9年間の歴史の中で初企画"ZOO JAM"が新宿ロフトでYO-KINGを迎えて開催! それを記念して、リーダーでありバンドの指揮者のような存在と形容されるDONに2002年秋以降の新生ZOOBOMBSに関して問いかけてみた。 (INTERVIEW CHIE ARAKI)

 

-----ZOOBOMBSの6月にリリースされたアルバム"Love Is Funky"はオーストラリアで制作されたようですがオーストラリアとはどんな場所ですか?
DON ちょっと前までそこに住んでいたんですよ。なんちゅうのかな〜、環境がいいんですよ。僕にとってはなんでもちょうどいい街。食べ物が美味しいとか、近所に行けばパブがあって、そこでバンドがやっているのが見られるとか。音楽もラジオでガンガンかかっているし。非常に居心地がいい場所なんですよ。メルボルンは。ちょっとラフな考え方で仕事をする場所というよりは、生活をする場所に近いんですよ。プライベートに近い。
------それは、オーストラリアのメルボルンも、それまでの東京・西荻とかと大差ないということで?
DON そうね。西荻から大阪に引っ越すでも、新宿に引っ越すでも、メルボルンに引っ越すでもそんなに大差ないな〜っていう感覚だったから。インターネットとかも発達しているし、オーストラリアと日本の時差は無いからリアルタイムで情報の交換も出来るしね。そういうことが重なって向こうに住んでみようかなって。
-----それはZOOBOMBSだったりDONさんの個人的な音楽活動の継続を邪魔しない事だったのですか?
DON そのころZOOBOMBSのドラマーはオーストラリア人だったんだよね。だから、向こうにいた方が練習しやすいかな?! っていうのもあったりして(笑)。
-----そうか(笑)、それはかなりフラットな考え方ですよね。
DON オーストラリアで活動しやすいなぁって思ったけど、結局は日本に戻ってきちゃったからね〜。というのも俺の中でのやりたい音楽のモードが徐々に変わってくるんだよ。だから、アルバムを出したくらいまでにやりたいことと、それ以降今日までにやりたいことは、ちょっと違う。

-----音楽的なこだわりが徐々に変わっていくとことはZOOBOMBSの音楽の融合性に繋がっていると考えてもいいでしょうか?
DON それは基本的な部分だと思うんですよ。僕らが音楽をやっていく上での。ファンクだとかテクノだとかエレクトロニカとかのジャンルで分けたら、いくらでも話は出来るんだろうけど。そういうことよりも、単純に音楽を聴いていて自分たちが触発される部分・かき立てられる部分は熱いマグマのドロドロした部分だって言うことなんだけど、これはべつにZOOBOMBSに限った事じゃなく、その音楽にもあると思うんです。そういう事が根本としてあるんですよ。それを実鞭するために、まずライブをやるわけだし、レコードを出す事が基本にあるよね。まず、聴いてノルのが音楽が音楽だ! っていう信条がありますね。
------その「ノル」っていうのは体が動いてしまうことなのか、心が揺さぶられてしまっているのか。
DON 両方欲しいですよね。もちろんビートだけ聴いてすごいなって思ってもらいたいし。それは反射的なものですね。条件反射で出てくる感情。それと同時に、もちろんこれを聴いて気に入ってもらえる音楽、その人の心に永遠に残る音楽をやっていきたいなと思っていますね。なんかいれてやるぞって。だから、ファンキーといっても単純にミータースみたいなファンクバンドの音は、どちらかとGOOD TIME MUSIC。聴けばものすごくいいし。間違いなくいい音楽なんだけど。だけど俺たちの音楽はもうちょっと感情論に寄っているんだと思いますね。
-----感情論?
DON 感情を逆撫でする部分があるということ、要するにロックの要素ですね。だからファンクやらダンスミュージックのみたいに、単純に聴いていいねぇ〜って思う音楽と完全にはシンクロしていないと思いますね。もうちょっとロックに寄っている。
-----曲の中で歌詞にちりばめられた、「FUNK」だとか「FUNKY」だとかはジャンルのファンクをトレースしている訳じゃないということですね。
DON ええ。僕にとってはそれって「ファンク」って言ってもいいし「ロック」って言ってもいいし、「自由」だとか「愛」だとか。自分にとって一番しっくり来る感情を「FUNKY」に置き換えていう感じ。今この現時点で。だから、もうちょっとたったら「FUNKY」じゃなくなるかもしれないけど、僕が言いたいことはそれほど変わらない気もします。一番真ん中のど真ん中に打ち込むメッセージの核になるような言葉はあんまり変わらなくて、表現の仕方が変わるかもしれない。
-----その、"Love is Funky"の時は割と4つ打ちへのアプローチが顕著だったように思いますが。それは方法論だったということですか?
DON そうですね。レコーディングをやり始めたときに、それがその時の俺たちにとって一番アナーキーだった、一番過激だったということなんですよ。当然今はそういう状態じゃないな。
-----同じ手法である種伝統芸能の要に音楽を紡いでいくというもんじゃなくて、ZOOBOMBSは動いていく、まわりを巻き込んで流れて行く感じだと言うことですね。
DON そうですね。間違いなくそうなんですよ。俺たちはファンクが生まれた街で生まれ育った訳じゃないし、黒人でもない。黒人でも無いという以上にロックンロールをやるていう白人でさえもないんだよ。俺たちは最初から音楽をミクスチャーする以外にないんだよね。生まれてきてここに立っている以上は。何かが俺たちの根っこに繋がっている訳じゃない。アメリカ人の友人とと話しているときにいつも思うのは、あいつらはどんなオルタナティブだ、パンクだニューウェーブだなんだっていっても、結局はアメリカン・ミュージックをやっているだけだっていうこと。トム・ペティーであれレッドホット・チリペッパーズであれ、表現の方法はあんまり変わらないし、どんなに過激な事をやっているっていっても、彼らの根っこはアメリカン・ミュージックに繋がっていると思う。同じようにイギリス人だとかにもそういう根っこがあって、もちろん黒人は強烈なものを持っていて。でも、俺たちは音楽的な意味では過去に何かがあって、自分の今やっている音楽にアクセス出来る音楽っていうのもは、基本的にはないんだよ。自分たちが盛り上がりたいだとか、盛り上がったら楽しいんだよねっていう感覚はあるけどね。どの民族にもある祭りみたいなもの。だから、そういうすごくはっきりしないような自分のルーツしかないから、ミックスしてなんとかそれを表現として成り立たせるしかなくて。俺は単なるロックミュージシャンであって、テクノのミュージシャンじゃないわけじゃない。だから、いくらテクノの手法だなんだっていっても、テクノに行くことはないですね。基本はロックだと。

-----最近、西荻でTHE MONKS名義でライブをやったそうですが。
DON そうね(笑)。西荻に俺がよく行くギター屋があって。そこの親父がハープの妹尾さんと一緒にバンドをやっていて誘われたんだよ。俺たちが今やろうとしているのは、ブルージーな感じ、またブルーズの方向。すごくシンプルな音楽、シンプルだけどすごく強い音楽に戻りつつあったのと、たまたまリンクして。だから、いっちょやってみっか〜! ってね。
-----またそれが西荻ワッツだっていうのが小気味いいですよね。
DON うん、近いからね〜(笑)。
-----そういうすごくシンプルな感覚で選ばれた場所がワッツで、一緒にやったブルースマン達の面 々だということも納得がいく感じがして。西荻のネイバーな人と音楽という意味で。
DON そうなんだよね。これはさっきの僕がオーストラリアに住んでいた時の話と繋がるんだけど。時間が余ったから、近所のパブに行って見てくる、もしくは呑みに行っているときに演っているバンドをちょっと眺めているという感覚が日本には皆無でしょ。みんなやっぱりお目当てのバンドを見に行くためにっていう感覚でしょ。しかもロフトもそうだけど、BOOKINGしてライブをするまでにかなりの時間がかかるよね。出たいときに出るっていうのは難しいよね。なんかシステムが固いよね。そういうどうしようもないことがあるじゃない。で、西荻は俺たちの街であって、そこのギター屋の親父がワッツを経営していたりするから。「出るよ〜」「いいよ〜」みたいな勢いでやれるからね。そういう感覚っていうのが、自分にとってすごく良かったんですよ。アメリカのツアーの時だって、僕らは明日はライブが入っていないんだけど、たまたま今日見に来てくれていた子が一緒にやりたいっていっているから、明日どこそこで一緒にやらないかっていう話も沢山あるんですよね。だから、そういうのっていいなぁって思うしね。
-----音楽が特別な物じゃなくて、生活の一部みたいな感覚ですよね。
DON そうね、日常なんだよね。音楽を日常としてやっていきたいんだよね。そうするためにはどうしたらいいかなぁ、って考えるんだけど。すごく気楽な感じなんです。だから、気が向いたときにやる音楽っていうのと、気合を入れてやる音楽っていうのはまたちょっと違ったりするのかもしれないけど。俺たちは音楽がやりたくて毎日毎日いるわけで。決まったライブの時だけじゃなくて、いつでも四六時中やっていたいわけ。それが出来るか出来ないかっていうことで、あんまり煩わしくなりたくないっていうのがあってね。そういうことで、西荻ワッツっていうそんなに大きくないハコでも、週に1回はプレイするとかもしくは月に1回プレイするとかそういう風にやっていきたいなって思っているんですよ。
-----そういう場があるのと無いのとでは音楽的健康度からしたら全く違うでしょうね。
DON 俺はZOOBOMBSって9年目に入っているんだけど、別に何らかの野心があってとかじゃなくて、単純に音楽がやりたくてZOOBOMBSを始めているんだけど。それでやっていくうちに、SHELTERに出たりLOFTに出たりしていって。ある種のステップを踏んで行って今、なんか足りないものがあるような感覚になる。それはプロダクションいいほど、いい音楽が出来るのかもしれないんだけど、スポイルされていく部分も絶対にあって。そこら辺のバランスが難しいんだよね。とにかく俺たちが判っているのは、バンドはライブをやればやるほど良くなっていくもんだっていうこと。それがどんな音楽であろうとも。音楽は継続的にずっとずっとやっていくべきだけどただ、今は例えばリリースがあって、リリースに伴うツアーがあって。で、そのツアーがそこそこ大きくなってくると、そのツアーの為のリハーサルがあってっていうことになってくるでしょ。でも本当は俺たちは、ツアーがあってもなくてもリハに週に2回入って練習していたのに「なんか最近練習しなくなっちゃったよな」とか話が出たりして。それを良しとは出来ないんだよね。俺たちはそういう意味での成功の為にバンドをやっていた訳じゃなくて、ただただ音楽がやりたくてやっていたんじゃないの?! って。

-----その9年の間に音楽シーンを取り巻く状況も変わってきたと思うんですよ。CDをリリースすることは絶対的に簡単になったし、情報の発信の仕方も大幅に変わったし。お客さんだったりライブハウスのスタッフだったりレコード屋さんの感覚も変わったと思いますが。
DON うん。そうだよね。いろんなやり方が出てきていることも確かだよね。だけど、一番罠にはまっているのは、俺たちくらいの世代のミュージシャンかもしれないですよね。今、ド新人で出てきているバンドにとっては、今の状況が間口が広がっているという風に捉えることが出来るだろうし。音楽に耳やら眼を向けている人が沢山いるしね。
-----その過渡期にZOOBOMBSはシーンにいる訳ですよね。
DON 実際、俺たちと同じくらいに出てきたバンドが今になって解散してっていうのが多いからね。別 に解散がダメだっていっている訳じゃないんだけど。でもそういう状況の中、何が真実なのかでしょう。状況はいつも糞みたいなもんだよ。売れていようがいまいが。俺たちの思うようにいってない気がするけど、その時に何が一番重要かっていったら、自分たちが何をやろうとしているのか、自分たちがどんな音楽をやろうとしているのか。そしてその音楽は自分たちが本当にやりたくてやろうとしているのか、どうなんだ?! っていう事だと思う。そういう気持ちが一番大事だと思うから。それをきちんと自分たちで持っていくには、ちょっとは犠牲を払わなきゃダメかな。だって、自分たちがいいのか悪いのかっていうのは、自分たちで決めたいじゃない。周りの状況なんかに決めて欲しくないんだよね。
-----そんな中、ZOOBOMBS初企画、"ZOO JAM"が京都磔磔と、新宿ロフトで開催されますけれど。
DON そうだね(笑)。でもロフトと磔磔って、かなり象徴的な場所だと思うんだよね。特に俺たちにとっては。その、一つは自分たちのルーツというか音楽をやり始めた感覚みたいなものに立ち返る運動の一環。もう入ってきた時の匂いで判るもんね。次に変化するステップの状態だと思うんですよ。その為に変な話なんだけど原始レベルでの激しい運動が行われている状況なんですよ。外からみたら静かなもんなんですけど(笑)。だから自分たちにもどう変化するのか判らないんだよね。
-----そうか、ロフトはどんな日になるんだろう?!
DON そうだねぇ、、、相手がYO-KINGだからねぇ。"ZOO JAM"っていうくらいだから、最後にJAMをやるつもりで、俺たちが相手の曲を俺たちがアレンジして歌ってもらう〜っていう企画ね。
-----対バンキラー健在ですねぇ(笑)。
DON (笑)まぁ、こっちのアレンジの方がいいだろ?! って。
-----それは面白そうですねぇ〜(笑)。JAMの意味が判りました!
DON やっぱりジャムらないとね、せっかく一緒にやるんだしさ。なんかこう、一回一回のライブは特別 な物だと思っているんですよ。一回一回のライブが良かったものにしたいと思ってやっているけど、そうならないときだってあるじゃないですか。そのライブが良かれ悪しかれ、自分にとっても見に来てくれた人にとってもスペシャルなものになって欲しいじゃないですか。その時にしか出来ないこと、その瞬間にしか出来ないこととかをやっていきたいと思っていますね。それがアレンジの部分だとか選曲だとか、そういうちゃちなレベルじゃなくてね。もうちょっとエネルギーの出し方だよね。同じ曲順だったけど、昨日と今日は違ったとかね。
-----それがライブの醍醐味だったりするべきですよね。
DON もちろん! それがライブなんですよ。
-----そうそうそう、ZOOBOMBSは新メンバーだそうで。
DON そうなんですよ。あぁ、"ZOO JAM"うまくいくといいなぁ。夜も寝られないね〜(笑)。


<ズボンズライブ情報>
2002.11.2(土)明治学院大学白金校舎メインアリーナ W/POLYSICS,Syrup16g
2002.11.9(土)新宿LOFT ZOO JAM Tokyosession W/YO-KING
2002.11.11(月)京都磔磔 ZOO JAM Kyoto session W/少年ナイフ

< the MONKS(a.k.aズボンズ)ライブ情報 >
2002.11.30(土)下北沢CLUB CAVE-BE W/VIOLETS ZOOBOMBS

Love Is Funky TOCT-24811
3,000yen(tax in)
OUT NOW
Mo' info. BOMB FREAKS 03-5436-6010
http://www.five-d.co.jp/zoobombs/