WELCOME TO ROCK'N'ROLL WONDERLAND!! “GUITAR LEGEND”“THUNDER BASS”“DRUM SMASHER”ってクレジットを初めて見た時、“何なんだこの人たちは?”と思ったのが確か、MAD3の第一印象だったと思う。“何なんだ?!”は楽曲にも感じ、その“何なんだ?!”っていう存在に病み付きになった。NEW ALBUMを聴いた。僕が夢中になってた“何なんだ?!”は今までリアルに体感したことのない“MAD”という感覚だったんだと判った。(interview:OH!TA/TEENAGE HEAD)

MAD3らしさとは“三多摩”独特の泥臭さ!?
──1年半振りのアルバムになるわけですけど、今回のコンセプトとかってありますか?
EDDIE まず第一に原点回帰っていうか、“MAD3らしさを取り戻そう”と。
──ふむふむ。“らしさ”ってのがやっぱ曲々の原点にあるんっすかね?
EDDIE 曲はまぁ、日常のリアルな部分が少しずつ出てきて形成されてくるんで。結局それがMAD3の原点っぽい曲だったりして。
──MAD3には大きく分けるとインストと歌ありの曲とがあるじゃないですか。それぞれ曲の作り方は違うんですか?
EDDIE 作り自体は同じなんですよ。メロディから出来る作品とフレーズから出来る作品と2通 りあるんだけど、俺の場合はリフっていうかギターのフレーズがまず頭に浮かぶ感じですかね。
──リフが浮かんだ時に「これはインスト」「これは歌あり」って決めて曲作りが進んでいくって感じですかね?
EDDIE それはちょっとありますね。インストの場合は、曲の隙間を作らないように曲作りするし。もちろん曲の構成は3コードで単純に作っていくけど、ギターもドラムもベースも隙間なく音をみっちり入れる。歌ってる時はギターもコードだけだったりするし、そういう意味で作り込み方が違う。
──アレンジの段階で変わっていく感じですか?
HARUTO ベースに関して言えば、歌モノってやっぱり歌のメロディを支えるベースラインになるし、インストとはベースラインを作る感覚が違うんですよね。
EDDIE 要は、声で歌うかギターで歌うかってことですよね。
──僕がMAD3と出会ったばかりの頃はまだインストがメインだったじゃないですか。その頃にKYOさんから「実は俺ら3人って、それぞれ前やってたバンドで目立ちすぎてクビになったのが、MAD3になったらそれぞれの個性が思いきり引き出せてきて、今みたいに爆発的なサウンドができた」っていう話を聞いたんですよ。
EDDIE その通り。
──それを経て進化していった結果、歌にも挑戦していったって感じっすか?
EDDIE うん、だからMAD3が自然発生的に生まれて、結成してから14年くらいの歴史の中でいろんなことに挑戦してきて、MAD3を組んだ時のファースト・アルバムはある意味完成形で、一番MAD3らしい世界観だと思ってるけど、その殻の中に閉じこもりたくはない。やっぱり新しい挑戦っていうのが自分たちの中にあって。いろんな音楽のスタイルや実験を繰り返してきて、やっと原点に戻ったっていうか。
──ちょうど一周した感じですかね。
EDDIE そうだね。10代の時にパンクだったりロカビリーとかモッズとかいろんな世界を見てきて、それで辿り着いたのがMAD3だった、と。MAD3を組んでからロックのいろんな世界を旅して、またMAD3の原点に帰ったという。
──原点に帰ったってのが伝わったんすかね。今度のアルバムは、僕が例えば10代の頃の三多摩、国分寺とかあの辺の周辺の音楽の匂いがするなって思ってたんですよ。
EDDIE ああ、嬉しいね。もちろん俺たちは三多摩で生まれて、ずっと三多摩で育って、今でも三多摩に住んでるし、そこで先輩たちの音楽も吸収してきたしね。音楽ってそこの風土というか、土地柄が出るじゃないですか。メンフィスだったりロンドンだったり。どうしたって俺たちは東京の三多摩っていうのが染み付いてて。
──イマイチ爽やかになりきれない、泥臭い感じ(笑)。
HARUTO 情念がこもってたね(笑)。
EDDIE そう、情念とか呪いとかいろいろね。情念と宇宙を感じるんですよね、三多摩は。
──あはは。それも極端ですね。レコーディングの時は何かこだわった点とかありますか?
EDDIE やっぱりインストの曲に魂を注ぎましたね。俺たちの実力を一番発揮できるのがインストだから。
──かなりドラムの音とかも……
EDDIE ああ、ドラムの音は毎回やっぱり一番凝りますね。
──いやぁ、今回特にやりすぎな感じもしたんですけど(笑)。
EDDIE いやいや、まだまだ足りないんだけどなぁ(笑)。ドラムが一番大事だと思うんですよ、ロックって。やっぱりあの野蛮なビートがないと、ロックにはならない。
──HARUTOさんはどうですか?
HARUTO 作業自体はね、生みの苦しみは多々あるんだけど、それが楽しくできて。やっぱね、何回も録ったね。間違ってやり直しっていうんじゃなくて、一回録って音変えて「もう一回録ろうか」って…そういうことを延々とやってた。〈KEEP ON ROCKIN'〉とかは結構やった記憶があるなぁ。これ、単純だけどなかなか難しいところがあって。
──MAD3的には珍しい曲ですよね?
EDDIE 一応パブ・ロックの世界を狙ったんだけどね、歌詞は別として(笑)。スライドとかを入れてみたり。

自分たちで発明した世界に類を見ない音楽
──そういえば今回は全体的に新しい音も入ってますよね。ホーンもあるし、スラップも入ってる。
HARUTO あとは曲ごとの音作りとか、トラックダウンも含めてかなり極端ですね。それぞれの曲のためにもう一回全部チャラにして作り直す、みたいな。曲ごとに全部やり方が違うくらいの勢いでやってるんで。一番判りやすいのは〈TIGHT SUIT〉と〈LONDON DUNGEON〉はもう全く違いますね(笑)。
EDDIE 〈IN THE SHADOW〉とかね。ま、どのテイクにしても奇跡が起こらないと。奇跡が生まれるまでは、何回でもやらないとね。でもその反面 、意外とインストの曲とか得意な分野はすぐに奇跡が生まれたりする。
HARUTO 気持ちが入りやすいっていうのもあるのかな。インストは録ってる時にある意味完成形をやるわけですよ。
EDDIE ライヴのままだしね。演奏中に音がスパークする感じなんですよね。
HARUTO 「歌あり」でも仕上がりの早い曲は早いんだけどね。それこそ〈RAMONES〉は2テイクしかやってないんじゃないかな。
──ああ、俺この曲好きッスね。でも、意外とエイト・ビートの曲は少ないですよね。
EDDIE やっぱりね、なるべく弾ませるビートが好きなんですよ。エイト・ビートでも拍を速めたり遅らせたりする。そうするとグルーヴ感が出るから。
──MAD3って言うと後ろ乗りのリズムが印象的っすよね
EDDIE 俺が結構前に前に行くから。そうするとこう、リズムの歪みが生まれて、そこでロックのグルーヴも生まれるんですよ。…いいとこ気付いたね。
──そりゃ、結構聴き込んでますからね(笑)。
EDDIE あはは。とにかく今度のは最高傑作なんで。
HARUTO 久しぶりに家で何度も聴いてるしね。
EDDIE でも、MAD3って聴くと疲れるよね(笑)。
HARUTO 疲れる、疲れる。なかなか聴けないんだよ。
──ライヴに行くのと同じような力が要りますよね。
HARUTO MAD3を聴いた後は耳鳴りがするから、クラシックを聴きたくなるんだよ。自分でやっといて何なんだけどさ(笑)。
EDDIE ホントそうしないとね、おかしくなるんだよ。危険な音楽だよね。
──今作で危険な感じを特に出してるのは?
EDDIE タイトル曲かなぁ。バイクとかレザーとか、フェチっぽいところとか。でも全体的にどこかしらにやっぱり恐怖があるよね。
HARUTO 何というか、奥深いところに寒気のするような恐怖感や狂気みたいなものはある気がする。あとは、凄いロック・ワンダーランドみたいなものがあってさ、頭の中に。そのロックの国に住んでるいろんな人たちの、いろんな側面 を切り取って見せてるっていうか。
EDDIE どれもルーツが必ずあるからね。ルーツがないと、新しいものは絶対できないと思う。
──その姿勢もやっぱりずっと変わらず。
HARUTO リリースのたびに言うんだけどさ、基本的なスタンスは変わってないんだよね。表現の幅が広がったり、単純に演奏が上手になったりする進歩はあるけど、変わってないっていう意識が俺は凄くある。
EDDIE うん、変わってないよ。
HARUTO 何か宗旨変えとか、そういうのはないんだよ。
──そうそう、どの作品を聴いても“これぞMAD3だ!”っていうインストが必ずありますもんね。
EDDIE やっぱり一番自分たちらしい世界観がインストの中にはあるのかな。俺たち自身が発明した音楽だからね、MAD3って。世界に類を見ない音楽だから。インストは歌もなければたまに叫んだりするだけだし、余分なものは全部削ぎ落としてあるんですよ。ロックンロールのコアな部分だけ詰め込んだのがMAD3のインストなんで。次のアルバムはほとんどインストで行こうかなって思ってるくらいだし。
──9月には渋谷クアトロでワンマンもありますね。今回の構成は、2部とか3部とか?
EDDIE 衣装替えはしないよ(笑)。
HARUTO ちょっと間に休憩を挟んで2ステージ構成くらいに。
EDDIE 具体的な構成はまだ考えてないけど、みんなにロックンロール地獄を見せようかなと。
──あはは。あんなオシャレなところで。
EDDIE うん。東京三多摩地区の奴が地獄を展開します、渋谷で。余分なことは削ぎ落として、ストレートに、演奏に集中して。とにかく狂気な世界を繰り広げますよ。
──最後にありきたりですけど、ファンの方々にメッセージを。
HARUTO 今回は今までのペースよりやや空いてる感じでアルバムが出るんですけど、待たせた甲斐はあったと思うんで、ホントに楽しみにしてて下さい。
EDDIE やっぱり俺は、生まれながらにしてロッカーズなんだなって。革ジャンが似合うんだなってことだね。


INFORMATION

BLACK LEATHER BLITZ
MIDI MDCL-1446 / 2,625yen (tax in)
2003.7.16 IN STORES

Live info.
<MAD3 ACOM GET A LIVE>
2003年9月5日(金)CLUB QUATTRO渋谷
MAD3(ONE MAN)
OPEN 19:00 / START 20:00
PRICE: advance-3,300yen / door-3,800yen(共に1ドリンク付)

LIVE SCHEDULE
7月19日(土)岐阜CHELSEA/7月23日(水)熊本BATTLE STAGE/7月27日(日)伊勢崎LUV/8月16日(土)川崎CLUB CITTA'/8月24日(日)豊橋ラハイナ/8月30日(土)酒田BOSTON CLUB/9月6日(土)青森QUATER/9月13日(土)盛岡CLUB CHANGE/9月14日(日)秋田CLUB SWINDLE/9月20日(土)難波ROCKETS/9月27日(土)甲府CONVICTION

◆MAD3 OFFICIAL WEB SITE http://www5b.biglobe.ne.jp/~shivaeri/MAD3/mad-index.html