|
──今ちょうど新録ベストアルバムの制作中とのことですが。
J-OHNO(以下O) ライブで昔の曲とかもやってるんだけど、最初に出した時と比べてテンポとかアレンジがかなり変わってきている。だからベスト盤というよりは、リメイク盤ですね。昔の音源よりかは今のライブに近い形を聴いてもらいたいなと思って。
──それに先行して、9月にマキシシングルが出ますが、これはかなり久しぶりのリリースですよね
O もう音源自体が5年ぶりなんで。その間、ライブはやっていたんだけど、メンバーチェンジとかいろいろあって随分時間がたっちゃったなあと。でも逆に今まで出さなくて正解なのかなって自分では思ってる。この1年間ライブをやらなかったんだけど、それは自分たちがレコーディングするノウハウをもう少しおぼえたかったってのがあったし、曲作りにも集中したいというのがあった。
──その1年ぶりのライブが今年の4月にあった「JAPAN PUNK ROCK FESTIVAL」ですよね。そこでは、ANARCHYやSTAR
CLUB、COBRAといったバンドと一緒にやられたわけですが、あの時あらためて、RYDERSも大御所といえる存在なんだなって思いました。
O 自分たちはそんな大御所なんて思ってないんだけど、気づいたらそのイベントの中に入ってて、気づいたらステージで歌ってた(笑)。まあ、俺達はあのメンツの中では一番経験が少ないだろうし、そういう意味じゃ先輩達の胸借りてやるって感じだったね。まあステージに出たら負けたくないっていうのはあったけど(笑)
──ファンもかなり熱狂的でしたね。
O 10年前から来てくれてるファンも結構いるし、そいつらもずっと現役で前のほうで暴れてるし。まあ、やってる俺達は当然熱は冷めてないんだけど、聴いてる側も相変わらず現役でやってるなって感じで、嬉しいよね。
──今はそれこそ椎名林檎のようなメジャーなものも含めてパンクが当たり前のものとしてあると思いますが、そういう中で、RYDERSのような存在は、日本のパンクロックの精神的な支柱ともいえる存在になっているんじゃないでしょうか。
O そこまでたいした存在じゃないんだろうけど(笑)、結局俺達は直球勝負できたっていうか。当然新しいものを取り入れてるつもりなんだけど、最初にパンクが出てきた頃に聴いたものをエネルギーにして、そのまま自分たちのオリジナルにしてるところがストレートに見えるんじゃないかな。
──RYDERSは音楽も直球ですが、歌詞にしても直感にダイレクトに訴えかけるようなものですよね。
O 歌詞はねえ、最近のバンドは英語のものが多いけど、俺はあくまで日本人で日本語を喋ってるわけだから、等身大の自分を歌えるとしたら日本語しかない。その日本語ですらうまく表現できないのに、俺は英語では歌えない。もちろんサビとかで英語も使うことはあるけど、基本的には日本語で勝負するしかないかなと思ってる。
──日常語で歌詞を作るってことですか。
O たぶんねえ、言葉って時代時代によって変わっちゃうし、例えばコギャルが使う言葉にしても今の日本語の現在形だし、その時自分が喋ってる言葉をそのまま歌詞にした方がいいというより、それしかできないと思う。最近思ったのは、今のように英語の歌詞が主流になっていくと、日本語自体がロックの中で死語になっちゃうんじゃないかと、そういうことが頭をかすめたりもする。
──ロック、特にパンクロックは、若いキッズに影響力が大きいと思いますが、曲を作るうえで、そういった若い世代もターゲットとして考えたりしますか。
O ターゲットにするっていうんじゃなくて、俺はたぶん10代の頃から感覚が変わってないんじゃないかなって思う(笑)。もちろんバンドを10年以上やってれば、それなりの変化は絶対的にあるんだけど、ただ音楽をやる感覚は全然変わらないね。
──世間ではよく今の十代は何考えてるのかわからないなんて言われますが。
O 結局ねえ、親の世代と子供の世代っていうのは絶対一致しないから。その誤差はきっと一生埋めきれないで終わるんだし。でも例えばコンビニの前にたまってるような、今十代でプラプラ遊んでる子達を見ても、やってることは俺達の頃と大して変わらないと思うよ。
──まあ、そういうエネルギーを持てあましてる連中がライブとかに来るんでしょうね。
O そもそも俺が根っからの遊び人だからね(笑)。でも、今の男の子とか女の子とか見ても、みんな目立ちたいとか、遊びたいとか、セックスしたいとか、そういう感覚があたりまえにあるよね。だから逆に言えば、まっとうな社会人というものがあるとすれば、俺達みたいに雑草的に生きていても、世の中で生きていけるんだということをアピールしたいよね。これが正解だと言う気はないけど。
──「雑草」って曲名にもなってますよね。
O 「雑草」とか「極楽トンボ」っていうのは自分たちを象徴する言葉だね。それはいつも人から言われてきたことなんだけど。結局あんまりかしこまって生きるのが好きじゃないんだよね。「自由でいたいんだよ」って言葉に象徴されちゃうんだけど。
──たぶん誰しも自由でいたいと思ってて、だからこそ僕らはRYDERSのような自由な存在にあこがれると思うんです。ライブに行くのもそういう気持ちだからだと思うし。
O 俺達のライブには10年以上も続けて来てくれてる奴らがいて、そいつらにいつまでもバンド続けて下さいってよく言われるんだけど、「じゃあ、お前らもずっとライブ来るのか?」って訊くと、ほんとに来るんだよね。だからお互い歳はとったのかもしれないけど、みんなガキ集団のまんまで、やってることは変わらない。だから結局、遊び心がある奴が多いんじゃないかな。楽しむポイントを押さえてるというか。まあ実際には何にも考えてなくて、何となく今に至ってるんだろうけど(笑)、そういう人生もありかなって。
──今年はライブをガンガンやってく感じですか?
O 久しぶりに音源も出るってことになったんで、今後は自分のケツ叩いてやっていこうと思ってますね。呑気にやってるとまた1年たっちゃうんで。今年から来年にかけてはどんどんアクションを起こしていこうかなと。
──10月にはロフトでのライブも入ってますしね。
O ロフトが新しくなってからこの前はじめてやったんだけど、やっぱりロフトがあるとないじゃあ俺達の中でも意味が違ってきて、ロフトでライブできるようになったのは嬉しいよね。またネジロにさせてもらおうかなと(笑)
──やっぱり観る方としてもロフトでRYDERS観たいってのはあります。
O ずっとバンドをやっていくことは大変なんだけど、やっぱり、自分のやりたいことを見つけた人間はそれをやり通すしかない。突っ走るしかないでしょ。松田優作が死ぬまで映画撮り続けたように、俺達も音楽の世界で当然そうなりたいしね。もちろん自分の限界っていうのは自分で決めないといけないんだけど、まだ限界を決めるには青二才で、自分のやりたいことを表現しきれてないし、やらなきゃいけないことは一杯棚上げになってるから。そういう意味じゃ、まだまだ現役で続けていけるだろうという感じかな。
|