ガーリックボーイズ




今回のアルバムは3年ぶりの作品となる。月日は彼らにとって何をもたらしたのだろう。何が変わり、何が変わらないでいるのだろう。いったいガーリックボーイズというバンドは何者がやっていて、何を目的としているのだろう。核心をつかせないひょうひょうさを持つ彼らにそんな突き詰めたら何も生まれないかもしれない質問をぶつけてみた。

(斉藤友里子)


人がカテゴライズという概念を持っているうちは
俺ら生きてるかなと思うよ。
一一ニューアルバムは世界観のギャップ、それが今回より複雑になってきたんじゃないかと思いまして。
PETA そうかな。ネタがマニアックになってるものもあればそうでないものもあるよ。
LARRY 基本的に世界観を作るのは4人でやる作業やから、表情を似せることをするんやけど、根本の「顔」は変わらんからギャップが生まれる。
KYO その作業は今までやってきてるし、おっちゃんになってきたから経験値もそら上がるがな。それに何かしらのギャップ・アンバランスを作るのもガーリックの持ち味かなと今は思うてるから、それは意識してるねぇ俺は。
一一前アルバム『LOVE』に収録されている“TOO LATE TURE LOVE”はぱっと聴きLOVEソングなんだけどよく聴くとストーカーの話だったりします。今回のタイトルチューン“マッシュルーム〜”はぱっと聴きではLOVEソング。“TOO LATE〜”で一度「その実」があることを学んでいる者にとっては「その実は? 何」とつい裏読みしてしまう。
KYO 「その実」になかなか行き当たらないプロテクトをかけてた感もある。
一一「その実」に行き着けない惑わしが「もっとだまして」っていう快感に変わるし、ガーリックを楽しむ一つの方法だと思います。KYO 俺の場合、別にだましたいという思いが一番ではないよ。それは一つの方法論であってやりたいことは別にある。
“TOO LATE〜”を例に挙げるとバラード調の曲はラヴソングって先入観・固定観念があるやろ。そういったカテゴライズをぶちこわしたい。カテゴライズの破壊をしたい。
LARRY それは破壊やないよ。型を壊す形のかわりやすい型を提示してる。またそこで型が生まれるからその型は次から使えない。それがくるくる廻っていると俺は思うな。別にそれ自体を否定してるんとは違うよ。だから人がカテゴライズという概念を持っているうちは俺ら生きてるかなと思うよ。
俺の中ではこの4人がシーン。
一一ギャップ・「その実」への作為的なズレは他者との共有はできないというところから始まっているような気がしますが。そのへんはどうなんでしょうか。
LARRY 世界観を共有できるのはこの4人しかおらんと思っている。そういう意味では不親切なバンドなのかもしれん。例えばツアー中にPETAのこいた屁の臭いとか、起きたてのKYOの口の臭いとかメンバーしかわからん。知らん人間を理解するちゅうのが無理やて、というのが俺の中の基本にあるな。逆に「この曲はこうなんやろ」って言われてもハラ立つしな。へそまがりやな。話少し違うけどよくハードコアシーンの大御所としてシーン全体をどう思うかって聞かれるけどシーンはいつも俺の中ではこの4人がシーン。
PETA やっぱり「俺の作ったもんはどうやろうか」って最初に問いかけるのはメンバーやし。最も近いリスナーだと思うけど。
かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう
KOBAYAN ただ共有をメンバーとしかできひんとしてもそうじゃない人とは共有とまではいかなくとも接点を持つことはできると思うけどなぁ。
一一その接点は早川義夫のアルバムタイトルでしょうか。
LARRY 「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」。ホントその言葉につきるなぁ。
KYO この意識がない人は俺らのことを好きにはならんやろ。
LARRY またかっこええことしてバンドは成立しないって考えてて、俺のかっこ悪いとこ、PETAの、KYOのKOBAYANのそれぞれのかっこ悪いとこをさらけださんとバンドはひとつにならん。かっこ悪さを内包して、バンドをやりたいと思うな。
KOBAYAN かっこ悪いかっこいいになりたい。そないな感じやな俺は。
PETA 俺はかっこいいことをかっこいいと思てやってるけど、それが誰かの言うかっこいいとは違うかもしれん。
でも早川義夫の言葉にぐっとくるし、そう思うよ。LARRY ずっと一緒におって、ずっと一緒に何かをやってきているということで別の人格、ガーリックボーイズがいる。そいつが俺らをとりまとめてる。
KYO その共通意識を持った故にその人格の下僕になった
LARRY そいつは得るモンとなくすモン両方を与えた。
一一そこでお聞きしたいのですが、みなさんにとってガーリックボーイズってなんですか?
LARRY ファミリー。俺のもう一つの家族。
PETA そうやなぁ、家族みたいなもん。おにい(LARRY)と兄弟やけど、兄弟越えてるもんなぁ。
KYO 存在理由を問われていると同義。
KOBAYAN なんで音楽やってんのかって言われてるようなもんだと思う。俺はみんなとおりたいなと思うからガーリックにいる。それが答え。
それをずっと探してんのかな
一一では、なぜ音楽をやっているのですか?
PETA 自分の作ったものを買ってくれるという快感。それが最高にキモチがええから音楽を作ってるのかな。人に自分を見られたい。
LARRY 俺は逆やな。もう姿が見えないようになりたい。ライブの時でももう見んといてって思う……だけど見られたいんやなぁこれがなんなんやろ。……うん。しいて言えばコンプレックスが音楽を続けている導火線で楽しいという思いがそれに火をつけてるのかもしれん。中学ん時に、ワキタくんいうのが「シルードぬいてギター弾け」って言われて、それを超えてやるって思ったのが続けるきっかけになってるもん。完璧主義やから、完全にうまいという状況になりたい。なれてないところに言い訳するためにそれをずっと探してんのかな。そのためにガーリックを音楽を続けてるのかな。