若手芸人の中でも突出した異才を放つスピードワゴンを斬る!
 今、若手お笑い界がとても熱い。それはまるでバンド・ブームの頃さながらの様相を呈している。そんな中で最近急速に各メディアに露出し始めている2組のお笑いコンビがいる。スピードワゴンと飛石連休である。そんな2組が毎月ロフトプラスワンにて合同で行っているトークライヴ『セレナーデ』。回を重ねるにつれて集客人数も増しており、その注目度の高さがうかがえる。そこで、今回2ヶ月連続でインタヴューを敢行する。今月は、ハスキー・ヴォイスの小沢さんと江戸っ子口調の言いまわしで突っ込む井戸田さんによる、切なさとおかしみが同居した胸をくすぐる笑いと甘酸っぱい演技が魅力のスピードワゴンである。(interview:白井絢介)

 

プラスワンだけで話せることじゃないとやる意味がない
――まずは『セレナーデ』関係について訊きたいんですけど、『セレナーデ』というタイトルをつけた由来って何ですか?
潤 この前の『セレナーデ』にも遊びに来てくれたダブルオーテレサというバンドの「ヤングセレナーデ」という曲名からです。小沢さんが彼らのライヴに行って知り合ったんですよ。
小沢 ゴーイングアンダーグラウンドのライヴ観に行ったらダブルオーテレサも出てて、それで「握手してください」って言ったら、向こうが「スピードワゴンさんですよね?」って僕らのこと知っててくれて、それから仲良くなりました。
――それで特に気に入ってる「ヤングセレナーデ」からタイトルを付けたと。
潤 そうですね。歌詞とかも恋の歌ですごくいいなと思いまして。
――で、もともとこのトークライヴをやろうというきっかけって、僕が飛石連休さんに「何かやってみませんか?」ってお願いしたのが始まりだと思うんですけど。
潤 以前に僕らと飛石連休とあともう1組の3組で合同でライヴやってたんですけど、いろいろ事情があって終わってしまって、今度飛石連休と合同で何かやりたいなって思ってたトコにロフトプラスワンっていうトークライヴができるハコがあるんだけど、っていう話が来まして。
――それでやってみようと。
潤 そうです。で、企画とかネタとかじゃなくて、フリートークでやってみようと。
――じゃあ、こういうちゃんとしたトークライヴって初めてだったんですか?
潤 そうですね。飛石連休とは『BACK-UP!』という番組によく一緒に出てましたし、他のライヴでもしょっちゅう会うんで。
――前から仲良しだったと。
潤 そうです。
――とりあえず『セレナーデ』3回やって、何か変わったことってあります?
潤 藤井さんと更に仲良くなりましたよ。呑みに行く回数も増えたし。僕と藤井さんはすごい呑むんですけど、岩見くんと小沢さんは呑まないんで。
――小沢さんの飛石連休の印象ってどうです?
小沢 いやー、すばらしいコンビですね。今ひょっとしたら日本で一番漫才がうまいんじゃないかなと。
――藤井さんとスピードワゴンのお2人は元吉本なんですよね?
潤 そうです。同期ですよ、たぶん。
小沢 3人とも別のコンビですけど。
――お2人は名古屋で、藤井さんは大阪で。
潤 だから、吉本時代に面識はほとんどなかったです。名前は知ってるぐらいでしたね。東京に出て来てからですね、知り合ったのは。
――毎回好評のシークレット・ゲストについてですが、人選はどんな感じで選んでいるんですか?
潤 どっちかって言うと、今はスピードワゴン寄りですかね。いや、そんなことねーや。チャイルドマシーンは一年後輩で、藤井さんと山本がすごい仲がいいですし、僕らも仲いいですし、岩見くんが山本くんのことをすごいお気に入りなんですよ、歯が抜けるから。で、川島さん(劇団ひとり)は小沢さんと仲がいいんですよ。僕も仲がいいですけど。
――第3回のゲストだった長井秀和さんとユリオカ超特急さんは?
小沢 僕、長井さんとすごい仲いいんで。旅行いっしょに行ったり。そう、だから今日長井さんいたから僕すごいうれしそうにしゃべってなかったですか?
――ええ。
小沢 長井さんがいるとワクワクするんですよ。長井さんが好きだから。ユリオカさんは岩見くんと仲いいって言ってたんで。
――前に小沢さんが言ってたんですけど、あくまでもゲストはシークレットで、来てくれたお客さんだけがうれしいっていう。
小沢 そうですね。
潤 ここだけで話せる話だとか、ここで見れるゲストの楽しみとか、そういうのがないとここでやる意味がないから。
――今日しゃべったこともほんとギリギリでしたけどね。
小沢 別に僕ら、放送コードギリギリ狙っていくタイプの人たちではないですから。あえて悪いこと言うって感じでもないですし。長井さんは望んで悪い道を行くんですけど。

その人が好きなものは全て吸収しようと思ってた
――次に潤さんのカクテルコーナーなんですけど。すっかり定着しまして。
潤 してるのかなぁ? 小沢 でもやっぱりああいうコーナーはあっていいよね。
潤 ただお酒が好きなんですよね。カクテルの本持ってますし。道具とか酒も揃ってるんで。
――これからも続けてもらって、いつかカクテルコンベンションでも狙ってもらって。
小沢 潰しがききますしね、カクテル作れれば。
潤 まぁとりあえず今後も続けていきますよ。
――客入れ、休憩の時のBGMって、全て小沢さんが選曲してますよね。
小沢 ほんとは何もBGM流してないんですよ。だからたまたまお客さんに聴こえてくるだけなんですけどね。耳をすませばロックンロールがね。
――この辺から個人的なことになっていくんですけど、小沢さんと言えば、マージャン。
小沢 あぁ、よく御存知で。
――マージャンで食ってたっていうのはほんとですか?
小沢 食ってたといえば食ってたし、食われてたといえば食われてたし。食ってくことは誰でもできるんですよ。でも、マージャンで暮していくとなると難しいと思いますよ。
――潤さんはマージャンどうですか? 潤 判んないです。
――まず読めないみたいな。
潤 でも聞いたことありますよ。“スーアンコー”とか。
小沢 ゲームボーイとかトランプとかいろんなゲームありますけど、マージャンが一番面 白いと思いますよ。
――で、次に潤さんといえば、お父様が議員さんであるという話をちょっとお聞きしたいんですけど、これって大丈夫ですか?
潤 全然大丈夫ですけど、もう今はやってないんですよ。
――引退されて。
小沢 引退というか落選ですけどね。
潤 落選はしてねーよ。勇退ですね。
――やっぱりリッチな生活だったんですか?
潤 お金持ちとかそういうのは全然ないですよ。普通の生活送ってましたよ。でも常に周りには大人がいましたね。
小沢 だから年上の人に媚を売るのがうまいんですよ。
潤 媚を売るとか言うなよ。
――若い頃憧れてたお笑い芸人とか、リスペクトしてる方っています? 潤 普通 にダウンタウンですよ。タモリさんもそうですし。
――最近だとどうですか? 同世代とかちょっと先輩とかで。
潤 バナナマン。
小沢 バナナマンとおぎやはぎが大好き。
――好きな映画って何ですか?
潤 『ローマの休日』です。
小沢 いつも「好きな映画何ですか?」って訊かれると、必ず『スティング』って答えてたんですよ。でも最近観てみるとそうでもないんですよねぇ。でも好きです。
――最近観たので何かあります?
小沢 『シャンプー台の向こうに』が一番良かったです。
――好きな作家っています?
小沢 昔すごい好きなミュージシャンがいて、その人が好きなものは全て吸収しようって思ってて、だからビ−ト文学とかは全部読んでやろうと思って。
――例えば?
小沢 アレン・ギンズバーグ、ジャック・ケルアック、アラン・シリトーとか、その辺のは全部読もうと思って読んでました。でも素直な気持ちで言うと、やっぱり日本人の書いた本の方が読みやすいですよね。絵が浮かびやすい。『長距離走者の孤独』とかも面 白いですけど。作家で言うと筒井康隆とか星 新一になっちゃいますね。一番最近読んだのは東野圭吾です。
――潤さんはどうです?
潤 一番最近読んだのは田口ランディです。マンガだと『稲中』ですね。
――『ピンポン』どうっすか?
小沢 大好きです。でもね、松本大洋だったら『ゼロ』が一番好きだったの。「『花男』が一番好き」って言う奴はウソです。『花男』がいいのはみんな判ってるけどさぁ。
潤 それは何となく判る。
――『ピンポン』、映画の方観ました?
小沢 観ました。泣いちゃいました。泣けちゃうんですよね。
――スピードワゴンの名前の由来って『ジョジョの奇妙な冒険』からきてるそうですが。
小沢 まぁそうですね。大好きなんで。
――最近スゴイことになってますけど、『ジョジョ』。
小沢 もうメチャクチャですよ。最近よく長井さんとかと自分のスタンドに名前つけるんですよ。僕のスタンドは「liar」なんですよ。ピストルズの曲名からなんですけど。

僕らの世代でダウンタウンとブルーハーツの 影響を受けてない人はいないと思う
――最近ハマッてることとかってありますか? 潤 『北の国から』にハマッてました。この前の“2002 遺言”を観るために、今までのやつを全部ビデオで観て準備してました。
小沢 ゲームボーイの『プロ野球チームを作ろう!』を死ぬほどやってます。
――最強のチ−ム作りを。
小沢 すごいですよ。長嶋、落合、清原、全部揃ってます。
――お金たいへんですね。
小沢 そうなんですよ。だから落合は年俸20億を超えた時点でクビにしました。
――最後に好きなバンドとかアーティストとか。
潤 僕ないですね。ほんとないです。でも小沢さんが「これ聴いて、あれ聴いて」ってどんどん持ってくるんですよ。頼んでないのに。そん中でたまにいいなと思うのがあるんで、そういうやつは買います。何が良かったかなぁ?
小沢 やめてよ、グリーンデイとか言うなよ。恥ずかしいから。
潤 グリーンデイ? あぁ、グリーンデイもそうですよ。ガガガSPも聴いてました。あとゴーイングアンダーグラウンドも好きですね。うーん、でもやっぱ一番好きなのはダブルオーテレサかな。 ――潤さんカラオケは行きます?
潤 行きますね。
――何歌います?
潤 チェッカーズです。あと久保田利伸です。ウルフルズも。やっぱ元気になる曲が好きですね。昔名古屋にいた時、小沢さんにブランキーを教えてもらって。いいんですけど、何かドーンって暗いでしょ。明るい方がいいですね。
――で、小沢さんは?
小沢 困っちゃうんですよねぇ。
潤 知ってますよ。ブルーハーツなんですよ。
小沢 もうすごいんですよね、やっぱり。僕らの世代でダウンタウンとブルーハーツの影響受けてない人って絶対いないですよ。だけどあんま言いたくないんだよねぇ。
潤 いいじゃん。好きなものは好きで。
――洋楽だと?
小沢 これもまたベタなんですけど、クラッシュが一番好きです。そうそう、ブルーハーツは「未来は僕らの手の中」を初めて聴いたんですよ。ワーってなりました。ほんと大声が出ました。舞台でもあんまり大声出さないんですけど。でも大声出しちゃマズイなぁと思って、枕で口押えて「オォォォォ!!!」って叫びました。
潤 そん時ラリってますからねぇ。
小沢 SAっているじゃないですか。
僕、SAをコピーしてたんですよ。SAとラモーンズばっかやってましたよ。
――潤さんは何か楽器は?
潤 リコーダーですかね。
――じゃあ、今後の野望は?
潤 近いところだと『セレナーデ』をソールドアウトにしたいですね。あとはやっぱり冠が付くレギュラー番組をやりたいですね。
――最後に一言お願いします。
潤 『セレナーデ』に来て下さい。あとラジオ聞いて下さい。
小沢 確かめに来て下さい。

2002年10月17日(木) スピードワゴン・飛石連休合同トークライブ「セレナーデ」

◆2002年10月17日(木)
スピードワゴン・飛石連休合同トークライブ「セレナーデ」
開場18:30 開演19:30
当日のみ ¥1,500‐(1ドリンク付)
会場 新宿ロフトプラスワン(新宿区歌舞伎町1-14-7 林ビルB2・03-3205-6864)
お問合わせ ロフトプラスワン(03-3205-6864)
M2カンパニー(03-3357-1136)

●スピードワゴンスケジュール
◆10月10日(木)よりレギュラー番組スタート!!
TBSラジオ 『B-Junk』 毎週木曜深夜3:00〜4:00


10月14日(月) 「京王感謝祭2002」
10月25日(金)第184回「ラママ新人コント大会」
11月02日(土) 上武大学「雑草祭」

お問い合わせ:M2カンパニー03-3357-1136

●飛石連休スケジュール
10月7日(月) 「池袋サンシャインプラネタリウムライブ」
10月9日(水) 「サンミュージックゲットライブ〜プレオープン」
10月20日(日) 高千穂大学
10月22日(水) 「東京ビタミン寄席」
10月26日(土) 鳥取大学
10月27日(日) 新潟大学
11月9日(土) 恵泉女学園大学
お問い合わせ:サンミュージック企画03-3355-1664