さまざまな“あい”が胸に突き刺さる11の哀歌たち
 遂に! 遂に遂にWRECKingCReWが1stフル・アルバム『月我消えるまで』を発売します! もうね、心が痺れますよ。胸の奥が震えますよ。だって彼らの取材、他のライターさんたちにさせたくないっ、なんていう余りにも阿呆過ぎることを思っちゃいましたから(笑)。でも本当に、出来ることならば一人占めしたかったんですもん。しかも、こんな無謀なことを想えるほど至上の音源って、滅多には出逢えないですからね。でもね、訊きたいことが有り過ぎて、音源についての質問が不完全燃焼のまま、タイムアップ(泣)。だけど、色々と面 白い話が訊けました。(interview:TOMO)

ビールで風邪を治す=ドイツ式?
――WRECKingCReWの表記、変わったよね?
大塚 変えましたね。同じ名前のバンドが都内に1個と横浜に1個あるみたいで。それでどうしようかって言ってる時に、一美の知り合いで占いが趣味な人がいて。
一美 一応、占いを仕事にしてる人で、その人とWRECKingCReWの画数の話をしてたんですよ。変える前は全部大文字だったんですけど、その時の運勢は100点満点中、5点ぐらいって言われて(笑)。
一同 アハハハハ!!(笑)
一美 凄い悪かったんですよ。そのあと考えて、その人に「これはどうかな?」って今の“ing”と“e”を小文字にしたのを……。
大塚 (遮って)俺が“ing”を小文字で書く癖があって(笑)。
一美 何かね、「“ing”は小文字で書くって習った」って言ってて。
大塚 そう、中学校の時に習った気がして…。
一美 間違って覚えてる! で、それもあって、「今の表記はどうかな?」って運勢を見てもらったら、100点満点中、95点になって。
大塚 上がったねぇ〜(笑)。
――凄い!(驚) そんなに変わるんだ?
一美 そう。これは「凄く良い」って言われて、悪いよりは良いって言われた方にしておけば気持ち的にも良いじゃないですか。で、このことを機に変えたんですよ。
――そういう理由があったんだ。で、バンドの結成は98年で、最初の3年間はドラムがヘルプだったけど、2002年に秋葉くんがメンバーになったんだよね。加入の経緯って?
秋葉 元々、それぞれが違うバンドで対バンしたりしてて。それで、僕が前にやってたバンドを辞めた時に柏ALIVEのイヴェントで会った時、「一緒にやろうか」って話になって。僕とマー(大塚)は高校の同級生で、もう7〜8年くらいの付き合いなんで、全く知らない人の中に入るよりは全然、どういう人間か判ってるからすんなりやれるってことで入ったんですよ。
――ふーん。秋葉くんが入ったことで、何かバンドが変わったことってある?
大塚 結構、……あるね?(笑)
一美 ないとか言ったら……(笑)。
大塚 アハハ(笑)。でも、付き合いが古い分、やり易いってのはありますね。俺が不機嫌な時はみんな声かけてこないし、機嫌良くても相手にしないし(笑)。
一美 そうだね、マーが機嫌良い時って、私と秋葉くんは放置されてるよね。
大塚 大体、他の仲良いバンドとじゃれてる。
――アハハ、そうなんだ。じゃ、バンドの外交担当は大塚くん?
大塚 そうですね、そればっかなんですけど(笑)。それしかやんないよねぇ。
――フフフ(笑)。でも、外交担当はドラムっていうバンドが結構、多いけどね。
大塚 あー、多いねぇ。
秋葉 やっぱりブッキングだったり、ライヴ・スケジュールだったりっていう細かい部分をちゃんと引っ張っていくのがマーなんで、同じ船に船頭は2人いらないってことで、マーに任せてるっていうか。だから僕は、打ち上げの時は普通 に酒を飲んでる感じですね。
大塚 “普通に”ってどういう飲み方してんの?(笑)
一美 アハハハ、水のように飲むってこと?
秋葉 ガード下で飲むようなのに近い(笑)。
――アハハ、そうなんだ。今ってツアー中だけど、打ち上げは毎回、ガッツリと?
大塚 もうホント、出過ぎ! 1回くらい休もうぜ、マジで。
一美 でもね、せっかく誘ってもらってるのに出ないのって失礼じゃないですか。だからそれは出逢いという意味で、打ち上げがあれば出たい。
大塚 でも単純に、みんな打ち上げ好きだよね?
秋葉 多分ね(笑)。
一美 嫌いじゃない。確実に、打ち上げの食事が一番豪華なんですよね。 大塚 そういう部分で「打ち上げが好きです」って言ったらマジじゃん! ご飯がいっぱい食べられるから好きです、なんて言ったらさぁ(笑)。
一美 私、そんなお酒飲まないから、その分お金を何で戻すかって言ったら…。
――食べ物だ。
一美 そう(笑)。
大塚 あ、そうだ。風邪とかをお酒で治すんですよ、俺。
――えっ、治るの?
大塚 はい。限界まで飲んで、寝て起きると、もう熱が引いてるんです。
――マージで?
大塚 これ、ホントだよ!(笑)
一美 ドイツ式。
――? ドイツ式??
大塚 ドイツの人は風邪引くと、ビールを飲んで治すらしいんですよ。で、一応、ドイツ式で治してるんですけど…(笑)。

あえて歌詞を載せなかった「ほうき星」
――で、今はツアー中だけど、手応えはどう?
大塚 うん、良いね。…最近、“ライヴでどういう風になるのが理想なのか”っていうことに悩んでて。でも、ツアー中に吹っ切れた感があって、今、ライヴ演ってて楽しいと思えることが多くなりましたね。
――前は、そう思うことって余りなかったの?
大塚 前は、気にする所が個々あるとして、僕はそれが違かったなって思って。やっぱり、ライヴのテーマは完全燃焼っていう所なんだなって思って、そこに戻れた感じがあるから、今はライヴを演ってて凄く、楽しいですね。
一美 私も同じような感じですね。何も考えないで演れるのが一番良いなって。ステージに上がるまでは、自分の中で向ける矛先のテーマを打ち出すんですけど、ステージの上に上がって演り始めたら何も考えなかったなっていうライヴをした時は、全部出せたっていうか。最近そう思うことが多くて、前よりは、意味的にも“ライヴ”っていうのが出来てきたかなーって。だから、もっともっとライヴを演りたいなって思いますね。
――うん。秋葉くんは加入して1年経ったけど、WRECKingCReWのライヴには慣れてきた感じ?
秋葉 そうですね。連続したライヴを演っている中で、体調管理やその日のライヴのモチベーションとか、そういう方向とかをやっと掴んだなっていう感じはありますね。
――じゃ、ツアーを廻っていることは、力になった?
大塚 うん、力になったね。
――そっかー。で、遂に1stフル・アルバム『月我消えるまで』が6月11日に発売されるよね。昨年リリースされた『滴』はミニ・アルバムだったけど、ミニ・アルバムっていうのとフル・アルバムっていうのは、気持ち的に違ったりする?
大塚 作る前はそんなに変わらないかなーって思ってたんですけど、作り始めてから、あー、違うんだなーって思って。録音に使う時間も違うし、出来上がったものを聴いても11曲じゃ全然、膨らみも違うんだなぁって思って。多分、ミニ・アルバムを2枚聴くよりも、フル・アルバムを1枚聴く方が大きく残るっていうか。
一美 聴き応えがあるよね。出す方としても、達成感が違う感じがしましたね。
――なるほどねぇ。9曲目の「ほうき星」って、歌詞を掲載してないでしょう? これは、どうして?
一美 マーが「書かないでいい」って言って。個人的な解釈は、詰め込んでる感情とかを形にしたくない、一言だけしか吐きたくないっていうか。想いが有り過ぎて、言いたくないよ、みたいな。そういう雰囲気を伝える手段として、歌詞を載せないっていう。
――ふーん。あの曲は歌うのが難しいんじゃないかなって思ったんだけど?
大塚 難しい。あれは難しいね。単純にキーが高いっていうのもあるし。それに、歌詞が生々しいんで。言葉がストレートだし。…問題あるね(笑)。
一美 事件性あるね(笑)。込めてる感情が剥き出し過ぎてるっていうか。他の歌詞は、そこにいる人物の見えそうで見えない感情だったり、実際に思ってる感情だったりするけど、「ほうき星」は言葉に出しちゃってるから、強過ぎて声にならないんですよね。
――そうなんだ。この時のギターって、大塚くんが弾いてるの?
大塚 最初は「俺が弾く」って言ってたんですよ。でも当日、一美が弾いてましたね。
一美 「えぇ〜!」って(笑)。マーが弾くって言ってたから私、全然…。
大塚 酷いね、確かに。そこにいて「こうしてくれ、ああしてくれ」って言うのならまだしも、俺、牛丼買いに行ってたからね(笑)。
一美 あれ録るのに、ギターだけで2時間くらいかかったんですけど、その間ずっと牛丼買いに行ってるの(笑)。
大塚 俺、道に迷っちゃって…。近くに松屋があったんですけど、みんなは「吉野家が良い」って言うからちょっと離れた吉野屋に行こうって。でも、探せど探せどなくって、もーいいやって思って結局、松屋で買って。で、帰って来たらギターが終わってた(笑)。
一美 だから結局、マーの弾き語りじゃなかったっていう(笑)。最初、アルバムを作るって言った時に、「弾き語りを1曲入れる」って言ってたのに。
大塚 ずっと憧れがあって。やる気はあったんだけど、技術が追い付かなかった(笑)。■■


●リリース情報

月我消えるまで
Libra Records
UKLB-034
2,000yen (tax out) / 2003.6.11 IN STORES

●Live info.
<WRECKingCReW「月我消えるまで」発売記念LIVE>
6月16日(月)下北沢SHELTER
WRECKingCReW / THE BACK HORN / マグネットコーティング
OPEN 18:30 / START 19:00
PRICE: advance-1,800yen / door-2,000yen(共にDRINK代別)

LIVE SCHEDULE
6月1日(日)水戸ライトハウス / 6月2日(月)柏ALIVE / 6月21日(土)新宿ACB『RetromaniAレコ発』 / 6月22日(日)熊谷VOGUE『GLEAM GARDEN企画』 / 6月28日(土)宇都宮VOGUE『宇都宮VOGUE3周年』 / 7月5日(土)柏ALIVE『メガロマニアックス レコ発TOUR FINAL』

◆WRECKingCReW OFFICIAL WEB SITE http://www2.odn.ne.jp/wrecking-crew/