聴いてくれた人のロック史の中に
KING ROCKERが入ってくれれば、
それだけで最高!


EDDIE from MAD3、JOE from HONG KONG KNIFE、TORU from GUITAR WOLF、そしてKUBO from RETRO GRESSION。シーンを牽引するロックンローラー達から成るKING ROCKERが、再び我々の前に登場する。一緒に届けられるのは、彼らの重要なルーツである70's PUNKのカバーアルバム。SEX PISTOLS、CLASH、DAMNED、RICHARD HELL、J.THUNDERS──偉大なるパンクロッカー達の歴史的名曲をかつてこれ程までストレートに、カッコよく、愛情を持ってカバーしたアルバムを私は知らない。すべてのキッズに聴いて欲しいアルバム「WHO KILLED THE LEGEND?」について、メンバーにじっくりと語ってもらった。    (INTERVIEW:加藤梅造)

───一番重要なのはティーンエイジャー達

──今回の「WHO KILLED THE LEGEND?」のコンセプトは前作「REAL KOOL KATS」を出した時には既に決まってたんですよね。
EDDIE そうだね。
──後は、各メンバーのスケジュール調整だけだったんですか?
EDDIE かなりヘヴィーなレコーディングスケジュールだったけど、信念の元にみんな集まったから。
JOE 集まる時期はなんとなくわかってたけど。
──前作は50's 60'sの曲が中心でしたが、今作は70'sパンクを中心に構成されてますね。
EDDIE KING ROCKERは、キッズがルーツを知るためのきっかけになればいいと思ってる。前回は俺達が生まれる前のロックンロールをやったけど、今回は俺達がぎりぎりリアルタイムで体験したパンクロックをやってみた。
──今作は大きく分けて二通りの聴かれ方をすると思うんです。ひとつは僕のようなかつてパンクロックを体験して未だに聴き続けている世代、もうひとつは今回初めてパンクロックに触れるような若い世代。KING ROCKERとしては後者の方が重要だと思うんですが。
EDDIE そう、一番重要なのはティーンエイジャー達。その次がティーンエイジャーの頃に聴いた音楽を未だに忘れられない永遠のティーンエイジャー達だね。
KUBO MAD3やGUITAR WOLFやHONG KONG KNIFEは、ルーツってものがちゃんとあって、それを今の若い世代に伝えようとしているところがすごいと思いますね。僕は今まであまり考えたことなかったんだけど、それはとても重要なことなんだと思う。
──これまで日本では、最新の洋楽を自国民に伝えることはずっとやってきたけど、ルーツを伝えるような作業はあまりやられてなかったように感じます。
EDDIE 確かにKING ROCKERがやったようなカバー集はあまりなかったかもしれない。例えば、ジョン・レノンの「ロックン・ロール」ってアルバムがあるけど、これは古い名曲の数々を俺達に紹介してくれたものだった。だから自分たちが偉大なロックンローラー達からもらった恩恵を、今度は俺達が伝えようと。
JOE もちろん今までもカバー曲は無数にあるけど、ここまで堂々とカバーしたアルバムは初めてじゃないかな。
EDDIE 選曲についてもあえて王道を選んだ。もちろんパンクのレアグルーヴみたいな曲もやりたかったけど、キッズに伝えるというのが第一の目的だったから。だからある意味これはジュークボックスなんですよね。過去の古い名曲を現在に甦らせるという思想で作ったアルバムだから。

───ロックンロールの存在とともに永遠に残るはず

EDDIE 今回、70'sパンクをやるにあたって、JOEにはギターを弾いて欲しかったんですよ。いろんなバンドをカバーしてると、バンドのスタイルとしてやっぱりハートブレイカーズが一番カッコいいと思って。それはリードボーカルが二人で、ギターソロも二人でやるという、あのスタイルがパンクの最強のものだと思う。
──ドラムは最初からTORUさんに決まってたんですか?
EDDIE それはくされ縁っていうか。3歳から一緒なんで一生のつきあいになると思うし。何かあったらこいつに頼むしかないっていう。
TORU いや、もうさっきからみんなカッコ良すぎて、俺こんなんでいいのかなーって(笑)。俺さっき家とかで「踊る大走査線」とか観てたんだけど(笑)、みんなの話聞いてた方がよっぽど感動できる。いやこれマジで。本当尊敬できるっていうか。
EDDIE みんながみんなをリスペクトしてるし、そういうメンバーが集まってるのが最高ですね。
──メンバーがお互いをKINGと思えるところがKING ROCKERのいいところですよね。
EDDIE その通り!
──パンクロックとの出会いはやはりみなさんにとって特別な出来事だったんでしょうか?
EDDIE 今まで俺はいろんな音楽を聴いてきたけど、それはすべてロックンロールという言葉で言い表せると思う。そして、その中でもパンクの時代が一番素晴らしかったと思うし、いろんな時代の音楽にパンク的なものを求めることができる。パンクという価値観を。
──それは70年代に限らずということですか。
EDDIE すべてのカッコいい音楽の中に俺はパンクなものを見るんですよ。例えば50年代だったらエルビスがピストルズと同じような衝撃を持っているし、60年代になればビートルズをはじめ、ストーンズやフーなんかどパンクだと思うし、いろんな時代にパンクはある。ガレージパンクって言葉があるけど、それはまさにパンクのルーツになった60年代のアグレッシヴな音楽をそう呼んでいるわけだし。もともとパンクというのは50年代以前から不良とかそういう意味で使われてる歴史のある言葉で、70年代のパンクロックのおかげで、俺達はいろんな時代のパンクなものを見つけることができるようになった。
──そのパンクを今の時代に継承していると。
EDDIE 今の時代のパンクはもちろんいろいろなバンドがそれぞれでやっているんだけど、KING ROCKERがあえて70'sのルーツパンクをやったのは、パンク本来の意味がだんだん薄れてきているように感じたから。今の時代、パンクって言葉は知っててもピストルズを知らないキッズも多いから。そういうキッズにルーツを知ってもうことは次のシーンを作るためにも必要だと思う。俺達もそうだったから、次はお前らの番だよって。
TORU ロックンロールを次の世代に残すとか、自分は今まで全然考えたことなかったんです。KISSの確か90年代の曲で「ゴッド・ゲイヴ・ロックンロール・トゥ・ユー」ってのがあって、まあ「神様ロックンロールを与えてくれてありがとう」ってことなんだけど、俺は位置的にはそういう感じで、自分が楽しければOKって感じだった。でもみんないろいろ考えてるのを聞いて、今スゲエ感動してる。
──今のキッズにしてみれば、例えばGUITAR WOLFを観て「神様ロックンロールをありがとう」って感じてるんじゃないでしょうか。
EDDIE そう、やる側はそれでいいんだよ。俺もガキの頃は、ジョニー・サンダースとか観に行って「神様ありがとう」って思ってた。俺がロックンロールに目覚めたのはそういうきっかけがあったから。偶然なのかもしれないけど、俺の周りにはそういうものを聴く環境が溢れてた。でも今の子供達にはそういうチャンスが少なくなっていると思う。だとしたら今度は俺達がそういうものを作らなければいけないと思うんです。
JOE EDDIEみたいなやつが存在しているっていうのは奇蹟だし、本当に貴重な存在だと思う。だからこいつが何かやりたいって言ったら、俺はもうやるっきゃないんで。本人目の前にして言うのも恥ずかしいと思うけど、これは本当。

EDDIE 俺達は絶対キッズを裏切らないし、常にキッズの味方で、例え死んだとしても、俺達はロックンロールの存在とともに永遠に残ってるはずだから。
──多分ロックンロールは世の中がなくなるまでずっと存在してて、その中で自分が存在するのは本当に短い時間なのかもしれないけど、そこにKING ROCKERがあるというのが非常に重要なんだと思います。
EDDIE そう言ってもらえると嬉しいですね。
JOE いつか人類が滅亡する寸前に、どっかの雑誌の人がロック年表とか勝手に作るのかもしれないけど、たとえそれにKING ROCKERが載ってないとしても、聴いてくれた人のロック史の中にKING ROCKERが入ってくれれば、もうそれだけで最高っす!無冠の帝王上等っす!