リリースの度に、新たな面を表し、すさまじいまでの成長の早さを見せつけてくれるLINKの3rd.アルバム「REVOLUTION ROCK」が完成した。
歌詞の内容も深みを増し、サウンド的にも骨太なロックバンドへと成長した彼らの「今」を聞いた。
(interview:北村ジン)

---今回のアルバムは全17曲とかなり曲数が多いんですけど、曲のバリエーションが広くて一気に聴けますよね。
小森 うん、一曲一曲が違う感じになってるとは思いますよ。まあ、やっぱ曲数が多いじゃないですか。だから飽きさせちゃいけないっていうのがあるし。もちろん自分たちでもライブとかで演ってて飽きちゃったらイヤじゃないですか。だからその辺には気を遣いましたね。
柳井 スタジオに入ったら毎回テープを録って聴いてみて。皆で、もうちょっとここはこうした方がいいなとか話し合って、練るべき所は部分は練りなおしたり、っていう感じで。
---流れ的にいうと、前回のアルバムはかなり研ぎ澄まされたというか、余計な物を限界まで取り除いてロックンロールの原点に戻った、みたいなサウンドでしたけど。今回はシンプルさ、ストレートさはそのままに、さらに厚みが加わった感じがするんですよ。
柳井 そうですね。
小森 前のを作ってる段階から、こいう風に発展していくっていうのはおぼろげながら見えてたんですよ。だから、わりと自然に前作から、今の形になって行ったって感じなんですけどね。
柳井 まあ、自分たちのやりたいことをやってたら、自然にこういう感じに変わっていったんじゃないですかね。

---レコーディング作業はアルバム3作目ってことで結構慣れてやれたんじゃないですか。
小森 うん、結構スムーズにやれましたね。全部で7日くらいで録りましたからね。
---17曲を一週間っていうのは相当はやいですね。
柳井 でもすごい楽しくやれましたよ。
小森 歌録りの時にGOING STEADYとかDUDOOSとかFROTRIPとか全部で20人くらい、友達がいっぱい遊びに来てくれて。スタジオの外に順番待ちで並んでもらってコーラス録ったりして(笑)。
柳井 そんだけ重ねると、もうどれが誰の声かわからないんですけどね(笑)。
---レコーディングは一発録りだったんですか。
小森 基本的に3人で一発で録って、それからギターをちょっと重ねてってくらいですね。
山上 やっぱりこのやりかたが一番やりやすいんですよね。
小森 というかバラバラに録ったことがないんで、何とも言えないんですけど。でも、一発でやった方がまとまりもあると思うんで。
---ライブの勢いとかをレコーディングにも込めるっていう意味ではいいでしょうね。
小森 その方が絶対、グルーヴもでると思いますからね。
柳井 練習でもライブでも、いつも3人でやってるんでレコーディングでも同じにやった方がいいですからね。

---歌詞的にもメッセージ色が強くなって、かなり色んな事が言いたくなってきたのかなっていう印象をうけたんですけど。
柳井 う〜ん、言いたくなってきたというか。言いたいことは前からあったんだけど、それをうまく表現出来る様になりましたね。昔に比べたら細かくなったというか。一つ一つの事に対して、ちゃんと考えて突き詰めていって、自分なりの答えを出してからそれを書く、みたいな。
---その言いたいことを、ちゃんと伝えようっていう意味で日本語詩の曲もやるようになったんですか。
柳井 まあそうですね。やっぱり日本人なんで、単純に日本語の方が伝わりやすいとは思いますからね。あと、友達のバンドとかでも最近、日本語の曲をやるバンドが増えてきてるんで。それをライブとかで聴いてたら「やっぱ日本語もいいよな」って思ったんで自分でも作ってみました。
---実際やってみてどうでした。
柳井 うん、やっぱ楽しいですよね。しゃべってる感覚でやれるみたいな部分があるんで。
---英語だと割と音の感じ重視で、声も楽器の一部みたいな面がありますからね。日本語だと音に言葉を乗せていくみたいな。
小森 歌ってても全然違いますよね。最初は日本語を歌ってる自分の口にすごい違和感があったんですよ。
柳井 しっかり歌わないと言葉にならなくって。
小森 まあその感覚がすごい面白かったんですけどね。
柳井 でも、最近はわりと自然に歌えるようになったんじゃないですかね。
---今回のアルバムを通して聴いてても、日本語詩と英詩が自然な感じで混在している感じはありますね。
小森 うん、日本語も英語も気持ちよく聴けるんじゃないですかね。

---もちろん英詩の曲の方も、今まで以上に深みを増してますよね。
柳井 実は英詩の方が書きやすいんですよね。
---英詩の方が書きやすいんですか?
柳井 文章にした時に、日本語だとくさくなっちゃったり、言いづらかったりする様な言い回しも英語だったら歌えたりするじゃないですか。
---ああ、なるほど。英詩を作る時はまず日本語で書いてから訳していくんですか。
柳井 そうですね。俺、海外のバンドの日本盤があるじゃないですか、その歌詞カードについてる日本語の訳詞を見るのが好きで。なんか英語の歌詞とはニュアンスが違うことを言ってるんだけど、その訳し方が格好よくて。それはバンドが格好いいのか、訳してる人が格好いいのかわからないんだけど、海外のバンドの歌詞を訳した時のしょぼ格好よさみたいなのは好きなんですよね。
---じゃあ英語の歌詞を描く時は海外バンドの日本語訳的な日本語の歌詞をさらにまた英語に訳す、みたいな作り方なんですかね。
柳井 そうですね。

---LINKの歌詞って押しつけがましいメッセージというよりは「こうしたらいいんじゃないの?」みたいな提案型なのがおもしろいですよね。
柳井 遠慮して、遠回しに(笑)。
小森 その内気づくいてくれればいいかな、くらいの。
---世界とか日本の状況とかの事について歌っててもポリティカルっていう感じじゃなくなってますしね。
柳井 逆に政治の事とか全然解らないし。興味を持てっていう周りの考え方が変なんじゃないかと思うことすらあるんですよね。テレビで国会中継とかやってるのを見ても、なんかくだらないケンカとかしてたりするじゃないですか。せれを見て、こんな奴らのどこを支持すればいいんだって感じで。
---政治に全く興味がないっていうよりは、そういう部分での政治に対する不信感が出てるって感じなんですかね。
柳井 なんか、それどころじゃないな。こんなのに構ってられないなっていう感じですよね。
小森 まあ、勉強不足って部分もあるんだろうけど、払った税金がどう使われてるのかとか全然わからないですからね。でも、興味が持てたらもっと勉強すると思いますけどね。
---あと、戦争の事についての曲もありますけど。いわゆる「戦争反対!」みたいな仰々しい反戦ソングじゃなくて、単純に「戦争に行きたくない」っていう、率直な叫びって感じで新鮮でしたね。
柳井 実際問題、俺はテレビで飛行機がビルにつっこんだテロの映像しか見てないから、本当の所のアメリカ人の感情は解らないし、何も言えないなっていう部分があるんですよね。それでもなんか「戦争には行きたくない」っていう個人的な意見だけは言っておきたいっていうのはあったんで。この歌詞を聴いてもらって、その辺の事を感じ取ってもらえれば嬉しいですけどね。

---アルバムが発売されて、これからまたたくさんライブをやってくと思いますけど。今後こんな感じでやっていきたい、みたいなのってありますか。
柳井 もっと全力を出してやっていこうかなと思ってますね。
---まだ出し切ってなかったんですか
柳井 もちろんバンドに関しては、ライブやって、音源出したり、曲作ったりと一生懸命やってたんですけど、そういう当たり前のことしか出来てなかったっていうのがあって。実はもっとアイディアはいっぱいあったのに動き出せなかった部分があって、これからはその辺をやりたいですね。まあ、全体的な行動力っていうか。例えばSET YOU FREEのチバさんとかすごい行動力じゃないですか。本当にしっかり筋を通 してやってるんで、見習うところは多いし。だから信頼されてるんだと思うけど。そういう行動力をつけたいですね。
小森 ライブとかそういう事に関しては、前から全力投球しているつもりなんですけど、自分では気づかずに勢いだけでなんとなくやってきちゃった部分もあるかもしれないんで。一本一本大切に考えてやっていきたいですね。
---それじゃ最後にアルバムに関して一言づつお願いします。
柳井 今までのLINKを知ってる人にも、知らない人もとっつきやすいような感じに出来てると思うんで。個人的にもやりたいことをやれたし、言いたいことも言えたので、色んな人に聴いて欲しいですね。
小森 17曲っていう色々なタイプの音楽が入ってるんで。そこから、聴いてくれた人が俺らのことを気に入ってくれて、さらに俺らのルーツを探るみたいな事をしてくれたら面 白いんじゃないですかね。そういう行動力を聴いた人も持ってくれたら嬉しいですよね。
山上 一曲一曲、どの曲を聴いても俺らのいい所が全部出せてるんで。まあ、聴いて下さい。