ほとばしる情熱! 飛び散る汗! 号泣激情ロックでシーンを席巻しつつあるマグネットコーティングが前作「暮唄」から、ほぼ一年ぶりとなるニューアルバム「WONDER IS LIFE」を完成させた。従来の熱き衝動をそのままに、さらに世界を広げた今作は、今後のシーンの台風の目となること必至だろう。そんな彼らにバンド、ロック、ライブへの熱き想いを聞いた!(interview:北村ヂン)

──それじゃ最初に結成からの経緯を教えてください。
名倉 俺と谷村は高校の同級生だったんですけど、その頃はモロバンドブームだったんで一緒にジュンスカのコピーバンドをやってたんですね。で、その時のメンバーが抜けちゃって、対バンで知り合ってたこいつ(遠矢)がドラムで入ったって感じですね。
──最初の頃はやっぱりジュンスカみたいな音楽性だったんですか。
名倉 いや、その当時三人共通して好きだったのがブランキーとかレディオヘッドとかだったんで、それをミックスしたような感じで。あと俺は、サイケとかモッズ系のものも好きだったんで、パンクっぽくってサイケっぽくってっていうごちゃ混ぜなバンドでしたね。それは今も変わってないんですけど。
──歌詞は最初から日本語でやってたんですか。
名倉 そうですね。英語はもう、はなから出来ないんで。あと、やっぱ詞の世界感とかもブランキーの世界観がすきだったんで、そっからの影響がかなり強いですね。
──その頃ってわりとハイスタをはじめとして、英語詞のパンクバンドが多かったと思いますけど。
名倉 僕らその頃、全然パンクシーンっていうのを知らなくって。僕ら地元が柏なんですけど、後にヌンチャクとかと出会って、それから日本のインディーズシーンに関わるようになったんですよね。
──なるほど。だからこそ、それまで好きだったサイケとかの要素とパンクっていうのが混ざった音楽性なんですかね。
名倉 そうですね。僕らその時その時の影響をダイレクトに受けちゃうんで。ヌンチャクと出会ったときはモロヌンチャクみたいな曲を作ってたし、ハイスタみたいなのもをやってたんだけど、結局あそこまで格好いい曲にはならないんですよ。だから今まで影響を受けたものを、俺らなりにミックスして出して行ってる感じですよね。
──最近の日本語でやってるパンクバンドって、やっぱりブルーハーツからモロに影響を受けたってバンドが多いじゃないですか。マグネットコーティングはわりとそういう感じじゃないですよね。
名倉 う〜んそうですね。でも、最初に影響受けたのがジュンスカとかブルーハーツなんで、影響受けていることは受けていますよ。
谷村 きっと他のバンドほどブルーハーツ、ブルーハーツって感じではないよね。
名倉 そこから掘り下げていって色々な要素が加わってますからね。ブルーハーツからは直球勝負っていう姿勢と、詩の世界感という面 では影響を受けてますけど、ああいう感じでやろうとは別に思わないですね。
──スタイル面ではなく、精神的な影響ですかね。
名倉 そういう意味では、ジュンスカも本当にバンドって楽しいなって教えてくれたバンドなんで。まあそのころこいつ(遠矢)はバービーボーイズとメタリカを聴いていたんですけど(笑)。
──今回アルバム「WONDER IS LIFE」が発売になるわけですが、リリースとしてはすごい久しぶりですよね。
名倉 なかなか完成しなかったんですよ(笑)。パーツパーツで、AメロBメロサビみたいなのは出来てるんだけど、アレンジ面 でなかなか完成しなくって、ずっとスタジオ入ってああでもないこうでもないってやってましたね。
──今回のアルバムを作ろうって動き出したのはいつ頃なんですか。
名倉 去年の10月に「暮唄」っていうマキシを出したんですけど、その段階で春には出そうよって話はしてたんですけどね。
──それが秋になっちゃったと。
名倉 それまでの音源ってわりと今までやってきた曲を録音して入れてたんで、音源のためにいそいで作るっていう感覚がなくて、曲作りのコツっていうのがわかってなかったんですよね。
──実際のレコーディング作業はどれくらいかかったんですか。
名倉 日数的には11日間なんですけど、間にツアーが入ったりしてたんで、2日で2曲録って、ツアーに行ってみたいな感じでやってましたね。だから曲ごとに結構雰囲気が変わってたりします。
──まあ、もちろんバリエーションは広いと思いますけど、その中でもアルバムとしてのトータルの統一感ってありますよね。
谷村 まあ曲に関してはそんな余裕はなかったんですけどね(笑)。
名倉 詞はトータルである程度テーマがありますよ。ある意味コンセプトアルバムですよ。勝手に自分の中で物語りが出来ちゃってるんで、それが全部の曲でリンクしてて、映画の一場面 があったとしたら、それを右から見るか、左から見るかみたいな感じで色んな角度から見た詞をそれぞれつけたって感じですね。どうしてもアニメ世代なんで、自分の感情をアニメとか映画の世界にフラッシュバックして考えちゃうんですよ。
──自分の経験を何かに置き換えて歌詞にしているって感じですか。
名倉 置き換えてたのが、そこから勝手に物語が進んでいっちゃう感じですね。
──他のメンバー的には歌詞って気になりますか。
谷村 う〜ん、メロに乗ったときに違和感さえ感じなければいいって感じですけど。
──歌詞全体としての内容はまかせていると。
谷村 そうですね。 遠矢 一回解説を聞いたことがあるんですよ「この曲はこういう感じで……」みたいに。でもまったく意味が解らなかったんで(笑)この人なにを言ってるんだろうって。でも、本人は感動して泣きそうになってるんですけどね。
名倉 基本的には聴いた人が自分なりに想像して欲しいんだけど、でもなんか言いたくなっちゃって「こうでこうで」みたいに話してたら、自分で話してて半泣きになっちゃいましたね。
谷村 逆に俺にキレテましたからね「こんなの聞かされてさ〜」って(笑)。
遠矢 まあ基本的に歌詞は歌う人間が把握してればいいんじゃないですかね。
──まあマグネットコーティングの歌詞って、歌詞だけみて意味がわかるかっていうとわかんないですけどね。でもそこに曲が乗ったり、ライブでのパフォーマンスが加わることによって感動が湧いてくる感じはしますね。
名倉 皆が頭に浮かべてるイメージは、絶対俺の描いてるイメージとは違いますからね。だからそれはそれで楽しんでもらって、あとは俺が歌ってて気持ちよければいいんですよ。
──まあ歌ってる人が感動してればその感動はちゃんと伝わるんじゃないですかね。
名倉 でも本当は、俺の頭の中にある映像をそのまま出力できたら、ハリウッドで通 用するような映画になると思うんですけどね。脳みそにつなぐプラグが欲しいですよ。 谷村 そんなことが出来るようにならないで欲しいですね(笑)。そんなものを見せられた日にゃあ……。
──まあ逆にそれを映画でやらないで、バンドで表現するってところに意味はあると思いますけどね。
名倉 やっぱり、ライブが好きですからね。音で表現するっていうのがスゴイ楽しいし。映画を作るっていうのとはまた違った、ライブで汗だくになってする表現が好きなんですよね。
──映画は映像がついちゃってることによって、逆に伝わらない部分もありますからね。
名倉 勝手に詞の内容を自分の中で想像しちゃうみたいな余地がないですからね。
谷村 だから、もう二度と説明は聞きたくないですね! 俺には俺なりの曲のイメージがあるんだから(笑)。
名倉 さびしいな〜。もっとかまってもらいたい! 俺って「すごい天才じゃねえの」って思ってるから(笑)メンバーくらいには認めてもらいたいですね。昔つきあってた彼女にもこういうことを熱く語ってたんですけど「フーン」って聞き流されちゃって……。
一同 (笑)
名倉 もっと誉めてくれ!
谷村 犬にさ「バウリンガル」つけて歌詞の説明したら、犬に誉めてもらえるかもよ。
遠矢 犬も嫌がるかもしれないけど。
──まあ、とりあえずファンの皆は今回のアルバムを楽しみに待っててくれてるんじゃないですか。
名倉 そうですね、楽しみにしてて欲しいですね。それですごい誉めて欲しいです(笑)。
──今回のアルバムは自分的にもやっぱり天才だなっていう出来だと。
名倉 ですね〜!(笑) それ以外のなにものでもない! 誉められるとのびる子なんで、良くないと思った人は何も言わないで下さい。
谷村 絶賛の声だけ聞きたいと。
名倉 打たれ弱いんで(笑)

──12/6にシェルターでレコ発が行われますけど、そっちの方はどうですか。
名倉 もう楽しみですよね。多分その時初めてやる新曲もあると思うんで。
谷村 ライブでやってなくて、かつお客さんが知ってるっていう状況は初めてなんで、不思議な感じですね。
名倉 音源ではこうだけど、ライブでもはもっと違う感じになるっていうのを楽しんで欲しいですね。それで一緒に歌ってくれたら、スゴイ誉められている気になって、どんどん上がっていきますよ!
谷村 その内歌詞の説明し出したりしてね(笑)
名倉 「この曲はですね〜」って。
遠矢 それが始まったら、とりあえずメンバーは帰りますよ(笑)。


<リリース>
マグネットコーティング
WONDER IS LIFE
LACD-0050 2,100yen(tax out) 2002.11.13OUT

<ライブ>
2002.12.6(Fri)at shimokitazawa SHELTER
<マグネットコーティング「WONDER IS LIFE」レコ発>
マグネットコーティング / HOLSTEIN / etc...