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あぶらだこ──1983年に結成され、当時、‘奇形児’‘マスターベーション’などをリリースしていたADKレーベルよりデビューソノシートを発売し、瞬く間にハードコアパンクシーンの中核的存在となった。そして85年に1stアルバムを出すのだが、この頃には、あぶらだこのあまりに独特で異様な音楽はもはやどこにも属すことのない孤高の存在となり、未だいかなるバンドも踏み込んだことのない領域へと足を踏み入れていった。次第にライブの数も減り、アルバムも寡作になっていくが、86年の2nd(通称『青盤』)と89年の3rd(通称『亀盤』)は、当時少しでもロックを自覚的に聴いていた人は誰もが驚嘆した神業のごとき名盤だった。そして、『亀盤』以降、あぶらだこは96年までの間、長い沈黙(準備期間?)に入ってしまった。 |
──96年に7年ぶりのアルバム(通称『釣り盤』)を出したときはライブを2回演りましたよね。おそらく多くの人が、もっとライブを観たいと思ったのではないでしょうか? 小町 まあ、あぶらだことしては、あの2回でちょうどよかったんですね。 ──その2回のライブの後は、また表立った活動はなかったですね。 小町 あの後、ギターが(あぶらだこから)抜けちゃったりしましたからね。あと、うちの場合ライブをやるためには、かなり練習しなければならないんです。 ──端からみてると活動休止してるように見えますが、見えないところでちゃんと活動しているんですね。 裕倫 いえ、まあ、実際は休んでるんですが(笑) ──バンドをやっていない時は何をされてるんですか? 裕倫 忙しいです。仕事とか、育児とかで。 ──以前は、一日かけて奥多摩湖に行って泳いでたりしてたそうですが。 裕倫 ああ、昔は。今は山に登ってますね。 ──えっ、高尾山とか? 裕倫 いや、人のいるところはいかないから。人のいない山に。 ──それは気持ちを浄化するために? 裕倫 そういうんじゃなくて、山の上で焼酎呑むのがいいんです(笑) ──(笑)曲を作るにしても、あぶらだこの曲は構成が複雑ですからね。 小町 一曲作るのにすごく時間がかかりますよ。 ──それは、やってるうちにどんどん複雑になってしまうんですか。 裕倫 結局、人と同じことをやってもしょうがないんで、違うことをやろうとするとそうなるんですね。 ──人と違うことをやろうとした結果、それがロックだったんですか? 裕倫 結局、それしかできないからね。 不覚にも私は、昨年末にあぶらだこのライブが行われていたことを知らなかったが、その後嬉しいことに、永遠に聴けないと思っていた幻の初期作品がCD化された。この盤には初期のライブ演奏も収録されているが、そのテンションは現在と同様恐ろしく高い。あえて今との違いをあげれば、初期のあぶらだこがダンテの『神曲』のごとく地獄と煉獄を彷徨っているのに対し、現在は天界へと向かっている(かのように見える)ことだろうか。あぶらだこは、常にその時の新曲(神曲)をライブで演奏するが、現在既にアルバムが充分できるほどの曲数があるという。 ──ライブは、新宿ロフトでは随分やっているんですよね。全曲披露ライブとかありましたし。 小町 やはり新宿ロフトには思い入れはありますよ。だから今回ロフトでやるということで力が入りますね。 ──ライブって楽しいですか、それとも辛いものですか? 小町 僕は楽しんでますよ。 ──ヒロトモさんは? 裕倫 楽しくは…ないです。もう始まったらやるしかないから。 ──ライブが近付くとやっぱり緊張しますか? 裕倫 2時間前ぐらいから気持ちを(ライブに合わせて)切り替える。そうしないとだらけちゃうから。 ──演奏がですか? 裕倫 いや、自分が(笑)。一時間前ぐらいに高まった緊張感をライブが始まるまで我慢して、ライブで一気に放出してます。 ──3/5のLOFT以降の活動は決まってますか? 小町 4月にeastern youthさんと一緒にライブをやります。メンバーの二宮さんが東京に来て初めて観たライブがあぶらだこだって言ってました。そういうのは嬉しいですね。その後は、「極東最前線」で過去、eastern youthが対バンしたバンドのオムニバスに参加する予定です。 ──確かに、あぶらだこも、今やベテランの域だと思うんですが、居心地はどうですか? 裕倫 これからは、人気のあるバンドに媚びてやっていこうかなと(笑) ──(笑)以前は孤高のバンドというか、唯我独尊なイメージがありましたが。 裕倫 あんまり人と話すのが得意じゃないからね。これからはもっと社交的にやらないと(笑) ──あぶらだこはこの先もずっと存在し続けると考えていいですか? 裕倫 そうですね……もう「やる」って決めたことだから。 ──バンドとしてまだやり足りないことは? 裕倫 たかだか17年しかやってないから、そのぐらいじゃわからないですね。50年ぐらいやらないと。 (interview:加藤梅造) |