TSUTCHIE




梶原(以下:梶) 今回のお客様はSHAKKAZOMBIEのTSUTCHIEさんです。
TSUTCHIE(以下:T) よろしくお願いします。
梶 基本的に原始人バンドで、DJが入るとかよく分からないんですよ。昔は生のドラムが入っていないと何にも興味がなかったんですけど、最近はものすごく興味がわいてきて。例えば77年のオリジナルパンクの時代の人間っていうか、分かりやすいバンド形態がカッコイイって思って。そこからバンドを始めているんですが。
T 今31なんですけど、高校時代がちょうどインディーズと呼ばれる日本のシーンが出来てきた時代で、友達が日本のパンクを聞いていたけど自分からは買うまでに至らなくて。でも基本的にバンドの人と、絡んでいるのが多かったんですよ。高校の時から。高校1年の時にRUN DMCとかビースティー(・ボーイズ)なんかが出て。普通のメロディーがないものが、僕には分け隔てなく聞けたんですよ。メロディーがない分、リズムで遊んでいる様に思えて、好きになったんですよ。それからですね。
梶 その辺がルーツミュージックになると。
T そう。ギターのフレーズを残しながらもループしている感じがものすごく良かったんですよ。サンプリングと生演奏を混ぜる融合感が面白かったんですよ。

梶 自分の選択の中で今のようなサンプラーというかDJを選んだというのは?
T いじるのがすごく好きだったんですよ。楽器を持ったりもしても、続かなくて。
梶 楽器は肉体の訓練がいるじゃないですか。その辺が肌に合わないのでですか?
T そうかもしれないですね。ドラムマシーンを使ってみて、何となく僕に似た楽器に思えたんですよ。ものすごく熱くなったりしてもすぐ冷めちゃったりするんですよね。別のやり方で、表現することは飽きなかったんですよ。レコードとかから引っ張ってきて、自分で音を重ね合わせていくのがものすごく良かったんですよ。そこに快感があったんですよ。

梶 SHAKKAZOMBIEでやる前は?
T CLUBにも行かないし自分で回したりもしないし。むしろ普通の友達のバンドのLIVEに行ったりしてました。やりたい音楽がずっとあったけど、学校も卒業してしまって。友達の中でサンプラーをいじれるのが僕だけで、洋服屋の友達のイベントでOSUMI君に出会うんですよ。6、7年前。まずはテープ作りから。2本作ったんですよ。
梶 その曲作りですけど全く分からないんですよ。
T 基本的に演奏が自分で。4小節とか8小節とかのループを作って、それをMCの2人に聞かせて。それを聞いて詞を考えてもらうんですよ。
梶 歌詞に注文を付けたりするんですか?
T もう2人にお任せですね。2人は音を作る部分では任せてくれているんで。音を聞いてイメージしたものを2人が決めて、2人別々に書いて来るんですよ。
梶 え? 後で帳尻を合わせたりせずに?!
T ええ、完全に。別々に書いてきますね。帳尻を合わせなくてもいいように、音を聞いたときにものすごく話し合いをしているんですよ。
梶 リフに対して歌詞が合わないなぁっていうことはないのですか?
T 2人がリリックを書いてきて、2拍4拍の言葉の所に印がついているんですよ。
それさえ合っていれば。リリックができあがってからの音は完璧に任されています。
梶 その辺は信頼関係なんですね。
T 最初のデモテープにOSUMI君が書いてきた詞が何も言うことがなかったんですよ。
梶 バンドっていいメンバーとの出会いがあれば、それでもう90%は出来上がったようなもんだって思っていますよ。
T まさにそうですね。出会いが良かったです。

梶 歌詞がほとんど日本語ですよね。その辺はこだわっているんですか?
T どうでしょうね。英語がしゃべれたら英語で歌っていたと思いますけど。でも歌詞の内容がものすごく深いんですよ。表面上に書いてある歌詞の中に何層もの意味が潜んでいたりするんです。僕にも分からないところにもあるくらいで。
だから伝えるということでは、日本語でしょうね。
梶 リズムを創るのに日本語のリズム感って気になりませんか?
T どうなんですかね。日本語のリズム感っていうかやっている人のリズム感だと思うんですよ。歌うということはギターソロみたいなものだと思っているんですよ。うちの2人にしても独特のリズム感をしてますよ。

梶 ループを作るのに、面白いなって思うものがあるんですか?
T 僕はあんまり長いループをしないんですよ。1拍とか2拍くらいの音をいろんな所から集めてきて並び替えるんですよ。
梶 それはものすごい作業ですねぇ。僕なんかの発想だと欲しいフレーズがあったら、その楽器が出来る人を連れてきてやってもらうというものなんですけど。

T 最近では弾いてもらった所もあるんですけど、僕は自分のイメージしたものとピッタリ来ないとダメなんですよ。それを口で説明するのはものすごく労力のいることで、自分でさがしてきた方が楽なんですよ。しかも自分の頭の中で鳴っている音ではないんですよ。こういうのが作りたいなっていう音楽は鳴り続けていたりするんですけど、逆に機材の前に座って音を探しているときは、一瞬の音というのを詰め込んでいく作業になっているんですよ。ちょっとでも自分に引っかかる音をどんどん重ねていく。頭の中の音を再現しようとするとそれにものすごく固執してしまうので、探しにくいんですよ。僕らは外見的にはそういう、演奏をしていない形態に見られ勝ちなんですけど、マイクを持つことも演奏だし、サンプラーを使う事も楽器を操っているというつもりでやっているんですよ。
梶 生身だと出来ることと出来ないことがあって、技術面でものすごく悩んだりするんですよ。いつまでやってもこのド下手がぁ!! って(笑)。
T でも打ち込みが下手な人もいるんですよ(笑)。ドラムのループを作るにしても、グルーヴが出せていなかったり。キックとスネアを取ってくるときに、アタックの箇所をどこにするのかとか、そういうのでノリが変わってきたりするんですよ。打ち込みでドラムを叩くにしても、勉強になったのは人が生のドラムを叩いている所なんですよ。ハイハットにしても人によって違うでしょ。それをどうやって打ち込みで表現するかって悩んだ時期もありました。8小節のループを作るときに、32個のハイハットの強さを全部変えてみたり(笑)。
梶 ドラムを叩いていないけど、TSUTCHIE君のビート感が出ているんですね。
T しかも、機械も結構曖昧なんですよ。コンピューターだったら、テンポを120にしたら、揺れまでプログラムしないと終わりまで120なんですけど、僕が使っているシーケンサーはものすごく揺れるんですよ。昨日のループと今日のループは違っちゃったりするんですよ。その揺れが面白いですよ。
梶 面白いですねぇ。機材もメンバーの一人みたいな感じですね。

梶 LIVEはどうですか。
T 去年のお正月からのはちょうどレコーディングで、僕は作業を。
梶 え?! どうやってLIVE出来るの?
T 基本的に僕はスタジオ作業に専念です。この前の10月からのツアーでは一緒だったんですけど。今はLIVE DJが別にいるんですよ。3、4年前くらいまでは僕がDJもやっていたんですけど。だんだんレコーディングとの日程が噛み合わなくなって。
梶 そのLIVE DJの人はSHAKKAZOMBIEのCDの音を忠実に再現していますか?
T してないです。その辺も面白いところだと。しかもHIP HOPの面白いところには、ターンテーブルに乗っかっている2枚が自分たちのインストじゃないところなんですよ。だから、HIP HOPのカヴァーってないんですよ。
梶 ええー?! でも自分でもCDのプログラミングされているわけでしょ。それを乗っけることは禁じ手みたいなものなんですか?
T パフォーマンスというか、、、。そういう考えだから、LIVEだと何やってもいいっていうことになってくるんですよ。ラップとかその時々で違ったり。
梶 いやぁ、、驚いた。知らないことがいっぱいあって、面白いですね。

T 僕たちは1曲を作る時にものすごく時間をかけていたんですよ。基本のループを作って、それから歌を作って、歌を聴きながらなおして、音を重ねていってと。やっている途中で煮詰まったら終わりになっちゃうんですよ。そればっかりじゃないんですが、そのやり方に対してどうかなぁ、、って思っていて。1枚目がガチガチにつくったので、2枚目のアルバムはちょっと変えてみたんですよ。勢いで好きに創ったんです。それこそサンプリングは一応して来るんですけど、レコードを持っていって、30分くらいでループも組んじゃうんですよ。それを聞かせて詞を書いてきてもらって、そこからいきなりやってみたんですよ。
梶 そうか、レコーディングは予算と時間に限りがなければ、出来るまで10年くらいかかるんじゃないかって思ったりするんですけどね(笑)。
T 僕はスタジオにいるのは好きなんですけど、何もないのところにその場の雰囲気でどんどん詰め込んでいったんですよ。
梶 そうなると、もとネタが足りなくなるということはなかったんですか?
T そういうときはもう、自分で演奏して。だから、今回のアルバムはベーシックな音以外は全て自分が創ったんですよ。
梶 それは、バンドサウンドですよね。
T 実際に最シークレット・トラックなんてほとんどバンドのノリですよ。スティービーワンダーのカヴァーなんですけど。
梶 そうだよね。みんな楽器も出来るんだってビックリしたもん。あれは遊びですか?
T 遊びですよぉ!! 僕はベースだったんですけど、それだけで何回パンチしたことか(笑)。OSUMI君の鼻歌から出来たオリジナルもあったんですが、それは思
い出として。
梶 へぇ、そっちも聞きたかったなぁ。変な思い入れなんですけど、生楽器は自分の魂を込めるじゃないですけど、すごく重要に思うんですよ。創作とかクリエイティブな作業とかを大事にするのは、人間が持つエネルギーが入る瞬間が自分が演奏している瞬間かなぁって思うんです。
T そうなんですよ。自分で作り込んでいくときも、100%完成に持っていかないでスタジオに入るんですよ。メンバー3人がいるところで創りたいと思って。スタジオに行ったときに何かが起きるって思っているんです。3人がいて、作品をいい方向に導いてくれる何かがやってくるんです。それをいつも期待しているんですよ。
梶 それはものすごく分かりますね。スタジオで言葉にはしないんだけど「きてる! きてる!」っていうときありますよね。
T 一人のときにふっていいものが沸いてくるときもありますし、なにがどれって説明出来ないんですけどやっぱり、エンジニアの人も含めて3人で創って良かったなって思いますね。