに関係なく純粋にライブだけを見せていくとあってその期待もいつも以上に高まる。 “ライブの年”と決めた今年のPEALOUTの今を、そしてライブに対する意気込みなどを聞いてみた。
(interview:和田富士子)

*ちなみにインタビューはリハ前のスタジオにて。ハプニングにより、何故かペパーミントのアロマオイルの焚かれたスタジオに車座で行なったので、一部ライブの印象とは逆のゆるーい空気が流れてます(笑)。たまにはこんなインタビューもいいんじゃないですか

LIVE FORMATION 自由自在
──実はこの間ロフトで久しぶりにライブを拝見したんですけど、あの日はピアノ・ベース・ドラムの3人でしたよね?その時によってライブ形態を変えるっていうのは、やっていていかがですか?
岡崎 今はあんまりテンション的な違いというか、気持ち的な部分ではあんまり変わらないんだけど。今日はどのセットでやるっていうチョイスの仕方に深い意味はなくて。
近藤 前回ピアノだから今回ギターにしようかとか。ほんとにそんな。
岡崎 たまに“どうしても今日はこれをやりたい”っていうのが、メンバーの中にあればそれにあわせたセットもやるし。
近藤 あとは対バンかな。ギターバンドばっかりだと違うところを見せようと思ってあえてピアノ(セット)をやったり。
岡崎 だからうちらのHPを見ると、ちゃんとフォーメーションが5つ載ってるんですけど。
──載ってましたね。なんかちょっとこう……なんとか戦隊のカードみたいな感じで並んでいて。あれかなりいい感じですね(笑)。
岡崎 カードっぽいでしょ。あれはちょっと見てほしいんだよねー。あれ見ると絵的に分かるじゃない?3人でピアノセットとギターセットあって、4人でもピアノセットとギターセットあって。近藤はピアノやって、歌って、ベースボーカルやって、ギターボーカルも、っていちいち言ってもさ。
──じゃ、ライブの都度「今日はなんだろう?」ってカードをめくる感覚で見れるんですね。
岡崎 ファンの人はそうみたいね。“今日はなんだろう?江崎(RUMTAG/ライブサポート)はいるのかな?”って。
近藤 あえて言ったりもしないし。
岡崎 それもまた、ピールアウトの楽しみの一つであってもいいんじゃないかなって。
──で、そのライブが印象的だったんですが、近藤さんはすごい気迫でしたね。放心状態になるような勢いを感じました。
近藤 そうですね、あの時(8月4日/男魂)はいっぱいバンドが出たし、短い時間だからその中で。
岡崎 なんであんななるんですか?ってよく聞かれるけど、理由はわかんないよね。結成の時から多分……1stライブが西新宿のロフトだったわけなんですけど。
高橋 あ、それ言っておかないとね。
岡崎 その時からきっとそういうのはあったと思う。音に入るとそうなっちゃうバンドなんですよ。
──リズムがあって、でもちゃんとメロディも通ってて。
岡崎 ピアノセットだと、メロディもあるけどリズムの方が強いね。気付くとメロディがあるくらいでもいいかなって作ってる。最初の頃はリズムに意識はなかったんだけど、ピアノを入れ始めた頃からリズムっていうのは意識したかなぁ。
──曲自体は全員で作られているようですけど、3人でどうやって作られているんですか?
近藤 原曲を持ってきて、それを3人でアレンジして。多分どこのバンドでもやっている、普通 の感じだと思いますけど。
岡崎 いや、どこのバンドでもないらしい。聞いたら結構セッションの方が多いよ。
近藤 あ、そうなの。
岡崎 なんでセッションっぽくやらないかというと、作り込んだコード進行とか昔から好きで。セッションではやりづらいような、複雑なコードだったりするんだけど。 “ピールアウトってなんか普通に聴こえるけど、やってみるとなんかすごいコードが難しいし、構成も複雑”って江崎も言ってて。ちょっとトリッキーだったり、ビートルズとかXTCとかポップスのコードのちょっと変な感じっていうのが好きで。家で作って、スタジオで土台を出して、それをまた構成変えたりとかリズム変えたりとかそういう感じだから。
──じゃ、皆さんそれぞれ曲を持ち寄るわけですね。
岡崎 高橋さんは……ね。
高橋 俺はもう、応援!
──応援?
高橋 ネタに対して“いいねぇー”とか、そういう係を。
岡崎 そうそう。言われると“この曲いいんだ!”とか思うからね(笑)。
──じゃ、重要な位置ですね(笑)。
岡崎 かなり重要だよ。
近藤 でも、毎回“いい”っていうから、なんかね(笑)。
高橋 僕、雑食だから(笑)。でもね、一番熱心なリスナーだと思うんで。
近藤 ね。デモテープから聴けるもんね。嬉しいでしょ?
高橋 一番先に聴けるかと思うとね、嬉しいよねー。
岡崎 だからまだ正式メンバーじゃないんだ(笑)。
高橋 だからロン・ウッドみたいなもん。何年経ってもメンバー希望みたいな。
近藤 この間、昔のデモテープなくしちゃって。高橋に「デモテープ持ってる?」って言ったら、すんごいいっぱい袋持ってきてくれて、全部取ってくれてる(笑)。
岡崎 うっそ、俺引越しの時に処分しちゃったなー。
高橋 最後アンソロジー出さなきゃいけないからね。
──あははは。なんか役割分担が。
岡崎 そういうバラバラの人間の集まりだからね。
──先ほど岡崎さんがいらっしゃる前までに、高橋さんはマネージメント、近藤さんは会計っていう話をしていて、岡崎さんはWeb・フライヤーっていうのを聞いてたんですけど、ちゃんとメンバーのバランスが
近藤 そう、それでみんな血液型も違うしね。 高橋 そうそう。A、O、Bと。
岡崎 ほんとは合わないんだよね(笑)。

辞める理由がなかった
高橋 3人でやるようになってから、すごく健全なバンドになったっていうか、垣根が全然ないから、誰も通 さなくて話せるし。
──いつからそういう体制になられたんですか?
近藤 4月1日から。
高橋 まだまだひよっこですよ。新入社員の4月1日からで。
近藤 5月病になったり。
高橋 そうそう、ちょっと凹んだりとかして。
──ははは。
近藤 どっちかっていうと、うちらも自分達でやる意識がありつつも、なんか誰かいるとそこに任せちゃうところもあるから。誰もいなくなっちゃうと1人1人が自立しないとやっていけないし。でもそれは本来あるべき姿だと思うし。バンドっていうのは元々そこからスタートしているわけだからね。
高橋 いかに人任せにしてきたかっていうのがよくわかった。
岡崎 やることはやってた部分もあったよ。だから頼ってたところは、“あ、やれば自分達で出来たんじゃないの”って気付くところもあって。ただ、今までの関わってきた人とは繋がりがずっとあるから、何かあったら頼んだりとか、そういうのは全然苦労はしてない。 高橋 そういうのが一番ね、4月1日以降嬉しかった。全然変わらずに誰とも接せられるのがよかったなぁっていうか。今、レコード会社もなく事務所もなくマネージャーもいなくてほんと3人だけっていう状態、でもみんな全てあった時と変わらずに普通 に接してくれているっていうのが──まぁ当たり前かもしれないんだけど、なんか普通 に嬉しかったな。
──それは、やっぱりバンドの魅力っていうのもあるんじゃないですか?
岡崎 本来、そうあるべきで。よくメジャーに行って事務所がないからつぶれちゃったバンドとかもここ最近すごい多いし。でも、そんなんだったらやっている意味もね?ちゃんとバンドだけになったときに、なんでバンドがなくなっちゃうのかっていうは、おかしい話で。
高橋 いわゆる世間一般でいう解散のタイミングは俺たち何度も体験してきているんだけど、今まだバンドはあって、来年10年なんですよ。だからそういうタイミングとかもあったけど、やっぱり今この3人でやれているっていうのはね、改めてやっぱいいなぁとはすごく思う。
岡崎 音楽的なところでピリピリしたり、ロックに対してピリピリしながら、ギリギリのところでやって、それがプツって切れたら辞めようなんて思ってたんだけど、それが一回ふっきれて一般 的な解散タイミングとかを何気に通過してきたら、普通にいろいろなことが吹っ切れちゃって。逆にバンドを辞める理由がないなって。
高橋 そうそう、辞める理由がなかったんだよね。
岡崎 やりたいものがドンドン出てくるからね。別に周りの状況が変わろうが何しようが。ということはバンドがあれば続けられるっていうのが、本来の姿。
高橋 辞める理由がなかった、これいいね。俺が言った事にしておいて。言ってないんだけどさ(笑)。 初めて見るリアル感 理屈抜きのライブ
──で、シェルターでワンマンなんですが。
高橋 旧ロフトでワンマンをして、それ以来ロフト系のライブハウスでは初のワンマンなんだよ。
近藤 新しいロフトでワンマンやってないもんね。
高橋 だからルーフトップの取材がこんなに間が開いているんだ。
──(苦笑)。今回はなぜシェルターだったんですか?
高橋 元々好きだったからね。よく行ってたし。でも、よく考えたらやってないなぁと。
岡崎 何でやってないんだろう?やんなきゃって感じ。でもあんまり深い意味はない、単純に好きなハコだからやらせてもらいたいなと思って。いつもクアトロかリキッドでやっていたから。
──じゃ、シェルターくらいのサイズでやるのは久々なんですね。
岡崎 そうですね。西新宿のロフトに似てるんだよね。なんか似てきてない?打ち上げの雰囲気とか、楽屋のあの汚い加減とか、裏の通 路とか。
──あ、なんとなく分かりますね(笑)。この日はツアーの初日なんですよね。
高橋 ね。シェルターで長くやることはあんまりないから。あのハコの感じ、すごい楽しみだな。
近藤 ワンマンだからピアノもあれば、エレキもあるし、機材も多くなるし。多分ステージも狭く感じると思う。お互いの汗がかかる感じで出来るのもいいかなぁと。 岡崎 暴れているとネックがぶつかるんだよね。で、客にもぶつかりそうになるでしょ?
近藤 そういった意味でもなんか面白さがあるかなって。
──フォーメーションが変わるシーンも(笑)。
岡崎 フォーメーション、どれでくるか楽しみにしててほしいんだけど。
──楽しみです(笑)。全部で8ヶ所周られるわけですけど、ツアーに行く前の心意気や心していることなどはありますか?
岡崎 今まではCD出してのレコ発ツアーだったけど、今回はアイテムなしのライブツアーだからよりライブだけ。今年は基本的にライブの年と決めていたので、ライブとは何ぞやっていうのもつかめてきたしね。
高橋 お客さんも新鮮な気持ちで来れるんじゃないかな。ライブがやりたいから全国を周るっていう。
岡崎 どのアルバムからどの曲が選曲されるかもわからないっていう、謎な感じにしておいて、きたらビックリみたいな。知らなくても楽しめるのがライブだと思うんだけど。フジロックとかもそうだけど、初めて見たリアル感っていうのをもうちょっと打ち出せたらいいなって思っているんで、あんまり理屈抜きの方がいいかなと。そういう意味ではリリースがないのは逆によかったかな。
──純粋にライブを見に来る人がいっぱいいるってことですね。では、シェルターワンマンに向けての一言ずつお願いします。
高橋 シェルターは単純に好きなライブハウスだから、俺らもものすごい楽しみにしているんで……とりあえず汗をいっぱいかきっこしたいなと。かきっこってねぇ、なんだろう?(笑)。いいことは多分この2人が言ってくれると思うんで(笑)。シェルターはホリーもいなくなっちゃったけど、頑張ります。
近藤 リリースの狭間にあるライブだし、3月、6月、9月とワンマンを3カ月おきにやったのは初めてのことなんで、3月のライブとも6月のライブとも違うワンマンを出したいというのと、3月6月で出来なかった新曲をぜひ9月にはやろうかなと。と、言うことによって、今、自分に気合いを入れているという感じなので、ぜひとも来て欲しいなと思います。
岡崎 もうなんにも言うことないなぁ。ロフトもシェルターも好きなんでね、嬉しいなと。西村さんによろしくーと。
高橋 あ、西村くんと笑って乾杯ができるようなライブが出来るといいかな。最後胴上げで。
──誰が胴上げされるんですか?
高橋 シェルターの店員の人たちに俺たちが胴上げしてもらえれば。
岡崎 してもらうんかい!
近藤 えらい逆だね。
高橋 いいライブでしたよー!言われるようなライブをしたいなと。
近藤 落とされないようにね。


◆LIVE SCHEDULE
「饗音狂鳴」ツアー
2003年9月13日(土) 下北沢シェルター
OPEN 19:00/START 19:30 YEN 2500 / 2800(1DRINK代別\500)


9/15(月) 名古屋ハックフィン
9/21(日) 岡山ペパーランド
9/23(火) 大阪ファンダンゴ
10/4(土) 仙台JUNKBOX
10/5(日) 札幌Sound Crue Basement
10/11(土) 小倉Bagoo
10/12(日) 福岡Drum-Son

【PEALOUT official homepage】 http://www.pealout.jp/